気になるあの子は魔導書が読める!?   作:久遠/kuon

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夏といえばなんですか?
かき氷、屋台、花火、海、プール、セミ……etc.
中には、ホラー
……なんてものもの。
怖い体験は人生に1度だけで十分。そんなビビリな性格ですw
小学生の頃は夜がとても怖かった記憶もありますw

みなさんは、怖い体験、したことありますか?

そんなわけで新章スタートです!


三章『スヴェイジェシカ』
第十一頁 あなたはだあれ?


【魔導書】妹降臨編-スヴェイジェシカ-

今日は金曜日。今日を乗り切れば週末で休みである。

 

(だからと言って金曜の授業が早く終わるとか楽になるとかそういうことは無いんだよなぁ……)

金曜日の3時間目でしかも物理という絶妙にめんどくさい時間割を呪わずにはいられない晃司はため息をついていた。

(物体が摩擦無しの状態で滑った時の速さとか求めて何になるんだよ……。宇宙空間でも摩擦はあるぞ……)

誰もが悩む全く意味の無い問いを死んだような目をしながら考えているうちにチャイムが鳴った。

「おーい、晃司ー!今日も弁当かー?」ジョージが教室を出る寸前で言う。

「んー、ああ。購買ならお前1人で行ってくれ」

クレイドルに住み始めてはや2週間。当番の度に苦労するのは嫌なので朝に弁当を作ることで料理の腕を上げようというわけだ。

(昔は購買の方が楽だと思ってたけど、弁当ってのも案外悪くないよなー)

3時間目から4時間目までの休み時間をのんびり出来るのが特に良い、と購買組が苛烈な戦争に向けて教室から旅立つのを見ながら静かに微笑む。

「なに1人で笑ってんのよ、気味悪い……」

「あ、明希奈ちゃん、さすがに言い過ぎだよ……」

「いやなに、購買組は毎度ご苦労さまだな、と」

「……あんたも今まで購買組だったでしょうに」

なぜか可哀想なような、蔑むような、とにかく冷たい目で見られてしまった。

「晃司くん……急に変わったよね……わ、悪い意味じゃないん……だよ? 」

「変わったかなぁ? どこら辺が? 」

純粋な質問として聞いてみた。

「あっ……え、えーと……どこが……って言われると……」

購買組が怒涛の勢いでもって帰ってくる。そしてちょうどチャイムも鳴り響き教師が教室の戸を開ける。

明希奈も真衣も慌てて席へ戻り、一気に午前中最終授業が始まった。

 

 

(金6とはなぜこうもラスボス感がするのだろうか。状態異常眠りも使ってくるし)

そんなことを考えている内に授業は過ぎ去って行った。いくらこの街の科学技術が進んでいるからと言って、本来の街の役割は集合学校都市だから大学で専門科を選ばない限り特殊な勉強は何もしない。要するに眠いのである。

とは言っても特殊かそうでないかの比較対象もほとんど無い今、学生にとっては『今受けている授業が楽しいかどうか』それに尽きるのだ。

そしてそんな考えも授業が終われば吹き飛ぶ。

「はーあ、やっと休みだよ!今週はどこ行こっかなー」

この街では学年ごとに奨学金の額が変わるので学生は『仕送り+奨学金』で生活している。だから必然的に学年が上がるにつれて遊べる頻度も、内容も変わってくるのだ。

年度替りからそれほど日の経っていないこの時期は週末になると人で溢れかえる。ついでに犯罪率も上がり〈ピースエイダー〉の活動も増えてしまって、新入りの育成も重なって大忙しとなるのだが…それはまた別の話。

「どこ行くって……そりゃ決まってるだろ! ホビーズ・ラグナロクに行こうぜ! 」ジョージが言う。

「え? ホビーズ・ラグナロクの新アトラクションもう出来たの? 」

「おう、LL新作を出したんだってよ! 」

「なあ、ホビーズ・ラグナロクって……遊園地だよな? 」この街最大の。

「そうだぜ! 複数の会社を一箇所に集めて月ごとの人気を競い合うことで次々に革新的にアトラクションが更新されることで有名な遊園地だぜ」

人気があった会社のエリアほど歩合制のごとく土地代や広告料など、各種優遇の出る新手の土地貸し。

「晃司くんって……行ったことないの……? 」

「いや、たぶん行ったことあるはずなんだけどな。昔一回行ったはず。でも……誰と行ったんだっけ……」

信号が青になったことに気づかないくらい熟考しても答えは出てこなかった。

「でもあそこってチケット取るの大変じゃない? 」

ふっふっふ、ジョージが不敵に笑いながら財布を取り出す。

「ジョージお前、まさか!? 」

「こうなることを見越してチケットを買っておいたのだー!! 」

ガカァッ!とまるで雷のエフェクトが見えそうな勢いでチケットを掲げる。

「チケットの前売りって休日限定じゃなかったっけ? 」

明希奈が言う。

「え? 」

「平日は気軽に来れるように、って前売りはしてなかった気がするけど……」

バッと慌ててジョージがチケットの文字列を追う。

「……日曜日だ」

ジョージが絶望したような顔と口調で言う。いや実際に絶望しているのかもしれない。

「やっぱりなー」

「ジョージ、あんたはいつも詰めが甘いわよね」

「ど、どんまいっ」

三人の声が綺麗に揃った。

「まあ良いや。アッキーと真衣は来るよな? 晃司はどうする? 七枚あるからあと二枚余るんだが」

気を取り直してジョージが言う。

「七枚も買ったのか。ん? 七枚あって二枚余る? 明希奈に真衣にお前で三枚だよな? あと二人誰だ? 」

指折り数えてから明らかに数がおかしいことに気づく。

「あと阿古に凪良でちょうど5枚だぜ。まとめ買いが安かったから7枚買っただけだし、来ないなら2枚組で売ろうと思う」

だから気は使わなくて良い、と解釈した。お祭りごとが好きそうな阿古が参戦するのは想像しやすいけど、千草が積極的に参加するのはイメージに合わないな、とも思った。

「そうだな、おれも行くよ」

「おっけ、了解。じゃあ残りの1枚はネットオークションにかけよう」

そしたらまた日曜に、と四人はそれぞれ家路についておれもクレイドルに帰った。

 

