『先日発生した殺人事件の続報です。 遺体の皮膚に、切り傷ばかりでなく炎によって焦げた跡が見つかり、犯人の狂気が伺えます。警察はこのことから、犯人は計画性をもって犯行に及んだと断定。捜査を続けています。
次のニュースです。 現在立ち入り禁止の「関南地区・第三小学校」へと無断で侵入した疑いの、無職の男が逮捕されました。 男は「娘がまだ中にいるんだ」などと意味不明な供述をしており…』
神都家の日常といえば、こんなものである。なんとなくTVを見ていると、頻繁に、悪しきキネシストたちによる蛮行が報じられる。
彼女たち神都家(かみつけ)の役割は、それを止めることにあるのだ。
…この地域には、神の悪戯か、
尋常ならざる力を持ったものたちがたくさんいる。
それが害をなすか、利益をもたらすかは使用者次第。 しかし、現状は見ての通り前者が多い。
そんな現状を、神都家の一人、「伊弉諾 来夏」(いざなぎ らいか)は人一倍憂いていた。
彼女は自らのキネシスにより、級友と壁を作りがちだった。
なぜなら、体に触れると相手を感電させてしまうからだ。
これはキネシスが強すぎるからであって、当然彼女に非はない。
だが、級友にそれがわかってもらえるはずもなく… いつしか彼女自身からすすんで級友との関係を悪化させていった。…当然、人に嫌われるのは辛い。
だが、友を感電させるくらいなら一人で生きた方が何百倍もマシだ。
その時の彼女なりに友を思った結果がこれだ。 事実、今でも級友たちは感電死することなく元気にやっているらしい。
そんな過去を持っているだけに、彼女には「わざわざ人を害するためにキネシスを使おうとする輩」が理解できない。
ただでさえ友のために苦心を強いられるキネシストが、なぜ自らすすんで他者を傷つけるんだ?
…だめだ、まったくわからない。
いくら考えても、彼女の頭では結論が出せない。
たまらず来夏は、家主・神都翔子(かみつ しょうこ)に答えを求めた。
「わからぬ場合は質問。これ即ち幸せの秘訣」とはよく言ったものだ。
「……ってわけだ。 なぁ、翔子…教えてくれよ。」
翔子は彼女の純粋な疑問をゆっくり反芻し、こう答えた
「…力というものは、そういうものじゃ。 油断すれば人を狂わせる… お主だって何度か見てきたはずじゃ」
今まで倒してきた「やつら」のことだろう。精一杯思い返す彼女をよそに翔子はこう続けた。
「じゃが、稀に狂わされなかったやつらもおる。 わしら以外にも、たくさん、たくさんおるぞ
…そうじゃ! お主も見てくるといい。 力を正しく扱う人々の姿をな」
力を正しく扱える人…来夏の頭の中は彼らへの興味で満たされ始めた。
「なあ、翔子! もうひとつ教えてくれ! そいつらはどこにいる?!」
「たくさんおるからのう… ここから一番近いのは関北(かんぽく)地区じゃな」
翔子の答えを聞き、来夏の単純な脳はすぐに結論をはじき出した。
「おっしゃ! じゃあ俺、明日から関北地区行ってくるわ!」
いかがだったでしょうか。
以上がキネシズムの導入部分になります。
今作は来夏を主軸に据えて、「力そのものの捉え方の違い」を描いていければと考えています。
様々なキネシストとの交流を通じて、来夏は何を思うのか…
…作品に対するご意見、ご感想は随時受け付けております。
なにか引っかかるところがあれば指摘いただくと幸いです
それではまた次回