今日で補習が終わります!やったー!!(≧∀≦)
明日から長野に帰省して、母の実家で親戚の方達と楽しくのんびり過ごします。楽しみです(。・ω・。)ワクワク
そういえば、この作品をお気に入りにして下さっている方が急に増えて下さいました!
たくさんの方に目を通していただけていて、わたくし感謝の気持ちでいっぱいです!
濡れ縁に寝っ転がりながら、風鈴の音に耳を傾けて、ゆったりのんびりと小説執筆に勤しもうと思います!
え?なになに?受験勉強はどうした、ですって?
イヤダナァナンノコトデスカネ?(∩゚Д゚) アーアー キコエナーイ
とにかく。
これからも読んでいただければ嬉しいです!
第12話 矛盾の革命家
秋に入って和らいだ朝の日差しを眩しそうに見る少女がいた。
彼女は、『スノードロップ』という花屋のロゴが入ったピンク色のエプロンを着ている。
おさげの髪の少女は、ショッピングセンターの一角に店を構えるフラワーショップ『スノードロップ』に入荷される予定の花の到着を待っているところだった。
と、開店数時間前のショッピングセンターの広い駐車場に、一台の軽トラックが入ってきた。
そのまま、駐車場に面した『スノードロップ』の入り口前まで走ってくる。
荷台には、たくさんのキレイな花が載せられていた。
「おはよう、お嬢ちゃん」
運転席から降りてきたのは、還暦を過ぎたくらいの男性だった。
「おはようございます!
少女は元気に挨拶を返す。
二人は、荷台に積まれた商品を下ろし始めた。
「お嬢ちゃんは、いくつなんだい?学校には行っているのかい?」
「え!?ええっと………」
老人の突然の問い掛けに、少女は言葉に詰まってしまう。
するとそこへ、
「この子はもう十六歳なんですよ、津軽さん」
と、少女と同じエプロンを体の前につけた、妙齢の女性がやってきてそう言った。
「おや?
新顔の店員さんがあまりにお若く見えたのでね、これは失礼したね」
「良いんですよ。これで十六歳なんて、無理がありますからね」
「あ、アハハ………」
彼女の言葉に苦笑いをするおさげの少女。
「この子、高校に行かないでうちの店を手伝うなんて、急に言い出すものですから。今日からうちで働くことになった、親戚の子供です」
「あ、は、はじめまして!
「カエデちゃんか。よろしくね」
「は、はい!」
「それにしても、可愛らしい子だね。うちの子にしたいくらいだよ」
「あら、もらっていって下さっても構いませんよ?」
「ね、め、
「冗談よ、冗談」
「ハッハッハ、まるで年の離れた姉妹のようだね」
「ふふ、そうですか?」
「ああ、仲がいいようで羨ましいくらいだよ。
それじゃあ、私はこれで」
お疲れ様です、と軽トラックの運転席に乗り込む津軽さんに会釈して、二人はキャスターに載せた商品を店内に運び込んでいった。
開店前のショッピングセンターは、静かな平穏に包まれていた。
少し肌寒いような、ひんやりとした風が吹き抜ける。
ビルの屋上から見下ろす夜景は未だ眠りにつかない人々の営みを伝えてくる。
背後を振り返れば、正面の動的風景とは対照に、深く暗闇に沈む不気味な海が広がっている。
ここは、東京8区。
最近になって、喰種と喰種捜査官、また喰種同士での争いが激しくなった、隣接している2区の影響を受けてか、はたまた喰種社会の中で確固たる地位を築いていた『赤天狗』駆逐の影響か。
ここも、ここ数ヶ月で急速に喰種が起こしたと見られる様々な事件が増えてきている。
そんな8区のとあるビルの屋上で。
「…………お前ら、心の準備は出来てるか?」
人の顔を描いたマスクで顔を隠した男が言葉を発した。
その声色はどこか弾んでいて、これから起こることに大きな期待を寄せているようだった。
少し気を抜けば足を滑らせてそのまま地獄に落ちてしまうかのような、屋上の縁ギリギリに立っているというのに、緊張感のかけらも感じられない態度は飄々としている。
彼の視線は声を投げかけた方向に向いておらず、ビル下のとある一点を見下ろしていた。
「当たり前じゃないすかー、早く行きましょうよー」
そう返すのは、金色に染めた髪を短く刈って立てている男だ。若い声とひょろっとした体躯が、彼の軽薄そうな雰囲気を助長している。
暗がりに浮かぶどす黒い赤のマスクに覆われ、その表情を窺い知ることはできない。
彼は、貯水タンクの上に腰掛けて、暇そうに足をぶらぶらと揺すっていた。
「テル、分かっているだろう?ソーマさんは自分が緊張しているのを隠そうとしているのさ」
まっさらなキャンパスのようなマスクに覆われていない口元には、はっきり笑みが浮かんでいた。
彼は、近くに明かりが無いために暗い手元で、画用紙に何かの絵を描き付けていた。
「ああ、そうだな。
ソーマさんはいつも大きな作戦前に唇真っ青にしてますからね」
絵描きの男に同調するのは、マスクで口元以外を覆った女性だ。
口調がコロコロと変わることに違和感を感じるようなしゃべり方。
顔を覆うマスクも、その身にまとうドレスのようなワンピースも、全てが漆黒に染まっている。
