俺ガイル 誕生日SS   作:kei...

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雪ノ下陽乃は誕生日プレゼントに特別なものをもらう。

 俺、比企谷八幡は今、拉致されて監禁されている。        

とは言っても決して危険なところではない。と信じたい。    

知り合いの家の見覚えのある車が、急に俺の家に来て俺だけ連れていかれたのだ。  

 

拉致されて1時間ほどたったころ扉は開いた。

 

「比企谷君、ひゃっはろー!」

                    

「やっぱりあんたの仕業でしたか。早くこの縄解いて貰えませんか?」

 

「えー。仕方ないなー。」

 

意外なことに雪ノ下さんはあっさりと縄を解いてくれた。

 

「逃げようとしても無駄だよー!ここは雪ノ下家の地下なんだから。」

 

「は?」

 

「いや、だから雪ノ下家の地下だよ。」

 

いやいや、なんだよ雪ノ下家の地下って。なんでこんな拷問専用みたいな場所があるんだよ。

しかも超広いし。

 

「はあ。何の用ですか。」

 

俺は諦めて雪ノ下さんのいうことを聞いて、早く帰ろうという結論に至った。

 

「両親に比企谷君のこと話したら、ぜひ連れて着てって言われて。」

 

俺、あの人苦手なんだよな。実際に話したことはないんだが俺は雪ノ下の母親に対して苦手意識を持っていた。顔を覚えられていたら絶対に良い印象持たれて無いだろうし。

まさか、ここでこのまま拷問でもされるのかな……。

雪ノ下にも雪ノ下さんにも特に何もして無いよな……。

やばいマジで怖い。

 

「俺はこの後いったい何をさせられるんですか?」

 

「さあ?」

 

やっばい、マジでやばい。なんだよ連れてきておいて、「さあ?」って。

ほんとに拷問されるんじゃねえの?

なんでお前みたいな目の腐った奴が雪乃と陽乃に関わっているんだ。とか言われそう。

家には小町がいるんだ。何が何でも帰らなくては。

 

「陽乃様。比企谷様。奥様がお呼びです。」

 

執事らしき人が入ってきて雪ノ下さんと俺にそう伝えると、すぐに外に出ていった。

 

「分かったよ。じゃあ比企谷君行こうか。」

 

雪ノ下さんは満面の笑みでこういった。その顔で、行こうかって怖すぎるんだよ。だって氷の女王と魔王の母親だぞ。

まあ行かないともっと怖い目にあわされそうだし行くんだけどね。

 

俺と雪ノ下さんはその執事らしき人の後ろをついて行った。

廊下を歩いて思ったことは、やはり普通の家ではないということだった。

 

執事らしき人も、雪ノ下さんも、俺も一言も話さないまま長い廊下を歩き続けた。

そして、一つの大きな扉の前で立ち止まった。

 

「こちらでございます。」

 

「ありがとう。」

 

俺はあまりの扉の大きさに声を出すことができなくなっていた。

その執事らしき人は、大きな扉を開けた。

中は、パーティーを開けるくらい広く異様に長いテーブルが中央に置いてあった。

そこにはとても高そうな着物を着た綺麗な女性がものすごいプレッシャーを放ちながら座っていた。

もう俺の技のPPは全部0だから!

まあ技と言っても、なきごえ、はねるしかないのと同じだけどな。

 

これからはその女性のことは大魔王と呼ぶことにしよう。心の中だけで。

 

「お久しぶりです。比企谷さん。ありがとう陽乃。」

 

「あとはごゆっくり~。」

 

「え、ちょっ、雪ノ下さん。」

 

俺の声には振り向きもせずに雪ノ下さんはその大きな扉から出ていった。

 

テーブルには、見たこともないような高そうなお菓子と、紅茶が出されていた。

ここ1年くらい雪ノ下の入れた紅茶を見たり飲んだりしているが、香りで普通の紅茶ではないと分かった。

 

「比企谷さん。あなたには今お付き合いをされている方はいらっしゃいますか?」

 

はあ?何を聞いてくるんだこの人は。

この質問には嘘で答える必要はないと思った。

 

「い、いましぇん。」

 

噛んだ。盛大に噛んだ。

大魔王、笑いこらえてるし。

 

「いないのですね?」

 

「は、はい。」

 

多分今の俺は顔が真っ赤になっているんだろうな。

 

「では比企谷さん。単刀直入に言います。陽乃か雪乃と結婚を前提に付き合いませんか?」

 

え?今なんと?

 

「だから陽乃か雪乃と結婚を前提に付き合いませんか?と聞いたのです。」

 

え?心読まれたの?

 

「え?なんで急に。何故ですか?」

 

「陽乃の話を聞いて、貴方になら私の娘を任せられるなと思いました。」

 

雪ノ下さん一体何言ってくれたの!?

