気になるあの子は魔導書が読める!?   作:久遠/kuon

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夢って不思議ですよね。見てる時は自然なのに他人に話そうとすると不自然な所がいっぱい見つかる。出てくるものは自分の頭で思いつきそうなものなのに思いもよらない不思議な展開でもってストーリーが広がる…。
小説書きもそんなものですよねぇwキャラが勝手に動き出す。作者にはもう止められない!
物書きを夢見て小説書いたらまるで夢のような生活に…。そんなスタンスで毎日楽しんでますw


第六頁 整うのは舞台か、それとも足並みか

「おい!晃司!お前LINE無視すんなよ!」教室に入るやいなやジョージにどやされた。

「え?LINE?」カバンを机にかけながらケータイをポケットから取り出す。

「おお、ごめんごめん。未読無視してたや」

「このヤロー!」

「痛い痛い!」頭をグリグリされて思わずうずくまってしまう。

「で?どうだったんだよぅ、告白の方は!」

「え、あ…ああ」しまった…色々ありすぎて告白しに行ったってこと忘れてた…。

「ああ、じゃなくて結果を!」

「えーと…な…」どう…言えば良いんだ…。『告白しに行ったら腕一本持ってかれて治すために契約してこの街を守ることになりました!』

 

………。

いやいやいや!これはおかしい!まず間違いなく距離を置かれる!なんて…なんて言えば良いんだ…!

ほら、早くー何を悩んでるんだよーとジョージに急かされて唸っているともう一人の当事者千草が登校してきた。

「晃司じゃラチが明かん!おーい!凪良さーん!」

「なに?」

「ズバリ!晃司と凪良さんの関係やいかに!?」

「いかに!?じゃねぇよ!…っていつの間にお前ら集まった!?」気づくと真衣と明希奈が周りに集まっていた。

「晃司は」

ごくり。恐らくその場に集まった全員がつばを飲んだことだろう。

「私の奴隷」

ざわっ…と空気が…変わった…。

「晃司…お前…そういう趣味が…?」

「古守…あんた…マジで…?」

「せ、成立…?……失敗…?」

ちょっと待ってくれ、というなんとか絞り出した声はチャイムにかき消されてしまった。

「アッキー…今日暇か?」

「ええ、暇よ…真衣ちゃんも来るわよね?」

「え?あ…うん、私も行く…」

言い直そうとする間にも現実は止まらない。

「ほら、お前ら席着けー。HR始めるぞー」

明希奈とジョージが目を逸らしながら自分の席に戻る中、真衣だけは困ったような顔だけど笑ってくれた。何か言おうとしたのか口を開くが、日直の阿古の号令に聞けずじまいになってしまった。

 

1時限目、2時限目、大して面白くもない授業を乗り越えて合間の休み時間で誤解を解こうとするも失敗。少し間を置いてみてから再チャレンジすることにした。

 

「なぁジョージぃ…」何度目かの休み時間、ジョージに声をかけてみる。

「…な、なんだい古守くん」

ゔっ…まだ引きずってる…。

「い、いや…なんでもない」

これは…誤解を解くのは時間がかかりそうだ…。まずは千草の認識から改めないといけない。だがこっちはこっちでなんて言えば良いんだろうか…それこそ告白のようになってしまう…。

 

放課後。HRが終わってしばらくしても学校の外は雨模様だった。色とりどりの傘が1つで、あるいはいくつかでまとまりながら正門から出て行くのがよく見える。教室には誰も居ない。たぶんみんな雨が強くなる前に帰ったんだろう。

「はぁぁぁー…」

「おおう、どうしたのだコウちゃん?」

黒板を明日仕様に変えた阿古が近寄ってきて心配そうに声をかけてくれる。

「ちょっと色々あってなー…あらぬ誤解を掛けられたのさ…」

「へぇーそれは大変……ッ!?」

何かよく分からないが波のような物を感じた。通常ありえない音域の音が聞こえたように、地震の前兆を感知したように、それはどうしても不快感を拭いきれない違和感の波だった。

(でも…分かる…これは間違いなく魔力の余波…あるいは魔法の行使…ッ!)

