ちょっとSS投稿というよりラノベ感が強いので注意してくださいね!
第一頁 告白、そして…
…………地面には赤や黄色の花が咲き、地平線を柔らかな芝生を彩っている。空は薄く晴れやかに澄み渡り、川には銀に煌めく魚が泳いでいた。
「ここは……?」
気がつくと俺は一人で美しい自然の中に立っていた。後ろを見ると
「これは門か? いや……扉?」
青と白の荘厳な装飾を施された十mはあるだろう、それほど大きな門が建っていた。その後ろには神殿が広がりそこだけ光が射しているような錯覚がした。周りの風景とは合わない明らかな人工物に”ここにあって当然だ”という不思議な調和を感じる。
「これは……一体?」
明らかに自分の住む特育都市にこんな景色は存在しない。
無骨なビルの多い生活区では無いし、様々な世界の地方を再現した実験区でも、ましてや理事区でも廃区でもない。
もしかしたら特育都市で異常発展しているナノテクを使って構成したホログラムかもしれない。
思わず気になって、その神殿に近づこうと一歩踏み出…………
「ーーーきろ〜! ……希望の未来に別れを告げろ!ディスペア・ターンッ!!」
「ぐぁっ!?」
不穏な高い声の叫びと共におれは眠りから覚まされる。
どうやら夢を見ていたようだ。
「な、なにしやがる!」
ガバッと起き上がって横に立つ巫女のような髪をした少女に噛み付くように抗議する。
「朝のH・Rから寝てる方が悪いんだよ!」
「え? H・R?」
少し寝るつもりがかなり眠り込んでいてしまったようだ。
「そうだよ! コウちゃんってば登校してすぐ寝たんだもん! どうしたの? 病気?」
コウちゃんコウちゃんとうるさいこの少女は成宮 阿古(なりみや あこ)。中学からの友達だ。ちなみにおれが古守 晃司(こがみ こうじ)、だからコウちゃんなのだ。阿古しかこんな呼び方しないけど。
「いや……いたって元気だが……あれ、俺のカバンは!? ってか机は!?」
朝はあったはずの自分の机が無い……。
「コウちゃんのカバンと机はあそこ!」
阿古の指す方向を見るとかなりの距離転がっていた。
……大体五〜六メートル。
って飛びすぎだ!!
「教室の端から端まで吹っ飛ばされてる…だと!? 一体何したんだよ!」
「えー? 過剰戦隊《オーバーキラーズ》の必殺技ディスペア・ターンだよ? 毎朝見てないの?」
阿古は心底不思議そうに首をかしげる。
名前が不穏すぎる……。本当に戦隊モノか?
「とんでもない正義の味方だな……大体、高校生にもなって戦隊モノなんか見ねぇよ! 子供っぽいのは見た目だけにしろ!」
おれが冗談めかして言うと
「わ、私はまだ成長期なんだしー!」
と、まだ黒板の中程にも届かない身長を「……ぅぉー」とか言いながら伸ばそうとしている。
「いや、そんなことしても伸びないだろ……」
「むぅー、はっ! そんなことより一時間目から移動教室だよ? 私先行ってるからねー」
と、言い終わると同時に教室を飛び出して行ってしまった。
騒がしいなぁ……とか思いながら机を元の位置に戻し、教材を持ち出して廊下に出る。
すると前からトトトっと阿古が駆け戻ってきた。
「なんだ? 忘れ物か?」
「ううんー、言い忘れたことがあったんだー」
言い忘れた? と、口に出すより早く表情に出ていたらしく
「おおう、そんな怪訝そうな顔をするなー、そんなに重要なことではないのだー」
いや、ある意味重要かもだけどー、と小声で付け足しながら阿古は勝手に話し始める。
「古守晃司、十七才、四月十五日生まれ、牡羊座。血液型はA型で生命線は若干短め」
「な、なんだ急に」
いくら見知った仲でも急にプロフィールを述べられると焦ってしまう。
「良いから聞くのだー、そんなコウちゃんは本日四月二十日金曜日に……」
「に?」
ゴクッと唾を飲み込む。
「想いを寄せてるあの子に告白すると良いでしょう!」
「ッな!? 」
あまりにも唐突だったため思わず叫んでしまった。
「こ、こここここの子は一体何を言ってるんでしょう!?」
「ふっふーん、コウちゃんが片想いしてることなんかお見通しなのだよー! 」
誇らしげに胸を張る。
「いやいや、その情報はどこから!?」
誰にも相談したことないのに!
