「夏休みどこ行った?」なんて先生に指されると困るんですよね……。いっそ吹っ切れたら楽なんですけどw
そんなこんなで本編をどうぞw
様々な選択肢が頭を駆け巡る。
「1.夢
2.幻覚
3.何者かによる魔法
4.何者かによる魔術
5.別人
6.夢」
「もうっ! 何ぶつぶつ言ってるの!? それに夢って2回言った! ひーどーいー! 美穂は美穂だもん! 夢なんかじゃないもーん! 」
「よし、分かった。質問に答えろ」
「む、難しい問題は無しだよ……? 」
「名前、年齢、在宅特区、ついでにおれの名前! 最後に卵が先か鶏が先か! 」
「え、えっと。古守 美穂 14歳中二で3特区。お兄ちゃんは古守 晃司。ひよこが最初じゃないの? 」
さすがにすらすらと答える。どうやら本当に本物の妹らしい。
ちなみに最後の質問はまだおれが小学寮に居た頃に美穂に冗談で教え込んだもの。
「正解……どうやってここに来た? 」
「後ろを尾けた☆」
ストーキング!? 我が妹ながらすごい行動力だ……。
「ん? それにしてもどうやって入ったんだ? 」
「チャイム鳴らしたら開けてくれたよ! 」
「誰が? 」
「大人の女のひと〜」
女の人ってことは静佳さんかな。まああの人なら大丈夫だろう。
ガチャ。部屋の戸が開く。
「晃司〜、こっちにあんた似の幼女来なかった〜?
あ、いた」
美穂を見つけた途端に目の色を変える。
「うおっ」
「かーわーいーいー!! 」
ガシィッ!としっかり掴んで離さない静佳。一気に頬ずりを仕掛ける! そして逃れられない美穂! どんどん力が失われていく!
実況風味に眺めていると、ふと千草の言葉を思い出した。
『晃司。この女狐は静佳。近づいたら、食べられる。』
え? もしかして見境なし?
「うぉ、お兄ちゃん……タスケテー」
「っ! し、静佳さん! ひとまずその妹こっちに渡してくれませんかね……? 」
「ん? この子晃司の妹なの? ずるいっ! 」
より一層抱きしめる。
「ずるいっ! じゃなくて! あなたに任せてたら美穂が死んでしまう! 」
「ちぇー、しょうがないなぁ……。後でたっぷり触らせてよ? 」
「み、美穂が良いと言ったら、ですよ」
静佳が何度も恨めしそうに振り返りながら部屋を出て行く。
「悪魔と契約した気分だよお兄ちゃん〜」
まさかあの人にあんな一面があるとは……。
「ああ、そうだな……。で、美穂は何しに来たんだ? 」
「んー? 美穂はね!昨日運動会だったんだ! だから月曜まで三連休だからお兄ちゃんと遊びたかったんだよ! 」
なるほど……。たしかに最後に別れたのがおれの小学校卒業からだから、ちょうど3年ほどだ。もしかしたら寂しくなったのかもしれない。
「美穂はまだ寮住みなのか? 」
「うん! そうだよ! 中学寮! 」
中学になったにしてはまだまだ幼いなぁ。……むしろ若干幼児退行してないか?
「む、今失礼なこと考えてたでしょ! お兄ちゃんの変態! 」
「そういう方向じゃない! 大体そんな言葉どこで覚えた!? 教えた覚えは無いぞ! 」
「へっへーん、美穂だって少しは成長してるんだよ! 」
くいっとこれ見よがしに胸を張る。
どことなく阿古に似てるな……。
まさか阿古じゃないだろうな、ということで勝手に入ってしまったことの弁明ついでに紹介がてらリビングへと行くことにした。
「どうも! 古守 美穂14歳です! 2日間お世話になります! 」
「勝手に泊まることにしてんじゃねーよ! 」
「あっはっは! 良いぜ! 美穂嬢ちゃん! 泊まっていきな! 」
「わーい、やったー! 」
リビングを駆け回りソファへとダイブする美穂。もはや取り消しは効かないだろう。
「晃司の妹さんなんだろう? それにこんなとこまで健気に来ちゃったって話じゃねえか、歓迎して目一杯遊んであげねえとな! 」
「で、でも機密とか……! 」
「まあ、見られないに越したことは無いが、見られても分からんだろう」
美穂には聞こえないようにボリュームを絞って話す。もし美穂が何かを見て悟ってしまったら……いや、よそう、取らぬ狸のなんとやらだ。いやちょっと違うけど。
その時、リビングには剛毅とおれと美穂しか居なかった。すでにテレビ組は部屋に引き上げたらしい。
すると当然。
ガチャ。
「こ、こここコウちゃん! なにこのキャラ被り生物は!? 」
ややこしい奴が来た。
「晃司。実はクローン計画に関わってる? 」
しかも仲良く先ほどの二人ともだ。
「お兄ちゃんお兄ちゃん! 人がいっぱい! そう言えばここ何てとこ? 寮にしては大きいしー……うーん。ハッ! 夢のキャンパスライフって奴だね! 」
「あ、 居た!みーほーちゃーん! 」
「ぎゃー! お兄ちゃーん! 」
「コウちゃん! 説明してよ! 」
「晃司。計画の概要を。特に秘密結社の内部について。」
ガヤガヤガヤガヤとわりと広いはずのリビングが一気に喧騒に包まれる。
そしてそれは爆発した。
