編集段階ではちゃんとしてたんだ!! (昨日のAA)
―――ピコン、と。
メッセージの着信音は、戦闘の邪魔にならないように初期設定ではかなり小さく抑えられているようだったけれど、そろそろ目覚めかけていた僕を
起き上がる。ギシリ、と音。ほんとによく
彼女は、いない。影も形も、なんの
実は夢だったのだろうか?
けれど、すっきりした気分だった。
視界の左下に【NEW】の文字付きの封書を
「えっと……」
眼球を動かして、視線だけで見ながら指先でつっつくと、メッセージ画面が開いた。
『From:Sachi
Title:おはよう(*^。^*)
Text:おはようっていっても、そろそろ昼だけど』
芸の細かいことに、記号で顔文字が組んであった。笑顔。
『よく眠れた? あのね、みんなでこれからのことを話し合おうって。君も、来てくれる?
お返事待ってますm(__)m』
末尾に、同じく顔文字。三つ指ついて礼の姿勢。
いつもは直接迎えに来るのに、わざわざメッセージで
……恥ずかしいからもうなかったことにしたいんだけど。
「……さて、と」
【返信作成】ボタンに触れて、まっさらな画面とにらみ合って、数分。
無理。
なんか無理。形容しがたいけどとにかく無理だ。なんて返事すればいいんだ。
ともかく画面を閉じ、気を確かにもって、ベッドを降りて、伸びる。
どうやら昨日まで僕を悩ませていた奇妙な怠気はすっかり抜けていた。よし。だいじょうぶ。
もうどうにでもなれ、と半ばヤケになった僕は、そのまま一階上にある彼らの部屋を訪ねた。会えばどうとでもなる。扉に、ノック。
「ティジクンです。入れてもらっていい?」
「はぁい」
彼女の返事が聞こえた。開いた扉から彼女が顔を覗かせた。
「もう、お返事待ってますって書いたでしょ?」
扉の
「ごめん、メッセージ慣れなくて、面倒で」
「面倒……」と、若干、目を伏せて彼女。さらにマズった?!
僕が答えに困っていると、部屋の中から、「サチ? どうしたんだ」と、ケイタ君の声がして、彼女は扉を内側に開け放って、ひょいっと身を
後を追って、入り、僕も仕方なく彼女の隣へ。
横目でちらと確認した彼女は腰を折り顔を伏せったせいで、髪に横顔が隠れてしまい、表情を読み取ることはできなかった。
その屈んだ背中越しに、なにか
「じゃあ、ぶしつけに申しわけないんだけど……、ティジクン」
と、ケイタ君に名指しされて、僕はぎょっとして背筋を正し、彼女の背中越しに彼を見た。
「夕べ……、いや、今までに君の回線は、切断されたか?」
「えっと、どうかな……、ずいぶん長いこと寝てたから、もしかして眠ってる間に済んじゃったかも……」
「それなら、だいじょうぶ」
僕はしどろもどろになると、彼女が、顔を彼の方に向けて、答えを口にしてくれた。小さく硬い声だった。
「昨日の晩、フレンドリストを見たの。そしたら表示が連絡不能だったことがあって、しばらくしてから元に戻ったから。たぶん、そのときに済んでると思う」
「……そっか。ありがとう」
僕が軽く礼をいうと、彼女は頭を下げたまま、「ううん」と首を横に振った。
どっちだろう、と思った。
彼女は僕が寝ついた後、自分の部屋に戻ってからフレンドリストをチェックしたのだろうか。それとも、僕の回線が切断されて元に戻るまでずっと部屋にいてくれたのだろうか。
彼女に、あんなことをしてもらってよかったのだろうか。僕はどうすればいいのだろうか。
「うん、よし」
と、ケイタ君が決意を固めるように、大げさな声を上げて、再び話し始める。
「これで、この場にいる全員の回線が繋ぎ直された。……これから、行動を起こさなきゃいけない。もう、このままじゃいられない」
最後の一言が、胸に刺さった。
「これからどうするか話し合うにあたって、その前に、ティジクン。君に、正式にパーティに入ってほしい」
みんなが
僕が答えに迷っていると、彼は言葉を
「このゲームの最大パーティは、六人なんだ。安全は、少しでも確保したい。君の実力はダッカーからもサチからも聞いてる。これからも一緒にいてくれるなら、心強い」
彼女が、上目に僕を見上げていた。ひどく悲しみを
それで、僕の心は、決まった。
「わかった。宜しくお願いします」
僕が答えると、ケイタ君の顔が目に見えて緩んだ。
彼女の目が、見開かれた。
「ありがとう。じゃあ、パーティ申請を」
ケイタ君がメニューを動かして、僕にパーティ申請を申し込んだ。僕がイエスのボタンに触れると、視界左上のHPバーと名前が、一気に五本も追加された。メンバー全員のものだ。
みんなが、ありがとう、とか、よろしく、とか声をかけてきて、一通り応える。
彼女の泣きそうな瞳が、妙に胸に痛かった。
短くてスンマセン……m(__)m