その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「具合は如何ですか?ドクター。」

 

<…具合も何も、データの塊のボクにとってはあんまり意味の無い言葉だと思うよ?>

 

薄暗い一室。ドクター、番堂のラボでは予備に造って置いたベルトに意識を移しデータの調整を施してるドクターを前に大臣は様子を聞いて来るが軽く受け流されてしまう。

 

「それはそうと、見事にしてやられましたねぇ。危うくコアも破壊されそうになったんですって?」

 

<あぁ。デッドヒートと言ったかな?アレ。

メチャクチャだが破壊力だけは相当のモノだった。アレもそうだが、それをあそこまで使った彼も…。>

 

「相当のモノでしたか?…フフ。どうやら楽しみがもう一つ増えたと見て良いかもしれませんね。」

 

<それは些か早計だよ大臣。あの程度ならまだボクの対処できる範囲内だ。>

 

「だが成長レベルはどうですか?アナタの話を聞くからにこの前とは大きく違う事から我々にとって十分脅威となるモノを持っていると私は思いますがね。」

 

<…フン、どうだろうね。そんな事より、一体何の用で此処に来たのかな?僕の陣中見舞いとか言わないよね?>

 

「おっと失礼、ついお喋りが過ぎましたね。此処に来た用件は、ジャッジの事ですよ。」

 

面白くも無い話に痺れを切らしたドクターは大臣に来訪した理由を聞くが、聞くや否や表情はディスプレイで細かく分からないが如何にも嫌な顔をしているのだろうと、空いた間でドクターの心情を察した大臣だった。

 

<…それってボクにとって良いニュース?それとも悪いニュース?>

 

「残念ながら後者でしょうか。どうやら貴方のラボから、試作段階のロイミュードを三体ほど勝手に持って行ったらしいですよ。」

 

<新しくアップロードしたデータと、クロックダウンシステムを搭載したヤツをかい?……あのッ、我儘な金ピカ駄鳥がッ!>

 

(…初めて聞きましたね、ドクターの暴言とは……相当ストレスを溜め込んでいるのでしょうか?)

 

相当ストレスを溜め込んでいる様子のドクターを見て、ジャッジの面倒を見させておいたの事に内心反省するがドクターが苛立ってる理由はジャッジもマッハに敗れた事も含めて、ある一つの失態が自身を苛立たせていた。

 

(全く!金ピカ鳥の面倒みせられるわ!あのバカには無様にやられるわ!試作品のロイミュードは奪われるわ!もう最悪だ!

オマケにあの時持っていった試作段階のバイラルコアも、あの戦闘で紛失してしまった…。

あぁ情けないッ!ボクとした事が何と言う失態だッ!!!あの時コアを此処に置いてかなかった自分が腹立たしいッ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが後に、せめてもの慰めとして大臣から研究費用の割増しの話を聞き、機嫌が少し良くなった言うのは当の二人だけ知る出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───変身ッ!」

 

<< HENSHIN >>

 

そして悠の居ない現状に未だ全快で無い身で一人単身で敵の居る所へガタックエクステンダーを走らせる秋。

 

操作したままバイクに追いつく様に現れたガタックゼクターが一人でベルトに収まると秋の姿をヒヒイロカネの鎧が包みガタック・マスクドフォームへと変える。

目的地に近ずくにつれ次第に瓦礫等が多くなっている道を進んで行くとそれぞれ色違いの三つの後姿がガタックの視界に入る。

 

「ッ!アレかッ!」

 

三人に向けてアクセルを全開で回し体当たりを仕掛けるガタック。だが、バイクのエンジン音に気付いたのか三人は後ろを見ずにガタックの体当たりを回避、当てる的を失ったガタックはドリフト気味で停車して先程躱した敵、三人の仮面ライダーを改めて確認する。

 

 

 

 

 

 

 

腰に巻かれたVバックルに犀のレリーフが彫られた額に一本角の銀色のライダー、ガイ。

 

同じくカメレオンのレリーフが彫られその姿もカメレオンに酷似したメタリックグリーンのライダー、ベルデ。

 

そして鮫のレリーフが彫られ左腕に鮫の籠手を嵌めた水色のライダー、アビス。

 

 

三人の仮面ライダーは目の前のガタックを目にし、行動を街の破壊から目の前の敵の排除に切り替え戦闘態勢を取る。そんなライダー達を前にガタックはバイクから降りてライダー達の姿を目に内心驚いた後に問い掛ける。

 

「その姿って、もしかして……オイお前等!悠兄さんをどうした!?それは悠兄さんの持ってた契約モンスターだろ!」

 

ガイ、ベルデ、アビスの力の根源が悠が契約してる筈のモンスターである事に気付き、悠から奪い取ったと考えに至ったガタックは声を荒げて聞いて来るが三人は一向に返す様子は無い。

