ファンタジーゲーマー、戦い方まんま悪役やんw
浅倉は変わらずの野生っぷり、見てて凄く安心した。
若獅子トーナメント本選。
リング内に立つ予選を潜り抜けた16組のペアチームを前に観客は熱い声援を切らす事無く叫び続けるなか、実況から予選には無かった特別ルールが公に公表された。
【ではこれより、本選にあたりまして追加された試合内容についての説明をさせていただきます!】
【今大会のテーマは絆を象徴した武の大会。例え様々な状況下においても互いのチームワークを活かせるかとう言う課題も含めたルール。それがランダムによるバトルフィールド形式です!】
その直後に選手達の立っているリング内が眩い光を照らしだした直後、その全貌を変えた。
石造りの灰色の床が青く茂った草の生えた土に変わり所々木々も植えてある草原地帯。これには選手一同はおろか見ている観客達も唖然としてた。
【今回の大会には三大勢力の協力もありましてレーティングゲームなどで使用される疑似空間を用いて試合を行わせていただきます。
本選では様々な環境下の元で繰り広げられるバトルや戦略をどう活かせるかも重要あ勝利のカギとなります!】
「うわぉ。こりゃ随分手が込んでるね。」
「あぁ……水がある場所とか出ねえよな?コレ?」
本選の仕組みが予想以上に手が込んでる事に思わず関心の声が出る秋に対し悠は自分の苦手なフィールドにならない様に本気で祈ってた。
そんな悠の心中などお構いなしに大会は進んで行く。
【さあ長らくお待たせしました!
いよいよ本選試合のスタートです!対戦相手はコンピューターによる選抜で対戦相手が決まります!記念すべき初戦の相手は…。】
会場の一番デカいスクリーンにそれぞれのチーム名と顔写真が貼られた画面がルーレットの様に回りだし、やがて動きが次第に遅くなると左右に二つのチームの顔写真がデカデカと写された。
【決まりました!初めてを飾る最初の対戦は、チーム・フラッシュエンペラーVSチーム・アンノウン!】
「フハハハッ!!初戦から出番とはなんと幸運!」
「マジかぁ。こりゃ下手なザマは見せらんねえな。」
抑えきれぬ興奮を表に出す英雄に対し初戦と言うプレッシャーに軽く押される準。対して全身を灰色のローブで包んだ二人組。チーム・アンノウンはスクリーンだけを見て対して同様の色を見せずにいた。
【では対戦する二チーム以外の選手は控室へお願いします!試合は両チームの準備が整い次第開始となります!】
選手控室。
元々野球選手用のロッカールームを大会の選手控室に代用されたその部屋では14組全てのチームがそこに居る。
備え付けられてるテレビで今行ってる試合を見るのや武器の手入れ、作戦を立てるなか悠と秋は…。
「いっせーの、1。…チッ。」
「いっせーの、3。っとあがり!これで5連勝、弱いねぇ悠兄さん。」
「るっせぇ。」
緊張感ゼロで暇つぶしのゲームをしてた。話から察するに秋の連勝中である。
周りとは違って呑気な空気をさらけ出す二人は6回目を行おうとした時である。二人の横からずかずかと近づくチームが一組。
「おい。灰原 悠。」
「いっせーの、4。よし。」
「いっせーの、2。はい同点。」
「んなろ、いっせーの…。」
「オイ!今のは明らかに此方を無視しただろう!話を聞け!!」
「…ハァ。面倒臭いのが来たよ。」
イヤな顔を隠さず横目を向けるとそこには以前学園で決闘したクリスが此方を睨み付けながら腰に手を当てていた。
「で、何か御用でございますか?」
「相変わらず鼻につく態度だな貴様は。だがそれも今日までだ。この大会で貴様の腐った性根を自分の義で粛清してやる!それを言いに来ただけだ。」
「あっそ。頑張ってね。はいいっせーの…。」
「…おい貴様。」
クリスの話を適当に聞き流してた態度に業を煮やしたのか、口を出そうとするクリスの前に後ろに控えてた赤毛の眼帯が特徴の女性、ペアを組んでいるマルギッテが前に出て来た。
「マルさん。」