「ただいまー」

「おかえり。晃司。」

「あ、コウちゃんおかえり……いっけ! そこだ! 殺れー!! 」

玄関を開けた途端に分かりやすい爆発音と共に怒号が飛び込んできた。

「な、なに見てるんだ? 」

ドッキリ番組か最近流行りの危機一髪系の番組か、と思っていると

「ん〜? オーバーキラーズだよ! 朝から夕方に時間が変わったんだ〜」

阿古が嬉しそうに言う。そんなにのんびり帰ってきたつもりじゃないのに阿古も千草ももう見てるって……相当大好きなようだな。

「にしてもすごい爆発音……って、えぇ!? 」

「どうしたの。晃司。」

靴を脱いでリビングに入るとテレビには画面いっぱいの地獄絵図が……。

おそらくオーバーキラーズの敵組織が暴れた舞台であろうデパートがすでに半壊している。それも先ほどから敵は逃げ回るだけで反撃すらしていない。たまに画面の端に映るうずくまって泣いてる人は敵なのか街の人々なのか……。

『行くぞ!必殺技だ!』

『ま、待ってくれ!お、おおおお大人しく撤退するから!そ、それを喰らうと吹っ飛ぶとかじゃ済まないんだぁぁぁ!!』

『うるさい!全ての力を一点に集中し…貴様の臓腑をぶち抜くッ!』

……このヒーローとんでもないことを言いやがった。ほんとに子供向けの番組か?

『希望の未来に別れを告げろ!!必殺……ディスペア・ターンッ!!』

画面が切り替わり舞台であるデパートを外から見た図に変わる。

そして、ぱぁんっ! というコンクリートに何かを思い切り叩きつけるような破裂音がバックに響いた。

「いぇーい!ふぅー!!さすが正義のヒーロー、オーバーキラーズー!」

これをこんな笑顔で楽しめるやつが居るんだから恐ろしい……。

リビングを出て部屋に行こうとすると

「あ、コウちゃん! 今度これが映画化されるんだけど一緒に観に行こうよ! 〈悪の敵が街へ舞い降り混乱に陥る人々。そこへ現れた正義の戦慄。あなたは今年最大の恐怖を目の当たりにする。〉っていう宣伝文句なんだけど……」

「ヒーロー側が完全に悪役じゃねえか!今年最大の恐怖って、ホラー物の宣伝かよ! 」

「え〜面白そうなのに〜」

「お断りだ! 」

ピシッと断る。最悪の場合トラウマになりそうだからな……。

 

クレイドルを正面から見ると『中』という字の下の飛び出ている棒を無くしたような形をしている。ヨーロッパにありそうな見た目で、右側の四角が二階構造の生活空間、住人の部屋が主にある。左側が模擬戦闘場や書庫などの施設。真ん中が共有スペースでリビングやダイニング、風呂などがある。奥行きもかなりある。まさに豪邸だ。

そんな豪邸だと部屋に入ったら共有スペースにあるリビングのテレビの音など聞こえない……はずだったのに。

『救援要請、救援要請ーッ!! 』

『くそっ、この基地は放棄する!全力で逃げろ! 』

ここまで音が聞こえてくる。戦争モノだろうか? 注意しに行こう。

『ドガガガガガガガッ!! 』

『残弾、足りません! 』

「おいお前ら! 音量上げすぎた! もうちょい下げろ! 」

「晃司、あと少しだから待って。」

「あと少しって、なにが? 」

「過剰戦隊。」

え? これまだオーバーキラーズなの?

『やつら、正義を盾にしてきやがる! 』

『正義の名の下に、貴様らを欠片も残さず殴り殺すッ! 』

ほんとだ、コレ、オーバーキラーズだ。ビームや爆発で痛そうな演出を避ける最近の戦隊モノに反してこの番組は……いや、みなまで言うまい。

「あー、じゃあせめてご飯時はやめてくれよ」

「うん。分かった。」

部屋に戻ってから気づいた。

「音量変わってねえ! 」

未だに聞こえてくる何かを砕く音を防ぐため、布団を頭から被る。

そして気づけば寝てしまっていた。

 

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃーん!! 」

ドッ、と何か重たい物が布団越しにのしかかる。ガバッ! と跳ね起きると、『何か』は落ちそうになりながらも必死で耐え抜いた。

「なんだ!? 」

「ひっどいよ、お兄ちゃん! 」

この目の前にいるのはなんだ?

もしも言っていることが本当なら……いや、あり得ない。まずここを知らないはずだ。

 

じゃあ…こいつは誰だ?




もしかしたら近日中にタイトルを変えるかもです!「投稿したい欲」が強すぎてちょっとばかり適当につけてしまったんですよね……。ま、予定ですので無いかもですw変えたあとでも御愛顧お願いします!
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