ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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遅れてすみません。先週、宿泊研修がありまして……。まあ、それなりに楽しめましたけど。

サークルやら、バイトやらボランティアやら。やることが沢山あって、なんかパンクしそうです。一次も二次も色々とやりたいからなあ。


様々な修行

「あー良い気持ちだねぇ…………」

 

 湯に浸かりながら俺は呟いた。

 

「先輩はお風呂が好きなんですか?」

 

 同じく風呂に浸かっている祐斗が聞いてくる。

 

「そうだな……親父くさいとか良く言われるけど、結構風呂は好きだな」

 

 夏とか、暑い日以外は基本的に入るようにしている。風呂に入ると気分が本当にスッキリするからな。

 

「別に親父くさく無いと思いますよ? ヒトの好みはそれぞれですし」

 

「まあ、そうなんだが……。しっかし、この大浴場、広いなあ」

 

 辺りを見渡しながら俺は言う。

 

 俺の家の風呂の数倍はある広さだ。十数人は余裕で足が延ばせるんじゃないか?

 

 現在俺たちは一日目の修行を終えて風呂に入っている。

 

 最後の坂道ダッシュはマジでやばかった。身体強化無しでやるとここまで差が出るとは思ってもいなかった……。筋肉痛にならないようにしないとな。

 

「残りの日にちで何とか戦えるようにならないとな……」

 

「そうですね。これからの修行も頑張らないと」

 

 祐斗が真剣な表情で頷く。

 

 そう、これからもっと頑張らないといけない。いけないのに……。

 

「……一誠、お前何やってんだ?」

 

 半眼で一誠の方を向く。

 

 一誠は壁に張り付いて熱心に何かをやっている。

 

 いや、まあ、何をやっているかは大体予想が付くんだが……。

 

「何って決まってんだろ兄貴! 覗けるかどうか試してんだろうが!」

 

「…………」

 

 俺は無言で一誠の後頭部目掛けて風呂桶を投げ飛ばす。

 

「ぐお!」

 

 見事にクリーンヒットして、悶絶する一誠。

 

 全くこいつは……。

 

 俺が呆れていると、一誠が涙目でこっちに来る。

 

「痛いぜ兄貴! 何すんだよ!」

 

「何って馬鹿を止めた」

 

「馬鹿!? いや、なんで馬鹿なんだよ!」

 

「はあ? 女湯覗こうとするやつを馬鹿と言わずに何と言う。あれか? 犯罪者とでも言えば良いのか?」

 

「いや、そういう事じゃなく、てか、普通に覗くだろ! 女湯を覗くのは男のロマンもとい、当たり前の行動だろ!?」

 

「いや、そんなに力説されても……男のロマンってお前漫画の読みすぎだぞ? 現実にやったら間違いなく逮捕だろう」

 

 『高校生男子、女湯覗きの容疑で逮捕』なんて明日の新聞ででたらめっちゃ笑えるけどな。

 

「なんだよ、兄貴それでも男かよ!」

 

「お前に男が何たるかを言われる筋合いはねえよ」

 

 ほんと、こいつだけには言われたくないな。

 

 しかし、俺の発言が気に食わないのか、一誠は今度は祐斗に聞く。

 

「木場! お前は男だよな!」

 

「イッセー君……確かに僕は男だけど、覗きはだめだよ」

 

 祐斗も窘めるように言う。

 

 というか、祐斗に同意を求めるのも間違ってるぞ。

 

 俺と祐斗に否定された一誠は信じられないものを見るかのように後ろによろめく。

 

「し、信じられねえ……覗きは男のロマンだろ!? 二人ともどうしちまったんだよ!」

 

「いや、だからお前がどうしちまったんだよ」

 

 思わず突っ込むように言う俺。

 

 しかし、一誠は力説を続ける。

 

「男が女を求めるのは男の性! 故に! 男が女湯を覗くのは自然的なことであって、決して不自然な事ではない!」

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ……………………。

 

 ……ふむ。

 

「一誠、今から山降りて病院に行こう。夜勤の病院なら直ぐに見てくれるはずだ」

 

「……はい?」

 

「祐斗、悪いんだが、今から麓で一番近い病院を探してくれないか? 俺はこいつの支度をする」

 

「え、ちょっと……」

 

「分かりました。今上がってすぐに調べます」

 

「いや、だから……」

 

「すまんな、迷惑かけて」

 

「気にしないでください。僕たちは同じグレモリー眷属じゃないですか」

 

「おい……」

 

「ああそうだな。祐斗、これからも頼らせてもらうぜ」

 

「はい」

 

「ヒトの話聞けよ!」

 

 一誠が俺と祐斗の会話を遮るように大声を上げる。

 

 若干面倒を感じながらも、一誠の方を向く俺。

 

「なんだよ一誠。お前も早く上がって病院行く準備しておけ」

 

「何でだよ! つか、なんだよこの展開! 既視感(デジャブ)を感じるよ!?」

 

 うるさいやつだ。そんなにうるさいと……。

 

