ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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今回の話は何か、あんまり話は進みません。気づけば、目標としている五千字を超えているので、ここらで区切ります。



話は変わって、遂に、遂に






お気にいり登録1000を超えましたーーーーーー!!!!!


見たときは本当に嬉しかったですね。これからも頑張っていきたいです!


動くか……

 おい待て、小猫ちゃんがやられた? さっきの爆発か?

 

 だったら、おそらくやったのは……。

 

「リアス、やったのはライザーの女王(クイーン)だ」

 

「女王ですって!?」

 

 リアスが驚きの声をあげる。

 

 まあ、そうだよな。普通、女王ってのはこんな序盤戦で出すような駒じゃない。中盤戦以降で使う事になる下僕の中では最強の駒なんだから。

 

 ウチみたいに駒が完全に揃っていないところとは違い、ライザーの所は駒はフルに揃っている。こんな初めから女王を使う理由は無いはずだ。

 

 使うとすれば……。

 

「完全にウチを舐めてるな。女王をここで使っても何にも問題は無いってか?」

 

 いくらこちらが経験なしのアマチュアだからって、舐めすぎだろうが……。

 

 俺がふつふつとライザーに対しての怒りを募らせていると、リアスの焦った声が聞こえてきた。

 

「イッセー、落ち着きなさい! あなたが相手はその女王では無いのよ!?」

 

 リアスの言葉から察するに、一誠のヤツ、敵の女王にぶつかろうしてんな?

 

 まあ、こちらの戦力が充実していて、失うものが無ければいいかもしれんが……。

 

「あー一誠? 聞こえるか?」

 

『なんだよ兄貴!』

 

 通信機から聞こえるのは一誠の怒号。

 

 ったく、うるせえな。耳元で叫ぶんじゃねえよ。

 

 そう突っ込みたいが、取り敢えず、そんな事してたら話が進まないから、置いておこう。

 

「一誠、お前、あの女王を倒したいのか?」

 

『当たり前だろうが! あいつは小猫ちゃんをやったんだぞ!』

 

 ま、ここまでは予想通り。じゃ、次は……。

 

「分かった。俺の質問に二、三答えてくれたら、その女王と戦って良いぜ」

 

「ちょ、夏蓮!?」

 

 リアスが驚きの声をあげるが、手で制する。

 

『なんだよ!』

 

「落ち着け落ち着け。じゃ、まずは一つ目……俺たちの目的は?」

 

『ライザーの野郎をブッ飛ばすことだ!』

 

「オーケー。じゃ、二つ目……お前の目の前の奴はお前が倒さないといけないのか?』

 

『それは!……違う』

 

 だいぶ落ち着いてきたな。後もうひと押しかな?

 

「じゃあ、最後の一つ……お前が今やるべきことはなんだ? 小猫ちゃんの敵を今、取ることか?」

 

『……木場と合流して、他のライザーの下僕たちを倒すこと』

 

「分かってんならさっさと行け。そこは朱乃がやってくれる。お前は、お前が今やるべきことをやってこい」

 

 ここで一誠が一対一で女王に戦いを挑んでも勝てないわけでは無いが、かなりの苦戦を強いられるだろう。

 

 要は役割分担だ。一誠は他の眷属を。朱乃は女王を叩きのめせばいい。

 

「出来るよな、朱乃?」

 

『はい。私が全身全霊をもって小猫ちゃんの敵を取りますわ』

 

 いつも通りの口調だが、怒気が見え隠れするのが感じ取れる。こわ。

 

「と、いうわけだ。一誠、さっさと行け」

 

『分かった……兄貴、サンキュー』

 

 聞きづらい声で礼を言う。一誠。

 

 それに思わず、苦笑するが、とにかく今は送るらないとな。

 

「気にすんな……あのいけ好かない焼き鳥野郎の顔面に思いっきりパンチ食らわしてやろうぜ」

 

『おう!』

 

 これで一誠は大丈夫だな。後は……あ。

 

 ここにきて漸く俺があることに気が付いた。

 

 ……やべえ。なんか主であるリアスを差し置いて俺が指示出しちまった。これは不味いかな……。

 

 俺は恐る恐る、リアスの方を向く。怒ってないと良いんだが……。

 

 しかし、俺の予想に反して、リアスは怒ってはいなかった。その表情はどこか弱さを隠しているような感じがしたが……。

 

「あーリアス、すまん。主であるお前を差し置いて、勝手にみんなに指示を出してしまって。本当にすまなかった」

 

 頭をさげて謝る俺。

 

「良いのよ、別に……ダメね私。本当なら、私がイッセーを止めないといけなかったのに、夏蓮に甘えてしまって」

 

「リアス……」

 

 そこで俺は、リアスが震えているのを見た。

 

 そうか、そうだよな。リアスだってまだ女の子だもんな。

 

「リアス」

 

「え……ええっ!?」

 

 俺に呼ばれたリアスが驚きの声を上げる。

 

