おかしいな、1週間前に『明日か明後日には投稿しまーす』とか言ってたのにね!
……言い訳させてください。あのね、当初は設定を並べるだけの予定だったんですよ!でも味気ないなってことになって。だから一本ストーリー考えてましたw
結果。1週間遅れました。ほんと申し訳ないっ!
どうか温かい目で見守ってやってくださいな……
【ある少年の殴り書き】
・第○特別研究地区(略称:第○特区)
以下古守の属する第7研区で使われる俗称(第7は反転)
第1特区:独断専行の第1(先手必勝)
第2特区:防衛特化の第2(専守防衛)
第3特区:武装放棄の第3(無抵抗主義)
第4特区:内情査察の第4(聞き上手)
第5特区:初志貫徹の第5(首尾一貫)
第6特区:白黒曖昧の第6(???)
第7特区:眼中之釘の第7(吹き溜まり)
↑ 各支部1区ずつ担当↑
生活区外に関してはどこかの支部が自己判断で出てくる。
・魔術:古式魔法のこと。魔力はほとんど必要無い。超越系魔術等の謎多き魔法。1度その技術は失われたが、人の魂に魔道書として遺されている。解析するには人を魂ごとバラして再編しなければならない。
・魔法:現在新しく開発された科学からはかけ離れた技術。一応空想科学の範囲内にあることが多い。魔術同様存在を知る者はほとんど居ない。多種多様。
・刻印魔法:だれにでも使える普遍的なもの。
表側のピース・エイダーでは上位者の表れ。表側ではテレビのボタンのような起動コンソールとして説明されている。
裏側ではおまじない程度のもの。
・魔法師:行使する魔法とその威力によって少なからず性格にその影響が現れている。一般的な技術を組み合わせて、まるで自分専用スキルのような技術を持つ者も居る。仕組みさえ解ればマネすることも出来るが基本的に使用者のパラメータに合わせて設定されているので、無理して使うほどの価値は無い。
大抵の場合自らが「どのような方法でどのような方式を経由してどんな現象を起こすのか」を明確にするために象徴となる物を目の届くところに配置している。それを取り上げられると魔法の発動が困難になる。完全に魔法が使えなくなるわけではない。
・魔術組織ウルズ:シリアルキラーがトップを務める魔術組織。多くの魔術師、魔法師を抱える一大機関。
・対魔術組織ケイオス・クワイエット(C.Q):晃司達の属する特育都市内の対魔術師特化の機関。
・クレイドル:C.Qの第七拠点の個別名称
【ある春の日の身体測定】
「そーいやさー、晃司って何cm?」
思えばその一言が事件の始まりだった。
……かもしれない。
「急に何の話だ?」
ある春の日の午後7時頃、家に帰ってダラダラとソファに座り一人でテレビを見ているとドサッと悠大が背もたれの上にのしかかってきた。
「身長のことさー」
「ああ、今度身体測定があるからか」
特育都市では生徒登録更新のために定期診断の他に年に一度、年度始めに都市内の学校が一斉に身体測定をする日がある。その日は測定の終わって登録をしたらもう帰って良いので半分祝日のようで生徒達には大好評だ。
「そうそう! 果たして僕より高いかな!?」
「さすがに無理だろ〜。誰が見ても明らかだぜ。頭は一個分は違う」
ぐぐーっと上を向いて悠大の頬をむにっと片手で挟む。
「よ、ようひゃないにゃぁ」
「……まあ、それよりアレどうするんだ? なんかお前の一言が何をどうなったのか、戦争にまで発展してるぞ」
ぐいっと悠大の顔をリビングのテレビからダイニングテーブルへと向ける。
「ひたひひたひ、ほぇ?」
ガチャンッ!
テーブルをガラスコップの底で叩く音が聞こえてくる。
そしてその透明だったコップは全体的に白く濁っていた。
つまり。
要するに。
「ぷはぁ! どうよこの飲みっぷり!」
「……牛乳を飲んだところで私には敵わない。」
「のん! 千草ちゃんには分からないだろうなぁ! この身長がぐんぐん伸びる感覚!」
「日本人は牛乳からカルシウムを吸収するのは苦手と言われている。」
かたや牛乳パック(一リットル)とガラスコップを率いてグイグイ飲んでいるハイペース阿古、かたや優雅な金刺繍模様の入ったソーサーとカップに紅茶を注ぎ、少しずつ飲んでいるスローペース千草。
「はっ! 今私の魔術にビビビっと反応があったよ! 曰く『成宮 阿古は一八〇センチ越えの超ナイスバディーになるだろう』って! 私の魔術は確実だからなー、これはもはや私の勝ちだね!」
なんて都合の良い魔術なんだ……!