唯一露出している白磁のような腕が、あたかも夜の影からぬっと出てきた幽鬼のように不気味で美しい。
「え、そうだったんですか?」
それに反応したのは、まだ年端のいかぬ、幼い少女だった。
白地に複雑な植物の意匠を凝らした、可憐なマスクで顔を隠している。
夜闇に溶け込むような、長い濡れ羽色の髪は一つに纏められ、動きやすいように結わえられている。
「そうだよ、アリス。ソーマさんはみなさんご存じの通りなか」
「おい、そういう冗談はやめろ、背筋が気持ち悪くなる。アリスもこんな嘘を真に受けるんじゃねえ」
解説し始めた絵描きの男の話を乱暴に遮り、ソーマと呼ばれた男が振り返る。
「ふん、そんな軽口叩いてるようじゃあ、全員余裕そうだな」
「まあ、実際のところそんなに余裕はないですけどね」
「大丈夫だろう。
私たちならきっと成し遂げられます!」
「え、えと、頑張りましょう!」
「いいからさっさと行こうぜ!《渦潮》のアジト!」
「ああ。
そんじゃ、行くか」
そうかけ声をかけると、
それに続き、口を開いていた者達も皆ビルの屋上から飛び出した。
普通の人間であれば、このような行為はただの投身自殺であり、地面への落下とともに即死してしまうだろう。
そのようなことをするのは、生きることから逃れようとするほど追い詰められた人間か、
正気の沙汰ではない。
しかし、彼らは普通の人間ではなかった。
「ヒャッハー!!つえぇやつこいやぁ!?」
「もう少し静かにしようよ。一応襲撃
「余計なことをするようなら、私がお前の体を抉りとってやろう」
「え!?それマジ勘弁だけど!?」
「月、キレイ…………」
「アリスも集中しようね?」
人間社会に潜み、ヒトを喰らって生きる者達。
食物連鎖の頂点にたつ人間達のみを捕食する捕食者、
彼らは、たった五人の喰種の徒党であり、たった五人でこの8区を荒らし回っている喰種達。
対立するものが両立される世界を目指す《paradox》の革命家達だ。
「月、キレイ…………」
自由落下の心地よい風を受けながら、わたしは夜空に浮かぶ満月に見入っていた。
去年は、この時期のこういう満月を千夜ちゃんと二人で見てたんだっけ。
学校のお仕事で遅くなって、その帰り道だったなぁ。
『あ、千夜ちゃん見て!すごい綺麗だよ!』
『………本当ね』
「アリスも集中しようね?」
『すごいねぇ。金色のお月様だよ!』
『………あなたって、本当に────』
───あれ?あの時、千夜ちゃんはなんて言ってたんだっけ?
「おーい、アリス、花咲かせる用意は良いー?」
「………はっ!」
いけないいけない、ぼーっとしてた!
「大丈夫です!」
わたしたちは、《渦潮》って言う喰種達のグループに攻撃を仕掛けて、渦潮の
『いいか?作戦はこうだ。
まず、奴らのアジトから見えないビルの屋上から降りてって気づかれないように接近。
そのあとは、テルがデカいのを一発打ち込んで、穴をあけたらアリスが花を中に咲かせろ。
後は、好きに暴れろ。最悪、奴らの
奴らが自分らの
鵜呑みにすんのは危険だが、まぁ今夜襲撃をかければどうってことはない。
それまで奴らは油断してるだろうからな』
『あの、一つ質問いいですか?』
『ん?アリス、どうした?』
『その、相手の方が逃げてしまった場合はどうするのですか?』
『ん?なんだ、そんなことか。
大丈夫だろ。別に俺は皆殺しにしろとまでは言ってないからな。あ、前代未聞の殺戮劇でも演じたいなら勝手にやって良いぞ』
『し、しませんよっ、そんなこと!』
…………つまり、わたしはテルさんが羽赫でこじ開けた穴からたくさん花を出せばいいってことだ。うん。
べつに、わたしは命を無闇に奪いたい訳じゃないし。
ん。
そろそろかな。
ベキベキと、殻を破るような、液体状の物体が固体に急激に変化するような、そんな音がして、テルの背中を赫子が覆った。
「ぅおらあぁぁぁ!!」
その背中では、激しく蠢く羽赫が一つの形をなしていた。
それは、大口径の銃のような、戦闘機に搭載されるような形状の赫子。
喰種のRc細胞の作り出す莫大なエネルギーを放つ、高火力・高燃費な赫子だった。
テルの絶叫とともに、銃口状の赫子が青白い光を放ち始め。
「吹っとべぇぇぇっっ!!」
ゴォォォォッッ
輝く砲撃を、ビル裏の戸口に向けて撃ち込んだ。
「今だ!」
「はい!」
リーダー格のソーマの指示に即座に返事をして、アリスと呼ばれていた少女が背中から細長い触手を展開する。
それは、人間を喰らう
鱗赫と
そして、
「なんだ!?」「ギャアアァァァッッ」「敵襲!敵襲だっっ!」「どこのバカだ!?」「お前ら、隠れろ!」「おい、どうした!?」
騒然とする屋内へとあけられた穴から、それらを中に撃ち込んだ。
ガガガガガッ ザクザクッッ ドバッッ
壁に何かが刺さる音、柔らかいものを堅いものが貫く音がして、
ババババババンッッ
大量の破裂音が響いた。
「グ、ガアアァァッッ!?」「い、いでぇぇ」「ヤバいぞ、喰種か?