『イッセー、何を騒いでいるの?』

 

 隣の女風呂からリアスの声が響いてくる。どうやら、男湯の煩さが女湯に伝わったようだな。

 

「部長……」

 

『さっきからどうしたの? 言い争っているようだったけど……』

 

 訝しげなリアスの声。どうやら内容は聞こえていなかったようだが……。

 

「一誠が女湯覗きたいって願望を高らかに叫んでいたんだよ」

 

「兄貴!?」

 

 驚いたようにこっちを見る一誠。なんだよ、事実を言っただけだぜ俺は。

 

 まあ、そう言ったとしてもリアスは別に大丈夫だろう。

 

『あら、こっちに来たいのイッセー? 私はまあ……別に構わないわよ。夏蓮も一緒に来ていいわよ?』

 

 ほらな? リアスはどうもそういう所に寛容というか、無頓着というか、全く女性はもっと慎みを持って……って、

 

「何言ってんのリアス!?」

 

 思わず叫ぶ俺。いや、本当に何言ってんのあいつ!?

 

 俺の動揺を他所にクスクス笑っているリアス。

 

『あなたなら私構わないわ……むしろ喜んで』

 

 後半はよく聞こえなかったが、ええー。

 

「いやいや、そっちには他の女子だっているだろ?」

 

『そうね……朱乃はどう?』

 

『私は構いませんよ。子供と一緒にお風呂に入ることに抵抗は無いですよ』

 

「まじっすか!?」

 

 一誠が喜ぶように言う。

 

 だがな、一誠気づいているか? 朱乃は俺たちの事子ども扱いしてんだぞ?

 

『アーシアは?』

 

『わ、私は……イッセーさんが望むのなら』

 

 アーシア嬢が気恥ずかしそうに、しかし、はっきりと肯定した。

 

 まずい、アーシア嬢は一誠の事なら基本的にOKだから。

 

 たか、四人中三人がOKってどういう事よ、お前らは男に裸見られた恥ずかしくねえのかよ!?

 

『最後に小猫は?』

 

『……いやです』

 

 よっし、最後の一人でようやく出た! てか、四人中三人が混浴OKというのもほんとどうかと思うぜ。

 

『あら残念、じゃあダメね』

 

 流石に嫌がるヤツがいればリアスもダメと言うだろう。そこらへんはちゃんとしているからなあいつは。

 

 ……というか、今あいつ残念って言わなかったか? え、なに俺たちとそんなに入りたかったの? それはそれでどうかと思うが……。

 

 結局、この後微妙なモノを感じながら、深夜の修行をする俺だった。

 

******

 

 二日目。今日は修行は一旦休止して悪魔や天使、堕天使について学ぶ事となった。

 

 本音を言えば修行を行いたいところだが、こういうの後々必要となるかな。やむを得ないな。

 

「じゃあ夏蓮、私たち悪魔の頂点、魔王の名前は?」

 

「そんぐらい最初から覚えているよ。ルシファー、ベルゼブブ、レヴィアタン、アスモデスだろ?」

 

「正解。それはちゃんと覚えているわね。じゃあ、天使最高位、『熾天使(セラフ)』のメンバーは?」

 

「確かリーダーがミカエルで、ガブリエル、ラファエル、後はウリエルだよな」

 

「正解。すごいわね。ここまでしっかりと覚えているんて」

 

「まあ、前から神話関連の本はよく読んでいたからな」

 

 昔から読書は趣味でよく物語を読んでいたのだ。で、その時に読んだ本からいろいろな神話関連の本を読むようになったのだ。

 

「へえ、なるほど……じゃあ、堕天使の組織とその幹部は?」

 

「うぐ……!」

 

 い、一番つらいところを……!

 

「えっと組織名は『神の子を見張る者(グリゴリ)』で、総督がアザゼル、副総督がシェムハザ。で、幹部が……あー、バラキエル。アル、アルマロス。コカビエル……えっと」

 

 ふと横で勉強している一誠を見たら、どうやらあいつも堕天使のことで苦戦しているようだ。

 

 俺たち兄弟を殺した堕天使なわけだが、連中、相当面倒な奴らだったな。

 

 『神の子を見張るもの者(グリゴリ)』は主に神 器(セイクリッド・ギア)所有者たちを監視する事を主眼に入れているそうだ。

 

 研究をしたり、自分たちの配下にいれたりと、神 器(セイクリッド・ギア)を中心に活動している。

 

 で、あまりにも強力な神 器(セイクリッド・ギア)を有している奴は有害判定を受けて殺されてしまうというわけだ。これには一誠が含まれる。

 

 まあ、一誠がもしあのまま何も知らずに生活していて、ふと、した拍子に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が暴走なんてしたらとんでもないことになっていただろう。その事を考えると、すこし怖いな。

 

 だが、そういう事の関係者ならともかく、一誠は何にも知らない一般人だぞ? せめて平和的に接触を図って、力の使い方を教えるなり何かをすればよかったんだ。

 

 それを警告も無しに唐突に殺害するんだから、最悪なもんだ。

 

 ……今度堕天使に会ったら、その辺を文句言ってやろうかね?