「あ、阿古!おれちょっと用事が出来たから先に帰るよ!」

「あ、うん!また明日…なのだー?」

あまりに唐突だったからだろう、驚いた顔のまま手を振っている阿古を尻目に教室を飛び出して行く。

 

 

今日は朝から忙しなかった…気がします。晃司くんと…凪良さんがすごく…その…特殊な関係だと分かって…。でも私は……どこかホッとしていました。自分はこの感情が嫌いだ。自分が…私がとても小さくて、見ている景色すらも歪んでしまう気がしたから…。

今日の放課後、明希奈ちゃんと譲二くんと私で緊急集会?を開くことになりました。一応学校出る前に晃司くんに声かけたんだけど…晃司くん上の空でした…。大丈夫かな…?

「真衣〜HR終わったよー帰ろー」

「よし、そしたらそうだな、またあそこで良いよな?」

「あそこって…マックスバーガリアン?」

「そそーそこなら騒いでも大丈夫でしょ!」

「いや騒ぐなよ…」

とりあえず話しててもしょうがないからということでマックスバーガリアン(通称マック)に行くことにしました。

この都市は雨の日になると他の街とは一風変わった特徴がより分かりやすくなります。

「あれ?あんた模様換えたの?」

「おう、たまにはこういうのも良いかと思ってなー」

明希奈ちゃんと譲二くんはカバンから30cmくらいの伸縮性のカーボンの織り込まれた軽い棒を取り出しました。そしてシュッと60cmくらいに伸ばすと空を指すように立てました。

「リギャザー・アンブレラ」

私も同じように呟いて手をちょうど傘を差す時くらいの位置に持っていきます。

すると、まるで透明化していた物が浮きだすように空中から傘が出てきました。これがこの街の特徴、ナノデバイス技術です。

「お、良いなー真衣ちゃんは支柱も無しかー」

「うん…ナノデバイスを握る感覚に普段から慣れておけって…」

「ひゅー!さすが我が街のヒーロー〈ピース・エイダー〉さんだねー!」

〈ピース・エイダー〉とはこの街の治安維持部隊のことです。毎年何人か生徒から選ばれて試験を経て所属することが出来ます。普通の人よりナノデバイスの使用権限が広くて、色々と出来ます。

「こんな何も無さそうな空気の中にびっしりナノデバイスがあるんだからびっくりだよねー」

「何を今更って感じだけどなー。さ!行こうぜ!」

降りしきる雨の中色とりどりの傘が道を埋めています。ちなみに傘の色は支柱の設定をいじれば簡単に変わります。

 

「__でさーこの前友達が理事長見たらしいんだよねー」

「いやいや、なんでそいつ理事長って分かったんだよ」3人で笑いながらマックに向かっていると、雨霞の中傘も差さずに歩いている人がいた。

「ん〜なんかあの人…変じゃない?」

この街では凶悪犯罪はあまり起きません。治安維持部隊が強すぎるのです。並みの武器では敵わないことがナノデバイスの真価ですから…。ただそれに慢心していることが少し懸念ですけど…。

「あ〜?どれ?」

「あれよ、あれ。あの…傘差してないあいつ」

カシュッ…。聞こえるはずのない距離なのに何かを引き抜く音が聞こえた。

「支柱…?え…うそ…まさか…!」

その男が右手に握りしめていたのは何やら刃のギザギザした…軍用サバイバルナイフ?

「ッ!犯罪コード339及び犯罪コード053!ナノデバイスへの不正アクセスです!明希奈ちゃんと譲二くんは安全なとこまで避難してください!」

犯罪コード339はナノデバイスへ不正アクセスして使用権限外の物体を形作ることだ。そして犯罪コード053は危険物所持に当たる。どちらの場合も現場で相手を拘束しなければならない。そのための行動は治安維持隊員各位に任されている。だから、真衣はとっさに行動した。

「リギャザー!《ポニアード》!」

「ッ!?」

犯人がこっちに気づいた。真衣はナノデバイスによって形作られた武士が担ぐような長刀を後ろに引き全力で駆け出した。

サッと犯人がこちらに左手の手のひらを向ける。

ぐわんっ…と視界が急激にブレ始める。

(なに…これ…こんな時に…めまい…?)そして手の中のナノデバイスが霧散していくのを感じながら意識が落ちていった…。

 