でもこうなるともはやこの勝負に意味は無いな……。
千草はちらっと阿古に目を向けると、
「ヴォルヴァは使われてない。」
と言い放った。
ピシッと牛乳を注いだ手が止まる。
「なっ!? にゃにを根拠に!」
「魔術を私は見ることが出来る。今のタイミングでは発動していなかった。」
そういや千草は魔術を文章体として見れるんだったな。
分が悪すぎる。
「大体。身長を伸ばす最も効果的な方法はたくさん食べて夜によく寝ること。深夜までゲームをして夜更かししているあなたには無理。」
うぐっ、と言って黙り込む阿古。
あいつテレビゲームから携帯アプリまで何でも手を出すからなぁ。
これは勝負あったかな、そろそろ仲裁に入ろう。
「それって根拠あるのかな? だって二人とも全然……」
「こ、この……馬鹿野郎ッ!」
慌てて悠大の言わんとすることを止めるために全力で抑えにかかる。
そーっと振り返って二人の様子を窺う。
「これはユーちゃんに一本取られたねぇ」
阿古がニィッと起死回生の案を得た策士のように笑う。いや、まさにそうなのだろう。
ピタッと千草が紅茶を口に運ぼうとしていた手を止める。
「なら。次の身体測定で白黒つける。」
(想定してたよりはずっと軽い爆発で済んだ、良かったな。悠大)
コソコソと耳打ちをする。
「え? なにが? 僕は事実を言っただけなんだけど……」
あーもう……こいつ知らねぇ……。
「二人とも小っちゃい方が可愛いわよ」
と、どこから話を聞いていたのか静佳がやってきて千草に後ろから抱きつく。
風呂上がりのバスタオル一枚だけなのでものすごく目のやり場に困る。
「くはー……良い湯だったー! 晃司か悠大もさっさと入っちま……。何してんの?」
「色んな意味で目も当てられない状況です」
ソファの背もたれの方を向き、顔を両手で覆ってうずくまっていると、騒乱の本陣に風呂上がりの剛毅がやってきた。
ちなみに今、部屋では阿古と千草が喧嘩している。珍しく取っ組み合いにまで発展しているようだが静佳が横で大爆笑しているため見ることは叶わない。
悠大は早々に二人に伸されてしまった。
「おいおい、二人とも良い加減にしないか」
「あはっ……あはははははー!」
「身長はたった三日でも伸びるってことを証明しようよ、千草ちゃん」
腕を組み合わせ、顔を見合わせ、見えない気のようなものを突き合わせる二人。
「良いよ。目に物見せる。」
「なんで二人とも味方風なのに取っ組み合いなんかしてるんだ!」
剛毅が誰へともなく叫ぶ。
「はっ! 僕は今まで何を!? 」
そして床に伸びていた悠大が起き上がる。
「あははははー! あーあ、さっ、最高にツボに入っちゃったわー、んふ、ふふふふふ」
バサッと大きな布が落ちるような音が聞こえた。
「げっ、笑いすぎだっての! 」
そして慌てて逃げ去る足音が二つ。
「良いからとりあえず服を着て静佳さーーーん!!」
赤面した顔を必死でソファに押し付けた完全孤立状態の少年の叫びが七区最大の屋敷に響き渡る。
それから二日後。
身体測定の日がやってきた。
「お、一八二センチか。前より三センチ伸びたな。晃司はどうだ?」
「おれは一七四。まあそこそこだなー」
測定後の紙を見ながら教室へ戻るため廊下を歩く。
「ってジョージ一八〇越え!? はー、いつの間にそんな高く……」
「うちは両親が両方とも高身長だからなー。たぶんもうちょい伸びる」
おれより高いのは当然分かってたがこれほどとは……。
「ま、なんにせよ今日はこれで終わりだろ? あとは教室帰ってこの紙を出すだけだ」
「そうだな。さっさと出して久しぶりにボウリングにでも行かないか?」
「そういえばまだ決着をつけていなかったな。よし! そうと決まればさっさと行こうぜ晃司!」
おう! という返事は横合いからの轟音に遮られた。
ガッシャァァァァァァッッッ!!
