毎回楽しみに待ってる皆様に勝手ながらご報告を。
今までの投降は週一ペースで何とかやってましたが、リアルの方が忙しくて週一ペースが厳しい状況になりました。
なんとか速いペースで投稿したいですが、これからかなり間を空けての投稿もあります。
勝手な都合で申し訳ありません。
場所は灰原家・悠の自室。
そこに居るのは顔以外体の至る所を包帯で巻かれてベットに寝てる悠と傍らでクリップボードを持った苦い表情のハルナが立っていた。
「…体中の至る所にヒビ。筋肉繊維の断裂、内出血……。
何コレ?一体何をどうすれば一晩でこうなるの?戦争でもしてたの?
深夜の真夜中に突然叩き起こされたと思ったら何処かの誰かさんが重傷負うわで夜通しの治療する羽目になるわ…ホンット何考えてんだアンタは!?」
「………返す言葉がございません。」
クリップボードに乗ってる内容、医者がカルテを患者に読み聞かせるように言うがその声色から明らかに不満と愚痴も混ざってる。
何故悠がそれ程の怪我を負ったのか、事の発端は昨夜の稼働テストが原因である。
ラボより地下に設置されてるトレーニングルーム。
そこではパワードスーツ、G4システムの新戦力導入の為に稼働テストを行っており、今でも四方から来る砲丸を銃撃で撃ち抜いてる作業が続いていた。
「今ッ!どの位ッ!経過ッ、したッ!?」
<後数秒で15分を切る所だ。調子はどうかね?>
「暑ッい!通気性の問題が、発覚したよ!」
今の所、軽口を言いながら砲丸を避けて銃の弾倉を変える程度の余裕を見せている。
データの方も順調に集まってる次第で、これならば何の問題無く稼働テストが進めると内心思ってた時だった。
PiPi!PiPi!……Pi------!
「ッ!?あッ…ぐぁあぁッ、がッ、ぁぁッ…!」
<ッ!?何だ!?一体何が起こってる!?>
突如、危険信号を鳴らす様にG4のアーマーの隙間から排熱するかのように噴出されるおびただしい量の蒸気が。
それに伴い苦しみだす悠に撃ち出された砲丸が当たってしまい、先程の好調が嘘のように砲丸を受けてしまいスーツの不調と砲丸のダメージによる苦痛を味わうことになった。
<ッ!いかん、すぐに中止だ!悠!早くそのスーツを脱げ!このままでは…。>
クリムの操作により砲丸は止んだがスーツから与えられる苦痛で聞こえてないのか、倒れ、もがき苦しむ悠。
こちらからの操作でスーツの強制パージを試みたが、スーツが此方のからの操作を弾く様にエラーの表示が出され、完璧に遮断されてしまった。
こうしてる間にもスーツの不調により刻一刻と命の危機に瀕してる悠。本格的にマズイ状況となった事態にクリムはシフトネクストを呼び出すとしたときであった。
「うわ、ここにもあったよ隠し部屋。…ん?何か騒がしくない?」
「ベルトさん?どうしてこんな所に?」
上に通じる階段を下りてトレーニングルームに入って来たのは、所々汚れが目立つ作業着姿の夕張と明石。
偶然にも地下に通じる通路を閉め忘れてたお陰か偶々ラボに訪れた二人が見つけて入って来た様であった。
二人の姿を見たクリムは藁にも縋る様な勢いで目の前の惨状を止める頼みを叫ぶ。
<二人とも手を貸してくれ!今とんでもないアクシデントが起こってる真っ最中なんだ!!>
「アクシデント、って何ですかアレ!?」
「ちょ、もしかしてアレ、悠さん!?」
<話は後だ!早くあのスーツを脱がせないと悠が!>
「わ、分かりました!」
事の状況を察した二人は大慌てでガラス製のドアを開き悠の下へ駆け寄る。だが、スーツから溢れ出る蒸気の熱にまともに触ることが出来ずどうするべきか焦ってた時に…。
<ベルトにあるスイッチを押すんだ!それでスーツをパージ出来る!>
「は、はい!!」
