どうも明日からのテストが怖い久遠ですw
なんでテスト前ってこんなに勉強以外の作業が捗るんでしょうね……
部屋の片付けをしてみたり、掃除をしてみたり、はたまたゲームに熱中してみたり……。
それはさておき、これからは少しずつ文字数を増やしていきたいです!
その後今夜はご飯が要らない、と剛毅と静佳と悠大から連絡が来たため外食で済ませた。すでに辺りは暗くなっていて、遊び疲れがわりと足にきていた。
ガチャンッ! という大きな音と共にクレイドル前門が重々しく開き始める。
以前剛毅に『こんな門だけでセキュリティ大丈夫なのか? 』と聞いたことがある。剛毅曰く『見た目はスカスカだけどちゃんと最新技術でガッツリ守ってるから大丈夫』だそうだ。
千草が屋敷の扉の鍵を開け、おれと阿古が続く。剛毅も静佳も悠大もまだ帰ってないらしい。
「ただいまー! って誰も居ないけど」
誰も居なくてもつい家に帰ったらただいまって言っちゃう、あるあるだけどなんでだろうね。
「おかえりなさい」
「あ、お邪魔してます! ……ってことで」
見たことある人が一人に初対面が一人。
計女子二人ってことで
「だ、誰だ!?」
「うん? 今日の今で忘れたんですか? 西臣沙耶ですよ西臣沙耶。ほら、ちょっと前にあなたを燃やそうとした、うっかり系女子」
数時間しか経ってないので当然だが服装は相も変わらずセーラー服に暗視ゴーグル……それに銃?
「いろいろと突っ込みたいことは多いが、その警察官が持ってそうな銃はなんだ!? それに隣の女子誰?」
「へぇー、すぐ女子に目が行くなんて晃司さんも隅には置けないですね」
勝手に持ち出したであろう紅茶を優雅に飲みながらニヤー、と笑う。
「後ろにはさらに女の子が二人とくれば……ねぇ?」
「良いから質問に答えろ……」
「おお、そんな怖い顔しないでくださいよー。銃は単純に<フレアライズ>の精度を上げるためですよ。自分でもどこ燃やしたか分からない、なんて間抜けな負け方したんだから当然です。ピースエイダーの方にも許可は取り付けてありますし。それが出来るほどの影響力を持った先輩がうちには居ますので。こっちの子は……まあ自己紹介で勘弁してください」
ひゅんひゅんとトリガーの部分に指を入れて銃を回しながら言う。どうやら銃口は開いていないらしい。
「どうも。草壁 佐理亜(くさかべ さりあ)です。沙耶と同じ第五所属の心理系魔法を使います。……ってことです」
また変なやつが増えた……。
「コウちゃんの知り合い?」
「ああ、片方はな。燃え…させる? 魔法の使い手だ。西臣沙耶というらしい。もう一人は知らん」
「萌えさせる……! なんて特殊な魔法なの……! ちなみにあなたは何萌え!?」
「ああっ! もう! 違いますよ! あなたが変な日本語使うから早速誤解を生んでるじゃないですか! 簡単に言うと無機物を燃やす、です!」
ガチャン、と銃を床に落としながら慌てて説明する。結構重量感ある音がしたな……フローリングに傷が付いちまう……。
「なーんだ。ガチムチ系の魔法かぁ。コウちゃんの客なら私たち疲れたからもう寝るねー。おやすみ〜」
「じゃあ。おやすみ。」
「ああ、二人ともおやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ……ってことです」
二人がいなくなってから沙耶が口を開く。
「私がここに来た理由は一つです。ズバリあなたの力について知りたい」
「どういうことだ。さっぱり分からん」
スッと椅子から立ち上がり沙耶が語り始める。
「私はあなたに本気を出させて剣を取り出すように言いました。でもあなたは出さなかった。だから万全の態勢であるだろう拠点まで来ました。それに、とても嫌な予感がしました。燃え盛る長剣を振るう……。一見単純なようでこれを行うには最低でも二つ以上の魔法が必要です。そしてあなたからはそれほどの魔力を感じられない。佐理亜」
横に立って屋敷の中の調度品を見ていた佐理亜がこちらを向く。
「……大体魔法一つかそれ以下ってくらい。……ってことだね」
「佐理亜はある程度、人の魔力量を推し量ることが出来ます。未だかつてそれを外したことはない。つまりあなたはどこかでズルをしている……。力の正体を明かしてください」
おれの魔力が少ないのにあんな芸当が出来るのはひとえに<テット・ゲート>のおかげだろう。魔術は魔法よりも魔力消費が少ないと聞いたし。
それを明かすべきか? でも……魔術のことを話して良いか分からない……。もしかしたら内通者として捕まる。なんて可能性も。
そう考えると言うことは出来なかった。
「さあ……なんでだろうな」
「まあ普通はそうなりますよね……。佐理亜ごめんなさい、頼みます」
「やるしかない。……ってことですね」
佐理亜がふらっと力を抜いた状態でこちらへと歩いてくる。
そして右手を挙げて、トッ……と軽く突くように指先をちょうどおれの胸元の中心に乗せた。
ドッッッ!!
