ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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遅れて済みません。何とか一章を終わらせたい……。


決着つけようか

 暗い森の中。俺とドーナシークは槍と剣で斬り合っていた。

 

 実力はほぼ拮抗。お互い、じわじわと体力が減っていくのが分かってくる。

 

 ――このままだと、俺の方がさきにバテるかな?――

 

 剣を右に振るいながら俺はそんな事をボンヤリと考えていた。

 

 どーしたもんかね、これ。木場なら何か有効な手立てでこんな堕天使ぶった斬るんだろうけど。今の俺じゃなあ……。

 

 ああ、一度で良いから一撃必殺ってやつをやってみたい……。以前、一誠からゲーム借りたときのあの快感。たまんなかった。

 

 ゲームの時にあんな感じだし、実際にやったらどんだけ気持ちいいのか……。

 

 とはいえ、ゲームと現実は違う。現実は、そう甘くないんだよねえ。

 

 さてさて、どうするか……。

 

 まあ、技出せば何とかいけるかも知れないが、しょーじき堕天使効くかどうか……。

 

 それは追々確かめていくことにしようか。

 

 さて、先ずは――

 

「おい、俺の神 器(セイクリッド・ギア)

 

「ん?」

 

 突然止まった俺を訝しげに見るドーナシーク。

 

 俺は構わず神 器(セイクリッド・ギア)に話しかける。

 

神 器(セイクリッド・ギア)は思いに応えるらしいが、てめえ、いつまで寝てやがる。さっさと起きろ」

 

 リアスが驚いたんだ。神器(これ)は相当レアな物なんだろう。否、じゃなきゃ俺が許さん。

 

 大抵はこういうのすごい能力を持っているのが相場なんだよ。だから持って無いとか言うんじゃねえぞ。

 

「いい加減黙り込むは無しだぜ?――力寄越せやっ!」

 

 俺の思いに応えろ! そう思い、叫んだ瞬間だった。

 

『Silver Dragon Set up』

 

 神 器(セイクリッド・ギア)から機械的な音声が流れる。そして次の瞬間、俺の神 器(セイクリッド・ギア)が銀色に輝き始めた。

 

「何だ!?」

 

 ドーナシークが突然の現象に驚き、後ろに距離を取った。

 

 かくいう俺も驚いているわけでして……。

 

 つうか、マジで? マジで真の力発揮って感じ? 何か漫画的な展開になり始めているな。まあ俺が望んだ事だから、それはそれで良いけど。

 

 光が収まると、神 器(セイクリッド・ギア)はその形状を多少変化していた。

 

 最大の変化は柄と刀身の間に澄んだ宝玉が埋め込まれいた。

 

 っ! 俺の頭の中に、この神 器(セイクリッド・ギア)の使い方が流れ込んでくる。 

 成る程ね。そういう能力(チカラ)を持っているのか。あんまり見ないヤツだな。

 

 が、おもしろい。コレ使ったら色々と便利だな。

 

 よーし、試してみるか。

 

 善は急げ。その言葉通り、俺は剣の先をドーナシークに向けた。

 

「おい、ドーナシーク」

 

「何かね?」

 

「悪い。この勝負、俺の勝ちだ。テメエに万に一つも勝ち目は無いよ」

 

 俺がそう言うと、ドーナシークは殺気を一際高く発した。

 

「言ったな……高々ほんの数日程度の悪魔風情が、舐めるなっ!!」

 

 激昂したドーナシークが今までの中でも一番でかい光の槍を放ってきた。

 

 もし、喰らったら相当マズイだろう。()()()()の話だが。

 

 俺はこちらに飛んでくる光の槍に合わせるように剣を盾にするようにして、胸の前に構えた。

 

 そして、槍が剣に触るであろう寸前で、俺は言った。

 

「――喰らえ」

 

『Absorb!!』

 

 剣がそう音声を発すると、光の槍がふっと消えた。

 

「なっ!?」

 

 突然の出来事に、怒りに燃えていたドーナシークが驚きを露わにした。

 

「どうした? ご自慢の光の槍が突然消えて驚いた顔になっているな?……何されたか分からないか?」

 

「っ!」

 

 一瞬、図星にされた顔になったが、直ぐに気を取り直して、再度光の槍を生み出した。

 

「舐めるなよ……何をされたかは確かに分からなかったが、次は当てる!」

 

 刹那、再びドーナシークは光の槍を放ってきた。

 

「はっ!」

 

 俺は剣の範囲に近づくと同時に右横に剣を振った。

 

『Absorb!!』

 

 再び光の槍が消える。

 

「な、何だと……?」

 

 さすがの光景に、ドーナシークは一瞬呆然となった。

 

 だが、はっ我に返り何かに気がついたようだ。

 

「先程も剣で……? っ! そうか、貴様の神 器(セイクリッド・ギア)か……!」

 

 ようやく気がついたか。俺は笑みを浮かべる。

 

「そうそれが俺の神 器(セイクリッド・ギア)、『灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』の能力の一つ。相手の力の吸収だ」

 

 神 器(セイクリッド・ギア)から流れ込んできた力の説明。それは、相手の力の吸収だった。

 

 剣に触れた超常の力全て吸収してしまうのだ。

 

 一応、何でもかんでも吸えるらしい。悪魔にとって有害な光を吸収してしまうのだから恐ろしいモノだ。

 

 一方、ドーナシークは苦々しげに俺の事、正確に言うならば神 器(セイクリッド・ギア)の方を見ていた。

 

「『灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』……十三種ある神滅具(ロンギヌス)にこそ名を上げてはいないが……使い方次第ではそれらに匹敵するという」

 

 神滅具(ロンギヌス)? 確か、キリストを貫いたっていうあの槍のことだよな? しかも十三種あるってどういう事だよ?