という音とともに街に面した窓が三メートルくらいに渡って思いっきり砕け散る。
「な、なんだ!?」
そして割れた窓の向こうから泥だらけの阿古が廊下に転がり込んできた。
「あ! コウちゃんちょうど良いところに! というより狙ったけどね!」
「な、なんだ、何があったんだ!? 血は付いてないみたいだが!?」
「ちょっとやらかしちゃって……ね」
ちらっと自分の入ってきた窓枠だけの窓の方をチラッと振り返る。
校舎から学校の敷地を囲む塀までは車が数台横に並んでも通れるくらいの距離がある。
そして、そこにはアニメから抜け出してきたような男が立っていた。
簡単に言うとまるで翼でも生やしたかのように刀が男の後ろに浮いているのだ。左右それぞれ三本ずつほど。
「成宮ァ……。良い加減観念しやがれェ……」
毒霧でも吐いていそうな声の超ムキムキ男が思いっきりこっちを睨みつけている。
「お、おい……あれなんだよ……?」
「それよりコウちゃん、持久走は得意かね?」
「え? それってまさか、お前!」
シュピッとおれの手からデータ用紙を奪い取りジョージに渡す。
「ジョージくんや、これをコウちゃんの代わりに提出してあげてね!」
「おい、待て! 勝手なこと言うな!」
「はい、コウちゃんはコレあげるから! さあさあ走った走った!」
「ちょ、おい! だから待てってーーー」
右手に何か小さくて硬い棒状の物を握らされ、左手を掴まれて走り出す。
「チッ! 逃がすかッ!」
ガシャッというガラスを踏む音からあの男が廊下に入ったことを知る。
「なぁ、おい! 阿古! 一体ほんとに何をしたっていうんだ!」
「い、いやぁ。大したことはしてないよ?」
「大したことしてないって……具体的に」
ガリガリガリガリ! という音が後ろから迫ってくる。おそらく校舎の壁に刀が擦れている音だ。
「だって、あんな芸当が出来るのはP・Aだけだろ!?」
これ以上校舎を傷つけさせないために廊下を飛び出して正門に向かう。
ギャリッ! という音からしっかりと付いてきているのが分かる。
まさかこれこっちが弁償とか言わないだろうな?
「まあとりあえずコウちゃんはそれを守ってくれれば良いよ!」
「これを?」
「そう!」
なんのことはないただの金属の棒にしか見えないが……。
ボタンも特になく、直径一センチ、長さも手に収まるくらいの小さな円柱。珍しいのは青い塗装が全く剥げていないことくらいか。
「ふーん……とりあえずまずはあいつをどうにかしないとな……」
チラッと後ろを窺うとあいつはまだ追ってきていた。そのまま正門を飛び出して街へと躍り出る。
「まったく、しつこいなぁ!」
「もう素直に謝った方が良いんじゃないか?」
「そうはいかないんだよね」
こっちが何を言ってもはぐらかされてしまう。
「しょうがない。ちょっとズルするかな」
最近分かったことなのだが、どうやら潜在能力を引き出された影響とやらでおれはある程度身体能力が上がっているようなのだった。
そんなわけで阿古を抱きかかえてビルとビルの隙間の路地に入り、『パルクール』と呼ばれるスポーツの技術を使って三階建てのビルを一気に屋上まで駆け登る。
「よいしょっと。とりあえずこれで一旦は撒けただろ」
「お、おおおおおお姫……お姫様……め様抱っこ……」
ゴニョゴニョとうつむきながら何やらヒートアップしている阿古の肩を叩く。
「なあ、そろそろこれの秘密を教えてくれ」
「ひゃ、ひゃいっ!? わ、わた、私の秘密!? それってつまり、あぅぅ……コウちゃんそれは早すぎるよぉ……」
肩を叩く前よりさらにヒートアップしてしまった。何かまずいことを言っただろうか……。
「……何を言ってるんだ?」
くるっ……くるっ……と手元を見ずに金属棒を投げ上げて遊ぶ。
「っと、うぉっ!」
すると思わず金属棒を落としてしまってコンクリートむき出しの屋上を跳ねる。
「っと、ごめんごめん」
ヒョイっと拾い上げると落とした拍子に何かが作動したのか金属棒から薄いシート状のスクリーンが飛び出していた。
