その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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ゴーストが終わり、新たに始まった仮面ライダーエグゼイド!
アレ本当にゲームですね。必殺技する際のカセットに息フッ、が特に。


新期

 

 

新期

 

~9月1日 AM 7:10~

 

 

 

大人達にとっては新たな月の始まりであり、学生達にとっては長い休みが終わり、新たな学生生活の始まる特別な日である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~灰原家 リビング~

 

 

「ふぁ~~~。

おはようぉ~~~~。」

 

「ん、おはよう姉ちゃん。スッゲエ眠そうなご様子で…。」

 

久しぶりの早起きに体が追い付いていない制服姿のハルナが見た光景は一人テーブルに座って山積みのトーストを前に朝食を取ってる弟の秋だった。

最早見慣れた弟の凄まじい食欲を横目に目を擦りながら冷蔵庫へと向かい、牛乳を取り出した後ハルナが話し掛ける。

 

「灰原君はまだ寝てるの?

今日が新学期だって言うのに、このままじゃ遅刻よ?」

 

「あー、昨日また一日中ラボに籠ってたらしいからなー。ちゃんと起きて来るように言っといたんだけど…。

悪いけど姉ちゃん起こしに行って来てくんねぇ?

オレコーヒー淹れとくからさ。」

 

「りょーかい。全く、世話が掛かる家主サマよねえ、ホント。」

 

コップに淹れた牛乳を流し込んで多少目が覚めた状態で二階へ上がるハルナ。

部屋のドアの前に立ち、数回ノック。が、何回やっても反応無し。キリが無いと判断したハルナはドアノブに手を掛け中へ入る。

 

「入るわよー。

ほら今日から学校なんだからさっさと起きなさ…い…。」

 

さっさと起こして秋が入れたコーヒーをゆっくり飲んで目を覚まそうとしてたハルナだったが部屋に入った瞬間目にした光景の所為で一気に目が覚めた。

 

視線の先には悠が寝てるベット。そこには部屋の主である悠がまだ寝息を立てて熟睡してる姿がある事はハルナは容易に想像出来たから対して気にはしないが、問題は寝ている悠の姿と、隣で寝ている別の人物の姿が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Zzzzz…。」

 

「ん…ンん…。」

 

上半身裸で寝てる悠がネグリジェを着たラ・フォリアを抱きながら寝ていた。

しかも丁度毛布が二人の下半身を隠すように覆い被さってたので端から見れば悠が裸で寝ているようにも見えてしまう。ギリギリそうでないと判断できたのは床に散らばってる昨日悠が来てた服の中に下着が無い事からちゃんと履いているのだろうと推測できた。

 

それでも未だ硬直状態から抜け出せずにいたハルナは頬を引きつらせながらどう起こせばいいのか悩む。

と言うかそれ以前に何故二人がこのような状態で寝ているのか聞き出そうにも何処の誰に聞けばいいのか彷徨っていた。

 

「この二人は……朝からとんだモノを見せ付けてくれて……。」

 

「──ホントですね。少し、嫉妬しちゃいます。」

 

「うっひゃあッ!?」

 

何気なく呟いた独り言に応えたのは、何時の間にかハルナの後ろにいた早霜。

突然言葉を掛けられたハルナは当然飛び上るほど驚き、その驚く様をクスクスと笑いながら早霜は語り出す。

 

「でも、この人達は一緒に寝てる以外何もしてませんよ。

ラ・フォリアさん、部屋に戻る悠さんを待ってベットに居たんですけど余りに遅くて寝落ちしちゃったんです。

そこに深夜遅くまで作業してた悠さんが寝ぼけた状態でそのままベットに入ったんですよ。ラ・フォリアに気付かないままで。」

 

「そ、そうなの……と言うか、何でアナタがそこまで知ってるの?」

 

「見てましたから、ずっと……フフ、フフフ。」

 

(こ、この子、前から少し不気味って思ってたけど……。)

 

「Zzzz………ん?」

 

早霜の雰囲気に押されているなか、少し騒がしかったのか悠の目が薄ら開き始めた。

ゆっくりと上体を起こしながら部屋の様子を窺う。

 

「ん~~……はれ?何で二人居るの?」

 

「おはようございます。そろそろ起きないと学校に遅れてしまいますよ?」

 

「学校?……あぁそうか、今日が始業式だっけ。」

 

「はい。それと悠さん、隣。」

 

「?…あれ?居たのコイツ?」

 

「えぇ。気付きませんでした?」

 

「あーー…そう言えば寝る時、なんかいい匂いするなぁ、とか思ってたけど…王女だったのね。」

 

「それよりも早く服を着ろ!!

その画明らかに事後の後に見えちゃうから!」

 

「ハイハイ、着替えますから朝から騒ぐなっての…。」

 

顔を赤らめるハルナの怒号を聞き流して悠はラ・フォリアを起こさない様に肩まで毛布を掛けベットから降りた後制服を仕舞ってるクローゼットに足を運ぶ。

その際にハルナは横目で悠のある所を目にする。下着姿の所為でハッキリと目に映る悠の脇腹部にある大きな傷跡を。

 

この間の一件で治療の合間に腹部の傷跡を消そうかと提案した時、悠はそれを頑なに断った。背中にまで到達してるであろう大きな刺し傷が余りにも目立ってたのだが、悠はその傷が付いた真意を明らかにしなかった。

 

恐らくあの傷には触れて欲しくない過去に関係してるのかどうかは知らないが、少なくとも安易に触れて良いモノでは無いと思いながら此方をジッと見る悠の視線に気付く。

 

「何よ…。」

 

「イヤ、…着替えるから出て欲しいんだけども…。」

 

「ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…後、お前もだぞ、早霜。」

 

「…見ていちゃダメですか?」

 