 まあ、俺がリアスの頭の上に手を置いたんだから当然だけどな……。

 

「ちょ、夏蓮……?」

 

「リアス、あんまり気負うな」

 

 しもどろしているリアスに俺は言う。

 

「確かに小猫ちゃんがやられちまったのは悔しい。仲間がやられたのは本当に悲しい。けどな、それを引きずっちまって負けたら、元の子もない。それはみんな嫌だし、リタイアした小猫ちゃんだって望まないぜ」

 

「夏蓮……」

 

「勝とうぜ。みんな、命かけるくらいの覚悟は持っている。お前も、そんぐらいの覚悟ぐらいあるだろう?」

 

 そうさ。全員、リアスが好きだから必死になってここまで頑張ってこれたんだ。じゃなきゃ、あんな地獄のしごきは耐えられんだろう。

 

「夏蓮さんの言う通りです。私もイッセーさんもみんなが部長さんの事が大切だからここまで頑張ってこれたんです。だから勝ちましょう!」

 

「アーシア……」

 

 アーシア嬢の強い言葉に、リアスが目を見開く。

 

 まあ、あのアーシア嬢がこんな強くもの言うとは流石に俺も予想外だったかな。

 

「……そうね、そうよね。ごめんなさい。みんなが頑張っているのに、私がへこたれていては駄目よね」

 

 そこにはもう先ほどの弱弱しさはなく、いつもの凛、としたリアスがいた。

 

 全く、ようやく戻ったか。これで次の作戦も展開できるかな?

 

 ……ただ、気を付けないといけないのもある。

 

 リアスはおそらく悪魔の中でも一際情が深い方だろう。他の悪魔を知らない俺でもそれは何となくだが分かる。

 

 問題はその部分だ。多分、このレーティングゲームで、他のメンバーもやられるだろう。もしかしたら、最後にはリアス一人になってしまうかもしれない。

 

 ゲームでリタイアした奴らはすぐに転送され、然るべき治療を受けるという。悪魔の高度な技術なら、即死の怪我以外なら問題なく完治出来るという。

 

 だが、頭では分かっていても、心が割り切れるかどうかは別の話だ。先ほど、一誠が激昂して敵方の女王(クイーン)に特攻を仕掛けようとしたのが良い例だ。まあ、流石に他のメンバーはあそこまでいきなり感情的になるとは思わないが……。

 

 リアスは普段は学園のマドンナとしてふさわしい態度を取っているが、実際はどこにでもいる普通の少女だ。お師匠様も『普段から凛々しい女性ほど実際は打たれ弱い』と言ってたしな。少し注意しとくか。

 

 どこか不安な部分を残しながらも戦いは中盤戦に突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 ******

 

「敵本陣を攻める!? お前とアーシア嬢だけで?」

 

「ええ」

 

 驚く俺にリアスは静かに頷く。

 

 中盤戦に突入し、これからの展開をどうするか、リアスと話し合っていた矢先に、リアスから提示されたとんでも発言に俺は度肝を抜かれる。

 

 ――夏蓮はイッセーや祐斗と一緒に他の眷属たちを撃破。その隙に私はアーシアと一緒に本陣を攻めるわ――

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。(キング)であるお前が中盤戦で本陣出るとか、何考えているんだ!? いや、そもそも、王は普通本陣を自分から出て攻めないもだろうが! お前はまだ本陣で構えていろ!」

 

 早口で何を言っているのか自分でも段々と分からなくなってきているが、それだけ俺は混乱しているのだ。

 

 普通に考えてみてほしい。チェスでまだ相手が陣地に攻め込んできていないのに、いきなりキングが攻めるか? 答えはノーだ。普通はキングが自分から攻め込むなど無いのだ。いや、ヒトによってはキングを動かす奴もいるかもしれないがって、今はそんなことを考えている場合ではない。

 

「リアス、俺たち眷属は最悪、何人倒されても負けは無い。だが、お前が負けたらそこでゲームは終了。俺たちの負けなんだぜ?」

 

「ええ。分かっているわ」

 

「なら……」

 

「だからこそよ」

 

 更に言い募おうとする俺をリアスは目で制する。その眼差しは確固たる意思が見え隠れしている。

 

「敵だってこの状況で私が本陣を出るとは思わないでしょう。そこが狙い目よ」

 

「なら、俺も同行する」

 

 俺も一緒に行った方が微力だが力になれるだろう。

 

 しかし、リアスは首を横に振るだけだった。

 

「夏蓮、あなたはイッセーと祐斗の援護。二人が囮になっているところに出来るだけ敵を引き付けて欲しいの。あなたはライザーとの顔合わせの時に少なからずライザーに警戒心を持たせているはずよ。そのあなたが戦場にでれば……」

 

「……ライザーは多くの眷属を投入してくる」

 

「そうよ」

 

 確かに、リアスの案は嵌れば効果抜群だろう。だが、失敗したときのことを考えると……。

 

 俺が悩んでいると、リアスが言ってきた。

 