「先程から見てればお嬢さまに対しその態度。日本人は礼儀が為ってる人種と聞きましたが貴様には全く以て無礼すぎる。少しその態度を直しなさい。」
「気が向いたらね。」
「…成程。お嬢さまが目を付けるのにも納得のいく性根。だがそれがこの私を前に何時までも続くと思わない事を知りなさい。」
「うっわ。また面倒なのが増えたよ。つか赤髪の女でマジロクなのが居ねえ。」
「悠兄さん。ウチの娘等にも赤い髪の子居るよ?それとゼノヴィアちゃんと組んでる子も赤髪じゃん。」
「…うん、撤回する。今のは完全に俺の偏見だった。」
「ッ、何処までも癪に障りますね…!」
遂に痺れを切らしたのか、自身の武器であるトンファーを取り出したマルギッテが襲い掛かろうして来たが。
「そこまでにしとけ。ここで暴れたらそれこそ面倒事だぞ。」
「ゼノヴィア…。」
「そ、そうだよ!クリもマルさんも一先ず落ち着いて!ね?」
仲裁に入って来た一子とゼノヴィアが間に入り事を鎮めだすこの光景は、控室に居た全員の目の注目を浴びる程になっていた。
「おいイヌ!お前はどっちの味方なんだ!?ファミリーの自分か、それともこの男なのか!?」
「そ、それは…。」
「どっちの味方とかそういうのでは無いだろう。ただここで問題を起こせばキミのチームが大会で出れなくなるぞ言っているんだ。それはキミ達にとって本意ではないだろう?
それと悠。キミも口が過ぎる。明らかに問題を発展しかねない挑発にしか聞こえなかったぞ?」
「…うん。そうだな。思い返せば問題の大半は俺だね。
オーケーお二方。過ぎた口を言って申し訳なかった。どうかこれで勘弁願えないかね?」
ゼノヴィアに指摘されて降参のポーズでクリス達に詫びを入れる悠。
些か不満げなクリスとマルギッテは周りの目もあって一先ず怒りを収める事にした。ゼノヴィアの言う通りここで問題を起こせば折角の予選の苦労が台無しになるからである。
「…フン。まあいい。今回は二人に免じて許すが。もしお前と当たる事になったら自分の義でお前のその無駄な減らず口を必ず塞いでやる。行こうマルさん。」
「…分かりました。」
クリスはそれだけ言い残してその場を去った。
「…ふぅ。悪いね、面倒事に関わらせちゃって。」
「それならその反省を活かして穏便に済ませて欲しいな。」
「はいよ。…川神さんもゴメンね。なんかそっちの仲に亀裂入れる様な事させちゃって。」
「え?…そ、そんな事無いよ!少ししたらまたいつも通りに戻るから…多分。」
「あのー。何かオレ終始空気扱いじゃ無かった?」
「おーい。なんかクリスがスッゲエ形相で出てったけど何かあったかー?」
クリスの次に悠達の前に現れたのは、本選に出場してる風間ファミリーの集団であった。
「キャップ。このメンツを見れば簡単に想像できるでしょ。」
「うーん……分からねぇ!どういう意味だ?」
「もお。そこに灰原が居るでしょう?そこにクリスが宣戦布告みたいのを吹っ掛けて、灰原が癇に障るような事言ったから怒って出てったんじゃない?」
「おぉー!スゲエな京、それだけでそこまで分かるのか!」
「分かって無いのはキャップだけだよ。」
「そーなのかー。…っと、こうして面と向き合って話すのは初めてだったな!灰原!」
「ん?…あー、そういえばおたくの事は川神さん伝手に聞いたくらいだったっけ。アンタでしょ?仲良しチームのリーダーっての。」
「おうよ!にしても予選の時のお前スゲエな!最後のキックなんか特によ!」
「お褒めに扱りどうも。…アンタの評判も聞いてるよ。速さなら誰にも負けないってハナシ。実際見たけど言われてるだけのスピードだったよ。」
「マジか!?いやー実際言われると照れるなぁ。」
「ちょーっと待ったぁ!!」
異議ありと言わんばかりに間に入って来た秋は翔一の前に胸を張って前に立った。
「オレもアンタの走りを見たぜ。確かに中々のスピードだった。だが、スピードに自信が在るのはアンタだけじゃないぜ!