「ダメ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな朝の騒動があって悠達三人はネグリジェ姿で今だ眠そうなラ・フォリアに見送られながら学園に向かって登校。

 

朝からテンションの高い秋。明らかにまだ眠気が覚めておらずゲンナリした状態の悠。二人とは違って平常であるハルナの三人と学園に向かうのは実はこれが初めてである。

 

「あ~~……眠い、朝日が眩しすぎる…。」

 

「そりゃずっと地下のラボに籠ってたらそうなるでしょ。あの日からずっと…。五人目が出て来た時にさ。」

 

「もしかしての予想は立てといたけど、ありゃ想像以上だ。今の所遭遇してきたライダーの中じゃアイツがピカイチでヤバい。」

 

「それで明石さんと夕張と一緒にラボで何か造ってた訳?残りの夏休みほとんど使って。」

 

「G4の改造と新兵器開発にね、…少しでも此方に有利になる様にしとかなきゃいけねえしな…。」

 

「…ねぇねぇ。今日から心機一転で新学期最初の日にそう言う重そうな話止めない?

もっと明るい話しようぜ。例えば……ホラ!皆でやったバーベキューとか!」

 

「あぁアレ。アンタが”最後ぐらい夏休みらしいことしたい!”って灰原君無理矢理ラボから引っ張り出して皆でやったあの宴会みたいなバーベキューね。」

 

「楽しかったよなぁ~。艦娘の皆も混ざってワイワイやって、肉も魚介も美味かったし。大人勢は酒飲んでアレだったけど…。

でも悠兄さんも太っ腹だよな!あの時の肉も魚介も全部悠兄さんが出してくれたんだろ?酒代も含めて。結構高い出費だったんじゃない?」

 

「いやそうでも無いよ。ここ最近かなりの大金が懐に入ったからアイツ等の慰安も兼ねて使うかってハナシになっただけ。」

 

「へぇ~。その大金って、ボーナスか何か?」

 

「いや、この間コウモリ共が条約破って俺を殺しに来って言ったろ?あの後オカ研通じて向こうのお偉いさん方に抗議に行ってな。

今回の一件で脅し掛けたら賠償金支払ってくれたんだよ。お偉いさん方の懐金+冥界からの血税までから。」

 

「「……。」」

 

「いやー向こうはどう思うかねえ。未だ復興の目途が立ってない今貴重な冥界の資金が肉や魚や酒に使われたんだぜ?

でもまぁしょうがないよな、約束破ったのソッチだしィ?皆殺しの所百歩譲って金で話し付けたんだから、どう使おうにもコッチの勝手って訳で。」

 

(…部長達には悪いけど、コッチに付いてホント良かったわ。こんなの敵に回したくないもの。)

 

(スッゲェイキイキと悪役みたいな事言ってるよこの人…でもそこに痺れる憧れるゥ!)

 

そんな事を話してる内に何時の間にか学園に着いた三人。

 

校門を通って入り口に入り下駄箱で靴を履きかえた三人はそこで別れ各々のクラスへと向かう。

自分のクラスに向かってる道中、見覚えのある銀髪の後姿が見えたので声を掛ける事にした。

 

「よぉ暁。」

 

「ん?…おう灰原、随分久しぶりに見た気がするぜ。」

 

「実際の所本当に久しぶりに会ったんだけどね。」

 

向かう先が一緒であるので何も言わず並んでいく事になった悠と古城。

この夏休み何してかと古城から言われ”色々死にかけた夏休みだった”と冗談に聞こえそうな真実を真顔で言うと苦笑いで”そうか”と応えてくれた。

 

教室に着くと中の様子がいつもと違う事に気付く。夏休み明けと言うのもあると思うがそれ以外に何かあるように見えた。

 

「お、似た者同士新学期から仲良く登校か?相変わらず眠そうな顔してんなお前等。」

 

「お陰様で。そう言うソッチは年上の彼女さんと上手くいってるの?確か、ちょっとヤバそうって最後に聞いたの覚えてんだけど。」

 

「ご心配なく、この夏休みでしっかり関係戻しましたよ。」

 

「あ、そう……そりゃ残念。」

 

「オイ、今残念って言ったか?言ったよな今残念って!しかも明らかにガッカリした溜息吐いたよな!?」

 

「ハイハイ、灰原の期待通りの展開じゃ無くて残念ってのは同意するとしておはよう二人とも。」

 

「よぉ浅葱。おはよう。」

 

「おはよう。あと矢瀬も久しぶり。」

 

「何だそのついで扱い!?あと浅葱!さっきのどういう意味だ同意って!?オレの扱い酷過ぎねえか?」

 

「そう言えば聞いた?二人とも。何か今日朝礼で重大な発表があるんだって。」

 

「重大な発表?」

 

「聞けよ!」

 

教室で先に着いてた矢瀬と浅葱が話しかけて来る。

軽く矢瀬を弄った後に情報通の浅葱から今日の朝礼での重大発表とやらについて聞かされる。教室のこの盛り上がり様もそれと関係しているらしい。

 

「そう、どんな発表か知らないけどこの発表に海外のメディアが態々来てるみたいよ。」

 

「海外!?今日の朝礼にか!?」

 

「そりゃまた盛大な……あの色ボケ爺さん、一体何言うつもりなんだろうね。」

 

「それなんだけど、ココだけの話しどうやら今回の発表にあの九鬼が絡んでいるらしいのよ。なんか、一世一代のプロジェクトにこの学園も関係してるって。」

 

「……何?」

 

浅葱が仕入れた情報に思わず素の顔が出てしまいそうになったが、どうにか周りに気付かれないよう誤魔化す。

浅葱の口から出た九鬼と言うワード。今悠が調べている企業が学園を巻き込んでのプロジェクトというあるプロジェクトの名前が浮かび上がる。

 

(もしかして、武士道プラン?アレって、この学園で行うプロジェクトなのか?)