それどころかガタックに向けられてくる一方的な殺意は生きてる事を感じさせない機械的なモノがガイ、ベルデ、アビスの存在をより不気味に感じさせた。

 

「…対象。仮面ライダート確認。」

 

「行動。市街地ノ破壊活動カラ対象殲滅ヘト移行。」

 

「対象ノ殲滅、行動開始。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どういう事?仮面ライダーは灰原君の筈でしょ!?…いや待って、まさか…仮面ライダーは一人じゃなくて、

複数居る?…。)

 

テレビにて街で仮面ライダーが暴れているとの報せを聞き、自らの頭で必死に整理をつけようとしている燕。

それは次第に深みに嵌っていき周りのモノが見えなくなったり聞こえなくなったりする程に自らの世界に入った燕には今後ろから声を掛けられている事すら気づかない程だった。

 

「オイ…。」

 

(そうだよ。良く考えてみれば、あのベルトの数から見てまだ他のが在ったって可笑しくない…。)

 

「オイ…。」

 

(それなら灰原君の他に居ても可笑しくは無い……。でも待って、今まで存在自体があやふやな仮面ライダーがどうしてこのタイミングで公に出て来てるの?…。)

 

「ちょっと、聞いてるの?…。」

 

(灰原君が関係してる?あの酷い傷だらけもあの三人がやったって事?…仮面ライダー同士が争ってる?…。)

 

「もしもーし!オイ!納豆女!」

 

(いや、それよりも……仮面ライダーって一体……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンッ!!!

 

 

 

「ッ!?ッ~~~~~!!!イッタイッ!?何ッ!?」

 

「何、じゃねえよ、さっきからずっと声掛けてんだろうがよ。」

 

「え?は、灰原、くん?…。」

 

頭に強烈な痛みが走った燕が後ろを振り向くと、そこには右手を振ってる不機嫌そうな顔をした悠が立っていた。動作を見るに悠が燕の頭に拳を落としたのが分かるが、それよりも目を引くのは先程の様子と比べ、一変した態度を取ってる事に燕は目を引かれた。

 

「え、っと…灰原君、記憶…。」

 

「あぁ悪いアレ嘘。そうしなきゃ後々面倒だから芝居打った。」

 

「あ、やっぱり、芝居だったんだ、アレ…。」

 

薄々感じてた疑惑が当たってた事に何とも言えない燕だが、そんな燕の事などお構い無しに悠は話しを進める。

 

「さて単刀直入に言うが、状況が状況だ。俺のベルト返してくれ。全部。」

 

「ッ!…やっぱりキミ、本当に…。」

 

「あれだけの証拠見てまだ確信が尽かなかったのか?事実だよ。お前が見たもの全て、紛れもない、現実だ。」

 

「……。」

 

「…まぁいいや、アンタの部屋在るんだろ?悪いが勝手に失礼させて貰うわ。」

 

「ま、待って!」

 

「んだよ、別に部屋の私物を漁る事はしねぇよ。ただ俺のモノ返してもらうだけ…。」

 

「そうじゃなくて!」

 

燕の自室へ向かおうとする悠の前に立ち塞がり、先程気に欠けた疑問を問いかけようとする。その視線には明らかに悠を逃がす事無く捉えてた。

 

「教えて。仮面ライダーってなに?一体何が目的で作られたの?そしてキミは何者なの?」

 

「…ハァ。時間が掛かる様なお喋りをしてるヒマは無いんだが…。」

 

「答えて!さもなくばキミの正体を…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何を勘違いしてるか知らんが。」

 

 

 

 

 

ガッ!

 

 

 

 

 

「ッ!?んぐッ!」

 

突如、燕の胸倉を掴んで壁に叩き付けた悠。

 

燕を見るその視線は、路地裏で見た際に此方を視線で射止めるような鋭い目が今燕に突き刺さっているのに対し燕からは壁に叩き付けられた痛みもあってか、何も言う事が出来なかった。

 

「俺の正体を知り、ベルトを奪い取ったからと言って、自分が有利な立場に立ったと言いたいのか?

アンタ程度、黙らすのも、ベルト使わないで無力化させるのも、やり方なんざ幾らでも在るんだよ。

そこの所勘違いしないで欲しいね。」

 

「ぐっ、んんッ!」

 

「…っと、こんなんで時間潰してるヒマは無かったな。」

 

そう言い、手を離しベルトのある燕の自室へ足早に進む悠。解放された事により咳き込む燕を放っておいて早く現場へと向かわねばと思った矢先である。弱々しくも手を掴んで悠を引き留めた燕にウンザリして少し寝て貰おうかと拳を握りしめた時であった。

 

「お願い。…私も連れてって。」

 

「…はぁ?」

 

思いも寄らない発言に燕の正気を疑った悠だが、突きつけられる真っ直ぐな目に本気だと知る。

 