「おおう、もうチャイムが鳴りそう! お先に失礼〜!」
と、叫ぶとすぐに全速力で走って行ってしまう。
キュッと廊下の角を曲がり、階段を一気に駆け下りていく音が聞こえた。
「ちょっ……色々と待てやー!」
だが無情にもチャイムが鳴り響く……。
「ゼェ……ゼェ……」
「遅刻は古守だけだなー、さっさと座って教科書開けー、早速読んでもらうぞ」
化学教師がだるそうに点呼を取る。
ゆるっと席を指差して行くように促す。
「な、遅刻おれだけ!? だってあいつは……っ」
慌てて教室を見回すと、すでに阿古が椅子に座ってキリッとした顔で黒板を見据えていた。
それを見て思わず脱力してしまう……。
そして指定された席に行き、教科書の一節を朗読し四人一組の席に着くと。
すぐに
「大丈夫? やっぱり起こした方が良かったかな…?」
と、隣の席に座る、黒よりの茶髪をショートカットにした大人しそうな女の子が心配そうにこっちを見る。……っていうかちょっと涙目だ。
華原 真衣(かはら まい)、高校からの友達で、見た目通り大人しい子なのだがP・A(ピース・エイダー)と呼ばれる生徒主導の治安維持……あー。まあ要するに風紀委員が権力を握ったような機関があるのだ。
それに所属していて、活動中はスイッチが切り替わったように正義の人になる。
「真衣ちゃんは気にしすぎだってばー! そんなに人の心配ばっかしてると倒れちゃうぞー?」
と、真衣の正面に座る肩くらいまでの長さの黒髪の女の子がからかう。
「ああ、アッキーの言う通りだぜ!」
と、同意して言うのは俺の正面に座るメガネをかけた男。
河瀬 明希奈(かわせ あきな)に久原 譲二(くはら じょうじ)。高校からの友達で二人とも非常に明るい性格。幼なじみらしくお互いかなり親しい。
「……未だにその呼び方するのあんただけよ、ジョージ……」
「え? そうなのか? 変えた方が良い?」
ニヤニヤしながらジョージが言う。
「いや、良いけどね」
はぁ、とため息を吐きながら明希奈が答える。
「相変わらず仲睦まじいことで」
とおれが言うと
「「あ?」」
幼なじみらしい息のぴったりさで睨まれてしまった。
睨んでくる目が恐ろしい……。
「か、河瀬さんも久原くんも落ち着いて……今授業中だよ……?」
さすが真衣ちゃん仲裁のプロ!
そのまま拝みそうなほどの勢いでキラキラした目で見つめる。
真衣に言われて幼なじみ二人が渋々前を向いて座り直す。
「そんな目で見ないでよ、真衣ちゃんが汚れるわ」
明希奈さんの暴言!
おれにクリティカルなダメージ!
おれは目の前が真っ白になってしまった!
……未だに二人から無言で向けられる呪いのような負の視線から逃げるように教室を見回す。
すると阿古が別のテーブルで一人の女の子と話してるのが見えた。
「……っ! 」
その子がこっちを向いた途端に思わず体が強張ってしまう。釣られるように阿古もこっちを向く。
そしてニヤリ、と不敵に笑った。
『想いを寄せてるあの子に告白すると良いでしょう!』
阿古の言ったあのセリフが再び脳裏に蘇る……。
「……ぬぉぉ」
思わず小声でうめいて頭を抱えてしまった。
そう、阿古と話していたあの子……凪良 千草(なぎり ちさ)に俺は恋をしているのだった!
ちょっと気怠げそうな瞳に緩くウェーブのかかった、肩にかかるかかからないかのブロンズの髪。
そしていつも端的にモノを話す。 口調からは想像出来ないくらいに意外と俊敏に運動する。そして人並み程度に制服の下から自己主張している我々男子の夢……。
「……はっ!」
思わず妄想(少々、いやかなり変態よりの妄想を)してしまっていた……。
ちらりと、凪良さんを見ないように阿古の様子を伺うと肩を震わせるように声を押し殺しながら笑っていた。
まるでこちらの行動を予測していたかのように。
(あ、あいつー!)