 

「やぁ皆、久しぶり。」

 

「お、ゼノヴィアじゃん。久しぶりー。」

 

考え込む悠の思考遮ったのは同じクラスであり、悠の正体を知る数少ない人物であるゼノヴィアだった。

ゼノヴィアは固まってる四人に挨拶すると、眉間を寄らせてる悠の顔を覗き込んで来る。その近さは鼻と鼻の先がくっ付くほどまで。

 

「…どったの?」

 

「いや、何やら難しそうな顔してたので、つい、な。

何かあったのか?」

 

「…いんや何も、まだ眠気が覚めて無いってだけだよ。」

 

「そうか…。何かあったら手を貸すぞ?と言っても、私に出来るのは限られてるだろうが。」

 

「…うん、その時は頼むよ。」

 

「あぁ。」

 

夏休みを通じて二人の差が縮んだ事に悠とゼノヴィアを除いた三人が目を点にして見る。

一学期の時とは違いゼノヴィアの表情が豊かになってる事がその証拠であった。

 

「オイオイ、何かあの二人前より仲良くなってねえか?」

 

「みたいね。この夏休み何かあったのよきっと。

…これは凪沙ちゃんにとってピンチかもしれないわね。」

 

「オイ!何でそこで凪沙が出てくんだよ!?

…確かに此処最近元気ねぇの灰原と会ってねえのが原因みたいだけどよ…!」

 

「いや、それもう確定じゃねえかよ。お前これを機会に妹離れしてみたらどうだ古城?」

 

「無理よ。コイツにとって凪沙ちゃんは命の次に…いや、下手したら命より大事な存在なのよ。」

 

「おーい、三人コソコソと何話しあってんの?」

 

「うるせぇ!お前が…お前が言うなぁあああああッ!!!」

 

「え?ちょ、なに?何で血走った目で睨まれてんの?俺?」

 

「さぁね。少なくとも自分の振り撒いたモノって言っとくわ。」

 

「…?」

 

声を掛けるや何故か血走った目で睨んでくる古城に悠は戸惑うがその時丁度HRのチャイムが鳴る。

チャイムが鳴りやむと担任の那月が入って教壇の前に立つ。

 

「静かにしろ。立ってる者はさっさと席に着け。今日は新学期早々やる事が山ほど在るんだ。」

 

那月がそう言うとクラスの者達はそそくさと自分の席に座る。こればかりは古城も従ったが、未だ不機嫌な様子であるのを横目にしながら悠も席着いた。

 

「さて、今日は何やら全校生徒を集めて何か伝えるらしいがその前に本日からこのクラスに副担任を務める教師を紹介する。入って来い。」

 

「は、はい!」

 

那月に呼ばれて勢いよくドアを開けて緊張気味に前で出た女性はビシッとしたキャリアスーツに身を包んだ銀髪の女性。クラスの男子はその美貌にざわつくが、そこは那月の一括で静かになった。

 

「ほ、本日からこのクラスで副担任を担当されましたロスヴァイゼと言います。教育者として未熟な所はまだまだありますが、皆さんよろしくお願いします!」

 

そう、新しく入った副担任は悠が送り込んだスパイであるロスヴァイセであった。どうやら教育者と功魔官として採用してくれたようであり後は何かしらボロが出ないよう上手く那月の動きを見てくれればと男子の歓声を余所に思う悠であった。

 

「副担任の紹介が終わった所で全員校庭に出ろ。

あと十分ぐらいで始まるらしいから迅速に動く様に、以上。」

 

その一言と同時に静かだったクラスがまた賑やかになる。

一体何の発表なのか、新しくクラスに付いたロスヴァイセの話題などそれぞれが盛り上がりながら校庭に向かうなかゼノヴィアが一人別方向へ向かう悠の姿を見て呼び止める。

 

「悠、そっちは昇降口に繋がって無いぞ?トイレか?」

 

「いや、朝礼サボって寝るわ。一人くらい抜けてたって気付くのは居ねえだろうし。」

 

「寝るって…いいのか?南宮先生にまた叱られるぞ?」

 

「外で突っ立って爺さんの長話聞くより、体調管理の為に寝た方が俺にとって有意義。と言う訳で…。」

 

そう言ってゼノヴィアの静止を振り切って悠は人知れず屋上に続く階段へと向かって行った。

 

ゼノヴィアにはあぁ言ったが本当の所半分は言った通りの理由、後の半分は騒がしい場より静かな場所で武士道プランについて考えたかったからである。

 

そうしてる内に屋上のドアの前に立ち扉を開ける。

 

(…あれ、先約が居たよ。)

 

扉を開けると一人の男子生徒が天井で仰向けに横たわってた。

男子生徒は悠に気付くと何故か警戒心を露わにした表情を向けて来る。

 

「…何だお前は、オレを狙いに来た組織の回し者か?」

 

「………あー、それってFBIだCIAっていうジョークの前フリ?」

 

「……。」

 

思わず言ってしまった受け答えがマズかったのか沈黙の空気が流れてしまった。

気まずい空気に耐え切れず悠は強引に話を切り出す事にした。

 

「サボりの相席いいかな?眠くて眠くてしょうがなくてね。」

 

「お、おい…。」

 

答えを聞かず男子の隣で横たわる悠。これ以上何言っても無駄だと悟ったのか、何も言わず二人並んで寝る態勢に入った。

 

そして下の校庭では学園長である鉄心が、全校生徒と多くのカメラを前にこの日の為に造られた壇上と巨大なスクリーンの前でマイクを手に話していた。

 

『諸君!夏休みが終わり、また新たに新学期を迎えた今日この日。皆の更なる切磋琢磨と、人間の新たなる可能性に望みを賭け、今回我が学園は今までに無い、一代の機会を設ける事にした!!』

 

「んー。…もう少し音下げられないのかねぇ。」

 

「……。」

 

『この一代企画に大手企業の九鬼財閥の協力もあって今日この日より見事迎える事が出来た!

