SAO外伝 血の盟約の下に   作:佐藤 黎曜

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 ごめんなさい、ごめんなさい……!!(涙)

 お盆休みで学校のパソコンが使えなかったんです……!! (T_T)

 久しぶりのシャバです。気合い入ってますんで許してくださいm(__)m


きちんと想いに応えたい

 深夜。自室にて型稽古(かたげいこ)

 

 ダッカー君とは話せずじまいだ。彼は夕飯にも出てこなかった。

 

 なにかしなければ、とは思うのに、なにをどうしていいのかわからない。

 

 雑念が多いときは、あまり難しいことはやらない方がいいと思って、ひたすら単発技のキレと重さを高めようとしたのが裏目に出た。この世界の身体(からだ)は実感に(とぼ)しい。現実で僕の煩悶(はんもん)を洗い流してくれた肉体の疲労(ひろう)はない。千切(ちぎ)れゆく筋肉、血液に満ちてゆく乳酸が恋しい。

 

 そのうち声が聞こえ始める。うるさい声が。

 

 

 

 

    お前、変わったな

 

未だ多くのプレイヤーが死の恐怖に怯え、街の外へ一歩も―――

 

     生きていたら、帰れると思いますか

 

 なあ、オレら、このままでいいのかよ……  

 

         狩場を巡ったトラブルが増えてるんです

 

     諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ

 

 千人、死んだわ   

 

       攻略を目指しているわけでもないのだろう

 

   あなたは なんのために戦うの

 

                最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい

 

         ぶっ殺してやる、茅場(かやば)

 

                           ―――戦います

 

       なあっ、逃げんのかよ?!

 

 

 

 

 

「――――あァあああアあぁアぁ!! うるッせえヨぉ!!」

 

 爆音。紫の閃光が繚乱(りょうらん)する。逆手に握ったダガーナイフを自分のこめかみに繰り返し突き立て、必死にド(タマ)を揺さぶり続ける。ずどん、ばこん、どごん、だっごぉん。

 

 やがて僕は息を切らして、その場にあぐらをかいてへたり込んだ。

 

 片手で、頭を抱える。

 

「どうしろってんだよ……」

 

「やぁ、元気ぃ?」

 

「――――ッ?!」

 

 背後からの声に、床を掌底(しょうてい)でぶっ叩くみたいにして立ち上がり、転身(てんしん)。そのまま踏み込んで上体のバネで渾身(こんしん)前蹴(まえげ)りを()(はな)ち――

 

 硬く冷たく、けれども(やわ)足応(あしごた)え。自分の()りに身体(からだ)を押し返されて僕は尻もちをついた。

 

 細長く垂れた目が、(たずさ)えた金属の盾越(たてご)しに、僕を見下ろしていた。

 

 テツオ君だった。

 

 我に返った。自分が今なにをしたのかに思い至る。

 

「ご、ごめん……! だいじょうぶ……?」

 

「おれはぁ、だいじょうぶだけど? いま倒れてるのは君じゃないか。……しょっと」

 

 彼はその場に腰を下ろしてあぐらをかいた。僕もつられて、なんとなく足を崩した。ふたりして洋室の床へと(じか)に座り込む格好になったけれど、この世界では入浴や洗濯の必要はない。

 

 少しの、沈黙。彼は僕が話すのを待っているようだった。

 

「ほんとに、ごめん。……気が立ってて」

 

「まあおれも勝手に入っちゃったしぃ、声かけたら蹴られそうな気はしてたんだよね」

 

 そういって彼はクツクツと笑う。

 

 完全にアブない奴だと思われている。そしてそれはたぶん、正しい評価だ。

 

 僕は、この世界に来てから、おかしかった。

 

「……どうして、部屋の扉。ちゃんとノブのメニュー窓からロックしたけど」

 

「初期設定だとぉ、ギルド、パーティメンバー開錠可(かいじょうか)なんだよね。部屋の前に来たらノックより先に叫び声が聞こえたもんだから。ごめん、やっぱりマズかった?」