「なんだこれ?」
おそらく中で巻物のようになって格納されていたのだと思う。シートスクリーンを最後まで引き出すと大体スマホの画面くらいの大きさになった。
そしてシートの真ん中に動画再生マークが表示される。
「これは……?」
「見られちゃ仕方ないや。白状するよ。それは私が学校のコンピューター使って色々とやっていた時の記録映像なの。あいつは私がパソコン使ってデータ改ざんしたと思って追いかけてきてるんだけど、冤罪なんだよね。逃げる直前に吸い出したの」
「なるほど……つまりあいつの頭を一旦冷やしてこいつを突きつければ……」
「そう、この件はそれでおしまい」
「そうと決まればさっさと終わらせようぜ!」
カンカンカン、とビルの外に備え付けられた非常階段を駆け下りる。
いざ、決着を付けに。
普段より人気の多い道を真衣が一人で歩いていた。
今日の午前は身体測定、午後はP・Aの後輩研修とほとんど隙間なく詰められたスケジュールだ。
身体測定を滞りなく終わらせて今はP・Aの七特区の本部に向かっている。
「はぁ……」
中学の時からP・Aに所属していた真衣にとって今年度の新候補生達は過去最大に手が焼けると感じていた。とにかく個性が強すぎるのだ。それぞれの正義感を武器に戦う私たちにとって他人と感覚が違うというのは十分すぎる問題だ、と真衣は思う。
(五特区でも問題が早速起きたらしいし、うちに限った問題じゃない……と思うんだけど、でも……やっぱり気になる……というかなんというか……そもそも犯罪が少ないから学生主導でもなんとかなってるのに治安を守る側がアレじゃ……)
「おーい、真衣ちゃん! おーい真衣ちゃんってば!」
(特に新候補生の南風山(はえやま)君……。あの子は突っ走るくせがあるから……)
「あれ!? うそ! 無視する? この距離で!? おーい!」
(その特徴は生かしつつせめて安心して部署一つ任せられるくらいのレベルにはしたいな……。だからまずは……)
「はっ!?」
ガシッと肩を掴まれる感触で我に帰る。
「あ、吉永さん……こんにちわ」
肩を掴んだのは妙齢の女性だった。
吉永さんは七特区の本部長。国語の教師をしているらしい。
「こんにちわ、じゃないよ? まったく〜。目的地はとっくに過ぎちゃったよ? 真衣ちゃんってばそんなに何かに熱中する性格だっけ?」
どうやら考え事をしている内にいつの間にか支所の前を通り過ぎてしまったようだ。それも……結構な距離。
「あ……いや、ちょっと考えごとを……」
「ふぅーん? ま、良いや! とりあえずちゃっちゃと済ませちゃお」
支所の建物に入るすぐに気づいたことがあった。
「あの……何か、あったんですか……?」
「あれ? やっぱり分かっちゃう?」
「これだけ物が散乱してれば……さすがに……」
部屋の中ではいくつかの段ボールがひっくり返っていた。中身は無いようだが何かに襲撃されたみたいだ。
「別にここで何かあったわけじゃないんだけどね。暴走台風が現行犯だーとか言って連絡寄越してきたから慌てて支給品の整理をしてたわけよ。結局渡す手立てが無くて放置することになっちゃったんだけど」
吉永さんが暴走台風と呼ぶのは南風山君のことだ。
一気に不安になってきてしまった。大体、まだ研修期間もまだ終わってないのに。
「吉永さん! 私ちょっと様子見てきます!」
「それが良いわ〜。頼んだわよ! あ、あとこれらも持ってって。あなたの分も調整済ませてあるから」
「ありがとうございます! じゃあ!」
元気ねぇ、という言葉を背に部屋を駆け出す。
走りながら渡されたヘアピン型の補助装置を髪に付ける。
と、同時に目の前に薄くモニタが表示された。
「リプライ」
小さく呟くと同時に耳に直接音声が流れてくる。ヘアピンから目に見えないほどのイヤホンコードが耳に届いたのだ。
『はろー、調子どう? 聞こえてる? 去年のデータ使ってるからズレてたら後で調整しようねー』