さて、その皆が気になる企画の内容じゃが…。』

 

「……。」(スッ)

 

「どうしたー?俺が居ると寝れないってか?」

 

「そうじゃねえ。ただココに居たくねえんだ。」

 

「それ似た様なもんだと思うけど…。」

 

『過去偉業を成し遂げた偉人の遺伝子を持った英雄を現代の科学で再びこの世に誕生させ、彼等の新たな偉業を成し遂げる為この学園にて新たな可能性を見出し、他の生徒達に更なる意力向上を促進させる一代企画。

その名も”武士道プラン”!!!』

 

(…やっぱりそれかよ……でもこれに仮面ライダーとどう関係してるってんだ?)

 

朝礼の重大発表は悠の予測通り武士道プランに関するものだった。

そこで新たに生まれた謎が一つ、このプランと自身を、仮面ライダーを狙う理由が何処にある?

もしや目の付け所を間違えたのではと内心思ったりする悠の耳にクローンとして学園に入る事になった偉人の名前が聞こえて来た。

 

かつて童謡に謳われ牛若丸としての名も持つ武将、源 義経。

牛若丸と対峙し敗れた後絶対的な忠義を尽くした武蔵坊 弁慶。

下で男子の騒音に近い歓声に何だと思ってたら二人は男性では無く女性として生まれたのだと言う。人間のクローンと言う高度な技術を成功した癖に性別は元のに再現できなかったのか…。

 

そして葉桜 清楚と言う偉人の中に聞き覚えの無い名前。どうやら誰のクローンかは本人にも知らされてないらしい。

 

(……まさか…ね。)

 

『そして最後は唯一の男子じゃ!

弓をかじってる者ならその名を知らない者は居ないだろう、那須 与一!前へ!

……ム?那須 与一!居らんのかーーッ!?』

 

下では最後の一人が居ない事に騒ぎが起きてる様子が見られた。

下の騒動を見て悠は思わず隣に居た男子に目をやった。

 

「……なぁ、下で探してる最後の一人って…もしかしておたく?」

 

「…あぁそうだよ。オレが那須 与一だ。」

 

まさか今回の主役とも言える人間が屋上でサボり…。しかもさりげなく警戒してるプランの主要人物とこうして早い段階で遭遇するとは悠も想像できない事態だった。

そうしてる間にも下では与一が居ない事に更に場が騒ぐ。

 

「いいのかよ、下、結構ざわついてるけど?」

 

「ハッ、無意味に群れる必要なんざねぇ。それに…オレに関わるとロクでも無い事が起きちまうからな。お前もあまり関わらない事だな。」

 

「…あぁ…そう……。」

 

何故か額に手を翳して警告する与一に最早どう言えばいいのか分からなくなった悠。

 

今度こそ屋上を出ようとする与一をそのまま見送ろうとした悠だが、屋上の床に小さな影が出来るや否やだんだんと大きくなってることに気付くと影の近くに居る与一の襟首を掴んだ。

 

「な!?なにしやが、うわッ!?」

 

襟首を掴んでそのまま身を投げる様に跳ぶと与一の居た近くの場所の上に何かが落ちて来た。

二人は埃が舞い上がった所を見た。

 

「チィ!もう組織の奴等が来たってのか!

それよりもお前、何でオレを助けた!?関わるなって言っただろう!」

 

「あー、つい反射的に…。」

 

やがて舞い上がった埃が晴れていくと落ちてきた正体の姿が段々見えてくる。その正体は…。

 

 

 

 

「みーっけ!お前が那須 与一だな?」

 

屋上に降りて来たのは鉄心に与一を探す様に言われた百代だった。百代は与一の姿を見つけるや何時もの笑みを浮かべるが隣に居た悠の姿を見てすぐその表情が一変する。

 

「灰原…お前どうして此処に…。」

 

「隣の英雄さんと同じだよ。

日光浴しようと来たのに、とんでもないのが降って来て最悪だよ。」

 

「…そうか。それで?私はお前の隣にいる奴を連れてかなきゃいけないんだが?」

 

「ご自由に。コッチはサボりでお役のやってる事は一応正しい行いだしィ?止める理由は無いな。」

 

「そうか…なら、ここでサボってる不良を懲らしめて連れてくのも正しい行いって思って良いんだな?」

 

そう言って構える百代。隣の与一はこの状況に付いて行けず困惑してたが対して悠は闘志を剥き出してく百代を前に、これといって何とも思って無かった。

 

「おい、足が少し震えてるぞ。後冷や汗も。

無理せずコイツ連れてった方が良いんじゃないの?」

 

「黙れ!私は確かめる必要がある、お前が……お前が何者なのかを、この手でなあぁぁぁあッ!!!」

 

百代の脳裏にはあの時の、海で体感されたあの恐怖心を植え付けた悠に対する恐怖をまだ克服できていなかったがそれでも百代は恐怖心を振り払い悠に特攻を仕掛ける。

 

迫る百代を前に悠は冷めた目で見る。百代の行いがどれだけ意味の無い無駄な行為かを語る様に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーシャッ!ー

 

 

 

「「!」」

 

一瞬だった。

 

百代が拳を悠に突き出す前に、取り出した黒鞘の細剣を鞘が付いたまま切っ先を喉元に着きつけた事に。

 

気は感じない。でも纏ってる気迫は只者では無い事を与一も感じ取った。

 

「…あの時、俺なんて言ったっけ?

