……初めて夜を共にした後って妙に気まずいですよね。
「ダッカー、今日は休むってさ。具合悪いって」
宿の前から、狩りへの
「体調不良ってさ……、この世界で休んでよくなるものなの? 現実じゃ、どのみち寝たきりなんだろ」
歩みを進めつつ、僕は
体調というか、気分は悪いだろう。
僕は彼の戦いを
「どうかな、脳は生身だから……。ストレスが続くと、不具合があるかもしれない。寝不足も、まずい。休むべきときに休んだ方がいいさ。緊張が切れたんだろ、きっと」
「そっか。……ねえ」
「うん?」
「ダッカー君って、どういう人?」
「あれぇ?」
と、進み出てきたテツオ君が
「気になるのぉ? 気になっちゃう? 禁断の恋?」
「違う」
ディアベルならともかく。ダッカー君は絶対違うと思う。
「照れない照れない。じゃあ教えてあげよう。はい、サチ」
「へ、私?!」
声は真後ろから。彼女は僕の背中にぴったりくっつくように歩いていたのだ。ちょっと離れてくんないかな。なんだか
悩んでいるのか、彼女の鼻にかかった
ともあれダッカー君の話だ。彼女はやがて答えを口にする。
「えっと、ちょっとうるさ……、ニギヤカ担当? うん凄く盛り上がるよね彼がいると」
ちょっと隠し切れない本音が
「まあ……、うるさいな」とケイタ君。
「うるさいのは
……えっと。
「うるさい以外に、なんかない?」
「いいだしっぺでぇ、切り込み隊長でぇ、
「ギャンブラー。悪い意味で」
「おれぇ、あいつから二万近くぼってるよ、ポーカーで。手札が弱いととりあえずレイズするのさぁ、バレバレなんだよね」
「
「あいつが今まで
それから狩りに向かう道中ずっと、彼の
後ろから
ふと、ササマル君がずっと
「どうしたの?」
「あ、うん、ダッカーになにか食べ物を買って帰ろうと思って。おかゆ売ってるかな。作れるかな、料理スキル取れば……」
……妻?
その日の狩りは上手くいかなかった。
「……シンカーさんたちが、情報を
ケイタ君が呟く。
「仕事が早いねぇ」と、肩をすくめてテツオ君。
人が多いのだ。東の草原には猪を狩っている少数パーティ、ないしは単独のプレイヤーたちがちらほら見えた。これだけ朝早くに出ているのに。トラブルを避けるため、他のプレイヤーが目に入る場所では戦いたくない。結局僕らはずるずると前に出て、足場の草が少しずつ伸び、土が湿り気を増してきたあたりでケイタ君にストップを喰らった。
「止まって。……このまま進むと
「こしょう?」と僕は
「沼地だよ。ティジクンは初めてだな。僕ら、チュートリアル前は、この向こうの村までいったんだ。ただ、敵が強くて……」
「ボクが死に戻っちゃって……。運よくチュートリアルのときに合流できたんだけど」
ササマル君がうな
「私も、もっと手前の方でイノシシに追っかけられたから、この先、知らない……」
彼女も僕の
「一応レベル的には安全圏だけど、まだ……」
「まぁやめといた方がいいよねぇ。それにダッカーが
二人は軽く笑って頷き合った。
「そうだな、僕らだけ進んだらダッカーが拗ねる。引き返そう」
ケイタ君は
歩きながら背中越しに彼はいう。
「行くときはみんな一緒だ」
ふと思う。みんな、という言葉のうちに、僕は含まれているのだろうか。
彼らが語るダッカー君の話の一つひとつからは、長い時間と強い親愛が感じられた。
ダッカーは少なくとも、この世界に来てしまう前から彼らとずっと一緒だったのだ。上手くやってきたのだ、この
僕はここに必要なのだろうか。
ダッカー君はほんとうは、僕の戦意にあてられておかしくなってしまったんじゃないのか。
思い至ったどうしようもない考えから目を逸らして、前の方を歩いて談笑するケイタ君とテツオ君と、穏やかな様子で二人の会話に耳を傾けるササマル君から目を逸らして、なにもない草原を見渡して――ふと、妙なものを見た。
足の長い草に隠れて、土がむき出しになって丸く
再び、みんなの方を向く。街に帰る。
えー、ここでお知らせです。
私事ではありますが、俺と5年もの時、苦楽を共にしたVista様がついに先日、亡くなられました。
……
よって今後しばらく学校のPCで執筆することと相成りまして、それに伴い投稿のペースは落ちると思われます。
せめて週に二話ぐらい頑張りたいと思っていますので、どうか寛大なお心で見守っていただけますと幸いです。m(__)m
【次回予告】
その晩、テツオの口から語られたのは五人の痛ましい愛憎劇だった……
過去を知ったティジクンの選択は?! 括目して待て!!