「アンタ何言ってるか分かってんの?俺がこれから一体、何処で、何しようとするか…。態々巻き込まれて、無様に死ぬかもしれねえぞ。」

 

「…分かってるよ。その死ぬ怖さはあの時、…キミに助けて貰った時に十分理解したつもりだよ。」

 

「なら尚更…。」

 

「でもキミが私の知りたい事を教えてくれないなら自分で知るしかないでしょ?ただ一緒に連れてってくれるだけでいい。後は私の自己責任。それにもし私が巻き込まれて死んだら、キミの正体を知る人は居なくなって得するのはアナタ。

生きていようと、私なんかどうにでも為るって言ってたし、どちらにせよキミにそこまでの負担には成らない筈だよ。」

 

「……。」

 

暫しの沈黙の空気が流れ息を飲む燕。暫く経った後に、深い溜め息を吐いた悠は掴まれた腕を強引に振り払った。

 

「…アンタは利口な奴だと思ってたが…俺の早計だったようだね。」

 

「……。」

 

「……勝手にすれば?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおォォォォりゃあッ!!!」

 

そして敵ライダー達と交戦中のガタックは、ガタックバルカンを乱射するも一か所に纏まらず上手い具合にばらけて攻撃を仕掛けてくる所為で、無駄弾を撃っているだけに終わり苦戦を強いられている状況であった。

 

「クッソ!ちょこまかしやがって…キャストオフ!」

 

<< CAST OFF >>

 

相手の数も考えてクロックアップの戦法を取ることにしたガタックはライダーフォームへと変わるが。

 

「対象。クロックアップデノ高速移動ニヨル戦闘確率、100%。」

 

「クロックダウンシステム、起動準備。」

 

「クロックダウンシステム、展開開始。」

 

三人から放たれた緑の光の波状が辺り一面を包み込んで行く。ガタックはベルトのスラップスイッチを押すが、一向に加速しない。

 

「ッ!?何だコレ!?何でクロックアップ出来ねえんだ!?」

 

「タキオン粒子ノ反応、確認、ゼロ。クロックダウンシステム、正常稼働。」

 

「対象ノ脅威。20%低下。」

 

「対象ノ殲滅行動、再開。」

 

<< STRIKE VENT >>

 

「ぬおッ!?

ぐ、ぐおォォォうわッ!?!?」

 

どれだけ押してもクロックアップ出来ない事に戸惑うガタックにアビスが召喚したアビスクローから放たれる大量の高圧水流がガタックに容赦なく襲い掛かり、ガタックは吹き飛ばされてしまう。

そこへガイとベルデが追撃。ベルデが身軽な動きでガタックへ一気に接近しガタックの頭部へ右のハイキックを決め、そのままの流れで左の後ろ回し蹴りを腹部に決める。

よろめくガタックにガイが追い打ちと言わんばかりのショルダータックルを見舞わせ、ガタックの装甲に火花が散った。

 

「ガッ…ハッ…。」

 

一方的にやられるガタック、まだ体が全快で無い所為もあって膝を着いてしまい意識が飛ばない様にするのに精一杯である。

 

<< FINAL VENT >>

 

そんなガタックを仕留めに行こうとベルデが必殺技であるデスバニッシュを発動。

 

現れたバイオグリーザがベルデの足を下で巻き付け、振り子の要領でガタックを捕え成す術無くやられてしまいそうな時であった。

 

 

 

突如ベルデの背中に火花が散り、ガタックを手放してしまったベルデはそのまま地面へ落下。デスバッシュを回避したガタックも真っ逆さまに落ちて行くがそれを何者かがキャッチし、大したダメージを負う事は無かった。

 

「う…あ…悠、兄さん…?」

 

ガタックがおぼろげな意識で自身を受け止めたのが悠が変身するライダー、ダークドライブである事に悠が無事に生きてる事が分かって安堵したのか、そのまま意識を失う。

ガタックゼクターが飛び去り、秋の姿に戻るとそこへ駆け寄って来る人物が一人、ハルナがダークドライブから秋を受け取った。

 

「秋!秋しっかりしなさい!!秋ッ!」

 

<大丈夫だよ。怪我こそ負ってるが、キミの手に掛かれば直ぐ治る怪我だ。さぁ、早く此処から。>

 

「うん。気を付けてね、ベルトさん。」

 

気を失った秋を担いでハルナは近くに停めて有るネクストライドロンへ向かって行く。対するダークドライブは三人のライダー達を前にした。

 

「新タナ殲滅対象ヲ確認。」

 

「…殲滅対象、生体反応、無シ。」

 

「高密度ノエネルギー反応ヲ感知。…発生源特定。ドライバーヨリ高エネルギー流出ヲ確認。」

 

<…そう言う其方からも生体反応を感じないと言う事は、ロイミュードか…。

さて、私一人で三体相手に何処までやれるか…。>

 

そう、今のダークドライブは装着者が居らずクリムが一人で動かしているだけに過ぎない云わばオート状態。装着者が不在と言う事もあって本来のダークドライブの性能を発揮する事が出来ないが、傷ついた秋の代わりに相手をすることは出来る、そう…。

 

<少なくとも悠が生きてるなら、この騒ぎを聞きつけ此方に向かって来る筈だ。それまでの時間稼ぎが私の単独でのミッション…。

全く、これは帰ったら私の方からも言ってやらなきゃ割に合わないな!>

 

僅かな可能性を信じて、ダークドライブことクリムは、初めての戦闘を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォン───!