「あー!! もう!! うるさーいッ!! 」
「なるほど……コウちゃんの妹。すなわちロリキャラだね……! くっ、この! キャラ被りめ! あっ、ちょっと待っ、あー! 」
『K.O!! 』
画面で美穂の操作するキャラがガッツポーズを決める。
とりあえず美穂を落ち着けるために昔懐かしい格闘ゲームに興じている。
ちなみに静佳は手を触れないことを、あぐらをかいた中に美穂を入れることで合意した。だがうっとりした顔で美穂の髪を梳いているのでギリギリ契約違反だ。平和だから見逃すけど。
「晃司に、妹が居たとは。」
「ああ、ずっと疎遠だったからな。いくら同じ街に居ると言っても少し遠くて」
「晃司、遊んであげるとは言ってもどうするんだ? 何か当てはあるのか? 」
「それについてはさっき手を打っといた。たぶん大丈夫だと思う。けど、明日の土曜は丸々空いちまうからなんとかしないと。そーいや悠大は? 」
これだけ騒いでも姿を見せないのは妙だ。いつもなら一緒に騒ぎに来るだろうに。
「あいつは今日は学校の友達と外食だそうだ。遅くなるなとは言ってるから心配は要らないだろう」
そうこうしている内に夜である。夕食は阿古と美穂の相乗効果でかなりの騒がしさだった。何を食べたかも忘れてしまった。
美穂は最初おれと一緒に寝ようとしたがさすがに中二になる妹と一緒に寝るのは気が引けて、隣の部屋で寝かせている。静佳もさすがに一緒に寝るようなことはしなかった。曰く、『昼寝はオーケー、夜を共にするのはアウト』らしい。……もしかしたら身内の貞操の危機だったかもしれない。
「確か明日は普段行けない五区までショッピングに行くことにしたんだっけか……」
もちろん独り言に応える声は無い。振り回されることを覚悟して早めに寝ることにする。同じ街とはいえ、1人でここまで来るのは相当疲れたらしい。隣の部屋からはもう物音1つ聞こえない。ベッドにダイブし眠りにつく。
バァンッ!!
朝は扉を開ける爆音で始まった。
「こ、ここここ晃司君が女になった!! 」
「ええっ!? お兄ちゃん!? 」
「んぁ……ああ、悠大か……おれは男だ。そいつはおれの妹だよ」
「晃司君に妹が居たのか……! 」
「あーそのくだりは昨日やったから勘弁してくれ」
悠大が煙に巻かれた顔をする。時刻は……午前八時。朝食を食べて準備をするとちょうど良いくらいの時間だ。
「なるほどなるほど。なんだい晃司君も案外隅に置けないじゃんかー! 」
第五特区へと向かう電車内で悠大がおれの脇を小突く。
「隅に置けないってなんだよ」
「こんな可愛い子居るなら紹介してくれよ〜」
「お前そんなキャラだっけ? それに腐っても妹なんだから紹介するわけないだろ」
美穂は第五特区に入ってから目立つようになってきた浮上広告を食い入るように見ている。ちなみに浮上広告は上空にナノデバイスでもって映像を流しつつ浮かべる技術だ。ワイヤレスの電光掲示板みたいなもの。高さ制限がある上に使用許可を得るのに高額な料金がかかるため企業側にはあまり人気ではない。
「美穂、今日はどこへ行くんだ? 」
今日はクレイドルの面々が勢ぞろいだ。男勢は主に荷物持ち。
「今日はね〜、せっかく五区に行くから『シティジェル』でお買い物するよ! 」
「おお、あそこか! おれも一度行ってみたかったんだよな」
シティジェルとは大型の複合商業施設で街中の宝石というそのままのネーミングだ。商業系の充実している五区の中でかなりの人気を誇るスポットなのだ。
『次は、五区七条〜五区七条〜。お降りは左側の扉です。お忘れ物のないようにお願いします』
アナウンスが車内に流れる。
「よし、降りるぞ」
駅のホームに出ると、屋根の隙間から晴天が顔を覗かせていた。屋内で過ごすにはもったいないほどの晴天だ。
「おお、日差しが暑いくらいだな」
剛毅が思わず目の上に手でひさしを作る。
「ふっふっふ、実はあのシティジェルの最上階には展望テラスがあるらしいのだー! 」
美穂が誇らしげに言う。
え……まさかこの5月の暑い中外に……?
普段あまり表情が豊かとは言えない千草でさえ眉をひそめる。
嫌な……予感がする。
美穂を除いた全員が恐らく同じことを思っただろう。
とはいえまずはシティジェルまで歩かねばならない。幸い駅から歩道が繋がっていて非常に利便が良い。
「「にゃははははー!! 」」
阿古と美穂が花壇や屋内樹やらが左右に並ぶ長い歩道を競争して走っていく。
今日は忙しい日になりそうだ。
この章が終わった時の行間で固有名詞とか特育都市のこととか軽くまとめますので今の所は「へーそういうのがあるんだー」みたいに読み流してくださいwそして行間を読んだ後読み返すのです……そうすればPV数が増えて多少注目されるようになって……はっ!つい本音がw
これからも出来る限り分かりやすく書きたいので指摘等ございましたらお願いします!
ではまた次の更新で〜