確か、…あぁそうだ。これ以上突っ掛かってきたら潰す、だっけ?」

 

顔伏せた状態の悠が淡々と喋る最中百代の汗の搔き方が尋常じゃない位に出てるのに気付かずにいた。それ程にまで目の前の存在に圧されているのだから。

 

そんな百代を前に悠は親指を剣の鞘元に欠ける。

 

「言っても分からない馬鹿には言っても無駄だったか……なら、ココはやっぱり……死なない程度に痛め付けた方がいいか。」

 

「ッ!」

 

親指が剣の鯉口を弾き刃を覗かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コラーーーーーーーッッッ!!!

貴方達一体何やってるんですか!?」

 

 

だがそれを防いだのは扉を勢いよく開けるや怒鳴り挙げるロスヴァイセだった。

ロスヴァイセの乱入によりその場の空気が壊れたお蔭でその気を無くしたのか悠は剣を懐に仕舞った。

 

「全く南宮先生に言われて探せばこんな所に居るし、貴方も本来なら下で挨拶しなきゃいけないのに何でこんな所に居るんですか!?

川神さんも見つけたのなら余計な事をせずに早く連れて来てください!!」

 

「あ、あぁ…。」

 

「チッ…。」

 

「……。」

 

三者反応はそれぞれだが何とか収まった事にロスヴァイセは三人に言う。

 

「とにかく川神さんは那須君を連れて校庭に行ってください。灰原君は此処に残って貰います。サボりの件について色々お話が有りますから。」

 

「…へーい。」

 

「返事ははい!ほらお二人は早く行って!」

 

ロスヴァイセに急かされて渋々屋上から出る百代と与一。与一が悠の隣を通り過ぎる際、聞こえるか聞こえないかの小声で話し掛ける。

 

「お前…一体何者だ?あの武神をああまでするなんざ…。」

 

「…関わるなって言って来たのはソッチじゃ無かったか?」

 

「……ケッ。」

 

それだけを交わして与一は屋上から出てった。今屋上には悠とロスヴァイセの二人、事情を知ってる同士になると悠は気抜けた態度から一変して普段の態度になる。

 

「もう、新学期早々から仕事を増やさないでくださいよ!それに朝礼をサボるなんて、幾ら貴方達がどれだけ大変化は知ってますけど、貴方は学生の身なんですからちゃんと行事位は…。」

 

「そんな事より、良かったじゃないか。再就職できて。しかも公務員。前の仕事より安定且つ収入も良くて幸先良いじゃないか。」

 

「話を変えないでください!!

それにスパイ紛いの事やらされて気持ちのいい気分だと思いますか!?南宮先生意外に良い人だし、それを騙してるとなると申し訳ない気分で一杯ですよぉ~~。」

 

「しょうがねえって。只でさえ戦争してるってのに横から突かれちゃたまったもんじゃねえよ。

それにアンタの仕事はおチビが変な動きをした時に俺に連絡を入れればいいっていう楽な仕事なんだから、別にあれこれ動いて騙す必要は無いんだよ。」

 

「ですけど…。」

 

今だ何処か納得のいって無いロスヴァイセを前に、どうしたらやる気を出してくれるか頬を搔きながら考えていた最中だった。

 

 

 

開戦の合図のように携帯のアラームが鳴り出したのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーゴォォォォォオオンッ!!!ー

 

 

 

「キャッ!?な、何ですかぁコレ!?」

 

「ッ!重加速!」

 

突如発現した重加速。

 

携帯を見ると重加速の範囲はかなり広範囲で広がり、この学園を中心に出ているようであった。

下の校庭でも生徒達や記者達が突然の重加速に困惑してる様子が見られる。だが、学園を包んだ重加速は1分も絶たない内に消されてった。

 

「うわッ!…あ、か、体の自由が戻った!」

 

(……何だ?何でこれだけの広範囲を出しておきながらすぐ消えた?)

 

不可解な重加速の現象に何処か胸騒ぎを感じる悠。

それが的中したのはロスヴァイセが見上げた先に見たモノが答えだった。

 

「灰原君!アレ!空に!」

 

「あ?…ッ!…オイオイ嘘だろ…。」

 

悠とってはどれだけ夢であって欲しいかと思う程の光景だった。何故なら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーギィェェエエェェェッ!!!!!ーー

 

空には覆い尽くす程のデビルファントムの群れが学園に向けて飛んで来るのが嫌でも目に入ってしまったからだ。

 

余りの数に圧倒するなか校庭の方から爆発音が聞こえる。フェンスから下を覗き込むと下の方も悠にとって最悪の光景が広がっていた。

 

 

 

死神と下級のロイミュードの軍勢が校門から列を組んで攻撃しながら入って来たからだ。

 

突然の襲撃の場を混乱に包まれ、更なる追い討ちには空から来るデビルファントムに逃げ惑う人達と迎え撃つ悪魔等の人外と武道者達、武偵が前に出るが怪人を相手に返り討ちに遭うのが目に見えてる。

 

「マジかよオイ…連中が動き出したってか!」

 

「ど、どうするんですか!?」

 

「どうもこうもやる事は一つだ。

………クリム、すぐこっちに来てくれ!言葉じゃ表せない位カオスな状況になってる!」

 

<既に重加速を探知して急行してる!それまで秋と二人で何とか踏ん張ってくれ!>

 

「なるべく早く頼む。…さて。

先生はおチビんとこ行ってくれ、多分生徒を避難してるだろうから基本ソッチの指示に従って。」

 

「分かりました!…って何やってるんですか!?」

 

クリムとロスヴァイセに指示を出した後、悠はフェンスを上り始める。

 

「降りる時間が勿体ねえからな。

んじゃ、馴れない防衛線しながら暴れて来る。」

 

フェンスに足を掛けると悠はロスヴァイセの言葉も無視して飛び降りてった。

 

思わず悲鳴を上げそうになったが、突如黒い影が翼を広げて空へ飛んでく姿を見た。

ダークウィングで空を飛ぶようになったリュウガが空のデビルファントムの群れに突っ込んで行く姿を見て、ロスヴァイセも自分の仕事をすべく下へ降りに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ!