 

 

「また爆発音……秋の奴か?…。」

 

「……。」

 

そして当の悠はと言うと、ロックビークルであるローズアタッカーで後ろに燕を乗せながら現場へと向かって行く最中遠くの方から聞こえる爆発音に耳にしながら、不意に後ろに居る燕に話し掛けた。

 

「もう一回言うけど、着いたら着いたでアンタの事は放っておくから、巻き込まれて死んでも恨むなよ。」

 

「もう分かってるよん。…それはそうと、それがキミの素?学校とじゃ全然喋り方も雰囲気も違うんだね。」

 

「どうでもいいでしょ、んな事…。」

 

「これから死ぬかもしれないから、着くまで少し位教えてくれたっていいじゃない。

…灰原君はさ、怖くないの?戦って傷ついて、死んじゃうかもしれないのに…逃げたいって、思った事無い?…。」

 

「あるよ。」

 

「……へ?」

 

「何?その如何にも予想外という間抜けな反応…当然でしょう、睡眠時間は削られるわ、痛い思いするわ、何度も死にかけるわ…力振り回して良い事なんざ一つもありゃしねえ。

それとも俺があの脳筋女と一緒の類の人間かと思ってた?だとしたら凄くいい迷惑。」

 

「それなら…それならどうしてキミは戦ってるの?昨日だってあんな傷だらけになってたのに、どうして…。」

 

「…周り、見てみなよ。何が見える?」

 

「?…ッ!」

 

「気付いた?瓦礫の山、あちこち立ち上る黒煙、今頃病院も急患で一杯になってるだろうよ。

…やらなきゃいけないんだよ。どこぞのバカがこんな事やらかして、こんな地獄を広めない為に誰かが損な役回りしなきゃいけないんだよ。…どれだけ血生臭い戦いに嫌悪を抱いてもね。」

 

「それって…只の痩せ我慢じゃない!キミがどうしてこんな事に関わり合ったか私は知らないけど、それじゃあキミは…。」

 

「…かもしれないねぇ。でも、結局はこうしないと止めようが無いって思えば簡単に諦めがつくもんだよ。自分が損な役やらされるのに…自分が、惨たらしく殺される日までね。」

 

「ッ……。」

 

「…あぁ後、コレ受け売りで俺の憧れてた男が言ってたんだけどさ…”手が届くのに、手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ”ってな。

…俺のやってる事はその人と全く違う事だけど、似たようなもんだよ。目を背けて逃げてたら、俺は自分を許せなくなる位に後悔しちまう…だから死ぬ気でやってんだよ。内心ビビりながら。」

 

「灰原君…。」

 

「…と、お喋りはもうお終いだな。柄にもなく喋っちまった…。」

 

何時に無く口が過ぎたと内心思うなか、激しい戦闘が行われているであろう地響きに近い音が段々近い事に目的地に着いたと思い話はそこで終わりになった。

バイクを停止させると三人のライダーが一人の黒いライダーと戦ってる光景がそこに在った。燕はライダー同士の戦いに目を奪われているなか悠は別の意味で目を見開かせていた。

 

(何でドライブが…?桜井かアイツ等の誰かがなっているのか?でもそれをクリムが許す訳が…。)

 

「これが…仮面ライダー…。」

 

目の前で自分以外の誰がダークドライブに変身してるのか考える悠だが取りあえず今はダークドライブと戦っているガイ、ベルデ、アビスをど倒すのが先決と考え勝手にダークドライブになった奴の追及は後にし、行動を開始した。

 

「さてと、さっさと片付けますか。」

 

「あ、ちょっと待って!最後に一つだけ!」

 

ディケイドライバーを取り出しいざ行こうとした時にまたしても燕に呼び止められしまい、イマイチ締まらない気持ちに不機嫌な顔で答える悠。

 

「何?」

 

「一番知りたい事がまだ聞けてなかった……灰原君って一体、何者なの?」

 

「…それはもう聞かずともとっくに知ってる事だろ。」

 

「え?…。」

 

めんどくさそうな表情を隠しもせず、それが如何にも当たり前の如く悠は答えた。

 

