すいません!投稿するつもりだったんです!でも誤算があったんですよ!
聞いてください!止むに止まれぬ事情を!
ズバリ!
麻雀にハマってましたw
……やめて!石を投げないで!投げるのは上がり牌だけにしてください!
PS.昨日までドラを知らなかった初心者とは私のことだ
「結界用魔法のフュルギエは知ってますね? さっさと始めちゃいましょう。って何してるんですか!?」
魔法かー……。
今一番聞きたくなかった単語だな。
そこでシリアスになりかけた空気を一気に切り替えにかかった。
「おばちゃーん、アイス七個くださーい」
「はいよ、一人で持てるかい? スタンド、後で返すんだよ」
「子供じゃないんだから分かってますよー。え? いやアイス買ってるだけだけど」
「話聞いてました!?」
暗視ゴーグルにレザー手袋で戦闘準備バッチリらしい茶髪の少女が必死に叫ぶ。
おれは、あんな魔法だの魔術だの理解の及ばない技術がたっぷりの世界には極力関わりたくないのだ!
ここはこっちのペースに呑ませて上手く逃げてやるぜ……!
「いやー、一緒に遊びに来てる連中に何か買わないと文句言われそうでさー」
「だから……!」
「そうそう、だからアイスで手を打とうと思ってさ」
「あの……話を……!」
「ん? もしかしてお前もアイス食べたい?」
「いや、そんなの要りませんから……!」
「そう言うなって〜、ここの美味しいと思うよ?」
ほら、と追加で一つ買って少女に差し出す。
「あ、ありがとうございます。ってそうじゃなくて!」
「ん? バニラ嫌いだった? ん〜、だとすると人気No.2の『北欧をイメージしたサーモンアイス』にする?」
「それほんとに人気No.2ですか!?」
キワモノ臭が物凄いです……!とわなわなして手渡されたバニラアイスを舐める少女を尻目にこそこそと立ち去ろうとする。
「って、あっ! だから待ってくださいってば!ってお、お金……あーもう!」
よし、上手く混乱してくれたみたいだ。
これを機にそそくさと離脱する。
「お待たせ〜」
タッタッタッと駆け足気味にジェットコースターのレール脇の白い丸テーブルで待っていたみんなのところに駆け寄った。
「遅いぜ晃司ー。お、ナイス!」
「はっ、晃司! まさかそれは……!」
明希奈がわなわなとおれの持つアイススタンド(十本セット可能、持ち運び用レンタル。お値段百二十円)
「ん? これか? 目について美味しそうだから買ったんだけど……」
「それ結構買えない……よね」
心なしか真衣も若干目を輝かせてる気がする。
「ほほう、人気のアイスを『ただ目についた』って理由で買ってくるとは、コウちゃん優しい男ポジション狙ってるね?」
「そんなにニヤニヤするな! 狙ってないから!」
形が崩れないようにカツッとスタンドをテーブルに置いて、横のテーブルから椅子を1つ借りてきて座る。
「いや〜でもやっぱ私としては『北欧サーモンアイス』でもアリだったな〜」
「そんなに食べたかったなら自分で買ってきたら? そこの道をまっすぐ……っ!」
指差した道に人混みを必死で掻き分けながら広場に出てくる茶髪の少女を見て慌ててテーブルの陰に飛び込む。
無造作にくいっと額に押し上げたのか豪快に髪を跳ねあげているゴーグルに、片手に束ねて持ったレザーの黒手袋。間違いようもない、ニシオミサヤとかいう少女だ。
「ん? どうしたのよ、あんた? 腹でも痛くなった?」
「ああ、そんなもんだよ」
急にしゃがんだおれを見て明希奈が不審そうな声を出す。
茶髪少女が辺りをキョロキョロと見回した後で出園口の方に走って行ったのを見て椅子に座り直す。
もしかしたら向こうも向こうで一緒に遊びに来ていた友達と合流しに行ったのかもしれない。
「晃司。またトイレならサーモンよろしく。」
「美穂も食べたーい!」
千草のセリフに合わせて美穂もハーイ、と元気よく手を挙げる。
「あれほんとに食べれるのか?」
「食べ切れなかったらお兄ちゃんにあげるよっ!」
「それは名案ね、あたしもそうしよう。あんたよろしくね」