クリムの一言で明石が腰に巻かれてるベルトのスイッチを押すと、空気が抜けるような音と共に胸部アーマーが開くと各部に着いてた装甲が外れだす。
夕張がいち早く頭部のメットを取り外し、放り投げるとパージされたスーツを手早く外しだす。完全に解放された悠は意識が朦朧としており返事を投げ掛けるも此方に返事を返さなかった。
明石が悠の纏ってるウェアを無理やり剝がしながら脱がせ触診するとすぐ青褪めた顔になる。
「大変…夕張!すぐハルナさん呼んで来て!ベルトさんはマッドドクターを!かなり深刻なレベルでやばいです!」
「は、はいッ!!!」
<分かった!ドクター!すぐ来てくれ!!>
マッドドクターを呼んだクリムは応急処置を施してる明石と意識を失ってる悠を見ているかのように置かれてるG4のマスクが、まるで意思を持ってるかの様に先程まで自身を身に着けていた悠を見ているかのように見えた。
青い複眼が、まるで死神の視線にも感じられる事に不気味な感じを覚えたという。
「まさかこんな事になっちまうとはねぇ…あぁーあ、参ったねぇ。」
「死にかけて良くそれで済まそうと出来るわね…。
にしても良いの?ラ・フォリアさんと川内に言わなくて?二人は今ゼノヴィアのとこでしょう?」
「あぁむしろ黙っておいてくれ。耳元で延々と何か聞かされちゃ治るモンも治んねえよ。」
「あっそ。ま、私はアナタの惚気話はどうでもいいからご自由に。
怪我の方だけど、一応酷い所は治したけど、それでも動く度に痛みが走るから暫くは絶対安静ね。」
「ほォー、死に掛けの体を夜通しでそこまでとはスゴイじゃんか、治療の腕上がった?」
「えぇお陰様で。主に何処かの誰かさん達の所為で。…まぁ悪い事じゃ無いんだけど。それに明石さんやドクちゃんも居てどうにかなったモノだしね。」
「ドクちゃん?」
「えぇ。この子の事。」
そういうハルナの掌に、若干クラクションの音が低くなってるマッドドクターが居た。治癒エネルギーを使い過ぎて疲れているように見えた。…機械に疲れてると言う表現はどうかと思ったが。
何とも無い様に振る舞う悠だが、ハルナの言う通り指先を少し動かすだけでもそこから一気に全身に走る様に激痛が回り声を上げそうになるがどうにか踏ん張って喉元に留めた。この調子では暫く寝たきりの生活が続くであろう事に内心舌打ちをする。
そんな悠の元にクリムの意識が乗り移ってるシフトネクストが枕元まで跳び乗って来た。
<失礼。今、大丈夫かな?>
「あぁ。分かったのか?暴走の原因。」
<あぁ。>
クリムが今まで行っていたのは、G4の突然の暴走の原因。それは案外そう難しくないモノだった。
<あの時、スーツが突然異常を起こしたのは、キミがスーツに取り入れたプログラミングが原因だったんだ。>
「俺が造ったG$システムのリスク軽減補助プログラミングがか?何度も見直して、暴走を起こらないよう細心の注意を払ったつもりだったんだが。」
<確かにキミの手掛けたプログラミングは完璧だった。本来なら稼働させるのに時間制限のリスクはあるが、それを除けば正常に稼働する筈だった。
…だが動かすにつれG4本来のシステムが目覚め、抵抗しだしたんだ。>
「本来のシステム?」
「簡単に言うと、装着者をパーツとして半永久的に戦闘させる戦闘プログラム。それがG4の最大の特徴。」
「パーツってッ、何よソレ…まるで殺人マシーンじゃない…!」
「それを言うなら大体のライダーシステムは殺人マシーンだよ。中には変身したら灰になっちまうのだってあるんだ。俺が使ってる幾つかはそういうリスク在りのもんだし。
…あぁ心配するな。秋の使ってるヤツに死ぬほどの危険性があるモンはねえよ。デッドヒートも調整済みで負荷の軽減はバッチリしたし。
…っと話が逸れた、んで?要約するとこういう事?
