朝、目が覚めダイニングに向かうと天気予報が今日1日は晴れやかな天候だと言っていた。今日はみんなに手伝ってもらい寮から荷物をこっちに運んでくる予定なのでとてもありがたかった。荷物を運ぶと言っても家電とかはほとんどここに揃っているらしいので本や服などを運び、古くなった物はまとめて新調するつもりだ。
「にしてもここは本当になんでもあるよなぁ…」
「統括理事の、お抱え。」
「えっ!マジかよ…じゃあ理事長は魔術とか知ってるわけ?」
統括理事はこの特育都市をまとめて管理している。設立したのも現理事長なんだとか…。
「分からない。統括理事は見たことがない。」
「うへぇ、都市伝説はここも例外じゃないのかぁ…理事長ってなんか怖いなぁ…」
この街にも都市伝説はいくつかあって、その1つに『統括理事長の姿を誰も見たことがない』というのがあるのだ。勝手におじいちゃんなイメージがあるがもしかしたら超美人のお姉さんなのかもしれないのだ!
「そんなことより。早く食べないと、意外と時間が無い。」
そうだった、と無駄話に逸れてしまった頭を食べる方向にシフトチェンジする。
今日は静佳さんの当番でメニューは食パンにチーズとベーコンを載せ焼いたものとホットミルクだった。どうやらメニューは当番に一任されているらしい。この手抜きメニューは静佳さん曰く『自分の時くらい手抜きでも良いじゃない』だそうだ。どうゆうことだろ?
「おい晃司君〜この本棚はどうするの〜?」
「部屋に入ると思う?」
「ん〜ちょうど良く入るかな?」
「あー、じゃあそれも持ってくことにするわー」
「おっけー!剛毅!よろしく!」
「おい、自分で運べよ!」
「いやいや、僕みたいな細腕には無理だよ〜」悠大は腕の筋肉を見せつけるようにグッと力を入れた。
……驚くほど筋肉が無い。
「…そんなので前線出れるの!?」
「そんなのとはご挨拶だよ晃司君。僕の筋肉はギュギュッと凝縮されてるから、いざという時はバーンッ!だよ!」
「じゃあ自分で運んでくれ…」
「持久力には欠けるのさ〜」たったったーっと本がそこそこ入った紙袋を手に部屋の外へと駆け出して行ってしまった。
「ったく、よっと!」剛毅は袖を捲り上げて何も入っていない棚をグッと持ち上げる。
「ここ5階だけど大丈夫なのか?」
「途中エレベーター使えばなんとか行けるだろ…っと、ありがとよ」さすがにキツそうなので片側を持ち上げる。
「にしてもやっぱ力持ちだよなー」
「ハッハ!見た目だけじゃないってことさ!」
「ん?なあ剛毅。その腕の刻印さ、どっかで見たことある気がするんだけどなんだ?」
「ああ、これか。これも一応魔法の一種なんだ。でもこれは魔法とも魔術とも区別が付け辛い。刻印の種類に沿って魔力の形を変えて顕現させるんだがな」ふんっ!と、一度片足立ちになって太ももに本棚の端を乗せながら①のボタンを押す。
「へぇ、体に刻むのが条件なのか?」
「いや、別に無機物にも刻印して発動することは出来るぜ」
「ほー、じゃあ俺にも刻んでくれよ!」
「いや、これはあんまりオススメしねぇなぁ。なにせ効率が悪い、すぐ魔力切れを起こしちまう。ほとんどお守りみたいなもんだ。」
「そっか…そりゃ残念だ。でもどこで見たんだろ?」
「治安維持部隊がデバイスに刻んでるときがあるな、たぶんそれを対抗戦の時にでも見たんだろ」
「なるほどな…っと、ととと!」
「よっ…とぉ!」思わずよろけたところを剛毅がすかさずフォローしてくれる。
「おおお、さんきゅー!」
「もうちょいでトラックだからあとは俺一人で大丈夫だ、部屋戻って整理してきな」と、静佳が運転席に居るトラックへ向かって行った。
「ん〜、整理するって言ってもあとなんかあったかなぁ…」独り言を言いながら寮の玄関に向かって歩いているとベランダから身を乗り出して悠大が
「お〜い!晃司君ー!女の子には言えない系の本がベッドの下から大量に出てきたぞー!どうするー!?」
……嘘だろオイ、ベッドの下は何も無いって言ったじゃんってかそれが招いた事態なのコレ!?もしかしてやば「ってかこっちに向けてその本を振るんじゃねー!!やめろォ!頼むからまず本を足元に置いてくれェ!!」
「ねぇねぇ!表紙の子が明らかに小学生なんだけどこれどういうこと?ってか晃司君ロリコン?」
「違う!断じて違う!ちょっと小さめの女の子可愛いとかそんなこと思ってないから!……ハッ!」
…いや、俺ロリコンじゃないから…違うよね?あれ?でも千草さんも平均よりは小さめ……いやいやいや!でも断じてロリコンじゃないから!違うからーっ!
ちょうどその頃千草はその場に居なかったらしく大至急、悠大にはコブラツイストでもって口止めをし、剛毅には言わないことを約束してもらった。静佳さんには怖くてとても聞けなかった…。
引っ越しも無事完了し、軽く買い物に行くことにした。
「えーっと…歯ブラシと…時計と…あとは…服か。」
「服、買うの?」
「…そもそもなんで千草ついてきてんの、みんなと帰ったはずじゃ…」
「暇だったから。」
「ん〜まあ良いんだけどさー、警戒とかしなくても良いの?」
「何の?」
「魔術師とか」
「魔法、魔術が使われればすぐに分かる。晃司も分かるようになってる。」
「そんなもんなのかー…っと時計あった。」まだ2日目だからだろう、イマイチ現実味が無かった。
「晃司。これの方が良い。」そう言って千草はペンギン型の置き時計を見せてきた。
「いや、もうちょい男っぽいのがな…」
「じゃあこれ?」それはあの過剰戦隊の…ッ!
「い、いや!そもそも掛け時計だから!欲しいのは!」
「じゃあこれ」…それはまたしてもペンギン型の物だった。
「ペンギン…好きなのか?」
「うん。」
「じゃあこれは千草に…」
「私は、持ってる。」さいですか…。
「ううん…じゃあこれにするか…」そう呟いてペンギン型の掛け時計をレジに持って行った。
その後歯ブラシと服を買い(ペンギン模様のパジャマを買わされそうになった。)拠点に帰ることにした。
相変わらず切り方が下手…どうか大目に見てくださいまし。これからも細々と投稿していくので暇つぶし程度にでもどうぞ〜