 

「…あれ?もしかして君、一回あったことある?」

右手に軍用サバイバルを持った男が目の前に立ちふさがる少年に言う。

「ああ…ついこの間、な」

「ふーん、まあどうでも良いや。そろそろそこどいてくれないかな?」

「お前だな?あいつらに危害加えたのは」

「どいてくれないと…色々と面倒なんだけどなぁ」

「てめぇが誰かは知らねぇけど、ここでぶちのめす」

何の力も持たない少年が拳を握りしめて男に殴りかかろうとするとその男は左手をこちらに向けた。

警戒して腕をクロスさせ顔を守るが何も起こらない。

「…?」

「あれ?なんだ…妙だな…君…右腕もどこか変な流れだしここに来るまでの速度も異常だし…魔術師?でもなぁ…それにしては何の魔法も行使しないし君はなんなんだ?」

「さぁな、そんなもん知らねぇよ!」

「どいて!晃司くん!そいつにダメージは通らない!」

横合いから影が飛び出すと同時に悠大が前に踊り出す。

「お前の贄はもう持ってるんだよッ!」

と、悠大が藁人形を取り出した。

「っとまずいね、こりゃ!」

男が軍用サバイバルナイフを手放すと同時にナイフが消える。次の瞬間。悠大がとっさに藁人形を全力で横にぶん投げた。

そして男が爆発した。

「あー逃げられた」

悠大が残念そうに爆散した藁人形を拾いに行く。

「悠大…?どういうことだ?あいつ…捕らえてたはずじゃ…それに…」

「あー待って待って、色々聞きたいことはあるだろうけどまずは君の友人を起こさなきゃ」

「っ!そうだ!譲二、真衣、明希奈!」

「ちょっと意識揺さぶられて気絶してるだけだから、学校、近いよね?保健室まで運ぼう」

「あ、ああ…」

「ちょっと髪の毛ちょうだい、晃司くん」

真面目な顔で悠大が言う。

「髪の毛?」

「うん、二本で良いから。僕の人形を動かすのに必要なんだ、古風だろ?」

少し苦笑いしながら新しく人形を二体取り出す。

はい、と渡すと悠大は藁の中に髪の毛を一本ずつ入れた。すると、藁人形が巨大化し明希奈と真衣を担ぐ。だからおれは譲二を担いだ。

「あいつはさ、どうやら影武者のような力が使えるらしいんだよ。何を媒体にしてるかは知らないけど。あの軍用サバイバルナイフが本体みたいなものでそれ以外に攻撃を加えても意味なし」

「じゃああいつが爆発したのは…」

「うん、いわゆる自爆だね。あいつ自身いくらでも取り替えの効く便利な人形なんだろうな。僕の推測では目すら見えてない。」

「え?でもあいつ…譲二達を…それにおれについても話してたぞ…?」

「たぶん魔力の流れを見てたんじゃないかな、魔力の流れは人それぞれだし、みんなを昏倒させたのも魔力の根源的機関を直接揺らす小技だし」それに、と悠大は一泊置いて

「君とあいつ、会話になってなかったろ?魔法を行使したのも襲いかかった真衣さんだけでなく後ろの2人もだし」

「そっか…そういうことなのか…」

「でもこれは警戒した方が良いね、おそらくあいつは本体を奪取しようとしてる。クレイドルに戻ったらみんなに報告しよう」

「ああ…もう2度とこいつらを巻き込みたくねぇ。巻き込まれるのはおれだけで良いんだ…」

 

 

「なぁ、《ヴォルヴァ》さんよォ…ほんとにこれで良いんだろうなぁ?」

「ええ、あいつらの注意を他方に引きつけて狙いを直接叩きます。…それより、本当にこれが救いになるのですか…?」

「しっかりしてくれよ…あんたがそれじゃ下のモンに示しが付かねぇんだぜ?大丈夫だって、不穏分子を全部叩けば待ってるのは我らの天下。どうとでもなるさ」

舞台は少しずつ、設定されていく。

 




真衣さんが表側について説明してる間にバックでなにやら動き始めましたね…この後どうなることやら…楽しみです!(他人事)
次の日曜に更新出来たら良いなーと思ってますw
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