そうこのオレ!常にマッハな男!桜井 秋がな!」
「「「「「「……。」」」」」」
「……あーー、無視してくれていいよ?コイツ…バカだから。」
「アッハッハッハ!おもしれえヤツじゃねえか!!!」
ドヤ顔で宣言しだす秋に頭を抱える悠に対し、翔一は秋の事気に入ったのか肩を組んでいる。
そんな中大和だけは先程の秋の言った内容にある引っ掛かりな台詞が脳裏に過る。
(待てよ。マッハ?確かそれってガクト達の見た仮面ライダーと同じ名前…それにコイツの声ってよくよく聞くとあの時のビーストって仮面ライダーと似てないか?)
大和の頭の中では、前から話しに出てた悠が仮面ライダーである仮説。もしそれが本当だとして傍に居る秋が学園襲撃時に居たビーストであったならば…。
(…これは、ますます調べる必要があるな。)
「ねぇねぇ。」
「?…ッ!」
肩を指で突かれた感触と共に声を掛けられた大和は後ろを振り返ると、そこには今調べ上げようとしてた悠が自身に声を掛けた事に、悲鳴を上げそうになったが必死の思いで耐えきった。
「な、なんだ?」
「イヤね、風の噂で聞いたんだが、なんか俺の事色々調べ周ってるヤツが居るって聞いてさ。ソイツが…キミって事をついこの間知ってね。」
「ッ!」
「なんで俺の事をこそこそ嗅ぎ回ってるか……教えてくれないかな?」
顔は無表情そのものだが、何処か言い表せないような強い眼光に大和は首にナイフでも突きつけられてる錯覚を見せられる。
その緊迫感は大和だけ限らずその周囲にも感じ取れるほどであり、いくら待っても答えが帰って来ない事に痺れを切らした悠が次に目を付けたのが…。
「……ねえ。」
「は、はいィィィィッ!!!」
「キミは何か知らないかなぁ?何でオレを調べているのか。その理由。」
悠が大和の代わりに目を付けたのは由記江だった。
先程の眼光に加わりトーンの低い声色に由記江は平常心でいられず、兎に角何か弁明の異を見せなければと思い、出来る限りの言葉を放つ。
「そそそそそそんな事私は一切知りません!!!し、知っていたとしても決してやましい事はい、…一切ありません!!!」
『そうだそうだ!オメェが実は仮面ライダーとかそういうのはこれっぽっちも考えていないぜ!!!』
「ふぅ~ん。…俺が、仮面ライダー、かぁ。」
『おうよ!そーんなハナシはいっさ……あ。』
瞬間、空気が凍った感覚が周囲に広がった。
「ま、松風ぇぇえぇえッ!?!?!?」
『し、しまったァアアァァアアアッ!?!?!?』
衝撃の言葉は近く居た風間ファミリーだけでなく控室に居た全員の耳にも聞こえ視線が悠の方へ集中する。
(あの男が噂の仮面ライダー?…有り得る。それならあの時感じたあの威圧感も…!)
「なんと!?まさか仮面ライダーが彼だったなんて、義経はビックリだぞ!」
「いやいや主。まだ決まった訳じゃないから。……ん~~、でも。あの男なーんか裏が有りそうだよねえ。」
「むにゃ~…。」
「え、ウソ!?まさか彼が仮面ライダー…マッハさん!?」
「祐斗先輩達を倒したあの人が…?」
「げ、元ちゃん!私達トンでも無い事聞いちゃったかも…。」
「ああ!えらくトンでもねえ事だぞ!?」
「キンちゃんのお友達が仮面ライダーですって!?そんな…。」
「アイツが!?…まさか…いやでも…。」
呆然と開いた口が塞がらないファミリーの中で大和だけは持ち前の頭脳を駆使して冷静に分析してた。
(まさかこんな形でバレるなんて…もしアイツが本当に仮面ライダーなら、口封じにオレ達を消すなんて事も…!)
