読みました。
やっぱ原作最高ですごちそうさまでした<m(__)m>
ではどうぞ。
懺悔しなさい。
あなたの罪を。
そしてそれを悔い改めると、心に誓いなさい。
ワタシは、あなたを許しはしないけれど、ね?
ドンッ、という重い音が耳に入る。
「なぜだ………?なぜ奴らは姿を見せない?」
会議室の円卓を叩いたのは、ここ喰種対策局8区支部に対《paradox》のためにおいでなすった、瓜江特等だ。
怖い。とても怖い。なんでこんな怖い人が来たんだよ。確かに優秀な特等捜査官殿ではあるけども。
唐突に日本にやってきた《paradox》への対応に、東京の対策局はどこも大慌てだ。特に、奴らが確認している限り最後に活動していた8区には、重点的に捜査官が配置された。瓜江特等なんか、24区からのお出ましだ。
この人、味方のはずの俺らにも射殺すような視線ぶつけてくるんだもの。ぼくこわいのきらい。
まぁ兎に角、ここ数ヶ月の間8区で活動をしていない《paradox》は、不気味なほどに
「瓜江特等、活動してないならそれはそれで良いんじゃないかな~、と私は思うのですが」
と、《paradox》以外の喰種ばかりを駆逐し続けてストレスの溜まってる特等に爆弾をぶち込みやがったのは、
「
わが愚妹、新庄 ミカである。
「はいはいすんませんごめんなさい」
なんでそんなに返答が雑なんだよ、おい。
「貴様ぁ…………!!」
特等がむっちゃ顔歪めてんだろうが。
はぁ…………はぁ!?
「なんでお前がここにいるんだ!?」
「なんでって、兄さんそりゃ私が瓜江特等の部下だからですよ。ってゆーか、兄さん、気づくの遅すぎない?」
いやいや、会議に出てるメンバーなんて、上司以外は確認しねーもんだろふつう。………しないよな?
つうかなんでこんなズボラでふざけた態度で一々ムカつく奴が瓜江特等の部下なんだよ。ほら瓜江特等見てよ普段は冷静なのに今にも噴火しそうな感じだよ。おい誰のせいだと思ってやがる。へらへらすんなや。
視線だけで意思伝達を試みて、「なんかうちの兄さんが情熱的な目でうちを見ててキモい件について」とかミカが呟いていることに半ギレになっているところに、
「…………おい、新庄準特等」
えっ、俺っ?
突然の指名に動揺しまくる俺。なんかやらかしたか?
「はっ、なんでございましょうか瓜江特等捜査官様」
「なんで様付けだし」
うるせーわ、と心の中で言い返す。
………ふぅ。
そろそろ真面目にやるか。
おふざけはこの辺にして、
「例の捜査の進捗状況を報告しろ」
瓜江特等の言葉で頭を切り替える。
「はい。現在、《paradox》の喰種達の活動について、13区と8区における、行方不明となった一般人『と考えられる』、また
そう、何の足掛かりも掴めずにただ奴らの出現を待っていたわけではない。
あいつ等の中で、顔が割れている喰種はいない。つまり『黒薔薇』と『ヨロイ』、『トーレ』に『ペインター』、そして『クローバー』はマスクの下を知られていないのだ。
それは、この5体が人間社会に溶け込むことを可能としていることを示している。
仮に、奴らが潜伏しているのだとしたら。
現在行方不明となっている者の中、あるいは奴らの活動中に行方が分からなくなっている、つまり、アリバイのない者を虱潰しに探せばいい。脳筋?聞こえんな。こっちはそのくらい追い込まれてんだよ。
後者は少し難しいが、前者なら絞り込みは簡単だ。
可能性としては後者より前者の方がかなり低いが、それでもやる価値はある。
真面目な話、喰種対策局の歴史の中でもトップレベルの大規模な捜査だ。どこの局とも連携して捜査を進めなきゃならん。
警察にもできる範囲での協力を仰いでるし、多分《paradox》以外の喰種にも対応をしているのは瓜江特等みたいな対策局のトップ戦力くらいで、他は皆聞き込みと資料調査に忙しい。
警察との連携は、『大人の事情』でこれまではなかなかうまくいってなかったのだが、例の13区での住民避難の遅れによる大きな被害に、
なんだか知らんが、《paradox》の活動で仲の
変化っつっても良いことばかりじゃねぇし、それこそ
『トーレ』め。国外退去だ!国外追放だ!