 

「グ、グァァァアアァッ!!!!」

 

「ガクトォ!」

 

そして下の校庭ではロイミュードの大群による襲撃によって混沌と化してた。

 

戦えない一般の生徒は教師の指示により避難するもそれを追い掛けるロイミュードを相手に悪魔勢や武道者、武偵、教師陣が迎え撃ってるが押されてるのが現状。

風間ファミリーはロイミュードの侵攻を抑える為立ち上がったが、鉤爪の死神がガクトの腕を斬った。

 

「や、やられたァァァァッ!!!

くっそお!まだ彼女居ねえのにィ!」

 

「落ち着け!腕を斬っただけだ!直ぐ止血を…!」

 

「クリスさん!危ない!」

 

クリスがガクトの応急処置を行おうとした時、由記江が目にしたのは背後から襲い掛かって来る下級ロイミュード三体。

 

だがそれにクリスは気付いていない。助けように距離が在って届かない。

 

由記江が思わず目を瞑り欠けそうになった時だった。

 

 

<< KICK STRIKE! GO! >>

 

 

「ゼイリャッ!」

 

横から足の獅子の魔力を纏ったキック、ストライクビーストがクリスを襲おうとしてた下級ロイミュード三体を撃破。

 

下級ロイミュードを撃破したビーストを目に周りは違う意味で騒然となる。

 

「か、仮面ライダー…?」

 

「聞いていた姿とは違う…?」

 

「大和、アレって…。」

 

「あぁ。オレ達が見たのや聞いてたのとは違う仮面ライダーだ…。」

 

周りが騒然となるなか、ビーストは腕から血を流してるガクトを目に近寄る。

いきなり近ずいて来た事に思わず警戒の色を出すが、それにビーストは…。

 

「オイ大丈夫か!?待ってろ、すぐ治してやる。」

 

「え?…。」

 

 

<< DOLPHIN GO! >>

 

<< Do-Do-Do-DOLPHIN! >>

 

 

ビーストがドルフィンマントを羽織ると治癒の魔法をガクトへ欠ける。腕の傷は傷つく前の綺麗な状態に戻り、ガクトもファミリーの全員も目が点になる。

 

「す、スゲエ。全然痛くねえ!治っちまった!」

 

「へへぇ、…とにかくアンタ等は下がっていなよ。

アイツ等はオレが倒してくっからよ!」

 

「ま、待ってくれ!」

 

ガクトの傷を治したビーストは残るロイミュードを相手に行こうとするが、それを大和が呼び止めた。

 

「アンタ…アンタも仮面ライダーなのか?」

 

「おう!オレは魔法使い、仮面ライダービースト!

…って名乗ってる場合じゃねえや、んじゃな!」

 

「あ!…行っちまった。」

 

「…ねぇ大和。私思うんだけど。

あの仮面ライダー…ビーストだっけ?雰囲気的にあの黒い仮面ライダーじゃないかなって、思うんだけど…。」

 

「…あーーッ!思い出した!」

 

「ど、どうしたのガクト?」

 

「あの声!どっかで聞いたと思ったら、マッハの声だ!間違いねえ、アイツ仮面ライダーマッハだ!」

 

「「「「「「………えーーーーーッ!?!?!?」」」」」」

 

 

混乱する戦場の中で得た衝撃な事実を掴んだ風間ファミリーであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして武偵側では即座に作ったバリケードで重火器による発砲でロイミュードの侵攻と上空のデビルファントムを止めようとしたが、全くの効果無し。薬莢が足元に溜まり続けるなか同じく対処に当たってたキンジとアリアもただ弾を消費する状況に舌を巻いてた。

 

「あぁもう!少しは効きなさいっての!これじゃあ弾の無駄遣いよ!」

 

「でも撃ち続けなきゃこいつ等はすぐ避難場所に辿り着いちまう!だから今は文句より撃つ事だけ考えろ!」

 

「言われなくても分かってるわよ!」

 

だがそうこうしてる間にも侵攻は止まらず、上空のデビルからの攻撃に怪我人も続出。危機的状況が一歩一歩と近ずいてく中キンジの耳に入って来たのは車のエンジン音だった。

 

「?…この音…。」

 

「キンジ!アレ!」

 

アリアが指差した方へ目をやると校庭内をドリフトで走りながらロイミュードに体当たりをするネクストライドロンが目に入った。

ネクストライドロンはボンネット、ドア部の機関銃を上空に向けて発砲しデビルファントムを落としてく。

 

「あの車…アイツか!」

 

「アイツ?…もしかして!」

 

あらかたのデビルを撃ち落とすと運転席のドアが開きクリムのオート機能のダークドライブが降りて来る。

ダークドライブはブレードガンナーを手にロイミュードとデビルファントムの軍勢に立ち向かい、怪人たちはダークドライブを優先したのか侵攻を止めた。

 

「また仮面ライダー…ッ。何なのよアイツッ。

…私もあの力があれば…ッ!」

 

「アリア…。」

 

自分の無力さに唇を噛むアリアをキンジは何も言えずに、ただダークドライブの戦ってる姿を見るアリアの傍に居る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方悪魔勢でも怪人の侵攻を止めに向かうも状況は他の所と比べ劣性。

 

リアス・グレモリーの眷属達も対処に当たっていたが精一杯の状況。そんなグレモリー眷属達に振り降ろされる凶刃が。

 

「ちょいやっさぁーーーーッ!!!」

 

「ッ!グッ!」

 

「木場!」

 

祐斗に襲いかかって来た深緑のファントム、グレムリンは武器であるラプチャーを二刀下ろすもそれを受け止める祐斗。だが、受け止めた聖魔剣には皹が入り、一先ずラプチャーを弾いて距離を取った後、目の前の怪人がキンジから得たファントムの一匹、グレムリンである事を認識するとグレムリンが高笑いしながら話しかけて来る。

 

「これはこれはクソ悪魔の皆様方ぁ!おっひさぶりでやんすね~~~ッ!