表情一つ変えず慌てふためく由記江の前で唯立ち尽くす悠はこの緊張感が漂う空気の中、最初に発した言葉が…。
「…俺が仮面ライダーか……面白いジョークだね。」
「ええええっと…!?」
『そそそそうかい!?』
「あぁ。あと少しで腹を抱えて大爆笑するくらいの衝撃だったよ。」
(あの悠兄さんが…。)
(腹を抱えて…。)
(大爆笑?…。)
(((…全然想像尽かない。)))
事情を知る二人と知ってるつもりの一子は内心同じ事を考えてた。
「それで?どういった経緯で俺が仮面ライダーだなんて面白い話が出たんだ?聞かせてくれよ。」
「そ、それは…。」
「あー、それ最初に言ったのオレなんだわ!」
「キミがか?また随分突飛な発想をするものだな。」
緊張感漂う空気など最初から知った事では無いと言わんばかりに口を出す翔一に内心ハラハラしまくりの大和は既に自体は自分の手に負える状況ではなかった為に、この場はリーダーである翔一に任せる事にした。
「まぁ確かに何の根拠も無いカンだけど、実際そう言っても可笑しくない位お前が仮面ライダーって当て嵌まってるんだぜ?この前の試合だって悪魔二人を前に一人で圧勝だからよ。」
「成程、でもそれだけで決めつけるのは早計過ぎやしないか?俺より実力のある人間など、他にも沢山いるだろうに。」
「理由は他にもあるんだぜ?ウチの軍師が色々調べても全然分からないってコトがよ!
よく言うだろ?謎の多いヤツはとんでもない秘密を抱えてるって!」
「余り聞いた事がないが……謎、か。別にそこまで隠してるつもりはなかったが、まぁいいだろう。面白いジョークの礼だ。聞きたい事があれば出来る範囲で答えよう。」
「マジか!?なんだよお前案外太っ腹じゃねえか!!
おい大和!灰原のヤツが何でも答えるってよ!!」
「何でもじゃない。答えられる範囲で、と言ったぞ。」
予期せぬハプニングに混乱していてた大和であったが翔一と悠のやり取りを傍観していく内にとんとん拍子で自分にとっては願っても無い提案を悠本人がしてきたことに強い疑心が浮かんでくる。
「…お前どういう事だよ?」
「どういうって、何がさ?」
「どうして今になって自分の素性を教える気になったって聞いてるんだ!
ワン子にだって今まで喋って無かったくせに、どうして今になって…。」
「そんな事か、別に深い意味は全く無いよ。ただ喋る気になるならないの気分のハナシ。それに…。」
「?、な、なんだよ?」
「仮にも疑いが掛かってるようだからね。白だと証明するために必要な証言をするだけさ。」
「……。」
”訳が分からない。”それが大和が率直に思い描いた悠に対する感想だった。
今まであらゆる情報を掴む術に長けた自分がどんなルートを使っても大した情報が掴めなかった存在が今になってそれを覆す行動に出て来た。
もしや自分達はこの男の掌に弄ばれているのだろうか?だとしたら一体何を考えているのだ?