「夏蓮、あなた言ったでしょ『勝とう』って。勝つためにはリスクは必要よ」

 

 リアスの確固とした意思を感じ取った俺は、その時点でリアスの説得を諦めた。こうなってはもう聞かないだろう。それに、リアスの策が現状一番良いだろう。

 

 朱乃は現在、敵の女王と交戦中だし、一誠と祐斗はこれから他の眷属達の相手で忙しい。俺は一誠たちの援護に向かい、リアスたちがその隙にライザーを打ち倒す。これが、ベストな形なのだろうな。

 

「……分かった。お前の指示通りに動こう。ただし、無理と判断したら、直ぐに撤退しろ」

 

「心配性ね。大丈夫よ、この私がライザーの心を圧し折ってやるわ」

 

 ……全く、やる気満々だな。ま、意気消沈しているよりはずっとマシか。

 

「そうかい。じゃ、俺もそろそろ向かおう。リアス、二人にはお前から伝えておいてくれ」

 

「分かったわ……夏蓮、気をつけて」

 

「おいおい、俺に言うセリフじゃねえよ。アーシア嬢、リアスが無茶しない様に見ててくれ」

 

「分かりました。夏蓮さんもお気を付けて」

 

 リアスとアーシア嬢の見送りを受け、俺は戦場に向かって走り出す。

 

 

「……さて、まずは」

 

 一誠に説教(鉄拳)だな。

 

 あのバカめ。

 

 

 

 

 

 

 

******

 

「どうりゃああああ!」

 

「ふん!」

 

 俺が繰り出した拳を目の前の戦車(ルーク)、イザベラは腕をクロスすることで受け止めた。

 

 俺、イッセーこと兵藤一誠がライザーの野郎の下僕のイザベラと戦闘を開始して数分が経過した。

 

 まだ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の倍加が戦車(ルーク)を相手に出来るほど出来ていないから、本来ならさっきみたいに自分から攻めずに逃げの一手正解なのだが、前の戦いでの光景が脳裏を横切ってしまう。

 

 爆発に巻き込まれて重傷を負う小猫ちゃん。悔しそうに、顔を歪ませてこのゲームからリタイアしてしまった。

 

 無事だと頭では分かっていても、心が納得したわけじゃない。

 

 俺は頭に血が上ってライザーの女王(クイーン)を攻撃しようとしたが、兄貴に止められて、木場との合流を優先した。

 

 ……本当は、俺が小猫ちゃんの敵を取りたかった。俺の大切な仲間を倒したヤツをこの手で倒したかった。

 

 でも、それは俺の役目じゃない。それに、小猫ちゃんの敵は朱乃さんがきっと取ってくれる。俺は仲間を信じて自分をするべきことをやるんだ!

 

「ほお……良く鍛えこまれている。ライザー様はお前の兄のみを少しだけ警戒していたが、お前も存外、侮りがたい」

 

 相手のイザベラが感嘆するように言う。

 

 そりゃあ、俺だってあの地獄のしごきを耐えてここにいるしな。つーか、ライザーの野郎、兄貴のことを警戒してた?

 

 ライザーのヤツと初めて対面したとき、俺がライザーの挑発に乗って神 器(セイクリッド・ギア)を発動させてヤツに殴り掛かろうとしたのだ。

 

 その時――先ほどの戦闘で倒した――ライザーの兵士(ポーン)の一人、ミラがライザーを守るために棍棒を俺に突き出そうとしたのだ。

 

 しかし、その棍棒が俺に届くことはなかった。

 

 ミラが俺に棍棒を叩き込むより先に、兄貴が神器(セイクリッド・ギア)を発動させて、棍棒を叩き斬ったのだ。

 

 正直、俺には全く見えなかったが、後から木場に聞いてみると、

 

『かなり高い技術だよ。あんなに断面が綺麗だったからね。相当修行を積んでいたんだろうね』

 

 との事だった。

 

 確かに、兄貴は小学六年のころからずっと道場に通ってたんだよなあ。そりゃあ、強いわけだ。

 

 ……そういや、兄貴、中学三年の夏からは行かなくなったけ? 理由聞いても『ちょっとな』って言うだけで結局理由は教えてくれなかったけ。

 

 ……なんかあったんだろうな。高校に入るまでの兄貴、なんか抜け殻っていうか、ホント何も適当にやってる感じがあったからな。

 

 実際、中学まで成績良かったのに、高校の最初のころはいきなり下がったからな。あん時は俺も、兄貴でもあんな点数取るんだなって驚いた記憶があるな。

 

 で、確か、中間を終えたあたりから兄貴のヤツ、少しずつだけど、元気になっていったんだよな。

 

「はああ!」

 

「うお!」

 

 考え事をしていると、イザベラが殴り掛かってきて、俺は慌ててそれを避けた。

 

 あぶねえ。考え事をしている場合じゃ無かったな。今は戦闘に集中しないと!

 

 俺は、決意を新たにし、戦いを再開するのだった。




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