パワード・アサルト~使い捨て兵士達の賛美歌~   作:ヤーンスポナー

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出来るだけこっちも更新できるように頑張ります。

・・・頑張ります。



第二話~補給線の機械化歩兵~

民間車両が反対車線の道路を走る中、誰も通ってない車線を反対方向に、三機の高機動強化装甲ユニットが掛けて行く。

 

 

速度は、そのユニットにしては出ていない。元から、速度を出すことを求められていない物だからだ。

 

 

"陸上歩兵型"の強化装甲ユニット。既存の強化装甲ユニットの武装をある程度軽量化し、変わりに装甲を増やし搭乗者の生存率を高くしたもの。

 

 

日本には今だ本格的に上陸されてない物の、上陸されていた場合は前線にあった方が似合っているその機体は、今は街の中を走っていた。

 

 

『なんでこんなことを俺たちはやっているんでしょうかねぇ』

 

そう愚痴る同僚を嗜めながら返す。

 

「仕方ないだろう。そういう命令なんだ」

 

『ですが、それでも妙なのは確かですよ』

 

そう返すのは、新しく配属された部下。その彼が、今回起こったことを疑問に思いながら話す。

 

『いきなり三両の補給トラックからの連絡が途絶えて、バイクでその地点を確認しに行った兵士も位置をロストして。それで、念の為に一応は陸上歩兵型のユニットを持ってる自分達が送られた。そこまでは分かりますが、用心の為とはいえ態々武装していかなくてもいいでしょうに』

 

その言葉に一理あると思いながら、武装を確かめる。

 

 

いくら元になった陸上強襲型の高機動強化装甲ユニットよりは武装は軽くなってるとは言え、それでも一歩兵が持つものとしたらかなり重武装だ。

 

右手外側側面には「キャリバー」と呼ばれる、M2重機関銃。

左手に盾が装備されているのは変わらないが、今回は市街地戦の可能性を考慮して、間に合わせだが右肩にMINIMIをこのユニットでも扱えるようにした物を装備している。

 

 

確かにこれはちょっとした補給線の確認に向かう装備ではない。どちらかというと市街地での強行偵察と言った、本来の高機動強化装甲ユニットの在り方に近い。

 

 

そのことに疑問を持ちながら、やるべき事をやる。

 

「よし、二人とも。目標地点まであと少しだ。念の為に各部のチェックを行っておいてくれ」

 

『はいはい、分かりましたよ隊長殿」

 

『了解しました、隊長』

 

正反対な様子の二人に苦笑しながら、自分もチェックを始める。

 

 

特に、異常のある箇所は無い。

その事を二人からも報告を聞き、そして目標地点にたどり着いた。

 

 

そこには、何も無かった。

トラックも、バイクも、いたはずの兵士達も、そしてそれらの残骸や死体さえも。

 

 

『何も無い・・・?』

 

『かくれんぼじゃないんだぞ、全く・・・』

 

そう呟く二人と同じ思いを抱きながら、解析を始める。

 

 

そして、一つの"痕跡"を発見する。

 

「なんだこれ・・・妙にガラス片が多いな。ちょっとこれはおかしい」

 

『ガラス片だぁ?』

 

「あぁ。後で監視カメラの映像を調べた結果が分かれば、何とかなるかもしれないが・・・」

 

『それを待つには、余り時間的余裕があるとも思えないという訳ですか・・・』

 

そう返す部下に対して同意を返しながら、マップを開いて最悪の想定に基づいたトラックの行き先を推測する。

 

 

「・・・近くに廃工場があるな。左の道から行って、暫く直進したあと右に行った所だ。一応、言ってみよう」

 

『おいおい、正気か?現場の保持はどうするんだ?』

 

「部隊を回してもらおう。俺たちは確認のために来たんだ。ある程度はやってみよう」

 

『はいはい、了解しましたよ』

 

そのように愚痴を返す同僚に苦笑しながら、廃工場へと向かう。

道中にはやはり歩行者も民間車両も見受けられない。ここが自衛隊の待機場所へと続く補給線の一つとして利用されている為、余り好き好んで近づく民間人はいないし、そもそも補給線に続く道は交通規制が掛けられている。

 

 

だからこそ、その事をさほど疑問に思うことなく、数分で廃工場へとたどり着く。

 

 

門は開かれていて、いかにも放置されているような印象を受ける。

 

 

『誰もいませんね・・・』

 

『何も無いんじゃないのか?』

 

『まぁ、ここの他にトラックが消えそうな場所は無いんだ。一応見てみよう』

 

 

そう言って、前進しようとして、

 

 

左側後方からガラスが砕ける音と、無線越しに叫ぶ声が聞こえる。

 

 

『どわっ?!モニタに弾痕が?!こりゃ、狙撃か!狙われてるぞ!襲撃だ!』

 

「クソッ!」

 

『襲撃?!』

 

各々盾を構え、守りの体勢を作る。

 

「何処から撃たれた!」

 

『待て、今割り出してる!』

 

そう、同僚が返す。

狙撃に耐えられたのは、単純に高機動強化装甲ユニットの防御力が故。

これを、司令部は予期していたのだろうか。

 

 

『えっと・・・・弾は対物ライフルの物か。狙撃地点は、着弾と映像の分析からだと・・・直ぐそこの廃工場の、上の貯水タンクからだ!』

 

つまりは、目の前の廃工場から攻撃を受けたと言うこと。

それが指す所は、敵がいるということ。

 

 

「全員、制圧射撃!」

 

 