様々な疑惑が浮かんでくなか突如鳴り響く携帯の着信音が大和の思考を現実に戻す。鳴り響く携帯を取り出したのは今注目に的にされてる悠だった。
「っと失礼。ハイ。───。」
取り出した携帯に出て会話する。掛かって来た相手と受け答える様な会話を少しした後電話を切る。
「悪いね。さっきの質問会、また今度でいいかな?少し野暮用が入ってね。」
「野暮用って、お前試合はどうすんだよ!?」
「それまでに片付く軽い用さ。
秋、出番来たら連絡入れてくれ。」
「ん、オッケー。」
「オイ待てよ!!まだ話は…!!」
呼び止める大和の声を無視して控室から出て行く悠。大和も追い掛けようと控室から出るがそこには既に悠の姿は無かった。
「…なんなんだよ。訳が分からねえよ…!」
得体の知れない存在に大和は、胸の思いを言葉に出すがその応えが返って来る筈が無かった。
同時刻。スタジアムから離れた廃工場。
人気の無く今は使われてない壁と屋根があるだけの建物の中を集団で動いてる人影が多数、いや、人とは言えない姿をした異形の集団、ファントムが工場内を隈なく見渡しながらゾロゾロと進んで行く。
背後に多数のグールを従えて先頭を歩いてるのはエジプトの神官を象徴されたファントム・スフィンクスが手にした杖を弄びながら周囲を見回す。
「フム。アノ傷ノ状態ナラコノ近クニ居ル筈……隈ナク探シナサイ!アノ状態ナラオ前達ダケデモ簡単ニ捕エラレルデソショウ!!」
「…怪人達が揃いに揃って探し物ですかー?鞄や机の中は探しましたかー?」
「ッ!──誰デス!?」
グール達に指示を送るスフィンクスが突如声を掛けられた方へ目を向けると、工場の出入り口に寄りかかって見てる悠が腕組みした状態でスフィンクス、グール達を見ていた。
「何デスカアナタハ?見タ所学生ノ様デスガ、我々ノ前ニ姿ヲ出ス等、ナントモ愚カ…。」
「あー、今日はそういう前フリは全部カット!俺こう見えてすっごく忙しい身だからおたく等直ぐ片付けなきゃいけないのよ。」
「何ヲ血迷ッタ台詞ヲ…ッ!ソ、ソレハマサカ!?」
ただの学生だと思って適当にグールに始末させようと思ってたスフィンクスであったが、悠が何処からか取り出したベルトを携帯を手にする姿を見て、一変する。
<< Standing By >>
「丁度人気は無いようだし、心配無くコイツで手早く済ませられる。──変身。」
<< Complete >>
金色の光が廃工場内から照り出し目を瞑るスフィンクス達が次に目にした光景は、先程まで悠が立っていた場所には悠では無く、黒いボディに金色のラインが入ったライダー、オーガへと姿を変えた。
「マサカ、仮面ライダーダッタトハ…ワタシトシタ事ガトンダ不正解ヲ出シタヨウデスネ!」
「だからそういうフリはイイから、来るならさっさと来い。それかさっさと倒されろっつの。」
「舐メテクレマスネ…!グール!」
「…舐める、ねぇ…。」
向かって来るグールの集団がオーガを討たんと槍を掲げて来るなか、オーガは落ち着いた様子でベルトに嵌ってるオーガフォンを取り外しフォンブラスターへ変える。
<< Burst Mode >>
コード1・0・6を入力し銃口をグールへと向け光弾を発射。
3連射で撃ち出されるフォトンブラッドの光弾は一発一発が猛毒の弾丸。被弾したグールは当たったと同時に一瞬で灰に変えられるなか、光弾を潜り向けオーガの元へ辿り着く五匹程のグール。
前に出てたグールが銃口が自分に向けられる前に攻めにいこうと槍を突き出すが、オーガはコレを半歩身を下げる事で回避。
そして空いてる手を強く握りしめグールの顔面に目掛けてストレートを一撃。大きく後ろに吹き飛ばされながら灰になっていくグールを前にオーガも動き出す。
フォトンブラッドを調節しながら突き出された槍を掴むとそのまま片手で槍を持ったグールを持ち上げ一度地面に叩き付ける。