 

「いや、だいじょうぶ……。ごめん、びっくりしたよね」

 

「そんなに何度も謝ることないよ」

 

 彼は穏やかに微笑(ほほえ)んで首を(かし)げた。

 

 僕もこれくらい器が広くて図太(ずぶと)かったら、昨日の少女に、もっと違った言葉がかけられたろうか。と、どうしようもないことを考えてしまう。無理かな。あの子は救えないと思う。

 

 それともそう思うのは、僕が弱いからだろうか。

 

「ところでさ、この盾、どぉ?」

 

 彼は左の前腕(ぜんわん)を覆う、キラキラした質感の円形の盾を(かか)げてみせた。

 

「うん、いい盾だね。……いや、装備にあんまり詳しいわけじゃないんだけど。僕の蹴り、簡単に返しちゃったし……」

 

「それはぁ、盾の性能は関係ないかなぁ……」

 

 彼は多少、いい(にく)そうに口にした。

 

 苦しくなって、僕は目を伏せる。

 

 だって、いくら相手をろくに見ないで初動(しょどう)(はい)ったからって、あんな風に返されるなんて。

 

「僕の蹴り、弱かった……?」

 

「正直ぃ、パンチやチョップよりだいぶ見劣りしたよ。模擬戦のとき君の手(さば)きは全然見えなかったけどぉ、さっきのは丸わかりだった。タイミングも合ってなかったんじゃない?」

 

「……そっか」

 

 自分の無力を()()めて、泣きたい気持ちを(こら)えながら、どうにか返事を(しぼ)り出した。

 

「気にしてる?」

 

「思ったより、(こた)えてる。稽古(けいこ)でも試合でも、当たり前に(つか)えてたから」

 

()りはぁ、お勧めしないよ? 武器より威力はだいぶ落ちるし、地面との摩擦値(まさつち)が半減する上に、現実とバランス感覚が違うだろ? 転ぶと大変。倒れたまま攻撃をもらうと、ディレイが連続してなにもできなくなる」

 

「……ディレイって、なんだっけ」

 

「直訳すると、遅延。硬直時間のことだよ。強めのソードスキルを撃ち終わったり、敵に直撃をもらったりすると一瞬、動けなくなる」

 

「……硬直。そっか、動けないんだ」

 

 その言葉を、オウムのように繰り返した。

 

 ダッカー君の一撃を受けて、僕はまさに硬直(ディレイ)していた。どうしていいのかわからなかった。

 

 ひとりで戦い抜こうと決意した僕は息をひそめていた。いなくなった訳ではないけれど、もう気にはならなかった。代わりに、彼らの仲間でありたいと思うようになった僕が、想うほどにかえってその孤独感を強めていた。

 

 僕はここではよそ者だ。

 

「それで、どうしたの……。なにか、用だったんでしょ」

 

「あれぇ? 用がなきゃきちゃダメ? 傷ついちゃうなぁ」

 

「……そんなこと、ないけど」

 

「なんかねぇ、なにか話そうかと思ってさ。なんだろうね」

 

「いや、わからないけど……なんだろう……」

 

 気を遣われている。こんなふうに気遣いを受けているのに、まともに口も()けない自分が惨めだった。

 

「……みんな、強くなったね。すごく連携がいい。つき合いが長いからかな」

 

 そんなふうに漏らしてしまった。

 

「ありがとう。君にそういってもらえると、自信がつくよ」

 

 彼は細い目を三日月形にきゅっと歪めて微笑んだ。

 

「彼女も、すごいよ。ちょっと教えたらあんなに早く(・・)撃てるようになるなんて思わなかった。長物(ながもの)は扱いが難しいんだけど……、すぐに僕より上手くなる。僕は、もともと棒術はかじった程度だったから……」

 

「サチが戦えるのは、君のおかげだよ」

 

