ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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どうも、初バイトの事前準備で手間取っています。


なんかもう、訳が分からん。


誰だこいつ

「やべえな。完全に遅刻だ」

 

 現在、俺は部室に向かって足早に歩いていた。

 

 結局、あれから全然の眠れず、ずっとベットをゴロゴロしてしまった。昔のことグダグダ思い出してしまってからにもう、情けないとしか言いようがない。

 

 何とか少し寝てみたら、僅かだが、スッキリした。『人間、寝て次の日になれば大抵の事は乗り切れる』なんてお師匠様が言ってたけど、その通りだなぁ、と思わず思ってしまった。俺、今は人間じゃ無いけど。

 

「あいつらもう来てるかな」

 

 脳裏に一誠達を思い浮かべる。

 

 普段ならリアスや朱乃と一緒に行くのだが、今日は日直だった事もあって、先に行ってもらった。

 

 普通なら日誌を出すだけで直ぐに終わった筈なのだが、間が悪いと言うべきなのか、

 

『おーい、兵藤』

 

『何です?』

 

『ちょうど良かった、これ、生徒会に持っていってくれないか?』

 

『……いや、先生が持って行けばいいじゃ無いですか。俺、この後部活なんですけど』

 

『そう硬いこと言うなよ。これから緊急の会議が入っちゃったから、そっちに直ぐに行かないといけないんだよ。じゃ、そういう訳でよろしくな』

 

『え、ちょ……』

 

 ……とまあ、こんな感じで、顔見知りの教師に雑用を見事に押し付けられた訳で、予定より大幅に遅れてしまったのだ。

 

「まあ、蒼那嬢とは顔見知りだから良いけど……」

 

 脳裏に先程会った、眼鏡を掛けた真面目を体現したかのような生徒会長の顔が浮かんだ。

 

 が、顔見知りとは言え、会いに行くのは少々気まずかった。

 

 理由はまあ、俺がオカルト研究部に入ったことだ。

 

 彼女が副会長、即ち二年生の頃からずっと生徒会に誘われていたのだ。

 

 廊下で会う度に、教室で会う度に、食堂で会う度にとまあ、会う度に誘われていたな。

 

 当時の俺は、あまり部活や生徒会にも興味は無かった――駒王学園の大学部に進学予定なので特に内申点は気にしていなかった――ので、断っていたのだが、思いの外粘ってきた。

 

 なぜ俺なのかと聞いてみたところ、

 

『ゆ、優秀だからです』

 

 と、少し頬を赤く染めながら言っていた。別に成績そこまで良くは無いのに。今だに謎なままだ。

 

 そういや、三年に進級する時に別のクラスになったけど、妙に残念がってたなあ。

 

 確か、そん時リアスが怪しげな笑みを……いや、気にしないでおこう。気にしたら負けというやつだな、多分。うん、絶対。

 

「リアス、か……」

 

 思い出すはやはり昨日の事。

 

 朝、教室で顔を合わした時は普段と何ら変わりなかった。

 

 いつも通りの笑みを浮かべて、接してきたのだが、逆にそれが何と無く違和感を感じた。

 

 つか、あの場を誰にも見られなかったのは良かった。もし一誠になんかに見られたらどうなっていたか……想像するだけで嫌になってくるぜ。

 

 しっかし、一体全体、あの後何があったのやら。恐らく知ってんのは、リアス本人に銀髪メイドさんのグレイフィアさん。後はあれから呼ばれたんだろう朱乃だと思うんだが……。 

 

 後で朱乃にこっそり聞いてみようかねぇ。何とか頼み込めば、教えてくれるだろう多分。

 

 あーでもどうだろう、教えてくれるかな? そういう部分だと口堅そうだしなあ。

 

 悩みながら部室のある旧校舎に足を踏み入れると、

 

「……っ!」

 

 入ったと同時に強い気配を感じた。

 

 コレは、この気配は……!