今だ槍を放さないのを良い事にオーガはそのまま固まって突っ込んでくるグールに向けて放り投げる。ボールの様に軽々しく投げられたグールにぶつかり倒れ込んで行くグール達にオーガは余裕を表す様に歩きながら地面に伏したグール達に向けてブラスターを連射し、全て灰へと変えていった。
ワナワナと震えるスフィンクスを前に銃口を向けながら歩くオーガ。
「マ、マサカココマデトハ…!」
「言ったろ?忙しいから手早く片す、って。と言う訳だから、アンタもさっさと…ッ!」
ーズガガンッ!!!───カシャン──ー
「…フ、フフフッ!!!ココニ居ルノガワタシトグールダケダト思ッタラ、ソレハ大キナ不正解デスヨ!!!」
スフィンクスの目には、突如気配を感じ取って振り向いたオーガの背中と廃工場内を飛んでいるデビルファントム二体の尾が振り向いたオーガの胴に向かって伸びている光景だった。
オーガの手から離れたフォンブラスターが地面に落ちる様を見て、隙を突いた事に大いに歓喜の感情を隠しきれてないようだった。
「フム!矢張リ相手ガ勝チト確信シヲ得タ時ヲ突クヤリ方ハ正解ノ様デスネェ!現ニ仮面ライダーモコウシテ策ニ嵌ッテイルノガナニヨリノ証拠デスカラネェ!フフフフッ!……ム?」
自分の思惑通りに倒せた事にスフィンクスは未だ笑い続けるがここである異変に気付く。
オーガを攻撃したデビルの様子が可笑しい。未だオーガに尾を突き刺した状態で飛んでおる所かむしろ尾を引き剥がそうと必死にあがいてる様子に見える。
そして未だ此方に背を向けて立っているオーガ。なぜ倒れない?確かに尾はオーガを捕えてる。当たった時の音はした。これ等から出される答えは…。
「マ、マサカ…。」
「──ハイ、大正解。」
背を見せながら今まで隠れてた両手をスフィンクスに見える様に上げると、そこに映ってたのはがっちりとデビルファントムの尾を掴んだ状態の手だった。
そう、オーガはあの時寸での所でデビルの尾を掴み、直撃を避けた。スフィンクスが聞いた音は掴んだ際になった音を刺さった音と勘違いしていたのだ。
スフィンクスが呆然と驚くのも束の間、オーガはスフィンクスに掴んでる者を見せ付けた後未だ逃れようと宙でもがいてるデビル二匹を見据え…。
「──フンッ!!」
「「ギャギャッ!?!?」」
思いっきり尾を引っ張ってデビル達を自分の元へ引き寄せた。
オーガに向かって、いや、落ちて行くデビルの首を掴み上げた状態のまま背を向けたスフィンクスへ正面から向き合う。
「ギギィッ!!ギャギャガァッ!!!」
「グガァッ!!ガッ!!!」
「…うるせえな。」
首を絞めつけられもがき苦しむデビルを掲げるオーガは首を掴んでる手の力を徐々に強くしていく。
段々締め付ける力が強くなる毎に苦しむデビルはどうにか抜け出そうと必死にもがくも一向に抜け出せる様子でない。そして…。
ーゴギャッ!ー
「「…──。」」
もがき暴れてたデビルが耳に突く様な不快な音をした途端、手足をだらんとした状態のまま灰となってオーガの手から消えた。
切り札であったデビルが消された瞬間を見てスフィンクスはただ茫然を立ち尽くすだけ、そんなスフィンクスにオーガはベルトに付いたポインターを外しながら口を開く。
「ではここでクイズです。」
「ナニ!?」
<< Radey >>
突然のオーガの発した言葉の無い様に驚くスフィンクスを余所にポインターを足に取り付けるオーガ。
「実際に舐めて掛かっていたヤツと終始余裕だったのヤツは、俺達の内どっちでしょーか?」
<< Exceed Charge >>
「ッ…ココハ一時撤退ガ正解デ…!」
「ハァッ!」
スフィンクスが杖を掲げて撤退しようとするの阻止するためにポインターを向けてロックオンし動きが封じられるスフィンクス。
金色の光がスフィンクスを捕え、オーガは腰を落とし跳ぶ体勢に入った。