俺がG4本来のシステムを甘く見てたってヤツ?」
<簡単に言ってしまえばそう言う事になるね。
アレは意志を持っているプログラム。動かすにつれてキミの補助プログラムを超える程の自己進化を遂げて、結果相反するプログラムの暴走が起きた。と言った所だ。>
「…成程、ねぇ。」
<…悠。この際だから言わせて貰うが、あのスーツは破棄すべきだ。私がこんな事を言う理由は分かっているだろう?>
「…まぁこんなザマになっちまったからなぁ…。」
<それなら…。>
「なら別の手段でG4を使うまでさ。」
<別の手段?なんだねソレは?>
「あぁ。今のG4じゃダメならいっその事…。」
クリムに今後のG4の使い道についての考えを言おうとした時だった。
「ハイ。そこまでにしてください。」
<ム!?だ、誰かね!?>
枕元にあったシフトネクストを誰かが持ち上げ話を中断させる。その誰かとは、不満げな顔を隠さずむしろ不機嫌である事を主張している神通だった。
「神通、どういうつもり?」
「どうもこうもありません。
今の悠さんは安静にしなきゃいけないって言うのにそんな話をして…こんな時位、仕事の事は頭から離して大人しく寝てください。じゃなきゃ治る怪我も治りませんよ。」
「…そうは言うがよォ…。」
「私も神通の意見に賛成。元はアナタの勝手な行動で此処まで騒がせたんだから、せめてもの罪滅ぼしに大人しくしなさい。」
ハルナの意見に反論しようとした悠であったが、正論の為に言い返せない。
事実、G4の稼働テストを誰にも言わず悠の独断で行い、その際に起こった予期せぬトラブルの後始末を任せてしまった事に関しての罪悪感が今になって痛感しだしたのだ。
怪我の治療やトレーニングルームまで運び出してくれた事やクリムと一緒にG4を調べてくれた夕張など(本人は進んで志願したのを悠は知らない)、そしてなにより一番に迷惑を掛けたのは”要らぬ心配を与えた”と言う事。
そう考えると、どのよう言い繕っても目の前のハルナや神通に言い負かされる未来しか浮かばなかった。
「…分かったよ。なら完治するまで休む前に一つだけ。
……秋のヤツ、ここに呼んできてもらえる?」
「ほォー。結構扱いやすいなぁこのナイフ…ちょっと借りようかなぁ。」
「何だこりゃ?カメラ、腕時計、ごつい携帯…この穴にコイツ挿せばいいのか?」
「…なぁ二人共よォ。なんか色々弄ってるけどいいのかよ…。」
ラボ地下にある収容スペース。
そこに居るのG4を収容していたケースに戻していた天龍、摩耶、木曽の三人。
G4を元の位置に戻した三人は部屋にあった武器やアイテムに興味を持ち始め色々見る始末。天龍はG4の装備に興味を持ち、摩耶はアタッシュケースに入ってたアイテムをまじまじと、木曽はそんな二人に注意を呼びかけるが一向に聞いてもらえなかった。
「んだよ木曽。別に良いじゃねえかちょっと位見たって。それにあんな重たいモン此処まで運んだんだからこの位悪い事じゃねえって。」
「そうそう、天龍の言う通り…。」
<< FROG >>
ーぴょこん!ー
「へ?…ぎゃあぁぁぁぁあッッ!!!!
カ、カエルゥゥゥゥッ!?!?!?」
「おわッ!?ちょ、どうしたんだよいきなり抱き着いて!?」
「か、カエルッ!カエルッ!!」
「カエル?…なんだよコイツの事言ってんのか?可愛げあるじゃねえかよ。」
偶々挿しこんだ擬似ガイアメモリによって起動したメモリガジェット、[フロッグポット]に怯える摩耶。見た所カエルの類が苦手のようだが摩耶とは対象にフロッグポットに興味津々の天龍。
天龍が手を差し伸べるとそこにフロッグポットが跳び乗る。
「オイ見ろよ摩耶。確かにカエルっぽいけど、本物みたいに気持ち悪いとこなんてないぜ?ホラ。」
「あ…あぁ。そ、そうだな。確かによくよく見れば…。」
<見ロヨ摩耶!見ロヨ摩耶!>
「って喋ったぁぁぁあッ!?」
「…はぁ。こりゃ駄目だ…ん?」
天龍と摩耶のやり取りを見てた木曽が不意にデスクに置かれたアタッシュケースに気付く。
本来なら目に付いても触れないのが人として当然の事だが、気になるかならないかで言ったら、気になってしまうのが木曽の本音だった。正直二人に交じって自分も色々と置かれてる銃器に触れていたいと思ってたのを我慢してたのだ。
ほんの出来心で横目で未だ騒いでる二人を気にしながらケースのロックを解いて中身を見てみる。中身はガジェットみたいにアイテムの類かと思ってたが予想外の代物に目を見開いてしまう。
「オーイ木曽。お前も見てみろよコイツ、面白いぜ。…?何見てんだ?」
<何見テンダ?何見テンダ?>
その時アタッシュケースを見ていた基礎に気付いた天龍が頭にフロッグポットを乗せながら木曽の後ろからズイっと顔を覗き込ませる。釣られて摩耶も反対側から覗き込む。
「…オイオイ。コレってもしかして。アレか?」
「もしかしなくてもそうだろ、コレ…。でもなんだってこんなトコに置いてあんだ?」
「多分あのスーツと同じ危険モンだからじゃねえか?…取りあえずコレは元に戻して…。」
「…いや、ちょっと待て木曽。」
ケースを閉じようとする木曽に天龍が待ったをかける。
「何だよ天龍…お前、もしかして…。」
「おう、コイツを見た限りじゃ三つあるし、ここに居るのはオレ達三人。
…なぁ、オレ達がコレ使ってみねえか?」
突然の天龍の考えに驚愕の表情を見せる摩耶と木曽。当然の事ながら反発の意見が出た。
「オイオイ何考えてんだよ?そもそもオレ達がコイツを使えるかどうかすら分かんねえんだぞ?」
「確かにそうだけどよ、今の状況良く考えてみろよ。
今奴さんはロイ…なんとかや、ファ…ナンとか、結構な数を揃えてんのにコッチは主戦力があの二人だけだぜ?それなら戦力増強としてオレ達が一肌脱いだって可笑しくはねえんじゃねえか?」
「確かにそうだけどよ、アイツはオレ達が前線に出るのを拒んで…。」
「…いや、アタシは天龍の案に乗るぜ。
正直な話、アイツだけが戦ってアタシ等がただ黙って見てるだなんて考えに前から反対だったんだ。」
「おぉ摩耶!オレの見込んだ通り、お前も同じ考えだったか!