 そうだろうか。僕が余計なことをしたせいで、彼女が戦いに出てしまったとも考えられた。もともと戦いに向いた性格じゃない。宿に閉じこもっていた方が彼女のこれからのためにはよかったかもしれないのだ。

 

「そうかな。……僕、必要なのかな。余計なことしちゃってないかな」

 

「すごく助かってるよ。それに、仲間は必要とか不要とかじゃない」

 

「……僕、ここにいない方が、いいかもしれない」

 

「う~ん……」

 

 と、彼は(うな)った。

 

 よくないことを訊いてしまった。僕はほんとうになにをどうしたいんだ。困らせただけじゃないか。

 

 けれども彼は、やがて細い目の奥の、意志のこもった瞳で僕を見据えて真摯(しんし)に答えた。

 

「君がほんとうにそう思うんなら、おれは君が出ていくのを止めない。君がノーというのならおれたちはそれをしない。これは仲間としての信頼で、約束だ。けど、それを決めてしまう前に、おれの話を聞いてほしい」

 

「……うん」

 

「おれたち、パソコン研究会のメンバーなんだって、いったろ。5人きりの」

 

「うん」

 

 僕がいなかったころの話だ。

 

「この5人が集まるまでに、実は大変な紆余曲折(うよきょくせつ)があってね。そのころ一年生だったケイタが、ネトゲ仲間を集めて同好会を立ち上げて、学校のPCで遊ぼうぜっていうのが始まりなんだよ。ケイタと、サチと、それからおれと。三人集まってひとまず体裁(ていさい)は整った。PC研究会を同好会として学校に申請したんだけど、申請は通らなかった。なんでだと思う?」

 

 と、彼は小さく笑って首を傾げた。

 

「……学校の設備で遊ぶなとか、いわれたの?」

 

「もちろんネトゲで遊びたいなんて馬鹿正直に申告はしないさ。電子リテラシー研究会、だったかなぁ。それっぽい名前つけて、活動内容もでっち上げた。けど学校には、もうパソコン研究会があるっていうんだよ。いたずらに組織を増やせないから、意義の重複する部活や同好会は認められないって。だったらってことで、そのパソコン研究会に話をつけにいった。放課後のコンピュータ実習室には、たったの一人しかいなかった。ダッカーだ」

 

 彼の名前を聞いて、僕はようやくこれが今朝の話の続きだとわかった。

 

 ダッカーの話。彼らの歴史の話だった。

 

「アイツはおれたちにいった。ここはパソコン部の活動場所で、よそに使わせる気はない。出てけ。……それでまあ、いろいろあって今に至ると」

 

「いや、いくらなんでも端折(はしょ)りすぎだろ」

 

 その流れでどうやって仲間になるんだよ。

 

「いろいろあったのさ。気になるならそのうちダッカーに訊いてみるといい」

 

 彼は穏やかに言葉を継ぐ。

 

「で、話はちょっと飛ぶけど、チュートリアルのときのことぉ、覚えてる?」

 

 あれから二週間。もう、というべきか、まだ、というべきか、いまいち計りかねるけれど、忘れようもない。

 

 思い出す。紅い空、がらんどうの巨人、怒号と絶叫、彼女の呼び声。

 

「……ああ」

 

 僕は彼女の声を聞くまで、一人で戦いに出ようとしていた。恥の意識が胸を締め付ける。

 

「茅場が消えたあとさぁ、おれ、どうしたもんだか全然わかんなくてボケッとしちゃったんだよね。ケイタとササマルと並んでさ、突っ立って、これ夢かなぁ、って感じで」

 

 いやほんと、どうしたもんだと思ってさ、と。彼は吐息混じりに苦笑しながら、もう一度繰り返し呟いた。

 

「どうしていいのか、って……」

 

 僕は意外に思ってつい口を挟んだ。だって、そんなわけない。

 

「全然そんなふうに見えない。君はすごく落ち着いてて、僕にどうすればいいのか教えてくれた。だったらあのとき、どうして僕と彼女を見つけられたのさ」

 