食べ残しのサーモンアイス、二本を処理させられるシーンを想像してみる。
……壮絶でしかない。
「断固お断りだ!」
「あら? 美少女二人分の間接キスよ? あらあら?」
「あらあら?」
「しなを作るな、気持ち悪い!」
いくらピンクはピンクでもサーモンピンクな世界はお断りだった。
「まぁまぁ良いじゃないか、ラストにジェットコースター乗って昼飯にしようや」
「良くないんだけどな…。どれに乗るんだ?」
「これが良い。」
スッと園内案内用の地図を出して指差す。
ここからそう遠くない位置にあるようだ。
「良いね、フードコートも近いしそこにしよう」
『スロースターター』か。今までのよりは遅そうな印象の名前だな。これならご飯前に乗っても大丈夫だろう。
『スロースターター』に乗り込んでから約五分。ライドはくねくねした道を他よりも比較的遅く走っていた。
「うーいぇー! この最高潮に至るまで焦らしてくれるちょうど良いスピード感!そしてスロースターターであるがゆえの後に訪れるライド系最高速! すでに今から楽しみ過ぎて堪んないね!」
相変わらず阿古が隣ではしゃいている。
「し、しまったァ! スローって言葉に安心しすぎた! というかジェットコースターに無条件で乗ることが常識になっちゃってた辺り完全に頭が麻痺してた! ……あれ? ちょっと待って。どこまで上がるの!? ねぇ! これ以上昇るより元来た道をゆっくり降りる方が楽だと思うな! おれは!」
ガックン。と、まだ上に線路が延びているのが見えているにも関わらず車両が停止してしまった。
「あ、あれ? もしかして緊急停止? 神よ!私の願いを聞き入れてくれたのか!」
両手を組んで斜め上の青い空に向かって感謝の祈りを捧げる。そんなおれに後ろからジョージがボソッと……。
「このライド、まだ始まってすらいないんだぜ」
え? という声がかなり前の方から聞こえた。自分が出した声だと気付いたのは事態に気付いてからだった。
音もなく滑り出した車両はそのまま、元来たレールを下へ。
「うおおおおおおおおおおおあああああああああ!!!!??」
「キタキタキター! バックドロップゥゥゥ!!」
普段は見せないようなハイテンションで楽しむ明希奈の声が後ろの座席からダイレクトに耳に飛び込む。
そしてそのままライドは右へ左へ……あれ? 後ろ向きだから左? 右? もー分からねぇー……。
そしてライドの出発地点、つまり乗り降りするところまで戻ってきた。
ただし。
あまりにも速い速度で。
そしてそのままホームの後ろに天へ二次関数のグラフみたいに伸びるレールで減速からの加速。
「二周目かよォォォォォォ!!!」
「わ、わわわ!!」
おれと同じく超高速系ライドが苦手な真衣(同じく無理やり乗せられた)が慌てたように悲鳴をあげる。どうやら終わったと思ってホッとしていたらしい。
結局、途中で逆行させられた上りのレールから先はホームからそこまでの二倍弱あった。完全なグロッキー状態だ。
「うぇぇ……このあと……昼ご飯だっけ……?」
「ああ、そうだな!」
「なんでそんなにハツラツとして居られるんだ……」
「み、みなさん凄いですね」
すでに通常運転に戻ってる真衣さんも凄いと思いますよ……。
七人でおれだけが唯一グロッキー状態だったため無慈悲にもそのままフードコートへ連行される。
手を引っ張って行ってくれるのは嬉しいですけど、せめて歩調くらい合わせてくれませんかね千草さん……。
「おーい、着いたぞ。大丈夫かー?」
「うっ……あ、ああ。なんとか」
「ま、ライド系はもう終わりで次は他の回ってくつもりだし、しっかり休憩しな」
「ありがとうジョージ。恩にきるよ」
「アッキー! おれと晃司の分も何か適当に買ってきてくれー」
「えー、か弱い女子に運ばせるの?」
「じゃあ晃司と二人っきりで待ちたい?」
「それは遠慮するわ。買ってくる」
ぐはぁっ! そ、そんなキリッとした顔で断言されるとわりと心にくるんですがっ……!