室内からは混乱の声が聞こえてくる。
壁面や路地裏に着地した《paradox》の面々に、
「さて」
と白黒マスクの喰種が号令をかける。
「やれ」
その言葉とともに、五名の喰種達が爆発によって炎上し始めた《渦潮》のアジトへと突入していった。
「────一体どうなってやがる!?」
バン!と会議室の机をたたき、とある特等捜査官が普段は見せないような苛立ちを露わにした。
普段から不機嫌そうな仏頂面が、今は真っ赤になって歪められている。
「どうして喰種どもが、しかも海外の喰種どもが他の喰種を襲ったりするんだ!?」
「落ち着くんだ、ウリエ。奴らについての捜査は着実に進んでいる」
S3班の捜査官達を率いる
短く刈り込んだ頭を撫でながら、旧知の仲である瓜江特等に落ち着いた声音で言葉を発する。
「だったらなぜ《paradox》の喰種どもの討伐隊を編成しない!?
奴らはよりにもよって、この間の『赤天狗』駆逐作戦の最後にわらわらと出てきやがって、我々CCGに甚大な被害を与えているんだぞ!?」
「ご安心下さい、瓜江特等。奴らの
そう、彼をなだめるのは、手癖の悪い喰種の集まる13区担当の捜査官、
対策Ⅱ課所属の彼女は手元の資料を
「CCGでの個体呼称は『オセロ』。以前、大陸の政府と癒着していた喰種組織、《
ヤツの率いていた《paradox》の規模は、先日の作戦での抗争でかなり縮小することに成功しています。
現在、《paradox》に所属していると思われる喰種は、『
残りの一体がどのような赫子を扱うのかが分かっていないため、それの特定が済み次第、8区の捜査官を増員、《paradox》への対応に当たっていく予定です」
「ふん………」
美馬特等の説明に納得したのか、瓜江特等はようやくいつも通りの仏頂面に戻り、腕を組みながら円卓に置かれた『オセロ』改め『トーレ』の写真を見る。
そこには、西アジアの人間の顔立ちをした、赫眼を持つ男が写っていた。
「因みに、討伐隊には佐藤特等と
「りょーかい」「わかった」
美馬特等の言葉に、特等二人が頷いた。
(『オセロ』、ね)
他の特等捜査官達が退出した会議室で、佐藤特等は一人考えに耽っていた。
(奴自身は、《天狗》駆逐作戦に現れたときには、『白マスク』追跡中の板垣上等の班所属の捜査官を壊滅させたこと以外に目立った戦闘もしていない。
そのせいでむしろ、捜査官殺害に止まった奴の行動原理がわからん)
『トーレ』は、ある国の人間の政府と喰種の大組織の癒着に終止符を打った張本人である。
癒着していた喰種達を
(そのせいで、あの国は今政治は混乱しているわ、喰種どもの勢力争いが活発になっているわでヤバいことになってんだけどな)
喰種社会をも牛耳っていた者達が一斉に消えたために、それまで彼らの下に回っていた喰種達が蜂起して、国のあちこちで喰種同士の争いが起こっているようだ。
(狙いが全く見えないのが『トーレ』の恐ろしいところだ)
唯一分かっていることは、喰種、捜査官問わず戦闘を好む喰種どもを率いていることと、そのグループを《paradox》と称していることくらいだ。
(ま、面倒なことをされる前に潰しておきたいわな)
そう結論づけると、佐藤特等は椅子から立ち上がり、彼の他には誰も残っていない会議室を出て行った。
如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです。
では、私はこれから補習に逝って参りますので(誤字ではないです)