「俺は、2-Bに転校してきた普通の高校生、そんでもって……噂の仮面ライダーだ。」

 

燕にそれだけ告げてディケイドライバーを装着しながらゆっくりと歩み…。

 

「変身ッ!」

 

<< KAMEN RIDE DECADE >>

 

その姿をディケイド激情態へ変え荒れ狂う戦地へ駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ!」

 

「ッ!?」

 

<悠!やっと来たかッ!>

 

ディケイドはダークドライブに掴み掛ってるアビスを前蹴りでダークドライブと離させダークドライブの前に立つ。

 

「クリム!お前一体どういう経緯で俺以外のヤツに…。」

 

<あぁ違うよ。今のドライブは私が動かしている、云わばオート状態だ。中身はデータの塊だよ。>

 

「…お前、なんでその機能付いてた事、今まで言わなかった?」

 

「…新タナ殲滅対象、確認。」

 

「速ヤカニ、排除。」

 

<< STRIKE VENT >>

 

<< HOLD VENT >>

 

<< SWORD VENT >>

 

新たに現れたディケイドを前に各々武器を召喚する敵ライダー達。ガイはメタルホーンを、ベルデはバイオワインダーを、アビスはアビスセイバーを召喚した。

 

「…クリム。取りあえずその話は後でするとして、アイツ等は俺が…いや、俺一人にやらせてくれ。」

 

<悠?>

 

「一応、失態の尻拭いはしなきゃいけねえしな。」

 

ダークドライブことクリムを下がらせて一人前に立つディケイド。ライドブッカーをソードモードにして向かって来る敵ライダー達を前に刃先をなぞってディケイドも向かって行く。

 

まずベルデがバイオワインダーを牽制のつもりで投げて来るがディケイドはライドブッカーで弾く間にアビスが先行して斬り掛かって来るのを体を横にずらして回避した後、ガイが背後からメタルホーンを突き出して来るもライドブッカーで受け止め、前蹴りで後退させる。

 

そして前にガイ、右斜め後ろにアビス、左にベルデと言った陣形で囲まれた。

 

(まず対処するのは多対一の状況と、アイツの持ってるカードの処理、っと…。)

 

ディケイドは前に居るガイの持つカードに警戒し、慎重にカードを選び抜きバックルへと入れる。

 

<< ATTACK RIDE ILLUSION >>

 

(…これは通すのか。)

 

イリュージョンのカードで三人に分裂したディケイドは多対一の不利を無くし、それぞれ一対一へ散っていく。

 

 

 

ガイを相手にしているディケイドは上段に振り降ろしたライドブッカーがメタルホーンで受け止められた後、ガイの左のフックをサイドステップで回避し、距離を取ってガンモードにしたライドブッカーで射撃。横に跳んで回避したガイはデッキからカードを抜いて肩のメタルバイザーに投げる様にカードを読み込ませる。

 

<< ADVENT >>

 

召喚したメタルゲラスが背後から真っ直ぐにディケイドへ突進して来るのを回避しようとしたディケイドだが、突如ライドブッカーからカードを抜き取って回避行動を取り止めた。

 

<< ATTACK RIDE CHAIN >>

 

突進して来るメタルゲラスの周囲の魔方陣から出て来た鎖がメタルゲラスを拘束して動きを止める。その瞬間ガイはデッキからカードを抜きメタルバイザーへ投げ入れる。

 

<< CONFINE VENT >>

 

全ての能力を打ち消す特殊カード、コンファインベントの能力でメタルゲラスを縛ってた鎖が消えメタルゲラスは再度ディケイドへ突進して来る。ディケイドはコレを横に跳んで回避したが、そこへ狙いを付けてたのかガイがメタルホーンで突きによる攻撃を繰り出し、タイミング的に回避不能であった。

 

だが体勢を立て直しながらライドブッカーを再度ソードモードにして突き出されたメタルホーンを切り上げる形で上に反らし、瞬時に切り返してガラ空きとなったガイの胴にライドブッカーを振り降ろし、ガイにダメージを与えた。

 

「ふぅ…先ず一枚、っと…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< CLEAR VENT >>

 

ベルデと戦っている方は、透明となったベルデを前に…特に大して慌てた様子は無かった。

 

<< ATTACK RIDE SCOPE >>

 

体にコウモリのシルエットが入り込むとディケイドの視界が変わり、姿が見なくなった筈の人影も…。

 

「…そこ!」

 

ライドブッカーで撃ち込んだ所から大きく火花が散ると、透明の効果が切れ姿を現わしたベルデの姿が。

 

姿を消しての奇襲に失敗したベルデはディケイドに向かって接近戦を仕掛け、身軽な動きでハイキック、回し蹴り、サマーソルト等の足技を絶え間無く仕掛けて行くが、視力を強化したディケイドの目にはベルデの足技は全て見切っており躱す事など容易であった。

 