 

 きな臭い雰囲気を感じた俺は、歩調を早め、部室に急いだ。

 

 部室の前に着き、扉を開けた。

 

 中にはいつも通り俺以外の部員。だが、違うのはリアスは不機嫌そうに、朱乃はいつも通りニコニコと笑みを浮かべているが、冷たいオーラが滲み出ている。

 

 小猫ちゃんはあまり関わりたく無いと言った感じで少し離れた席に座っている。

 

 一誠とアーシア嬢は訳が分からないと言った風に戸惑っており、祐斗は固い表情を浮かべている。

 

 おいおい、何だぁ? 何時もの和やかな雰囲気はどこいった? まるで戦争前みたいじゃねえか。戦争やった事無いけど。

 

「全員揃ったわね。では、部活を始める前に少し話があるの」

 

 リアスが全体を見回しながら言う。

 

「お嬢様、私が話しましょうか?」

 

 グレイフィアさんの申し出にリアスは手で制した。

 

「実は――」

 

 リアスが口を開こうとした瞬間だ。

 

 突如、魔方陣が輝き出した。

 

 転移? グレモリー眷属はこの場に全員いるよな。じゃあ、グレイフィアさんみたいにグレモリー家に仕えるヒトか、もしくはリアスの家族か?

 

 そう考えていた俺の前で、魔方陣の紋様は変わった。

 

 ……グレモリーじゃない? じゃあ、別の上級悪魔? 何で此処に?

 

「……フェニックス」

 

 祐斗がボソリと呟く。

 

 フェニックス? 確か、序列三十七位の悪魔で不死鳥の……。

 

 そう考えた矢先、魔方陣から突如として炎が湧き上がる。

 

 え、ちょ、火事なんないこれ!?

 

 慌てる俺だが、炎は直ぐに収まり、中から現れたのは、一人の男性だった。

 

「ふう、人間界は久しぶりだ」

 

 そう言いながら出てきた男性は金髪にワインレッドのスーツを着崩して着ていた。

 

 顔はイケメンだが、どこかワルっぽい感じがする。ちょいワルイケメンという奴だろう。

 

 男は辺りを見回すし――俺を見ると一度眉を訝しげに潜めた――リアスの方を向くと、嬉しそうに破顔した。

 

「会いに来たぜ、愛しのリアス」

 

 ……何かいきなりな発言が出てきたな。

 

 言われた本人であるリアスは不機嫌そうにするだけだ。

 

 そんなリアスの様子に気づかないようで、男がリアスに近づいて肩に手を置いて言った。

 

「早速だがリアス、式場を見に行こう。既に予約はいれているんだ。早め早めにいこう」

 

「……離してライザー」

 

 不機嫌極まりない様に男の手を振り払うリアス。だいぶキレていらっしゃるねぇ。

 

 だが、そんなリアスの態度に男はヘラヘラと笑うだけだ。

 

 ……すんげえ軽薄だな。チャラ男の気配がプンプンするぜ。

 

 ま、このままにしておいても埒があかん。何とかしないとな。

 

「失礼ですが、どちら様でしょうか? それに女性に対してそんな態度はどうかと思いますよ」

 

 さり気なく、リアスと男の間に入って笑顔を浮かべながら質問する。

 

「あ? 誰だよお前?」

 

 途端に機嫌を悪くして不機嫌そうになる男。どうやら沸点が低いようだな。

 

「ああ、これは失礼。名を尋ねているのにこちらが名乗らないのは失礼ですね」

 

 相変わらず笑みを浮かべながら胸に手を当てて自己紹介する。

 

「初めまして。私、リアス・グレモリー様にお仕えする兵士(ポーン)兵藤夏蓮と申します。まだ悪魔になったばかりの若輩者ですが、何卒ご容赦下さい」

 

 俺の挨拶に、不機嫌そうに歪めていた顔を不思議そうにする。

 

「あ? 新人? つーかカレン? おいリアス、俺の事は説明してないのか?」

 

「言う必要が無いもの」

 

 男の言葉にリアスは冷たく言うだけだ。

 

「はは、手厳しいな……」

 

 男は流石に顔を引きつっていた。

 

 と言うか、俺未だにこの男の名前知らないんだが……誰か教えてくんないかな?