 

「すみませんがその気はありません。本人たちの意思確認もせずに、俺が勝手に決めては駄目だと思います。」

 

「貴方は、自分の価値を理解していない。最近の陽乃は家で話すことの半分以上は比企谷さん。貴方のことですよ。陽乃が、こんなに一人に対して話したりするのは雪乃以来初めてです。」

 

「仮に陽乃さんが俺に好意を持っていたとして、雪乃さんまで俺に好意を持っているとは限らないじゃないですか。」

 

「だとしてもです。雪乃も陽乃もこのままだと私の夫の取引先の御曹司に嫁ぐことになるのです。それなら比企谷さんに婿に来てもらい、夫の仕事を継いでもらいたいのです。」

 

この人は多分、自分の娘を道具か何かと間違えているのではないのだろうか。

俺はそんなことを思うようになってきていた。

 

「生憎俺は専業主夫志望なので。」

 

「そうですか。残念です。貴方の将来の夢を潰してまで巻き込むような話ではありませんでしたね。」

 

専業主夫を将来の夢に、カテゴライズしてくれたのはこの人が初めてだ。

 

案外いい人なのかもしれないな。

 

 

 

 あの後、俺はすぐに解放された。

大魔王が言っていたことは、つまり雪ノ下か雪ノ下さんのどちらかと結婚をして雪ノ下家の会社を継げ。ただし一人は政略結婚をする。結婚しなければ両方とも政略結婚させられるという事だ。

俺はどうすればいいのか分からない。

 

このことについて考えながら帰っているうちに家に着いた。

小町には何と説明しようか。

 

「ただいま~。」

 

「おかえり!お兄ちゃん!結局何だったの?」

 

「ああ。雪ノ下か雪ノ下さんと結婚して会社を継げだって。」

 

「ええっ!?雪乃さんか陽乃さんと結婚!?」

 

「ああ。どっちかと結婚すればどっちかはどこかの御曹司と政略結婚させられるらしい。」

 

「ふーん。じゃあ両方とけ「アホか。常識的にアウトだろ。」ですよねー。」

 

小町め、アホな事言いやがって。

 

「で、お兄ちゃんはなんて言ってきたの?」

 

「将来の夢が専業主婦なのでって言ったら、あっさり諦めてくれた。」

 

「本当、ヘタレなごみいちゃんだなあ。」

 

ごみいちゃんとかやめてね。地味に傷つくから。

 

 

夕食を食べ終わり、風呂にも入り後は寝るだけの状態になったところで、小町が部屋に入ってきた。

 

「お兄ちゃん、電話来たよ!」

 

「は?誰から?」

 

「いいから、いいから。」

 

 

「比企谷君ひゃっはろー!今日はごめんねー。」

 

「別に良いですよ。それより雪ノ下さん、俺の話って何話したんですか?」

 

「え?ただ単に面白い子だって伝えただけだよ。」

 

「それだけであんな話になる訳ないでしょう。」

 

「え?話って?」

 

「雪ノ下か雪ノ下さんのどちらかが俺と結婚して、俺が会社を継ぐ。って話ですよ。」

 

「え?そんな話されたの?」

 

「え?聞いてなかったんですか?」

 

「うん。そっかー。じゃあどっちか選ぶんだったら雪乃ちゃんを選んでね。」

 

こう言うと雪ノ下さんは電話を切ってしまった。

俺は小町に携帯を返し、寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、学校では何もなく部活も終わり帰ろうと門を出た時だった。

 

「比企谷君。お姉さんとデートしよう。」

 

「は?」

 

結局、「反対したらどうなるか分かってるよね?」と脅されついて行くことになった。

 

 

「比企谷君、何見たい?」

 

俺は雪ノ下さんに連れられて、映画館に来ていた。

 

「何でもいいですよ。雪ノ下さんの見たいもので。」

 

本当に何でもよかった。

 

「じゃあこれにしよう!」

 

雪ノ下さんが選んだのは、恋愛映画だった。

雪ノ下さんはアクションとかそういう部類のものを見たがると思っていたので意外だった。

 

チケットを買い、映画館に入ると中はカップルだらけだった。

だが、雪ノ下さんを見た人達は2度見をしてしまっていた。

中には3回4回とみていた人もいただろう。

2回目は雪ノ下さんを見て。3回目は俺を見て。

きっとなんでこんな奴が、あんなにきれいな人と付き合っているのだろうかと。

 

映画が始まり、お決まりの映画泥棒のダンスが始まった。

俺はあのダンスが意外と好きだった。あの変わった動きやってみたい。

多分そんなことを雪ノ下に行ったら、こう言われるだろう。

「あなたはいつもあれより気持ち悪く踊っているじゃない。あのカメラはまだマシね。だって目が腐っていないもの。」

と。

 

 

映画の内容は、中学生時代以来10年ぶりに再会した男女が再び恋に落ち、やがて結婚をし幸せな生活を送るのだが突然ヒロインがいなくなり主人公以外の記憶からいなくなるという、切ない物語だった。

 

映画を観終わった俺たちは、ゲーセンの前を通った。

急に雪ノ下さんは立ち止まり口を開いた。

 

「私達が初めて会ったのもここだったよね。」

 

「そうですね。あの時まで雪ノ下に姉妹がいるなんて知りませんでした。」

 

「そうだったんだ。あの時雪乃ちゃんパンダのパンさんの人形持ってたっけ?」

 

「持っていましたね。」

 