「はい、後でお願いします」
『よし、じゃあ本題に入ろっか! 台風はあなたの学校から連絡を寄越したわ。だからとりあえず周辺を探ってみて』
「了解です」
くるっと走っていた方向を反転させ、ひとまずさっき出てきたばかりの学校へと向かうことにした。
「犯人は現場に戻るって言うが、どうやら本当のことらしいな?」
「そんなジンクスに頼ってるあたりお前さては新米だな? っていうかおれを共犯に数えるな」
誰も居ない校庭に三人の学生が集まる。校舎内にもここから見る限り人気は無さそうだ。
「なあ、まずは話し合いをしないか? こっちから色々と言いたいことがあるわけだが」
「そういうのは大人に引き渡されてからにしな」
あくまでも徹底抗戦の構えのようだ。
「そうかい、今の内に謝れば罪を被らずにすんだろうに」
おれが抑えきれずに笑みをこぼしながら言う。
「それはこっちのセリフだろ? 勝手に取るなよ」
続けて一言一言区切るように校舎を背に立ったガチムチが言う。
「リギャザー・フロウウィング」
キンッという軽い金属音と共にガチムチ男の周りに計六本の刀が展開される。
「……しまった。どうやって止めるか考えてなかった」
「ええっ!? コウちゃんそりゃ無いよー!」
ちょっと浮かれすぎてたかなぁ。だってこういうバトル前のやり取りみたいなの憧れるじゃない!?
「……」
スッ……と無言で右手をこちらに差し向ける。
「飛べ。『羽刀』」
キュインッ! という空気を切り裂く音と共に二本の刀がこちらに飛来する。
「ぐっ……おっ! 厨二病……かよっ!」
思いっきり横に転がることで回避する。
阿古は……どうやら思いっきり後ろに駆け出して逃げたらしい。戦闘向きじゃないし賢明な判断だろう。
ザスザスッ! と深く校庭に突き刺さった刀を見てゾッとする。
「お前……犯人を殺そうとしてどうする!?」
「ようやく自白したな……!」
「あっ! 違う! そういうことじゃない! って危ねぇ! 飛ばすな、ハガタナとかいうの!」
何度も横に転がって避けるたびに元いた位置に刀が刺さる。一度刺さった刀をもう一度抜き直して投げ直してくるから刀が尽きることがない。
「……っ!?」
ついに校庭の端の木にぶつかってしまう。
ザッ……と確実な間合いに入って構え、完全に勝利が確定したガチムチ男は勝ち誇って言った。
「チェックメイト、だな」
「……その『一回言ってみたかったんだ』って顔が最期に見る顔になるとはな」
ヒュイッと、いっそ軽やかな音と共に決死の一本が飛来する。
目を閉じ、覚悟を決める。
カキッ……と金属同士が薄くぶつかり合う音が響く。
目を開けるとよく見知った人が右手を真一文字に振り払ったようにしておれを背に立っていた。
そして右手には意匠の違う刀が一振り。
「真衣……?」
「華原先輩!? 一体何を」
チャッ、と振り払った形のまま刀を落とす。そしてそれは地面に達する前に空気に溶けてしまった。
「一体何を……って。南風山君、あなたこそ何をしているんですか……?」
「え……いや、現行犯の確保を……」
真衣が一歩踏み出すごとに半歩くらい後ずさりするガチムチ男改め南風山。
「現行犯の確保って……完全に殺す気でしたよね……。しかも兵装の使用は緊急時のみのはずですよ……。晃司く……犯人は素手じゃないですか……」
これは相当怒っていそうだ。前に回って顔を見るのが怖い。
と思っていると、くるっと真衣がこっちを向いた。
「で……晃司君は何をしたの……?」
「ああ、それがな。おれじゃなくて阿古のことなんだが、これを見てくれ」
例の映像を見せる。
「これは阿古が何もしてない証拠だ。パソコに直接繋いだらしいから端末との接続時間とそいつの目撃証言が一致すれば証拠として成立するはずだ」
「なるほど……分かった。確認……してみるね。それと……ごめん、私の後輩が迷惑、かけた」
申し訳なさそうにしゅんとする真衣。
「おれはそんなに気にしてないよ。それよりもう帰って大丈夫かな?」
