尚、書いていて支離滅裂になっていると思われますが、お優しい心で見てください。
「案外、楽勝だったな」
俺はそう言いながら、
「いえ、部長と先輩が力を貸してくれた御陰ですよ」
木場が剣を鞘に収めながら笑いながら言う。
よく言うよ。俺たちが居なくても片付けただろうに。
「けど、こんな事して良いのか? 教会に、堕天使に喧嘩を売っているようなものだろ?」
部室でもオーケー出していたけど、よくよく考えればマズイ事じゃないのか?
「それなら大丈夫よ」
「いやまあ、大丈夫だからこういう事してんだろうけど……」
俺の疑問に答えるようにリアスが言う。
「ここは元々神に見捨てられた教会。神父やシスターが居なかったのが良い証拠。教会側はこんな場所で戦闘が起こっても大してアクションは起こさないわ。……それに、こういった小競り合いは年がら年中起きているの。いちいち問題にしてたらきりが無いわ」
成る程。神に見捨てられた教会か。何か、少しこの教会が可哀想に思えるな。
神を敬い、崇め、信じた為に作った場所の末路がコレか。この教会を建てた人たちも、建てた当初はこんな事になるとは夢にも思っていなかったんだろうし。聞いたら多分ショックだろうな。
って、悪魔である俺がそんな事を言っても仕方ないか。
「さて、上に行ってイッセーの様子を見に行きましょう。もう終わっていると思うから」
大丈夫かあいつは。さっさと見に行くか。さすがにもう一回に死なれたら目覚めが悪い。
「木場、上の階段はどっちだ?」
「ああ、あっちです」
そう言った木場が指さした場所に、俺は足早に向かった。途中、残って居る黒フードの奴らの死体を踏まないように。
「――ほらね、なんやかんや言って、夏蓮、イッセーの事が心配なのよ」
「みたいですね。正直、意外でした」
「……いつも、お説教しているイメージがありました」
「まあね。普段はツンツンしているけど、いざとなればデレる――いわゆるツンデレってヤツよ」
「いや、部長、それなんか違う気が……」
「はいはいー! 君たちー。何しているかな-?」
まだやるのかそのネタ。もう頼むから勘弁してくれ。
「あのさ……もうそのネタで弄るの止めてくれないか? いい加減突っ込むのも飽きた」
割と真剣に俺がそう言うと、リアスが苦笑いを浮かべた。
「そうね。少しやり過ぎたわね。ゴメンなさい夏蓮。祐斗、小猫も良いわね?」
「はい」
「……分かりました」
リアスに続き、木場と塔城ちゃんも頷いた。
「さて、今度こそイッセーの所に行こうか」
******
「……凄い有様だな」
俺は、教会内部を見て唖然とした。
内部はまるで嵐が通り去ったかのように滅茶苦茶で、長椅子などはまるで何か鋭利なもので切られたかのようの切断されているものが多かった。
さらには十字架に貼り付けにされている聖人の頭が完全に無くなっていた。コレは一誠じゃなくて堕天使達だろうな。あいつ、こんな悪趣味は無いだろうし。
壁には大きな穴が開いており、外が丸見えだ。
凄いな。こんな戦闘が小競り合いか。実際の戦闘はもっと凄い事になっているんだろうな。
ん? あれは一誠か。
壁近くで一誠が肩で息をしながら立っていた。
……どうやらやり遂げたみたいだな。
「お疲れさん。勝ったみたいだな」
俺は一誠に近づきながら言った。
「兄貴……おう、やってやったぜ」
一誠は震える足で立ちながらサムズアップを俺に向けた。
……立っているのもやっと、といった感じだな。
そう俺が考えた瞬間、遂に一誠が倒れ込もうとする。
「おっと」
俺は一誠の肩を抱くようにして支える。そして、そのまま肩を持つ。
「お疲れさん。褒美に俺の肩を貸してやろう」
「……へっ。所で、用事の方は終わったのか?」
「ああ。終わったからここに来ているんだよ」
「それもそうか」
「お疲れ様、イッセー」
後ろから声が。振り向くと、リアスが笑顔を浮かべながらこちらに歩み寄ってくる。
「部長」
「どうやら無事に勝ったみたいね」
「はい。何とか……」
「さすがは私の下僕ね」
リアスが一誠の頭をよしよしと撫でる。
一誠は一誠で気持ち良さそうに目を細めている。猫か犬かお前は。
「さて、またずいぶん派手にやらかしたわね」
「あらあら、どうします部長?」
どうやら後片付けを終えたらしく、朱乃がこちらに歩いてきた。表情は困り顔だ。なお、服装は巫女服からいつの間にか制服に変わっていた。
「な、何かやばいんですか?」