またこうして会えてボクちん嬉し過ぎて涙出ちゃいそ!」

 

「?アナタ何処かで会ったかしら?少なくともアナタみたいな化け物、身に覚えがないわね。」

 

「…いや、この喋り方…お前まさか…!」

 

「えぇ~~~ッ!?

なになにィ!?もしかしてもう忘れちゃったのォ!?しょうがないなぁ~。」

 

グレムリンは自分の正体に気付いて無いリアス達に知らせる為に姿を変える。グレモリー眷属達を苦しめてた人間の時の姿であったフリード・ゼルセンの姿に。

 

「なんですって!?」

 

「あらあら、これはまさか…。」

 

「フリード神父!?」

 

「……。」

 

「やっぱり…ッ!」

 

「お前、その姿一体…。」

 

「う~~ん、なんて言ったらいいのかなぁ。あの後何とか逃げ切ったのは良かったんだけどなんもする事無くなっちゃって暇してた時に旦那に拾われてこの姿になっちゃた。としかいいようが無いですねぇ~。」

 

「旦那?…そう、その旦那ってのがこの事態を引き起こした張本人ね!ソイツは今何処に居るの!?」

 

「それは……ヒ・ミ・ツでーすッ!教える訳無いじゃん。バ~~カ!ホントお宅等めでたい脳みその持ち主だ事で。」

 

「テメッ、部長になんて口叩きやがるんだ!」

 

「だぁってぇ、敵に安々とアジト教えるお馬鹿さんは居ないってボクちん思うよ?なのに態々聞いて来るなんて、そうとしかいいようが無いじゃん。

そんな事よりもさぁ!オレッちこの後あのお兄さんと殺し合いたいから、ちょーーっとウォーミングアップに付き合ってくんない?お礼にバラバラにしてあげっからさぁ!」

 

「嘗めないで頂戴!皆、気を敷き締めていって!」

 

「はい!」

 

「悪いけど、キミは此処で倒させて貰うよ!」

 

「化け物になったからって、調子こいてられるのも今の内だぁ!」

 

「アッヒャッヒャッヒャッ!!」

 

フリードは狂いに狂ったような笑い声をあげるとその姿をまたグレムリンの姿に戻すと、ラプチャーを合わせ巨大なハサミにして此方に向かって来るイッセー達に跳びかかって行った。

 

「ヒャッハーーーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして古城達は…。

 

「凪沙----ッ!姫柊ーーーーッ!何処だーーーッ!?」

 

「古城!前に出過ぎた!」

 

「ちょっと古城!待ちなさいって!」

 

「ったく、古城のシスコン度数は最早凶人レベルかよ!」

 

凪沙と雪菜の名前を叫びながら走る古城を追い掛けるゼノヴィア、浅葱、矢瀬の三人。なぜ四人が避難もせず荒れ狂う校庭を走ってるいるのか。それは言わずもがな、凪沙の為である。

 

この学園の朝礼は高等部の参加はもちろん、隣の中等部も参加する事が義務付けられている。なのでこの場に凪沙や雪菜が居るの確実なのだ。

ここまで古城が必死なのは凪沙の人外に対するトラウマの所為でまともな判断が出来ずにいるのだ。同じクラスである雪菜が傍に付いているのだろうが凪沙の事を考えると気が気でいられないのだ。

 

だから那月の空間転移による避難から逃れ、捜しに飛び出た古城を追い掛けに浅葱達三人が呼び止めてるのだが一向に止まる気配が無く。言葉も耳には言って無い位今の古城は冷静では無かった。

 

「何処だ!?一体何処だ!凪沙!…姫柊ーーー!」

 

「先輩?…ッ!先輩、コッチです!ここ!」

 

「ッ!姫柊!凪沙!」

 

必死に叫び続けた末、声が届いたのか雪菜の呼ぶ声を辿りようやくその姿を見つけた。古城の思ってた通り、その場で蹲ってる凪沙の傍に付いてる雪菜の元に辿り着く古城。浅葱達も合流る事が出来た。

 

「凪沙!オイ凪沙!大丈夫か!?」

 

「…古城…君?」

 

「あぁそうだオレだ!もう大丈夫だぞ!」

 

「古城、見つけたのなら早くここから立ち去るべきだ。こんなに固まってちゃ向こうにとって格好の的になってしまう。」

 

「取りあえず文句は後で言わせて貰うからね!」

 

「…あぁ。ゴメン、皆。…凪沙立てるか?」

 

「う、うん。」

 

「…あの、先輩。灰原先輩はどうしたんですか?すでに避難を?」

 

「いや、アイツは…。」

 

「ゆーくん?…ゆーくんどうしちゃったの古城君!?ねぇ!?」

 

「お、落ち着け凪沙!アイツはサボりで今ここに居ないんだ。でも、この騒ぎならもうとっくに避難してる筈…。」

 

「ッ、皆伏せろッ!」

 

 

 

ーギシャァァアアァァ!!!ー

 

突如古城達に襲い掛かって来るデビルファントムの急襲をゼノヴィアの掛け声で頭を伏せたお蔭で避けられたが、上空には固まった古城達に目を付けたデビルファントム達に囲まれてしまった。

 

「ちょ、冗談でしょ?コレ、絶体絶命じゃない…。」

 

「グッ!」

 

(ヤベェなオイ。…もうこりゃ、隠そうにも隠せねぇな…。)

 

(雪霞狼さえあれば…でも、アレは教室に…。)

 

(どうする!?ここで眷獣を出さなきゃ皆死ぬ。でも…凪沙の前で…!)