軽く赤面しながら前を見ようと黒板の方に顔を向けると
目の前に使い込まれた様子のネクタイとヨレヨレのベルトが視界いっぱいに広がっていた。
相変わらずだるそうに口を開くと、
「どうした。顔は赤いし急にうずくまるし、保健室行くか?」
この化学教師にしては珍しく心配されてしまった。
「い、いえ! 私は至って正常であります!」
「はぁ……。ページ十三の上から八行目から読め、もちろん起立してな」
呆れたようにため息を吐き、そう言い残して化学教師は教壇に戻る。
はい……とかすれ声で答え、阿古の様子を伺うと完全に机に突っ伏して笑っていた。
(ちくしょう……! )
かなり顔を赤くしながら朗読した。
「ぬぁー!」
「……一体今日はどうしたんだ晃司。もうすぐ体育始まるぞ?」
ついにジョージに声をかけられてしまった。
「どうしたもこうしたもねぇよジョージー! 助けてくれぇ!」
叫びながら泣きつこうとすると、
「わーかった! 分かったから! さっさと体操服に着替えろ!」
と、一歩後ろに逃げられる。
「お前らしくねぇなーそんなにうじうじしてよー」
ジョージが机に座りながら話を促す。
「ああ……その件について相談があるんだ……」
ジョージはため息をつき、そして若干笑いながらグラウンドに降りていった。おれもその後ろに続く。
「そんでー? 弁当食ってた時にソワソワしてたのもこの六時間目まで引きずってる件と同じなのか?」
今目の前では3チームに分かれてサッカーをしている。
対戦組二チームと待機組一チームに分かれて。
おれたちのチームは今待機組みだ。
「うん、たぶんそうだと思う」
「なんだ、はっきりしねぇなー」
バシバシと背中を叩かれる。
「じゃあ、スパッと言うよ?」
「おう」
「俺さ……恋……してるんだ」
キャーとかそんな声が聞こえてきそうな感じで体をくねらせると
「え? そんなこと? お前ら当人以外全員知ってるんじゃねぇの? それとキモいからその動きやめろ」
ピシッと迷いなく言われて思わず凍りついてしまう。
「え……?」
「いやいや、お前が凪良のこと好きなのはみんな知ってるってば」
可笑しそうにニヤつきながらジョージは言う。
名前なんて一言も口に出していないというのにバレていた。
嘘だろおい……という呟きは虚しく空気に溶けていく。
「そっかー、妙にソワソワしてたのはそういうことなのねー、でもどうしたんだ? 急に意識して」
「……どういうことだ?」
そう返した声はかすれていたのかもしれない。
笑いながらジョージは
「いや、お前高二になってすぐに一目惚れしただろ? ……そんな顔するなって、ここまで知ってるのは情報通である俺くらいのもんだぜ?」
そう言った目が笑っていた。
こいつが情報通だなんて聞いたこともない。
「そんで? どうしたいわけ? 特別なことがあるからソワソワしてんだろ? ……もしかして今日告んの?…………お前ほんと分かりやすいよな」
ジョージが問い詰める途中で、サッと顔を驚愕に染めるとすぐバレた。
「お前はエスパーか……っ!?」
「んなわけあるか……っと!」
横から飛んできたボールを綺麗にトラップしてスローインのためにコートから出てきた選手に綺麗に蹴り返す。
唖然として見る俺にドヤ顔を向けてきたので、とりあえずボディーブローを入れておいた。
うずくまってしまえっ!
「ごふっ……えほっえほっ……お前……もう相談乗ってやらんぞ!?」
「うわー!それは悪かった! 頼む!」
慌てて腕にすがって、頼み込むと
「調子良いなぁ……」
と笑って相談に乗ってくれた。
放課後、ジョージに気を使われて一人で帰らされている。
教室を出る時に明希奈が笑いを堪えた顔だったため、もはやクラスメイトの誰も信じられない。
(結局説得されてしまった……)
はぁ……、とため息をつきながら校門へ歩いていく。
(作戦も何も無いし……ていうか凪良さんももう教室出てるからどこに居るかも分からないんだよな……)
放課後になって部活の掛け声が響く中、校門を抜け帰り道の右へ行くかそれとも左へ行って大回りしながら帰るか思案していると
スゥッ……と違和感のようなモノが目の前を横切り左へと向かって行った。
得体の知れないソレは、なぜだか分からないが追いかけなければいけない気がした。
本当になぜだかは分からないけど。
(なんだ今の……? 嫌な予感がする! くそっ)
直感の赴くまま全速力でソレを追いかける。
すると、角を曲がった人通りが少なくて暗い道を制服姿で歩く凪良さんの姿が見えた。
(おいおい、どういう偶然……いや……ジョージと阿古のドッキリか!? なるほど……つまり覚悟を決めろってことだな!)
でもあの違和感みたいなのはどうやってんだ? ナノデバイス技術の応用か?
と、思考を空転させながら違和感を追い、凪良さんに向けて走る。
すると今まで風景に溶け込むように擬態していたソレが実態を現した。
(スーツ着た見知らぬ兄ちゃん?)
怪訝に思い、十メートルほど離れて一旦立ち止まる。全く見覚えの無い人まで使って一体何をしようと言うのだろうか。
すると直後、スーツ姿の青年がおもむろに懐に手を入れ夕焼けに煌めく鈍色の刃物を取り出す。
ギザギザした刃。軍用サバイバルナイフと呼ばれるものかも知れない。そしてそれを振りかぶり、無防備な凪良さんに向けて振り下ろす。
「さすがにやり過ぎだろジョージッ!」
いくらドッキリや演出だとしてもアレは度が過ぎている。
万が一のことが起きたら、嫌だ。
凪良さんと青年の間に飛び込む。
「ッ!? 古守……? 」
凪良さんの慌てた声が聞こえた。
と、同時に。
腕が切り裂かれる感触を感じながら、おれの意識は遠のいて行った。
意識が完全に無くなる寸前、追い打ちをかけようとした青年が何かに気付いて再び姿をくらますのが見えた。
初投稿なので至らない点だらけだと思います……。
そして書きたいモノを詰め込んで完成した作品なので読みにくかったかもしれませんが、何卒よろしくお願いします!タグの通り不定期更新ですので悪しからず〜