一誠が恐る恐る聞く。
「教会は神、つまりは天使サイドに所属するものだから、そんな場所で暴れたらあるのは報復よ」
うーん、やはり悪魔と天使にも色々とあるのな……。
「けど、それは今回は無いでしょう」
「どうしてですか?」
「さっき夏蓮にも言ったけど、ここは元々神に見捨てられた教会。神父やシスターが居なかったのが良い証拠。教会側はこんな場所で戦闘が起こっても対してアクションは起こさないわ。……それに、こういった小競り合いは年がら年中起きているの。いちいち問題にしてたらきりが無いわ」
「な、なるほど」
「部長、持ってきました」
ズルズルと何か引きずるような音と一緒に一誠が開けた壁の穴から来たのは、塔城ちゃんだった。
そして、俺たちの前まで来ると、引きずっていた物を放り投げた。
見れば、それは奇抜な格好した堕天使の女だった。
気絶しているな。顔面に殴られたような後が残っている。
「ありがとう、小猫。さて、起きてもらいましょうか。朱乃」
「はい」
朱乃が上に手をかざすと、宙に水の塊が出現した。
おお、悪魔の魔力ってやつか。俺も出してみたいな。
朱乃が手を下におろすと、宙に浮かんでいた水が落ちて堕天使に被る。
水を被った堕天使は、意識が目覚めたらしく、咳き込みながらゆっくりと目を開けた。
……よくよく見たらこいつ、一誠の元カノの夕麻ちゃんじゃないか。
そうか、こいつが……。
俺はフツフツと怒りが自分の中で湧き上がるのを感じた。
っ! 落ち着け。コレは俺が出していい怒りじゃない。堪えろ。
「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」
「……グレモリー一族の娘か……」
「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。短い間でしょうけど、お見知り置きを」
笑顔を浮かべながら言うリアスだが、堕天使レイナーレは睨みつけるだけだ。ま、当然の反応だがな。
が、途端にレイナーレは嘲笑うように笑う。
「してやったり、とか思っているのでしょうけど残念ね。今回の件は上の者達には黙ってやっているけど、私に賛同してくれる堕天使達がいる。今に彼らが……」
「残念だけど、堕天使ドーナシーク、カラワーナ、ミッテルト。彼らは来ないわ。私達が滅してしまったもの」
「そんな! 嘘よ!」
「この羽が証拠よ。貴女なら分かるでしょ?」
そう言ってリアスが三枚の黒い羽をレイナーレの前で散らす。
それを見て、本物と悟ったレイナーレは再び絶望の表情になった。
上層部に黙って勝手な行動しているんだから、当然そっちからの援軍は無い。
更に、自分の計画に賛同してくれる堕天使達も俺やリアスに寄って始末された。
完全な詰みだな。これはもう、こいつに打つ手は無い。後に残るのは死ぬだけだろう。
そして、ふとリアスが一誠の左手――正確に言うならば左手の赤い籠手だ――を見て、驚いた顔を見せた。
「赤い龍の紋様……今まで見えなかったのに……そう、そういうこと」
何かに納得したようにしきりに頷いていたリアスは改めてレイナーレの方を向いた。
「堕天使レイナーレ。貴女の敗因は一誠の
レイナーレが胡乱げな表情を作る。
「――『
レイナーレがここに来て一番の驚愕の顔を見せた。
「ブ、『
「人間界の時間にいて十秒ごとに自身の力を倍にしていく力。初めはそれほどでも無いけど、倍加の能力に際限は無いからやがてはどんな所有者でも神をも越える力を手に入れられる」
おいおい……なんだその力。
俺は一誠の
つまり、最初は弱くても、二倍、四倍、八倍、十六倍、三十二倍、六十四倍、百二十八倍と、延々と増え続けるということだ。
「けど、倍加には時間が掛かるからその前に倒そうと思えば、直ぐにやられてしまうわ。イッセーはまだ地力が弱いからね」
リアスの厳しいお言葉に一誠はがっくりとうなだれた。
まあ、そりゃそうだな。俺でもそうする。
「さて、そろそろお別れと行きましょうか」
リアスが手元に魔力を集めて、レイナーレにトドメを刺そうとした矢先だ。
「一誠君! 私を助けて!」
突如、堕天使レイナーレの姿が変わった。
アレは……以前、ケータイで見た時の一誠の元カノ、天野夕麻だった。
「この悪魔が私を殺そうとしているの! 私、あなたのことが大好きよ! 愛している! だから、一緒にこの悪魔を倒しましょう!」
……何を言ってんだこいつ?