昼ご飯を食べ終わったのがちょうど一時半くらいを回ったところだった。ここに来たのが二時くらい。
そして今はおそらく二時半くらい。つまり入場してからすでに三十分ほど……。
真っ暗な通路にところどころ不安定な明滅を繰り返す古いタイプの蛍光灯。
ここはいわゆるお化け屋敷だった。
「くそっ、貴重品として携帯を預けたのは失敗だったか……?」
「だ、大丈夫かなぁ……。出れると良いんだけど……」
今現在通路を歩いているのはたった二人だけ。おれと真衣だ。
入り口で二〜三人にジャンケンでグループ分けをして、どのチームが早く脱出出来るか、を争っているのだ。
ここ『シャッフルハウス』は事前のルート調査が全く意味をなさない。
「ううん……ここやっぱり通ったような……」
「やっぱり時間をかけすぎたか……?」
理由は単純だ。三十分毎に通路の形が変わってしまうのだ。それも
・壁が現れる(消える)
・ドアが現れる(消える)
・ギミックの位置が変わる
などのかなり根本的な部分すら変わってしまう。
「そうだ! 真衣ってピースエイダーだよな! ナノデバイスが動いた気配とかって分からないか……?」
「ううん、分からない。ここ、室内だし、あまりにも多くの物が動き過ぎてる」
「そっか……。やっぱりこれしか手がかりは無いんだな」
入場者にはたった一つだけアイテムが渡されている。自分の現在位置が定期的に投影される建物の航空写真とタイマーが内蔵された時計だ。
航空写真は大まかな位置しか分からないし、出口の場所も通路の形も描かれていない。
タイマーは一時間経つと脱出失敗として正規の出口とは違う出口への道が開ける、タイムリミットの役割を果たしている。
「とりあえず壁沿いに進んで行ってみよう」
「そうだね……。そうしよう」
出口は壁沿いにあるとは限らない、というのがこのアトラクションの恐ろしいところだ。
そしてもちろん、ここはお化け屋敷。当然、アレが出る。
バンッ!!と、いやに耳に響く轟音を鳴らしながら白装束の男が内側の壁から飛び出してくるッ!
「わひゃぁ!」
と、真衣が慌てておれの後ろに隠れる。
ふへへ……これが役得ってやつですね……!心の底からジョージと二人きりなんて地獄にならなくて良かったと思う。
白装束の男はそのまま右の壁の中へと消えていく。おそらく部分的に壁を構成するナノデバイスを動かしているのだろう。
「大丈夫か?」
「あっ、ごめんなさい! 大丈夫です!」
慌てて背中に押し付けていた手を離して勢い余ってバンザイの姿勢になってしまう。
そのままでも良かったのになー。
……おっと危ない危ない。今は早く出口を探し出さなくては。
その後様々なギミックに驚かされるが、どうやら真衣は『出口が見つける』ことに夢中になるあまり驚かされると普段以上にビックリしてしまうようだ。その度に手や背中に抱きついてくる。そしてその度に押し付けられる二つの膨らみがなんとも……。
「あの……晃司くん……?」
「わわっ! な、なんだい!?」
「? どうか……した? 」
ま、まさかバレた……ッ!?
「い、いやなんでもないよ!?」
「アレってもしかして出口かな……?」
真衣がおずおずと指差す方を見ると白色に光り輝く、いかにも非常口です、といっているような案内板が見えた。
「おお! ナイス真衣!」
「う、ううん! たまたまだから」
よっしゃ、さっさとゴールして優越感に浸りながら待つとしようぜー! と一気に駆け出す。
ダダッと走り、その案内板の下に辿り着いた時……
「あー!! 見つけたッ!!」
案内板に集まるように並んだ三つの通路の内の一つから聞いたことのある声がした。
嶺上開花!国士無双!平和!三色ツモ!
ふぅ……麻雀の役って、格好良いですよね!
どうすればこの役になるのかは覚え中ですけどいつか満面のドヤ顔で「ロンッ!」って言ってみたいものですw