 

「危険だな……その神 器(セイクリッド・ギア)。いや、貴様もか。此処で倒すさねば、後々我々堕天使の大きな脅威になるだろう」

 

 

「脅威、か。嬉しいね。そう言われるという事は、実力が認められているという事だな」

 

 俺の言葉にドーナシークは鼻を鳴らす。

 

「ふん、粋がるな小僧が。……だが、次で確実に殺してやる。体全てを消滅させてな!」

 

 そう言うと、ドーナシークは今までで一番大きい光の槍を生み出した。

 

「確かにその能力は危険だ。問答無用で吸われてしまうのだからな。だが、触れないように刺せれば良い。それだけのことだ」

 

 あーらら。まあ、その通りなんだけど。

 

 けどさ、さっきも言ったはずだぜ? ドーナシーク。

 

「勝つのは俺だ。それはもう覆らねえよ」

 

「言ったはずだ……粋がるな! 小僧っ!」

 

 ドーナシークは今度は槍を持ったまま突進してきた。

 

 どうやら投げつけては意味が無いと判断したようだな。

 

 その判断は正しいと言える。あれくらいのスピードなら、どの方角でも何とか対応出来るしな。

 

「はあああああっ!!」

 

 ドーナシークはジグザグに動き回りながら俺に迫ってくる。

 

「…………」

 

 俺は冷静に、剣を構え、ドーナシークの動きを見た。

 

 完璧とは言えないが、目で追いかけられる。なら、問題無い――!

 

「ドーナシーク。テメエは一つ忘れている」

 

「……?」

 

「確かに俺の神 器(セイクリッド・ギア)の能力は相手の力の吸収。だけど、その吸収した力は何処に行くと思う?」

 

 吸収したら、それはどこか別の場所にあるもの。ならば、何処にあるのか?

 

 答えは単純。

 

「ずっと神 器(セイクリッド・ギア)の中にため込んでいるんだよ!」

 

『Liberate!!』

 

 神 器(セイクリッド・ギア)がそう音声を発すると、剣の刀身が光り輝き始めた。

 

「っ、そうか! 『灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』のもう一つの能力は――!」

 

 ようやく気がつき、急停止しようとするがもう遅い。

 

 一瞬ヤツは止まったが、その分、俺が前に行けばいい。

 

 俺は一歩足を踏み込み、ヤツの懐に入るようにして剣を横に構えた。

 

「はあっ……!」

 

 短い気合いと共に俺は剣を振るう。

 

 一瞬の内。ほんの僅か、完全な静けさが俺の周りを覆う。

 

「……バカな」

 

 静寂を破ったのはドーナシークだった。

 

 彼は上半身と下半身をずらしながら呆然と呟いた。

 

 何故彼の体が二つにずれようとしているのか? 実に単純明快、俺が斬った。

 

 元々の斬れ味と更にもう一つの能力が合わさった結果だ。

 

 『灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』のもう一つの力。それは”解放”だ。

 

 神 器(セイクリッド・ギア)内にため込んだ力を一気に解放し、刀身に纏わせる。そうすることでその力を一定の間、使うことが出来る。

 

 つまり、俺でも堕天使の光を扱うことが出来るのだ。

 

 だが、この世に完璧な物が無いように、この神 器(セイクリッド・ギア)にも弱点がある。

 

 吸収出来る力には限度がある。許容量を超えてしまうと俺にその分のダメージが伝わってしまう。

 

 何でもかんでも吸えるのは良いけど、色々と試行錯誤していく必要があるな……。

 

「ん?」

 

 物思いに耽っていると、ふとドーナシークがどうなったか気になって、下を見てみた。

 

「うーん、もう死んでいたか」

 

 残念なことにもう死んでいた。うん、しゃーない。

 

「アンタの御陰でまた一つ、強くなれたよ。ありがとう」

 

 もう聞く事出来ないだろうけど。そうノリツッコミをしながら、俺はリアス達の方に歩き始めた。

 

 ******

 

「あら、やっと終わったみたいね」

 

「……取り敢えず、遅れてごめんなさい」

 

 どうやら大分離れていたみたいで、少し歩いて元の場所に戻ってみると、既に戦いは終わっているらしく、朱乃が巫女姿で箒を持って辺りに散らばっている黒い羽――恐らくは堕天使の羽だろうが言わないでおこう――を掃除していた。

 

 