大好き? 愛している? 今更そんな事、どの口がほざく……!
俺の脳裏に横切るのはデート前日の一誠の顔だ。
いつもの卑猥そうな笑顔ではなく、純粋に、次の日のデートを心待ちにしている楽しそうな笑顔だった。
だが、こいつは踏みにじったんだ。そんなこいつが一誠に助けを求めるなど――!
ああ、くそ。もう駄目だ。本来なら一誠の役目なんだろうが、我慢ならん。
そう考えた瞬間、俺は
「ごふっ……!?」
突然の事に目を見開きながら、レイナーレは口から血のかたまりを大量に吐きだした。
「もう良い。貴様はこれ以上喋るな。お前の声なんざ耳障りだ」
自分でも驚くほどに冷たい声だったと思う。それほどまでに俺はキレていたと言う事だろうか。
「じゃあな、堕天使。地獄でもう一回やり直して来いよ」
俺が剣を引き抜くと、堕天使レイナーレは倒れ込み、そのまま永遠と動かなくなった。
「…………はあ」
動かなくなった堕天使を見ながら俺は自分を落ち着かせるために息を吐いた。
そして一度、髪をかき揚げて、横で唖然としている一誠に言った。
「悪いな一誠。本来ならお前がやっていい筈なのに俺がやっちまった。すまん」
「……気にすんなよ兄貴。むしろスッキリしたよ、サンキュー」
「そう言ってくれると少し気が晴れる」
やっぱ俺って、一誠に甘いのか? こんなんだからリアス達がブラコン呼ばわりするんだよな。……今後は注意しよう。うん。
******
「一誠、彼女は……」
「
一誠は長いすに横たわっているアーシア嬢を悲しげに見つめながら言った。
成る程、
「……安らかな顔だな。眠っているようだ。死んでいるとは到底思えん」
「俺……自分が情けねえ。アーシアを救うってみんなに大見得切った癖に……間に合わなかった。……ちくしょう……」
一誠が嗚咽を零しながら言う。
「一誠……悔しいなら、情けないなら、その気持ち忘れるな。絶対にな」
まだ出会ったばかりだろうが、一誠にとってアーシア嬢は大切な友人だったんだろう。だからこそ、失ったら悲しい。
大切な誰かを失うという事は、自分の中に大きな無力感を生む。
それを乗り越えられるかどうか失った者の意志次第。
……けど、けどまだ何かあるんじゃないのか?
っ! そこで俺はあることに気がついた。そうだよ、アレが有るじゃないか。
そう思い、俺はリアスに話しかける。
「なあリアス。
俺の言葉に一誠が驚きの表情を表す。
「それって……」
「ああ、死んだ人間も転生出来るんだろ? だったら彼女にも可能だ」
俺の言葉にリアスは目を閉じたまま聞いていたが、やがて目を開けると、ポケットからある物を取り出した。
それは、血のように紅い、リアスの髪の色と同じ紅いチェスの駒だった。
「イッセー。これは
「『
リアスの話によれば、上級悪魔に渡される
既にリアスは『
「『
リアスは『
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔となれ。汝我が『
リアスが体から紅い魔力を発せられると同時にアーシア嬢の体内に『
それを確認すると同時に、リアスの体の周りの魔力が消えた。
「……あれ?」
目を開けて、思わず、といった感じで声を出すアーシア嬢。
こうして、元シスターのアーシア・アルジェントは悪魔としての人生を歩み始めるのだった。
******
後日談というか、その後の話。
あれから、アーシア嬢はリアスの計らいにより駒王学園に転入することになった。一誠と同じ高校二年生だ。
……正直、小猫ちゃんと同じ一年生だと思っていたのは此処だけの話だ。
転生する人間の潜在能力が強ければ強いほど消費する駒も多いそうだ。
消費した駒は七対一で一誠の方が多いらしい。
……まあ、神様を殺せるほどの
これからも悪魔稼業は続くって事か。
……アーシア嬢の歓迎会で作られたリアスのケーキは殊の外おいしかった。