「そんなこと、ないよ。おれはひとりじゃなんにもできない。あのときおれたちが動けたのはね、いきなりダッカーが叫んだからだ。サチはどこだ?! ……って。それで、駆け出したアイツを追いかけてったら、君に会えた。ねぇ。どうしてサチを、助けたんだ?」

 

「どうして、って……、普通のことじゃないの。たまたま傍に、いたから……」

 

「そう、傍にいたんだ。誰かが傍にいるって、大事なことだよ。だからね……」

 

 彼の瞳に、意思の光。

 

「助けが必要なときに、助けられる誰かが傍にいることは、すごく運のいいことなんだ。ひとりじゃ掴めない運だった。ダッカーがいて、サチがいて、そうしておれたちは君に出会った。おれは君っていう幸運を大事にしたい」

 

 そして彼は穏やかに微笑んでこう話を結んだ。

 

「初めからなにもかも上手くはいかないさ。でもね、ダッカーも他のみんなも、今じゃおれたちの大切な仲間だ。君も、きっとこれからそうなれる。焦ることはない」

 

 僕は彼の顔をみていられなくて、自分のあぐらの中心あたりに視線を落とした。

 

「……ダッカー君は、なにかいってた」

 

「アイツはなにもいわないよ、ふて寝してるから。でも君となにかあったんじゃないかって思って。なにがあったか、訊いていい? 力になれるかも」

 

「……僕は」

 

 話していいものか、惑う。

 

 ダッカー君の言葉を思い出す。ケイタやテツオじゃダメなんだ、お前ならわかってくれるって思ったんだ。

 

 僕は結局、なけなしの勇気を振り絞って、できるだけ真っ直ぐにテツオ君を見た。

 

「僕ほんとは、彼女のことが気になって、もしかしたら甘えたくて、ここにいるんだ。彼女の力になれたらって、思って。でも違った。それだけじゃダメだった。誰が欠けてもダメなんだ。あの子はひとりで出来てない。君たちは五人で、六人目になろうと思ったら、みんなのことや、これからのことと、きちんと向き合わなきゃいけなかったんだ」

 

「うん。じゃあ、どうする?」

 

 ダッカー君の焦げついた瞳を思い出した。せっかく彼は僕を求めてくれたのに、仲間としての役目から僕は卑怯(ひきょう)にも逃げ出してしまったのだった。

 

 ふと、(つやや)やかな長髪をなびかせ、不敵な笑みを浮かべたディアベルの姿が脳裏に浮かんだ。

 

 彼は逃げないはずだ、と思った。彼は今もどこかで戦っているはずだ、という確信があった。

 

 僕に打てない蹴りを打つように、この世界に対して迷いなく抗っているはずだと。

 

 決闘者ディアベルなら、あの場面でも逃げないはずだ。相手が襲いくるモンスターであれ、パーティメンバーの激情であれ、決して目を逸らしたり背を向けたりしないはずだった。

 

「僕、もう一度、ダッカー君と話したい。きちんと向き合ってみたい。僕のことを求めてくれたんだ。今度こそ僕が、僕だけが、きちんと想いに応えたい。それが、君たちの仲間になるのに必要だと思うから。だから今は、ごめん」

 

 僕はその場に(ひざ)をついて()し、背を正してから、稽古の終わりに神前(しんぜん)へそうするよう、伏せって額を床につけ、彼に頭を下げた。

 

 そのまましばらく、沈黙があった。僕はそのままの姿勢で彼の返事を待った。声がかかるまでこのままでいるつもりだった。

 

 そして、僕への宣告が下りる。

 

「――それはぁ……、つまりダッカーに申し込まれた、なんというか、交際を、受けるってこと……」「なんでサッ?!」

 

 跳ね起きた。彼は眉をしかめて頬を引きつらせた重苦しい顔つきで、やや引き気味に震える声で答えた。

 