そしてディケイドは後ろの回し蹴りをして来たベルデの右足を掴み身動きが取れなくなった所にライドブッカーを乱射。大きく仰け反って下がるベルデはデッキからカードを抜くが。カードを持っている手をディケイドに撃ち抜かれカードを落としてしまう。落としたカードはバイオグリーザの画が載ってるアドベントのカードだった。

 

「さて、とっとと終わらせますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にアビスと戦っている方のディケイドは激しい剣戟を繰り広げていた。

 

アビスセイバーの横薙ぎを受け止め鍔迫り合いになり、その後弾いたライドブッカーの袈裟懸け、切り上げを弾かれまた強烈な剣の打ち合いが続く。お互い引けを取らない剣戟を繰り広げていく内、アビスはディケイドの横薙ぎを素早くバックステップで回避、距離を空け、デッキから抜いたカードをアビスバイザーに読み込ませた。

 

<< FINAL VENT >>

 

現れたアビスラッシャーとアビスハンマーが融合しアビソドンとなって横に伸びた目からエネルギー弾を発射。ディケイドはそれをライドブッカーで弾き、回避するが高火力の広範囲攻撃に舌打ちする。

 

「そっちがデカいモンなら、こっちもデカいのだ!」

 

<< ATTACK RIDE ADVENT >>

 

アビソドンのエネルギー弾を走りながら避けてるディケイドは新たにカードを読み込ませる。

アビソドンがエネルギー弾の攻撃が止めると、今度は頭部からノコギリ状のブレードが展開されディケイドに向かって行くが、アビソドンの横合いから咆哮を上げながら体当たりしてくる赤い影により阻止される。

 

ディケイドの隣に付いた赤い影は、ドラグブラッガーと同等と言えるミラーモンスター、無双龍ドラグレッダー。

ドラグレッダーはディケイドの周りを旋回するように飛んだ後、再び高らかな咆哮を上げアビソドンへぶつかっていった。

 

そしてディケイドも此方を見据えてるアビスに再度ライドブッカーを構え対峙しようとした時だった。

 

アビソドンが弾き飛ばしたドラグレッダーがぶつかったビルから瓦礫の雨が落ち、その下に運悪く居合わせたのか、隠れて此方の戦闘を見ていた燕の真下へと落ちて行く光景が見えた。

 

 

 

 

当の燕は、真上にドラグレッダーがビルにぶつかった際に頭を抱えて下げてた所為か真上から落ちてくる瓦礫の雨に気付くのは自身を覆いかぶさってる影が段々濃くなっている事から容易に自分がどのような危機に陥ってるか下を見たままでも理解してしまった時だった。

 

<< ATTACK RIDE BULST >>

 

燕に向かって落ちてくる瓦礫の雨は、無数の光弾によって塵となり燕に降り掛かったのは小石程度の大きさまで砕けた石つぶてだった。

顔上げると目に入ったのはライドブッカーの銃口を燕の頭上に向けてたディケイドの姿だった。

 

ライドブッカーで燕に落ちて来る瓦礫を撃ち砕いた隙をアビスは見逃さない。アビスセイバーで背後から斬り掛かりそれをモロに喰らってしまうディケイド。上空でドラグレッダーとアビソドンがぶつかり合ってるその下で転がるディケイドに足で踏みつけアビスセイバーを振り降ろそうとしたアビスだが…。

 

<< ATTACK RIDE STRIKE VENT >>

 

振り降ろしたアビスセイバーがディケイドの召喚したドラグレッダーの頭部を模した籠手、ドラグクローによって阻まれ、そこから超高熱の火炎放射を浴びてしまうアビス。

 

その上ではドラグレッダーがアビソドンに自身の体で締め上げ、眼前にて火炎放射を浴びせていたのだった。

 

 

そして戦いは最終局面を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< FINAL ATTACK RIDE De,De,De,DECADE >>

 

ガイと戦ってるディケイドは勝負を決める為に必殺技へ入ろうとしていた時、ガイはデッキから抜いたカードをメタルバイザーへ投げ入れる。

 

<< CONFINE VENT >>

 

先程使用した二枚目のコンファインベントでディケイドの前に出てたカードの列がガラスが散る様に消えた後、ガイは間髪入れずカードをバイザーへ投げ入れる。

 

<< FINAL VENT >>

 

ガイの後ろに立ったメタルゲラスの肩に乗ってメタルゲラスと共に突進する必殺技、ヘビープレッシャーがディケイド目掛けて繰り出されるが。

 

「これで厄介なカードはもう使い切ったか。」

 

<< ATTACK RIDE BIG >>

 

「ホイ、っと。」

 

目の前に出た魔方陣に手を入れると、魔方陣を潜った手が何倍もの大きさになり、その場に合わないような軽い感じで、ガイのヘビープレッシャーを横から叩いて吹き飛ばした。

 