…なぁ木曽。お前だって本当は前線に出て戦いたいだろ?ん?」
「…まぁ、前線に出たくないって言えばウソになるけどよ…。」
「なら尚更!そのチャンスがこうして目の前にあんだからいっその事やってみようぜ?上手くいけばオレ達だってやれるってアピール出来るし、アイツ等と堂々と肩並べて戦えんだからよ!」
「…ッ~~~~!あぁもう!良いよ!こうなったら自棄だ!オレもその案、乗った!!」
「そうこなくっちゃ!」
頭を搔きながら悩む木曽が半ば自棄で天龍の案に乗る事を決め、満悦の天龍。
そうして結託した三人はケースに入ってたモノをそれぞれ手にしだした。
一枚のカードとベルトのバックル。その内の一枚、天龍が手にしたカードに描かれた三ッ首の獣が動いているのに気付かなかった…。
場所は戻り悠の自室。
そこには秋を入れた四人が集まり、事の顛末を説明した秋に今後の事について説明している最中だった。
「ってな訳で、ご覧の通りこんなザマだ。俺は暫く前線に出れない。
だから暫くの間はお前一人に任せる事になる。」
「……。」
「一応クリムと艦娘の奴らがサポートをする事になってる。だからお前は…。
…聞いてるのか?秋。」
顔を伏せて話を聞いている様に見えない秋に悠が問い詰めるも中々返事が帰って来ない。
暫くしてようやく発した声は何時もの陽気なテンションとは違いボソリと小さく弱々しい声だった。
「G4って…あんなヤバいモンに頼らなきゃいけねえ程オレは心許無いのかよ?」
「秋?…。」
「お前何言って…。」
「だってそう言う事じゃねえの?そんなザマになってまでG4使うって事はよ。
…この間なんか倒したのに逃げられるわ、一方的にボコられるわイイとこなんてなかったしよ。…そりゃそう思われても可笑しくはねえよな。」
「秋!アンタねぇ!…ッ!」
ガッ!