「今のところ、行方不明者となっている者の中で、《paradox》の構成員と似た背格好の者は179名中13名ほどいます。
明確な証拠ではなく、また《
気の抜けた顔ではあるが、その目は抜け目なく前を見ている。新庄準特等は、8区に集められた捜査官達の前で、淡々と報告をしていく。
今回の対《paradox》の最前線は、ここ8区ということになっている。
したがって、本部とは別に他の区から寄せられた情報を、ここでまとめたりもするのだ。
8区支部長を兼ねている彼の報告に、その場で最も職位の高い瓜江特等が言葉を挟んだ。
「準特等。こちらの捜査から『は』ということは、もう一方の捜査の方には、何か進展があったのだな?」
「ええ、おっしゃる通りです」
新庄準特等は、そこで固めていた表情をにやりとさせて、
「8区にある、とある店の従業員の外見が、どうも捜査対象と似ていることが分かりまして」
「それだけでは踏み込んだ捜査は出来んぞ?」
「えぇ、勿論ですとも」
彼は、そこで手に持っていた書類を入れ替えた。
「3月21日未明、とある外国籍の貨物船に無断で乗り込み、不法に入国した者がいたことが判明しました」
その報告に、ざわりと会議室が動く。
喰種はあまり、飛行機を使いたがらない。特に、顔が割れていない裏社会の喰種はそうだ。
搭乗者として記録されてしまえば、よほど上手く人間社会に入り込んでいる喰種でない限り、後々捜査の手が及ぶ可能性があるからだ。
そのため、一部の喰種は危険を冒して飛行機以外の手段で日本のような島国に来ることがあるのだ。
「警察から、その不法入国者の映った防犯カメラを特定たという報告を受けまして。そこに映っていた者の身体能力が、人間の範疇を越えていたので、こちらにその映像を回してもらうことが出来たのです」
これまでの捜査ならば、喰種捜査官などという者達に自分たちの職務範囲を侵されたくないと、今回のような資料提供はなかった可能性があった。
船から飛び降りた人がいたという目撃情報から、海外喰種の入国の仕方についての情報を対策局から得た警察が、「これは」と思って捜査をしなければ、今回のようなことにはならなかっただろう。
「そして、その不法入国者と特徴がぴったり一致する者が、同日の午後四時半頃に、先程の捜査線上に上がった店へと入店しているところを、当局の捜査官が目撃したことが判明しています。赫眼も、遠目ながら確認したようです。
残念ながら彼はその後、喰種によって殺害されており、情報は件の店から遠く離れた現場に残された手帳に記されていたものですので、これ以上の詳細な情報は望めません。
しかし、彼を殺した犯人は、特徴的な赫子痕をもつ『トーレ』のものと一致しました。恐らく、見られたことへの口止めかと」
つまり、不法入国者はレートSSの喰種、『トーレ』で間違いない。
新庄準特等は、そう締めくくった。
ここ数ヶ月の間、活動が表立って見られなかったのは、リーダーたる『トーレ』が国内にいなかったため。
店に赫眼で入ったのは、そこが喰種の経営する店、それも『トーレ』とある程度以上の関係を持つ喰種の店である可能性が極めて高い。
「………よくやった」
うるさくなった会議室のざわめきを遮るように、瓜江特等が声を出す。
途端に静かになった部屋中に聞こえるように、彼ははっきりと言葉を紡ぐ。
「まずは殉職した捜査官に感謝と哀悼の意を。この場にいる者全員に一分間の黙祷を命ずる」
そう言うと、瓜江特等は粛々とした態度で目を閉じた。
彼の言葉に従わない捜査官は、この部屋にはいなかった。
「────それで、例の店名は何だ?」
「『スノードロップ』という花屋です。地図はこちらになります」
「ふむ…………『スノードロップ』、か。
…………指示を出す。
この情報を本部に連絡しろ。戦力を整え次第警察に協力を仰いで周辺住民の避難を出来る範囲でやってもらう。
くれぐれも秘密裏に、奴らに気取られないようにしろ。作戦は我々特等で決める。それに従え。
これより、『paradox』討伐作戦を開始する」
瓜江特等の言葉が終わると共に、会議室に集められた上等以上の捜査官達が一斉に飛び出していく。
………さて。
俺は瓜江特等の方に近づいて行く。
「新庄準特等捜査官。今回の功労は高く評価されるだろう」
「いえいえ、自分ではなく、殉職した彼の功績ですからね」
俺は苦笑しながら話を続けた。
「報告しておいて何ですが、今回のこと、少し妙ではありませんか?」
「…………なにがだ」
「こんなにも簡単に『paradox』が尻尾を出したなんて、信じられないんです。
あいつ等はこの国より大きな国を牛耳っていた組織を相手取った戦いをしていたんだ。こんなにあっさりと確定的な手掛かりが掴めるだなんて………」
「罠かもしれない、と?」
「ええ」
第一、殉職した田中一等捜査官の手帳が、敵に回収されずに遺っていたのだ。何年もの間、大きな組織を相手に少数の手勢で戦ってきた『トーレ』が、このようなミスをするとは考えにくい。
「………その点については安心しろ」
だが、瓜江特等は俺の心配を取り下げた。
「何故です?」
「お前がなんとなく大丈夫だと判断していなければ、あの場で発表する事はなかっただろう」
つまり、お前の勘を信用している。
瓜江特等はそう仰った。
確かに、直感的には、これは罠ではない、と思っている自分がいる。
十数年の間、喰種捜査官として生き残ってこれたのは、ひとえにこの勘のおかげだ。
だが、理性で考えれば、この事態は随分と奇妙で何かしらの危険なモノを孕んでいるようにしか思えない。
「安心しろ。俺の勘も問題ないと言っている」
と、瓜江特等が考え込む俺にそう言った。
思わず、口角がつり上がってしまう。
瓜江特等は、その優秀な頭脳と圧倒的な戦闘センスで特等にまでのし上がったお方だ。
だが、そこを特等捜査官にまでなっている瓜江特等は、立派で尊敬すべき先輩だと言えるだろう。
その方の勘が太鼓判を押したのだ。
頭ではまだ納得出来ていない俺は、兎に角この人を信じていこうと、そう決めた。
待っていろよ、ミサカ。『トーレ』を生け捕りにして、お前の
いかがでしたか?
アリスの話は、次回ということで。
そろそろダンまちも書きたい(´・ω・`)
↑これをバカといふなり
とんでもないミスがありましたので、修正しました。10/3