「答えはその身を以って味わえ。」
「コノ…ッ!ハッ!」
空中に跳んで此方に向かって来るオーガに対しスフィンクスはせめての抵抗に僅かな動きで杖から出る火炎弾を放つが大して効き目が無いのか当たっても怯む様子の無く此方に両足を突き出して来る。
そしてポインターから発射された円柱の型の光に入ると光はスフィンクスを貫きその背後に着地するオーガ。必殺のエンドスマッシュが決まりオーガの背後でΩの文字を浮かばせながらスフィンクスは灰と化して消えた。
「…フゥ。」
一息吐いてオーガはオーガフォンのボタンを押し変身を解除。ベルトを外して振り返ると床にはスフィンクスだった灰が風で流される光景を見てふとある疑問に気付く。
「…そういえばアイツ等何か探してたようだが……こんなトコで一体何探してたんだ?」
ふと頭に浮かび上がった疑問点に辺りを見渡すも人気の無い廃坑内にあるのは使い古された資材や不法投棄で捨てられたゴミの山などしかなかった。
ー…カラン。ー
「ッ!」
考えすぎかと思ってた矢先突如小さな物音がしたので咄嗟にフォンブラスターを構える悠。
向けた先は錆びたドラム缶の山。まさかだれかそこに隠れてて今までの出来事を見られたのか?だが人の気配は感じ無い。様々な考えが頭を過るなか、ドラム缶の影から小さな影がゆっくりと出て来た。
「──ニャーオ。」
「…?、お前まさか。」
フォンブラスターを仕舞いソレに近づいてく悠。
やがて足元にまで近づいたしゃがみ込む。手を伸ばすその正体は、夏音と廃教会で面倒を見てたあの黒猫だった。
「…やっぱりお前か。最近見ないと思ったらこんな所に……お前、怪我してんのか?」
「ニャ~オ…。」
持ち上げた黒猫の体には至る所に切り傷の様な箇所が見られた。もしや先程の戦闘の余波で傷を付けてしまったか?そこまで派手にやった覚えが無かったが、傷を見る限りとても偶然傷ついたとは思えない位の状態だった。
「フニャ~。」
「…仕方ない。俺はともかく夏音に見せたらアレだし…ちょっと待ってろ、今治せるヤツのとこに連れて行くから。」
「ニャ~。」
そう言って黒猫を抱き抱え悠は廃工場を後にするのだった。
黒猫の目が妖しく笑ってる事に気付かないまま。
<< DOLPHIN GO! >>
場所は変わり会場内、人気の無い通路の一角にて悠と秋は居た。
秋はドルフィンリングの治癒の魔法を目の前の傷ついた黒猫に掛けて悠はその見張りをしている。青い光が黒猫を包み込むと体中にあった切り傷は見る見る内に傷跡も残さずに治っていった。
「いよっし!これで終ー了ー。よかったな!」
「ニャー!」
抱き上げて顔の前に持っていく黒猫が礼を言う様に鳴き声を上げる。
抱えて頭を撫でる秋を横目に眺める悠に、秋は黒猫を地面に下ろした後前から思ってた事を悠に語る。
「前々から思ってたけどさ、悠兄さんって口じゃ色々文句言うクセに面倒見イイとこあるよねェ。
なんやかんやで駆逐艦達の遊び相手になってあげたり、こうして傷ついた猫をオレに治させようとしたりさ。」
「……。」
「ちょっと、そんな睨めつけないでよ!良い意味で言ったんだぜ?」
「…別に、ただの気まぐれだ。それにそいつを治す様に頼んだのも此方の不注意でそうなった可能性があるからに過ぎなかったからだ。」
「全く。ホント素直じゃ無いんだから。困った男だよな?」
「ニャー。」
「お!言ってる意味分かって鳴いてんのかなコイツ?」
「そう可笑しくない事だろう。オウムにだって人との会話で受け答えの出来るのがいるんだ。猫に出来ても不思議じゃない。」
「ふーん。でも出来るって事は頭良いんだよなー、お前。」
「ニャン!」
秋が黒猫の顎元を撫でているのを後目に悠は壁に掛けられてるテレビから今行ってる試合が勝敗が決まった場面を目にする。