 

「あ…あぁ…ッ。」

 

絶体絶命の状況に浅葱は顔を青くし、ゼノヴィアは聖剣を取り出して皆の前に出る。それぞれが秘密にしてる力をこの場で使うか否か決断を迫られ、凪沙は古城の胸の中で目の前の惨劇に絶望しかしていなかった。

 

 

 

 

ーギシャァァアアァァ!!!ー

 

「来たぞ!」

 

目の前のデビルが真正面から向かって飛んで来る光景を目にした凪沙の脳裏にここに居ない人物の顔が浮かんだ。

 

 

 

 

「…ゆーくん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズシャッ!

 

 

 

「……え?」

 

前に出てたゼノヴィアの口から思わず声がこぼれる。

 

真正面から飛んで来たデビルファントムの胸から槍の様な突起物が生えたのだ。

ぴくぴくと魚のように痙攣するデビルの後から刺したのだ。ウィングランサーで後ろから貫いた人物である仮面ライダー、リュウガは、突き刺した状態のウィングランサーをそのまま持ち上げた。

 

「ヌッ、ヌゥウゥゥゥンッ!ラァッ!」

 

かなりの体重が在るのか重そうに持ち上げたランスを振り払うと亡骸となったデビルは宙を舞って地に落ちた。

リュウガは古城達の前に立つと、振り向かずに口を開く。

 

「此処に残ってるのはもうお前等だけだ。早く避難場所に行け。」

 

「行けって、アンタ見て分かんない!?囲まれてるのよ!?

こんな状況でどうやっていけって言うのよ、アンタ一人でアタシ達エスコートして行くの!?」

 

「ちょ、落ち着けって浅葱…。」

 

「矢瀬は黙ってて!」

 

「…こんな状況でもこんな扱いかよ…。」

 

「問題無い。道なら作る。」

 

<< ADVENT >>

 

リュウガがベントして召喚したモンスター、ドラグブラッガー、エビルダイバーが取り囲んでるデビルファントム達に向かって攻撃していく。

 

「アレって眷獣?…でも魔力が感じない。それよりも一体何処から…?」

 

「…お前も行け。」

 

 

ーKyiiiiiiin!ー

 

「きゃッ!」

 

リュウガの背中に付いていたダークウィングも空に舞い上がりデビルファントム達に超音波を放って牽制する。

未知の生物を操るリュウガにゼノヴィアを除いた皆が凝視するなか、リュウガが振り返って叫ぶ。

 

「今の内だ!走るぞ!」

 

その言葉に我に返り一斉に走り出す一同。腰が引けてる凪沙は古城が背負いながらその後ろでゼノヴィアとリュウガが殿を務めながら校庭の真ん中から校舎近くまで移動することが出来た。

 

「…ゼノヴィア。」

 

「ッ!…どうした?」

 

突然隣を走るゼノヴィアに声を掛けるリュウガ。思わずゼノヴィアは足を止めてしまい、リュウガの方へ顔を向ける。

 

「ここから先を任して良いか?あと少しで避難区域だ。そこまでアイツ等を頼みたい。」

 

「…分かった。此処は任せてキミはやるべき事に専念してくれ。」

 

「助かる。まぁ万が一あってもあの二人なら…。」

 

「?」

 

「…いや、何でも無い。とにかく頼んだ。」

 

「あぁ。……。」

 

「?…どうした。」

 

「いや、こんな事言うのもアレだが…仮面さえしてなかったら、キスの一つくらいして見送りたかったんだが…。」

 

「ッ……と、とにかく、お前も気を付けろよ。」

 

「あぁ、キミもな。」

 

そうして二人は分かれて、リュウガは校庭へと戻って行った。

校庭へ戻るとそこにはリュウガを待つように、ロイミュードとデビルファントムの軍勢が敵意を全開に見せながらリュウガを待ち構えていた。

 

「…この光景、修行時代を思い出すねぇ。」

 

<< SWORD VENT >>

 

ドラグセイバーを召喚し、怪人の軍勢を前にリュウガも闘志を露わにしだす。

今頃秋もクリムもそれぞれ別のとこで戦ってる筈、援軍は今の所期待無し。

 

それでもリュウガは多勢の前に逃げ出す気はこれっぽっちもなかった。

 

「…ま、この程度はまだ序の口の方だがな。」

 

それが開始の合図の如く、リュウガ怪人の軍勢に単身突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フム。ここまでは順調ですねえ…。」

 

場所は変わり大臣の書庫内では水晶玉を前にソーサラーは満足気な声色で一人呟いてた。

 

そんな矢先、突然何も無い空中にゴルドドライブが写ったディスプレイが浮かぶ。

 

『大臣。此方の準備は万端整ったよ。後は好きなタイミングでジャックするだけだ。』

 

「ご苦労様ですドクター。では皆に其方へ向こう様にとお伝えください。」

 

『了解。で?そっちはどのような状況だい?』

 

「順調です。仮面ライダー君達はちゃんとやるべき事をしてるようです。

…ドクター。前座が終わった際のメインイベントの準備は?」

 

『それも既に万端。

今回のは中々いい適合者が見つかったよ、単純な欲望故に協力。良いショーがお茶の間で見れると思うよ。』

 

「そうですか、それは大いに期待できますね。

──さて、私も準備を始めるとしましょうか。」

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