「いやぁ……、ごめん、それはおれぇ、どの道ちょっと力になれそうにないっていうか……」

 

「違うヨ! なんでヨ?!」

 

「だってゲイなんだろ」

 

「アッサ……!? せっかく綺麗にまとまりそうだったノニ?! なにいうてるサネ?!」

 

「うん、まぁ……、頑張って」

 

「雑?! 励ましがでーじ雑ッ!! だから違う!?」 

 

「――くっ、ぷふ……」

 

 と、彼は突然笑い始めた。

 

「いきなり(なま)りすぎだろ、君……、ぷふ……っ」 

 

 それで僕はようやく謀られたことを知った。

 

「あーもう……、人がせっかく真面目にヨ……」

 

「だってぇ……、おれぇ、シリアス三分以上続けると死んじゃう……」

 

「どこのウルトラマン?! だぁ……」

 

 もういい。悩んでいたのがアホらしくなって、僕は軽く笑った。彼と微笑み合った。

 

「君ぃ、不器用だね」

 

「……悪かったな。友達あんまりいなかったもんよ」

 

「ぷっ」

 

「なんで笑うの?!」

 

「いや、唐突なぼっち宣言に笑う」

 

「ぼっちじゃねえし! 友達いたし!! 少ないけどいたし!!」

 

「何人?」

 

 ……ひとり。

 

「、友情は数じゃないし」

 

「でもまぁ、多い方がいいよねぇ」

 

 いって彼は、メニューを操作して僕の前にウィンドウを浮かび上がらせた。

 

【Tetsuo から フレンド登録 を 申し込まれました 受諾しますか?】

 

「……じゃあ、よろしく」イエスボタンを突っつく。

 

「こちらこそ」

 

 強くなろうと、そう決めた。

 

 仲間の本気を受け取れるくらい。

 

 行きずりの少女を励ませるくらい。

 

 守ると誓った人をひとり、最期まで守り抜けるくらい。

 

「じゃあもう遅いから、おれぇ、今日は部屋に戻るよ。なにかあったらメッセージでね」

 

「うん、また明日」

 

 彼を追って立ち上がり、ドアの前へ。彼がノブに手をかける。

 

 そして。

 

 バァン!! と。

 

 突然開いたドアに吹っ飛ばされてきた彼とぶつかった。

 

 もんどりうって倒れる。天地が転がる。床に絡み合うように叩きつけられる。弾みで、唇がなんかやぁらかいモノに触れる。状況をつかむより早く、上から声が降ってくる。「助けてくれ!!」ふたりして絡まったまま見上げる。ケイタ君だった。おいちょっと待て。今のちょっと待て。僕、はじめ――――

 

「――なにしてるんだ? ふたりで……」僕は出入り口で首を傾げるケイタ君に飛びかかって胸倉をつかんで部屋に引き()り込んだ。「僕のはじめてッ!! 返せよ?!」「……!? いや、まさか、テツオとそんな、ごめんマジでごめんなんか邪魔しちゃったみたいで」「ケイタ違う待ってくれ、絶対勘違いしてるから待ってくれ」「なにが違うもんかッ!! 奪っておいてそんな……!!」「ティジクン黙って?!」「えっと、3人とも、ちょっと」「セクハラコードって同性だとそうなんだっけか……?」「あの、ダッカーが」「返せヨォオオオオオオオオ!!」

 

「わ、わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 聞いてよちょっと!!」

 

 誰か叫んだ。ドアの隙間から顔を覗かせるササマル君だった。半泣きだった。

 

「ダッカーがひとりでフィールドに出た! 追いかけなきゃ!!」

 

 

 

 

 

 




【予告】

 彼らの友誼の行方は、意図せざる死闘にかかる。初めての乱戦に、格闘家ティジクンは苦境に立たされた。そのとき目にした光は救いか、あるいは絶望への標なのか。

 次回、【Frenzy Night】

 括目して待て。
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