「良いわよ、別に。どうやらちゃんと勝ったみたいですしね」

 

「ああ。神 器(セイクリッド・ギア)の能力、ようやく使えるようになってな。いやあ、中々使いやすい」

 

 俺は『灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』を展開しながら能力の説明をした。

 

「……伝説のドラゴンである 銀  星  輝  龍(シルヴァリオ・シュテル・ドラゴン)リンドヴルムの力を宿した存在。噂に違わずの力のようね」

 

 リンドヴルム。聞いた事がある名前だ。

 

 流星のように飛ぶ銀色の龍だとか。

 

「しかし、他の堕天使は? 勝ったんだろうけど、逃がしたのか?」

 

 俺の言葉にリアスが首を振る。

 

「まさか。この私が消し飛ばしたわ」

 

 ……え、まさか文字通り消したの? 羽だけ残して?

 

「部長は滅びの力を受け継いだ公爵家の跡継ぎで、紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)の異名を持つお方なんですよ?」

 

 怖ぇなおい。普段から気をつけているけど、これからはリアスに逆らわないようにしよう。うん。

 

「さて、と。これからどうするんだ?」

 

 堕天使は片付けたから教会の方が気になるな。

 

 木場に頼んだとはいえ、正直な所、心配な部分がある。あいつ、熱くなりやすいからな。

 

「心配しなくても、これから教会にジャンプするつもりよ。多分まだあっちが終わっていないと思うから」

 

「成る程……って、何だよ、心配してるって?」

 

「あら、可愛い可愛い弟のイッセーの事が心配なんでしょ?」

 

「待て待て。弟は認めよう。義弟だしな。が、その前の可愛い可愛いって何だよ!?」

 

「あらあら、素直では無いですわね。正直に心配だって言えば言いのに」

 

 こ、こいつら……。

 

「あのなぁ……あいつは確かに弟だが、別に心配するほどじゃ無いんだよ」

 

「なるほど。心配する以上に信用していると」

 

「……おい」

 

「そして、それでもやっぱり不安だから祐斗君にイッセー君の事を任せたと」

 

「おーい、ちょっと待てやコラ」

 

「「……ニヤニヤ」」

 

「何コレ!? さっきと同じパターンになっているぞ!? あれか。俺はこのネタをずっと弄られるのか!?」

 

 しかも何だニヤニヤって! 言葉に出すとか余計腹立つ!

 

「さ、夏蓮が心配でしょうがないらしいし行きましょうか。朱乃、後始末お願いできる?」

 

「はい部長」

 

「なあ、そろそろ文句言って良い? 良いよな?」

 

 俺の抗議は空しく無視されて、結局、後からくる朱乃を置いて俺とリアスは転移で教会に向かった。

 

******

 

 再び転移魔方陣をくぐって教会に行ったわけだが……。

 

「絶賛大ピンチ?」

 

「別にピンチでも無いわ、これぐらい」

 

「いやいや、こんな無双系のゲームに出そうな感じの状況だぜ? ピンチじゃね?」

 

 俺とリアスは教会の地下らしき場所にジャンプした訳だが、状況は凄い物だ。

 

 黒いフードを目深く被った薄気味悪い連中が光の剣を手に大量にいた。

 

 それと相対するように木場と塔城ちゃんが俺たちの前に立っていた。

 

「部長、夏蓮先輩!」

 

「……どうも」

 

 二人とも大した怪我も無く、まだまだいけそうな感じがあった。そう考えればあまりピンチでも無かったか。

 

「一誠はどうした? 一緒じゃ無いのか? てか、あのシスター嬢は?」

 

「兵藤君は上に。あのシスターも一緒です」

 

 どうやら先に逃がしたようだな。ま、あいつにはまだきついかもな。

 

「さて、俺はさっさと上に行きたいんだが……こいつ等通してくれるかな?」

 

「無理でしょ。だから……消し飛ばして通るわよ」

 

 リアスが紅いオーラを発しながら言う。

 

 ……何てオーラだ。コレがリアスの力か。

 

「っ! 紅髪、グレモリー一族の者達か!」

 

 黒フードの奴らが一斉に殺気立ち、こちらに向かってきた。

 

「実力も弁えず愚かなこと……消し飛びなさい!」

 

 リアスが手にやばそうな魔力を集めると、それを黒フードの奴ら目掛けて放った。

 

 そのまま黒フードの奴らにぶつかり……

 

「すげえな……」

 

 俺は驚きの声しか出なかった。何せ、放たれた魔力が黒フードの奴ら数人に当たると、奴らは声も出さずに消えたのだ。文字通り。

 

「コレが滅びの力か」

 

 相手に何もさせないで、触れた部分を完全に消した。消すというよりは、抉るだろうか。体全てが消えたやつもいるし。

 

 どうやら俺はとんでもなく強い悪魔の下僕になってしまったみたいだな。

 

「さあ、私の可愛い下僕悪魔達。目の前の敵をグレモリー眷属の名において、消し飛ばしてあげましょう!」

 

 その言葉が戦闘再開の合図だった。

 

 

 

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