 

 そんな俺の心情を察知してくれたのか、グレイフィアさんが一歩、前に出て話し始めた。

 

「夏蓮様、此方の方は上級悪魔の御家の一つフェニックス家の三男、ライザー・フェニックス様でございます」

 

 ほうほう、やっぱり悪魔の方の不死鳥か。てか、三男か。何か中途半端だな。

 

「そしてグレモリー家次期当主の婿殿でございます」

 

 ……うん? 聞き間違い? 何か変な事が聞こえてきたんだが……。

 

「つまりリアスお嬢様の婚約者でございます」

 

 な……。

 

「こ、婚約うううぅぅぅぅ!?」

 

 後ろで一誠が驚きの声をあげているが、一誠が言わなきゃ俺が声あげていたんだろう。ぶっちゃけ、俺もかなり驚いている。

 

 

 

 ――いけ好かないイケメン野郎はリアスの婚約者だった。

 

 

 

「いやぁ、リアスの女王(クイーン)が入れてくれたお茶はおいしいものだな」

 

 朱乃の淹れたお茶の香りを嗅ぎながら、ちょい悪イケメン……ライザーがそう褒める。

 

「痛み入りますわ」

 

 そう言って頭を下げる朱乃だが、何時ものような優しげな笑みを浮かべていない所と淡々としている口調から、彼女もライザーの訪問は歓迎していなんだろう。

 

 現在、ソファにはリアスとライザーが座っており、眷属の俺たちは壁際で立って待機している。

 

 ライザーはリアスの隣に座り、無遠慮に髪を弄ったり、太ももを触ったりしている。その度にリアスがその手を払いのけるが、懲りないのか、直ぐさまに触ってくる。

 

 ……何て野郎だ。女性に対してまるで出来ていない。お師匠様がいつも言ってたぜ。女性にはいつも優しくせよ、と。

 

 ……まあ、俺の周りには優しくしたらしたで、とんでもないことをするヤツもいたが。

 

「いい加減にして!」

 

 過去を思い出していたら、リアスがライザーのセクハラに遂に耐えられなくなったのか、立ち上がってライザーを怒鳴りつけていた。対するライザーはにやけ面のままへらへらしているだけだった。

 

「おいおい、何を怒鳴っているんだリアス。落ち着けよ」

 

「何が落ち着けよ! ライザー、前にも言ったけど私は貴方と結婚しないと言った筈よ」

 

「ああ、聞いた。だが、君の家はそうも言ってられないだろ? サーゼクス様と君のお父上もお家断絶を危惧されているんだ。いくら君がまだ若くとも、君はグレモリー家の次期当主なんだぞ?」

 

「父も兄も急ぎ過ぎなのよ! 当初は私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるという約束の筈よ!」

 

「別に、大学も自由にしていい。だが、さっきも言ったが、君のお父上達はお家断絶が怖いんだよ。唯でさえ、『七十二柱』と称された俺たち純血の上級悪魔達の半数以上が断絶してしまった。残ったお家の中にもくだらない次期当主争いで断絶、と言う事もあったんだ。俺の所は上に兄貴達が居るから問題は無い。けれど、君の所はサーゼクス様が家を出られた以上、君がグレモリー家を継しかない。故に、俺と直ぐにでも結婚させて、お二方は安心したいんだよ」

 

 長々と言うライザーの言葉にリアスも思うところがあるのか、反論せずに、睨み付けるだけだった。

 

 ……七十二柱については以前リアスから聞いた。

 

 純血の上級悪魔の爵位を持った家々の総称でその名の通り、七十二の家があったそうだ。

 

 だが、以前に起きた悪魔、天使、堕天使の三勢力の戦争の際に半数以上が潰えてしまったのだ。ライザーが言っていた断絶とはこの事だろう。

 

 その為、今では純血種の悪魔達は貴重な存在になっているという。

 

 ……そう考えると、貴族の家系ってのも中々複雑な部分もあるんだろう。

 

 と言うか、昨日リアスが来たのはコレが原因か。ライザーとの結婚が嫌で、俺と関係を持つことで破談に追い込もうとした。

 