ジョージにも迷惑をかけたからさっさと穴埋めをしてしまいたいのだ。
「うん、本当にごめんね」
じゃ、といつの間にか隣に来ていた阿古と一緒に正門に向けて歩き出そう……とした時。
「あれ? ねぇ、成宮さん……。この映像、どこから取ってきたんだっけ……」
くるりと振り返ってもう一度自分で直接説明する阿古。
「え? だから学校のパソコンから直接……」
「ごめんなさい……。それ、アウトです」
「え!? でも緊急だったし!」
「言い訳は……事務所で……」
「諦めろ、阿古。真衣の目が本気だ」
どこか怒っているようですらある。余計な案件が増えたと言わんばかりだ。
そして結局正門はおれ一人で越えることになった。
その日の夜。
「阿古ちゃん逮捕されたって?」
「悠大か、もう知ってるんだな」
いつものようにソファでゴロゴロテレビを見ていると悠大が頭にのしかかってきた。
「まあ……本人があの調子なんだもん」
ちらっとダイニングの方を見るといつかのように千草と阿古が話していた。
「軽犯罪だからって図書館で無償でバイトしろって罰としてどう思う!?」
「……なんとも言えない。」
「だよね! 謹慎でもなくタダ働きって……。そりゃ公共施設が人手不足なのは知ってますけど……どうせならメイド喫茶とかが良かったなー」
やけ酒を呷るように牛乳をくーっ、と一気飲みする。
「……甘々だな」
「……甘々だね」
かんっ、とグラスを木製のテーブルに置く小気味良い音が部屋に鳴った。
【とあるコンピュータのマスターデータ】
古守 晃司(こがみ こうじ)
年齢:一八
身長:一七四.五
体重:六〇.二
所属校:小野町高校
備考:魔術<テット・ゲート>の契約者。ケイオス・クワイエット(C.Q)の第七支部所属。
凪良 千草(なぎり ちさ)
年齢:一八
身長:一五三.一
体重:五二.六
所属校:小野町高校
備考:魔術<テット・ゲート>保持者。C.Qの第七支部所属。魔術に詳しく、魔導書を読むことが出来る。
成宮 阿古(なりみや あこ)
年齢:一八
身長:一五二.六
体重:五一.七
所属校:小野町高校
備考:魔術<ヴォルヴァの兼言>保持者。C.Qの第七支部所属。
久原 譲二(くはら じょうじ)
年齢:一八
身長:一八四.〇
体重:六七.七
所属校:小野町高校
備考:帰宅部。あだ名はジョージ。
華原 真衣(かはら まい)
年齢:一八
身長:一五三.四
体重:五六.五
所属校:小野町高校
備考:帰宅部。ピース・エイダー(P.A)の第七特区支部所属。兵装名は《ポニアード》
河瀬 明希奈(かわせ あきな)
年齢:一八
身長:一六〇.八
体重:五四.三
所属校:小野町高校
備考:帰宅部。ジョージとは幼馴染。
間藤 剛毅(まとう ごうき)
年齢:二〇
身長:一八三.二
体重:七〇.八
所属校:第七大学
備考:魔法<ドッペル・シャドウ>の開発者。C.Qの第七支部所属。
砂村 静佳(すなむら しずか)
年齢:二〇
身長:一七十二.四
体重:五一.二
所属校:第七大学
備考:<マテリエイト>の開発者。C.Qの第七支部所属。
三木 悠大(みき ゆうだい)
年齢:一四
身長:一四五.六
体重:四六.三
所属校:柏崎中学
備考:魔法<マリオネット・ダンス>の開発者。C.Qの第七支部所属。
自分、常々思うわけですよ……描写が少ないって……。だからこれからはくどくても出来るだけ詳しく書きます!とりあえずその前段階として、すでに出ちゃってる主要キャラの軽いデータを載せました。最後のマザーデータが今回の話の肝ですwあとは前振りですw
そしてこの話でちょうど20話目……よくここまで続けてこれたな、というか続けやがったなって感じですよ……。
20話を記念しまして、10話以下を少しずつリメイクしていきますw展開は何も変わりませんが、描写を濃くするので良かったら見てやってください!
最後に次の投稿ですが……ちょっと先になりそうです……すいません……