 

「で、残りは……タミエル、ベネ、ベネエル……そしてサリエルだ!」

 

 どうだ、これで正解だろう!

 

「残念、タミエルまではよかったけど、残りはベネムネとサハリエルよ。ちゃんと覚えなさい」

 

 ちっ、最後の二人は駄目だったか。よく覚えておかないとな。

 

 その後、悪魔や天使、堕天使のことをいろいろと学んだ。

 

 これからの悪魔人生に結構重要な部分も多かったからな。ちゃんとやらないと。

 

「では、ここから元シスターである私、アーシア・アルジェントが悪魔祓いの基本を教えます」

 

「よっ! 待ってました」

 

 アーシア嬢の言葉に、一誠が合いの手を入れる。アーシア嬢は恥ずかしそうにするが、話を始める。

 

「え、えっとですね。以前、私が属していた所では2種類の悪魔祓い(エクソシスト)がいました」

 

「2種類?」

 

「はい。映画や本で出て来る聖書を読んだり、聖水を使って憑いた悪魔を払う悪魔祓い(エクソシスト)が『表』側。そして悪魔を滅ぼそうとする『裏』側です」

 

「これは天使、堕天使どちらかの光の力を借りて、常人離れした身体能力を駆使して来るわ。正真正銘、私達の天敵よ」

 

 アーシア嬢のセリフに続いてリアスが真剣な表情で言う。

 

 へえ、何というか、ちょっと意外だな。普段はそういう神父をやっていて、夜になると悪魔祓い(エクソシスト)として活動するんじゃないかと思ったぜ。ちゃんとそういうのも分かれているんだな。

 

「次に聖水と聖書です。まず、聖水は悪魔がふれるととても大変な事になります」

 

 きれいな水が入った瓶を持って言うアーシア嬢。

 

 ……いや、大変な事って何? 溶けるの? 薬品みたいに肌がドロドロになっちまうの?

 

「そのの通り。悪魔がふれると肌が焼けて光の力ほどでは無いけど、大きなダメージを負うわ。アーシアも触れちゃダメよ」

 

「あうぅ……そうでした。私、もう聖水に触ることができないんでしたね」

 

 アーシア嬢が残念そうにつぶやく。

 

「もしかしたら何かの役に立つことがあるかもしれませんから、後で製造法を教えますね」

 

 てか、やっぱりそうなるんだ。もしまた悪魔祓い(エクソシスト)に出会ったらそういうのも注意しないとな。

 

 ……ライザーとの戦いに役に立つかな? あ、いやでも光よりも弱いんだよな。なら、あんまり効果ないかな。できるのは精々意表を突くくらいだろうし。

 

「次に聖書です。小さいころから毎日読んでいたんですが、今では一節でも読むとすごい頭痛がするので困っています」

 

「悪魔だもの」

 

 

「悪魔ですもんね」

 

「……悪魔」

 

「うふふ、悪魔は大ダメージ」

 

「そりゃあ、敵対勢力の悪魔が読んじゃなあ……」

 

 考えるまでもなく当たり前のことである。

 

 しかし、諦めきれないのか、アーシア嬢は聖書を開く。

 

「で、でもここの一節はとても良くて……あ痛!」

 

 頭痛がすると分かっていて聖書を読もうとするアーシア嬢はどこか笑いを呼ぶ部分があった。

 

******

 

「……ん」

 

 夜、ふと目が覚めた俺。

 

「……なんで起きたんだ俺?」

 

 思わず疑問を口にしてしまう。

 

 両隣を見れば、祐斗と一誠が寝ていた。

 

 ただ、祐斗は穏やかな顔で寝ているのに対し、一誠はだらしない顔で寝ているのが面白い対比な感じがするが。

 

 と言うか、ホント、なんで起きたんだろう俺。普段なら朝まで起きることは無いんだが……。

 

 起きていても仕方ない。さっさともう一度寝直すか。明日も早いしな。

 

 そう思い、布団を掛け直す俺。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ……………………。

 

 くそ。

 

「眠れん」

 

 天井を見つめたまま呟く俺。

 

 なんか妙に目が覚めていると言うか、もうちゃんと寝たから眠らなくても良いよって身体が言ってる感じだ。こうなると、また寝るのに結構時間がかかりそうだな……。

 

「はあ、起きるか」

 

 結局俺は起きることにした。どうせ、寝るにしても大した時間は無い。なら、さっさと起きてしまった方が良い。

 

 いまだに眠っている二人を起こさないようにゆっくりと部屋から出る。

 

 つーか、マジでやること無いな。仕方ない。散歩でもするかな?

 

 ここ一週間はずっと修行三昧だったから、周りの景色を見るとかは殆どしていなかったしなあ。こういう時間が空いているときとかにしか出来ないことだしな。うん、丁度良い。というわけで行くとするか。

 

 心は探検家気分で屋敷を歩き始める俺だった。

 

 




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