<< ATTACK RIDE GIGANT >>

 

<< ATTACK RIDE CERBERUS>>

 

続けて二枚のカードをベルトに入れると、右肩に担ぐ形で乗ってる四つのミサイルが積まれた多目的巡航ミサイル「ギガント」。左腕に脇を使って固定してるのは巨大なガトリング式機銃、GX-05 ケルベロス。

 

ディケイドは巨大な重火器狙いを立ち上がろうとしてるガイに標準を定めて。

 

 

「はい、終わり。」

 

 

一秒間に30発もの特殊弾が放てるケルベロスの銃撃がガイの装甲に外す事無く炸裂し、肩に乗ったギガントの四連ミサイルがガイに向かって放たれ、巨大な爆炎がガイを包み込んでいった。

 

炎が晴れた先にはバラバラに散ったカードデッキとメタルゲラスのカードが落ちているのを確認した後ディケイドはカードを回収した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< ATTACK RIDE MAZIC HAND >>

 

「そーらよっと!」

 

ベルデと戦っている方も、右腕に装着されたマジックハンドモジュールがベルデを掴みジャイアントスイングの様に大きく円を描きながら振り回していき、そのままの勢いで上空高く放り投げていった。

 

<< ATTACK RIDE ROCKET >>

 

<< ATTACK RIDE DORIL >>

 

マジックハンドモジュールが着いてたディケイドの右腕に新たに付いたのはオレンジ色のロケットモジュールと左足を包み込むように現れた巨大なドリルモジュールが現れると、ロケットモジュールのジェット噴射で一気に上空高く飛び上り、仕舞いには先程打ち上げたベルデを超す程高く上がった所で。

 

<< FINAL ATTACK RIDE Fo,Fo,Fo,FOURZE >>

 

「オォォォォッッラァッッ!!!」

 

急降下しながら左足のドリルモジュールを突出し落下中のベルデの胸部に叩き込みながら落下して行くディケイド。

ドリルの高速回転と急降下で地面へ叩き付けられたベルデはそのまま爆散。地面に突き刺さったドリルの回転で回るディケイドの足元には、バイオグリーザのカードが落ちてるが回収したのは、高速回転で酔ったディケイドの気分が落ち着くまでだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして最後に残されたアビスの方も、互いにモンスターを後ろに控えさせ固着している状態であり、次の一手で勝負を決めようとしている所だった。

 

アビスの後ろのアビソドンが口から放つ高圧水流に乗り、ディケイドに向けてアビスダイブを繰り出そうとしているのに対し、ディケイドも必殺技で迎えようとしてた。

 

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「ハッ!」

 

ドラグレッダーと共に上空高く跳び上がったディケイドにドラグレッダーが超高熱の火炎弾と共にアビス向けてキックを繰り出し、水と炎。相容れぬ性質の必殺技が両者炸裂。

 

ぶつかった際に途轍もない勢いで周囲に水蒸気が立ち上り、辺りの気温は一気に蒸し暑くなる。

 

物陰から見てた燕は、腕で目元を隠し僅かな隙間から事の顛末を見る為にディケイドとアビスがぶつかった所へめをやる。

すると次第に水蒸気が晴れていき、そこに立っていた人影は一人。

 

落ちていたアビスラッシャーとアビスハンマーの契約カードを拾うディケイドの姿を見て、僅かに口元に笑みが浮かんだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘が終わり、瓦礫の山に奪い返したカードを見ながら腰掛ける悠の傍らに置かれてたクリムが悠の居ない間に起きた出来事を簡潔に話してた。

 

「そう、秋の奴が桜井と…。」

 

<アレが一時的な感情であるといいんだがね。正直あの時の秋は、誰がどうみても危うい状態であったよ。>

 

「…ふー。少しめんどくさい事になるかも…んでさ、アンタ何時まで居るの?」

 

「え?私?」

 

「うん。」

 

後ろに居る燕になぜ今だこの場に居るのか聞いて来る悠。すると燕は悠の隣に座って語り出した。

 

「いやその…何だかんだ言って助けてくれた事にお礼言わなきゃって思って…。」

 

「…あぁ、アレか。」

 

「うん……でもそれと同時に分からないんだ。あれだけ自己責任って言ってたキミがどうして私を…。」

 

「あぁそれね、大事な事忘れてたんだよねぇ。」

 

「大事な事?」

 

「ん、あの時運び出して、傷の手当してくれた。その借りがあった。」

 

「借りって…まさかそれだけで?」

 

「そうだよっと。俺、そう言うのに細かい性格でさぁ、返す相手に返さずに目の前で死なれると気分悪いから。」

 

そう言って悠はクリムのベルト部を肩に担いで立ち上がり、瓦礫の山から下りその場を後にしようしたが。

 