そう叫びながら、廃工場の屋上に、二階に、12.7mmの弾丸をばら撒く。

 

その攻撃の応酬なのか、工場の中からも自動小銃によって反撃が行われる。

 

 

『クソッ、いやがったな、鼠共め!』

 

『補給用のトラックたちも、こいつらに・・・?』

 

「確認しなきゃならん!俺が行くから、掩護を頼む!」

 

『了解!』

 

そう了承を返す二人を背に、廃工場の、閉まっているシャッターへ向けて前進を開始する。

 

 

その時、相手もそこに寄らせたくないのか、"切り札"を出してくる。

 

窓の中から打ち込まれたそれは、不規則な機動を描いて、直ぐ傍に着弾する。

 

 

それは、下手したら盾をも吹き飛ばせる代物。

 

 

「RPGだ!全員注意しろ!止まったままにはなるな!」

 

 

そう叫びながら、速度を上げる。

 

 

あと少しで、取り付ける。

 

 

そんな時、シャッターが、不意に開き始める。

 

 

中には、連絡が途絶えた、運転席の窓が割れているトラック。

 

それが、エンジンを回しながら、中に入っていた。

 

 

「やはり、ここか!」

 

 

この戦闘の中、態々隠していたものを晒す意図は、ただ一つ。

 

 

「全員、トラックが強行突破してくる!轢かれないように注意しろ!」

 

 

その言葉と共に、トラックが一気に加速しながら、出口のあるこちら側に向かって突進してくる。

 

いくら高機動強化装甲ユニットとはいえ、トラックに轢かれて何も無いことは流石に無い。

だからこそ、進路を塞いで強行突破を完全に阻止することは出来ない。

 

 

トラックを避けながら、後続の二両の左側の車輪をM2重機関銃で潰す。

 

それにより、その二両は脱出することなく工場内に留めることが出来た。

 

 

しかし、残りの一両は脱出してしまった。

 

 

「クソッ!一両逃げた!こっちで追いかける。二人はカバーしあいながら応戦しろ!」

 

『畜生、了解だ!早く増援を要請してくれ!』

 

 

そう返す同僚を尻目に、車両を追いかけながら無線で本部に増援を要請する。

 

 

「こちら陸上歩兵型高機動強化装甲ユニット部隊!補給線の確認に行った所、敵の潜伏勢力と思しき集団から敵襲を受けた!連絡の途絶えた三両のトラックも確認、一両が逃走中の為、現在一機で追跡中!攻撃を受けた、この地点の廃工場と、追跡中のこちらの方に援軍を求む!こいつじゃ距離を詰められない!」

 

 

陸上歩兵型はあくまで戦車などに足並みを単体で揃えることが目的であって、速度はさほど高く求められていない。

 

そのせいで、100m程離れてしまったトラックに対してさほど距離を詰めることができていない。

 

 

焦りながら話すこちらに、本部からの応答が来る。

 

『こちら本部。現状を確認した。現在廃工場にはヘリ降下部隊が向かっている。逃走中のトラックに対しては、"力強い援軍"が向かっている。援軍の到着まで、トラックを追跡し続けろ』

 

「了解!」

 

そう本部に対して返し、トラックを追い続ける。

 

本来なら銃撃を加えたいところだが、もし積荷の中が弾薬などの類だった場合、大規模な誘爆の恐れがあるためこの距離では行うことが出来ない。

 

 

「クソッ!もう少しこいつに速度があれば・・・!」

 

本部と連絡を交わした後、既に五分が経過している。

全速力で逃走しているトラックに対して、今だにこちらは距離を詰めることができていない。

 

 

このままでは、逃げられる。

 

 

そう、思ったとき。

 

 

モニターが、"味方"が高速で近づいていることを知らせ、

 

 

直ぐ傍を、三機の影が通り抜ける。

 

 

"ソレ"は、こちらが詰められなかった100mをあっという間に埋め、トラックのタイヤを20mmガトリング砲で潰す。

 

 

タイヤを原形を留めないほど破壊されたトラックはスリップした後、ガードレールに衝突して動きを止める。

 

 

『待たせたな。お陰で素早く位置を把握することが出来た。ありがとう』

 

そう、その三機の先頭に立っていたユニットから通信が来る。

 

 

それは、"陸上強襲型"の高機動強化装甲ユニットだった。

 

 

その、鮮やかとも言えるような戦いぶりに、無性に感動を覚え、

 

 

ただただ、その部隊に、憧れを抱いた。

 

 

 

 

 

『・・・隊長、隊長、聞いてますか?』

 

その無線からの声で、思い出から思考を戻す。

 

「あぁ、すまない。こいつに乗れるのは始めてでな。感慨深く思ってね」

 

『全く、大げさですね』

 

そう言って、新しい部下が笑いながら返す。

 

『こいつは態々使い捨て部隊に転属したいとぬかしたからなぁ。うれしいんだろうよ』

 

「悪かったって。からかわないでくれ」

 

わざわざ自分のわがままに付き合ってくれた、"陸上歩兵型"を扱っていたときの同僚に謝りながら、思う。

 

 

あの時の、あの部隊の戦い方。

 

 

それに、憧れたからこそ、今、態々転属願いを出して、ここにいる。

 

 

そして、いよいよ、あの時に憧れた"陸上強襲型"で、始めての戦場に出る。

 

 

その、感慨を胸に秘めつつ、号令を出す。

 

 

 

「・・・よし、行くぞ!」




よくよく考えると、このSSって群像劇的な側面あるなぁと。
そう思いながら、書き上げました。


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