秋の態度に業を煮やしたハルナは秋に一括を入れようと前に出たがそれよりも早く秋の胸倉を掴む誰かによって遮られる。
ハルナと神通は目を見開いてた。指先一つでも体を裂くような痛みが走る状態の悠が立ち上がって秋の胸倉を掴み上げて顔を眼前にまで近ずけているのだから。
「…暫く見ねえ内にそこまで落ちぶれたザマになってるとはね。まぁ流石に、そこまで能天気なバカじゃ無かったって事か…。」
悠の静かな怒りが鋭い視線となって秋に容赦なく突き刺さってくる。口を出そうとする秋だが眼前に詰め寄る悠の前で思う様に口が出せない。冷や汗を流しながらただ黙って聞くしか出来なかった。
「この際だから言わせても貰うぞ。
オメェがそうやってイジイジしようが拗ねようが俺にとってはどうでもいい。だがな、その所為で今後の戦闘に影響出るとコッチまで巻き添え喰らうんだよ。
…そろそろ腹括って決めやがれ。自分が何の為に仮面ライダーって名前名乗ってるか、その意味を!…お前がどういう形でどういう答えを得るかはお前次第だ。俺は何も言わない。
…でもこれだけは覚えておけ、もしそれでお前が間違った事を仕出かしたら……その時は容赦なく…俺はお前を…殺す。」
「ッ…!」
一方的な要求。正にその一言が当てはまる様な事を言った悠は掴んだ手を放して背を向ける。もうこれ以上話す事は無いと背中で語る様に。
対する秋は最後の言葉に完璧に言葉を失っていた。それは近くに居た二人も同様に。
暫くして秋は逃げる様に部屋から飛び出て行った。
「!秋待って!」
慌てて秋を追いかけるハルナ。部屋から飛び出て行った二人を前にどうすべきか狼狽える神通。だが、それはドサリという物音で直ぐに掻き消されていった。
「悠さんッ!?」
神通の視線の先には倒れ込んだ悠の姿。
駆けつけて抱き上げると、苦しそうに息を荒げ顔は玉のような汗が絶えず流れ体を巻いてる包帯からはうっすらと血が滲んでいた。
「やっぱり無茶して!…どうして…!?」
「…あんな、大口叩いて…みっともないザマ…見せられる訳、無いだろッ…!」
息を荒げてる悠を一先ずベットに戻し、そこへマッドドクターが治癒エネルギーを送り込む。
「ったく、あのバカはホント手が掛かる野郎だよ、全くよぉ…。」
「…悠さん。さっき言った事って本当に…?」
「マジだよ。アイツにとっては、これから選ぶ決断次第で決まる…。
そろそろ俺が気に欠けてやるヒマも無いくらい追い込まれてるからな。こんな状況でやらせるのは、ちと難題だが…。」
「もし…それで秋さんが間違ってしまったら?」
「だから言ってるだろう。その時はその時だよ。有言実行で俺が責任取るさ。
…桜井には悪いが、コッチの問題を優先させて貰う。」
「そんな…。」
激痛で苦痛の色を見せる悠だが、その目に偽りなど見えなかった。
そんな悠の元に跳びはねながら近ずく小さな影が一つ。摩耶が収容ルームで起動させたフロッグポットが悠が寝てるベットまで来たのだ。
「あ?何でコイツが動いてんだ?」
「悠さん、これは?」
「フロッグポット。俺が造ったメモリガジェットの一つだよ。確かラボの下に…。
…おい神通。下の収容スペースに誰か入ったか?」
「え?は、はい。確か、天龍さん。摩耶さん。木曽さんがスーツを元の位置にあったラボの下に運んでいるって…。」
神通が悠の質問に答えると同時にフロッグポットが自律的に擬似メモリを排出する。元のスピーカー状態のフロッグポットはベットに落ち、悠の手には排出されたフロッグの擬似メモリ。
悠が今手にしてるメモリはフロッグポットを稼働させるキーとしての役割と同時にある機能が付いている。それはレコーダーの様に音声を録音できる機能だ。
自らを動かすのに必要なメモリを出すと言う事は、どうしても伝える事がある。ラボの下で起きた何かを。
「…オイオイ。何か今日は厄日って事じゃ済まなそうだけど…。」
嫌な予感をひしひし感じつつ、擬似メモリの再生ボタンを押した。
「ハァ、ハァ、ハァ………クッ!」
そして悠から自身の今後を決めろと無茶な難題を突き付けられた秋は、灰原家から出てアテも無く走り河川敷の方まで来ていた。
先程の悠が言ってた嘘偽りの無い本気の言葉。自分が間違えった事をすると。自分を殺すと。それが脳裏に染みついたまま全力で走ったのもあってか、フラついた足取りで川辺の方まで歩いてた。
「悠兄さんったらよぉ!言ってる事無茶苦茶すぎんだろ!オレが、間違った道を行く!?オレを殺す!?
…もう…何が何だか分かんねぇよ!!!」
胸の内を誰も居ない川辺で一人叫ぶ秋。
そんな秋の目に川の水に写り込んでた自身の顔を見ると驚愕に満ちた様に目を見開く。
普段とは違い見ただけで分かる程に追い詰められ、苦悩を抱え、道に迷ってる者の顔。
それが今水に映ってる自分だと知った時は乾いた笑みしか浮かべる事が出来なかった。
「…ハ、ハハ。…ヒッデェ顔。…ハハ…。」
無意識的に膝を抱えて顔を埋めだす秋。所轄体育座りの状態で塞ぎ込んでしまった秋。
今の秋には仮面ライダーとかそういう事は一切頭に入っておらず、正に迷える子羊と言った存在にしか見えなかった。
「ん?なんかあそこに如何にも、”迷える子羊”ってカンジの人が…。
これは神に仕える私の出番かも!」
そんな秋を偶然目にしたイリナが駆け寄って来るのにも秋は一切気にも留めて無かった。