「あの人形って比企谷君がプレゼントした人形だったの?」

 

「プレゼントというか店員に取ってもらった人形はどっちのものになるのかを話した時に金を出した人のものになるといった結果ですよ。」

 

「ふーん。そうだったんだ。雪乃ちゃんすっごい大切にしてたから、比企谷君がプレゼントしたものだと思ってた。」

 

「いやあれは唯のパンさん好きなだけでしょう。」

 

「確かに。」

 

雪ノ下さんは少し笑っていた。

俺は本物の笑顔で笑っていた。それを見たとき俺は少し見とれてしまった。

いつからなのだろう、雪ノ下さんが強化外骨格を付けたのは。

 

「私にも何かとってよ!例えばあの人形とか。」

 

そういった雪ノ下さんの指が指す方を見ると、巨大なジバニャンの人形があった。

雪ノ下さん。これ取ってどうやって持って帰るんですかね…………

 

まあやるだけやってみようと思いコインを入れやってみたところ、全く取れる気配がしなかった。

まずアームの力がおかしい。

あんなに弱いアームを見たのは初めてだった。

なんだよ俺たちに恨みでもあるのかよ。

 

「まあいいよ、比企谷君。本気で欲しかったわけじゃないし。」

 

「そうですか。」

 

多分今の言葉は嘘だ。強化外骨格があっても一瞬本気で残念そうにした顔を俺は見逃さなかった。

 

「でも、あと何回かやってみましょうよ。ここまでアームの力が弱いと、クリアしたくなるんです。」

 

「ありがとう比企谷君。」

 

雪ノ下さんは満面の笑みで答えてくれた。

まったく雪ノ下家の子供たちは好きすぎるものへの愛がすごいんだよ。

でも、陽乃さんがジバニャン好きだったのには驚いた。

ちなみに俺は、コマさん派だ。

しゃべり方はウザいけどあの見た目が可愛すぎる。

 

そして、ゲームを15回程やったところであと5㎝位動かせば落ちるというところまで行った。

俺は材木座のように叫びながらクレーンを操作するのを自制し、静かに操作していった。

 

最後はとてもうまくいき、かなり大きいジバニャンは落ちてきた。

 

「比企谷君!!!」

 

雪ノ下さんは俺に飛びついてきた。

やばい多分外じゃなかったら俺の理性はどこかに飛び去っていただろう。

 

雪ノ下さんは強化外骨格なしの笑みを浮かべながら、さっきとった人形を大事そうに抱えていた。

 

今、改めて思った。

やはり俺はこの人の本物の笑顔が好きだ。

 

「雪ノ下さん少し良いですか?」

 

「どうしたの?」

 

「雪ノ下さん。俺はあなたの強化外骨格が嫌いです。」

 

「そっか。」

 

「でも、雪ノ下さんが時折見せる本物の笑顔が好きです。

俺は雪ノ下さんの強化外骨格無しの笑顔をもっと見たい。ずっと一緒にいて本当の雪ノ下さんを見せてください。雪ノ下さん、いや、陽乃さん。俺と結婚を前提に付き合ってください。俺はあなたといれるのなら今の夢なんて捨てます。」

 

「私を選んじゃ駄目って言ったのに………。」

 

「それでも俺はあなたを選びます。」

 

「そんな風に言われたら断れないじゃない………………。」

 

「じゃあ!」

 

「私とずっと一緒にいて下さい。この仮面のような強化外骨格はなかなかはずれないと思うけど、少しずつ本当の自分を出せるようにするから。」

 

「改めてよろしくお願いします。陽乃さん。」

 

「よろしくね。八幡。でも八幡、一回母の提案を断ったんでしょ?」

 

「ええ。でも俺は諦めませんから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3日後の7月7日

 

俺は再び雪ノ下家に来ていた。

今回は拉致監禁ではなく自分の意思で来ていた。

 

そして執事的な人の後ろをついて行き、大魔王の下へと向かっていた。

 

今の俺の装備は勇気だけだ。

また門のように大きな扉を開いてもらい中に入った。

 

「どうもお久しぶりです。比企谷さん。」

 

「お久しぶりです。早速ですが今日はあるお願いをしに来ました。」

 

「何でしょう。」

 

「陽乃さんと結婚をさせてください。俺は、専業主夫の夢なんかよりもっと大切なものができました。それが陽乃さんです。」

 

「そうですか。本当にそれでよいのですか?あなたは今の名字を捨てることになりますよ。」

 

「それくらい別に問題ないです。陽乃さんがいれば。」

 

「分かりました。必ず陽乃を幸せにしてください。」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

After Story

 比企谷君が家に来てから2時間がたったころ私は母に呼び出されていた。

「陽乃。この箱の中にあなたへの誕生日プレゼントが入っています。この箱の中のものは生涯大切にし続けてくださいね。」

 

「はい。お母さん。」

 

「では私はこれで失礼するわね。」

 

「うん。ありがとうお母さん。」

 

 

私はその箱を開けてみる。その中からは比企谷君が出てきた。

 

「陽乃さん俺がしっかり働けるようになったら結婚してください。」

 

「はい!」

 

 

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