「あぁそれと、俺の事アンタの雇い主に言ったその瞬間からアンタの事敵と見るからそのつもりで、もうお互い貸し借り無しの関係になったからね。」

 

それだけ言って今度こそその場を後にした。残された燕はゆっくり小さくなってゆく背中を見て、ポツリと呟く様に語る。

 

「貸し借り無しって…正確には私の方が一つ、貸しができちゃったんだけどなぁ…。」

 

最初にロイミュードに襲われ、助けて貰った時に一つ。路地裏で見つけた悠を家まで運び傷の手当てをして無し。そして先程一件でまたしても悠に貸しが出来てしまった燕。

本人は恐らく最初の事など頭に入っていないかもしれないが、これは燕からしても気が乗らなかった。

 

「…しょうがない。キミの事を黙って置く事で、貸し借り無しにするとしますか。

あぁ~あ。折角の高額報酬が……仕方ない、地道にコツコツと稼ぐことにしますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<いいのかね、彼女。キミの正体を知ってるまま放って置いて。>

 

「特に問題は無いでしょ。証拠となるモノは向こうは持って無いし、ベルトも全部回収した。

暫く監視も付けて何か変な行動起こすようならその時に対処するよ。」

 

クリムと話しながら悠は人通りの少ないルートを選んで自宅へと帰宅してた。

燕の今後の対処を大まかに決めた後に話しの話題は燕の雇い主について変わっていった。

 

「にしても何考えてんだろうねぇ九鬼とやらは。ドデカい企業が俺の正体探って何企んでんだが。単なるスカウトだったら拍子抜けなんだが…。」

 

<フム。現時点で考えられるのは、仮面ライダーの持つ高い技術。コアドライピア等の技術を欲しているのかもね。…あるいは、その技術で軍事利用に…。>

 

「もしそうだとしたらよォ。その気を無くすまでに徹底的にお話に行かなきゃなんねえなぁ。…近い内ちょっとお邪魔させて貰うとしますかぁ、九鬼に…。」

 

<…如何にも悪巧みを考えてる顔だね。…ま、程々にやりたまえ。

私も、此方の技術を無闇に付け狙われるのは辛抱ならんのでね。>

 

「その時は自分で何とかなるだろ?一人で。」

 

<言わなかった事がそんなに気に入らなかったのかね?アレは此方の戦力の切り札としてギリギリの所まで隠す予定のヤツだっだんだぞ?>

 

「それでもなぁ・「悠!」・ん?」

 

一人手でドライブに成れる事を隠してたクリムに不満を言う悠だったが、突如後ろから声を掛けられたので振り返ると此方に向かって走って来るラ・フォリアと瑞鶴が姿があった。

悠の前に立ち止まり息を整えながら安堵の表情を浮かべた。

 

「はぁ、はぁ…良かった、ご無事だったんですね…。」

 

「王女…何で翔鶴のカッコしてんの?」

 

「第一声がそれですか。アナタが言ってたじゃないですか。外に出る時は、軽い変装はして行けって。」

 

「嫌確かに言ったけどよ。だからって何でアイツ等の…まぁいいや。何かもう馴れちまったよ、アンタの突飛過ぎな行動に。」

 

「………。」

 

「?…王女?」

 

突然黙り込んで顔を俯かせるラ・フォリアの様子に悠は声を掛けるも一向に返事を返してくれる反応は見られない。急な事に悠は傍に居た瑞鶴にどうなっているか聞こうとした瞬間、ラ・フォリアが突然悠に抱き着き咄嗟の事に、悠は突然の出来事に脳内の処理が追い付かずにいた。

 

「お、おい。どうしたよ?急に…。」

 

「…良かった、ホントに無事で…。」

 

「…泣いてんの?」

 

首元に感じる濡れた感触と嗚咽で、あのラ・フォリアが泣いている事に珍しく驚いた表情を見せる悠。

そんな二人を見て瑞鶴は悠の肩に担がれているクリムをそっと悠から奪い取ってその場を去ろうとする。

 

「おいおいおい!ちょっと!瑞鶴!?何処行こうとしてんの!?」

 

「いやぁ、何かアタシお邪魔みたいだしィ?先にベルトさんと一緒にウチ帰ってるから。」

 

「っておい!この状況で…クリム!」

 

<私は所詮AIだが…ウム。この場は空気を呼んで失礼させて貰うよ。>

 

「クリムッ、お前…!」

 

「んじゃそう言う事で、ラ・フォリアさんとごゆっくり~。」

 

そう言ってクリムと共に足早にその場から去って行った瑞鶴。

 

残された悠は未だ抱き着いているラ・フォリアの背中をさすりながら、落ち着くまでそうしていたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして家に帰った際に川内と神通も同様に抱き着いて来たので、落ち着かせるのにかなりの時間を有したと言う。




次回は後日談みたいな流れを投稿する予定です。
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