と音にならない衝撃が全身を走る。
まるで血流が全部逆流するような違和感に襲われる。
だが触れられた指先から逃げることが出来ない。体が動かない。
「がっ……ゲホッ……!」
「……佐理亜はゼロ距離においてのみ相手の中身を見ることが出来ます。魔力の逆探知みたいなものですよ」
沙耶がどこか心苦しそうな表情をしているのは大きな代償か何かがあるのを知っているからだろうか。
ゾゾゾゾゾという違和感は十秒ほどで唐突に消えた。
代わりに、体の奥底から自分の体をも食い破りそうな勢いで湧き上がった何かがあった。それが佐理亜の指先付近に届いた瞬間。
ギチギチギチ……ブチンッッッ!!
という壮絶な音とともに佐理亜が二メートルほど後ろにバックステップし着地することなく床を滑った。
その後呻くような声を出し足を抱きかかえて震えていた。
そしておれは佐理亜がバックステップすると同時に床へ倒れこみ、自らの意識が遠のくのを感じていた。
「佐理亜!?」
そしてそのまま耐えきれずに現実から乖離する。
【草壁佐理亜の場合】
ブツンという音は足から聞こえてきた。体の内側だけでなく、外側からも。
当然、直後に壮絶な痛みが襲ってきたが、それよりも心の底から湧き上がってくる畏怖を抑える方が苦しかった。
古守晃司という少年から感じられたものは誰でも持つような普通の人間の思想だった。問題は、それに寄り添うようにしてナニカが居たこと。
まるで何も感じることは出来なかった。ただそこには一つの怒りと一つの憂いがあった。
それはたった一言も発しなかった。
ただ畏れ多い。その畏怖から触れるのを本能的に拒否して、足の腱を含めたほとんどの筋肉を引きちぎるように真後ろへ跳んだ。
沙耶には迷惑かけるけどちょっとこれ以上は無理ね……。大人しくするしか出来なさそう……。
「沙耶、気にしないで」
「え?」
「私より先にあっちのアフターケアをしてあげてってことです。私には出来ないので」
「アフターケアって……何を」
「しばらくしたら目を覚ますでしょうから書き置きでも残してあげてくださいってことです」
すぐにでも私を病院へかつぎ込みたかったのであろう沙耶は盛大に舌打ちをして、少年から携帯を抜き取り、細々と操作をし始めた。
遠目に見ても少年からは何の威光も感じられなかった。そのことを改めて確認すると一気に気が抜けてしまった。
慌てて作業を終わらせて駆け寄って私に肩を貸して担ぐ。
やり残したことが無いのを確認して、ようやく安心して眠りに落ちた。
圧倒的な畏怖の存在……それに他にも色々と分からないことが増えたけど今はそれを誰かにはなしてはいけない気がした。
【古守晃司の場合】
目を覚ますと横に携帯が転がされていた。あれから時間はさほど経っていない。
一件、見たことはないアドレスからメールが届いていた。
『佐理亜が見たことについては私も知らない。佐理亜自身が語ろうとしないから。でもあなたは安全だって言ってた。だから私はあなたを信用する。今だけは。いつか害をなす存在になった時は必ず私はあなたに攻撃する』
自分勝手な文面だった。電話帳には西臣沙耶と書かれて登録が完了している。パスコードロックもかけていたのに。
たぶん佐理亜という少女の見たものはテット・ゲートだ。やはり魔術は公言するべきでは無いものなのかもしれない。
「よっ……と」
体を起こすと、床で倒れていたためか背骨がバキバキと鳴る。
「よく分からないが納得したのならそれでいっか」
呟いて、自分の部屋に戻ってベッドに入る。
「そーいや佐理亜……? だっけ、大丈夫かなぁ」
これが新たな騒乱の種になるとも知らずに。
少年は眠り、入れ替わるようにナニカが寝覚める。
善か悪か。
敵か味方か。
未来と過去を巻き込んで。
現在がうねり始める。
次回は行間なので本日中か明日に投稿する予定でーす!