氷と雪で覆われた銀世界のフィールドで高らかに勝利のポーズを決めてる燕がデカデカと映され、画面の端に倒れてるクリスの姿も映っていた。
「オイオイあんだけの口叩いて初戦負けかよ。”初戦”だけに”所詮”この程度ってか?」
「う~ん…猫ちゃん、判定。」
「…ニャニャ!」
「…ハイ。座布団没収だって。」
「なにソイツを使って遊んでんだ。…まぁつい言ってしまったモノはモノだが……っと。秋、出番だ、行くぞ。」
「ようやくオレ達の番か!…あ、でも猫ちゃんはどうするの?」
「そうだな…誰かに預けてもらうのが一番だが、夏音に任せようにも時間が掛かるし、となるとゼノヴィア辺りに頼むかしかないか…。」
「そだね。ここから走れば直ぐ控室着けるし、そうしよ…アレ?おーい猫ちゃーん。」
「?…アイツまた何処に行った?」
秋が振り返ると後ろに座って待ってた筈の黒猫が忽然と姿を消し辺りを隈なく探してみるもその姿が見えなかった。
探しに行こうにも既にリング内には悠達の対戦チームが居る。このまま時間が過ぎてしまえば不戦勝扱いになってしまう。
「…仕方ない。先にコッチを片付けよう。その後に手分けしてアイツを探そう。」
「オッケイ。全く、世話の掛かる猫ちゃんだ事で。」
一先ず目先の相手を早々に相手すると言う案で悠達は試合会場へ駆け足で向かって行った。
場所は変わり会場観客席。
会場中心部のリング内では悠達のチームが未だ出て来ない事に観客がざわめくなか、古城達一団も未だ姿を見せない悠達に不戦勝へなってしまう焦燥感に包まれていっていた。
「…出て来ないね、灰原達。」
「オイオイ何やってんだよアイツ等。このままじゃマジで不戦勝になっちまうぞオイ。」
「…アンタまさかまた…。」
「イヤイヤイヤ!もう賭けはしてねえって!それについてはこの間の打ち上げで十分凝りましたから!!…ハァ、金の出所知った途端アイツ等高いの頼むわ、じゃんじゃん追加出すわスッカラカンになるしよぉ…。」
「それにしても遅いですね。何かハプニングでもあったんでしょうか?」
「うーん……トイレか?」
【あ、今チーム・グレーオータムがようやくリング内に姿を見せました!!】
アナウンスの言葉と同時にリング内に上がって来た悠と秋の姿を見て観客は底知れぬ歓声を上げ始めた。理由はこの試合の組み合わせである事がリング内に居るチームで物語っている。
「よかったぁ、ゆーくん達間に合って、思わずハラハラしちゃったよ。」
「私も、でした。」
「ったく心配掛けさせやがって………?、どうした煌坂。なんかすっげえ目してるけど。」
「え…べ、別になんでもないわよ。それよりもホラ試合もうすぐ始まるわよ。」
「?…おう。」
鋭い目でリング内の悠を見る紗矢華。その眼には正体を暴いてやると言う意志が籠められ、隣の雪菜も紗矢華程ではないが、少しでも気になる所を見つけようと凝視してた。
(アイツの口から何聞いてもウソっぱちのデタラメ話しか聞けないし、周りの人間にも有益な情報が聞けないなら私自身の目で暴くしか方法は無い……大体何よ!!修行の内容が、殺人ゲームを重んじる戦闘種族やら妖怪やら地球外生命やら欲望の化身と死ぬまで戦ったとか…ウソを吐くにも限度ってモンがあるでしょうよ!!)
「…お、おい煌坂。お前どっか具合でも悪いんじゃ…。」
「何でも無いわよ!それよりも試合に集中したいから話し掛けて来ないで!」
「す、すみません…。」
(紗矢華さん…灰原先輩相手に少し躍起になりがちですよ、もう…。)
【さぁそれではチーム・グレイオータム対チーム・源氏物語が繰り広げるバトルフィールドは…コレだァ!!!】
リング内に光に包まれると、悠達が立っている場所は自然豊かな木々が植えられた森の中だった。
【バトルフィールドは、大木に囲まれた森林フィールド!!注目の二チームが母なる自然の中での激闘だぁ!!
さぁそれでは───試合、開始ィ!!!】