 ……うん、気持ちは何となくは分かるよ? 望まない結婚はしたくないんだろうけど、だからって俺を巻き込むなよ。

 

 確かに俺はリアスの眷属で俺の命を救ってくれた恩人だ。だが、もしリアスと関係を持ったなんてリアスの親御さんにばれたら何をされるか……想像するだけでも恐ろしい。

 

 リアスは両親に愛されているからなあ。間違い無くあの二人なら俺の人生を終わらせる事なんて容易いだろう……って。

 

 其処まで考えて俺はふと、思った。

 

 ――何で俺、リアスの両親の事知っているみたいな事思ったんだ? 会った事なんて無いのに。

 

「私は当主も継ぐし、婿だって迎入れるわ」

 

「じゃあ……」

 

 リアスの言葉に喜色の表情を浮かべるライザー。しかし、

 

「けど、それは貴方じゃ無いわ。私は、私が良いと思ったヒトと結婚するわ」

 

 リアスの言葉に途端に不機嫌そうな表情を浮かべるライザー。

 

「俺もなリアス、フェニックス家の看板背負っているんだ。此処で『はいそうですか』と、おめおめと引き下がるわけにはいかないんだよ……! 君がその気なら俺は君の下僕を燃やし尽くしても君を冥界に連れて行くぞ!」

 

 そう言うやいなや、ライザーは背中に炎の翼を広げ、巨大な魔力をその身に纏わせていく。

 

 対するリアスも紅い魔力の強力なオーラをその身に纏わせていく。

 

 ……って、ちょっと待て。ライザーのこの魔力、リアスと殆ど同じじゃねえか。おいおいこりゃあ、やばいんじゃねえよ? 此処で戦ったら部室、というか旧校舎吹き飛ぶぞ!?

 

 周りを確認すれば、既に朱乃も魔力のオーラを纏わせ始め、祐斗も直立不動の体勢のまま臨戦態勢に入っていた。小猫ちゃんも、身構えていた。

 

 一誠は戸惑いの表情を浮かべているが、怯えるアーシア嬢を守るようにして前に出る。

 

 オーケー。一誠、お前はそれで良い。アーシア嬢をちゃんと守れよ?

 

 そして俺もいつでも灼 輝 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)を展開出来るようにする。

 

 次の瞬間にでも、激突するかと思われたが、それは起こらなかった。

 

「――其処までです。リアスお嬢様、ライザー様」

 

 ――グレイフィアさんだ。

 

 二人の巨大な魔力よりも更に膨大なプレッシャーをぶつけてきたのだ。

 

 ……マジか。昨日会ったときは全然分からなかったが、やばい。マジでやばい。このヒト、今この場にいる全員が束になってかかっても相手にならないだろうな。何せ底が全然見えない。

 

「私はサーゼクス様の名代として全権を預かって此処に居ます。もし、この場で暴れるのなら、私はサーゼクス様の名誉のため、容赦しません」

 

 その様子にさすがにやばいと感じたのか、リアスとライザーは直ぐにオーラを消した。

 

 ライザーは深い溜め息を吐くと言った。

 

「さすがに最強の『女王(クイーン)』と言われている貴方とやりたく無いな。悪魔最強と名高いサーゼクス様の眷属とは逆立ちしても勝てる気がしないしな」

 

 ……まじか、そこまで強いのかグレイフィアさん。

 

 というか、何でそんな強いヒトがメイドなんてやっているんだ?

 

 場の雰囲気が収まったのを確認して、グレイフィアさんが溜め息を付いた。

 

「全く……サーゼクス様も当主様もこうなることは大体予想されていらっしゃいました。ですので、お二方からはある条件を提示しています」

 

「条件? 何よグレイフィア」

 

 グレイフィアさんの言葉に訝しげな表情を浮かべて質問するリアス。

 

「本来なら、この話し合いが最期の機会だったんです。ですので、この話し合いが月列した場合――レーティングゲームで決着を付けられてはいかがでしょうか?」




いかがでしょうか?

暫く、ゴタゴタが続くので更新がまた少し遅れます。待ってる方、申し訳ありません
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