今回は次の話へのつなぎって事で、どうぞよろしく。
「急がないとな」
俺は走りながら一人呟いた。
既に一誠と祐斗は敵の
朱乃は未だに敵の
先ほど一誠と小猫ちゃんと朱乃が倒した
残りはライザーを入れて全部で九人。まだ半数以上だ。
こちらは小猫ちゃんが脱落して俺を含め六人。まだ数上ではライザーたちに負けている。一人で多くの敵を打ち倒す必要があるな。
ただ、アーシア嬢は完全に回復要員で、戦闘能力は皆無と言ってもい。戦えるのは実質五人だけだ。
はは。マジでこちらが不利だな。でも、それがまた面白い。ここから逆転すれば、勝った時の喜びもまた格別ってね。
「そろそろ、リアス達も移動を開始したかな」
リアスの滅びの魔力があれば、ライザーを良いところまで追い詰めることが出来るかもしれない。その後、一誠の
……この戦いのキーマンは一誠だ。最悪、リアス以外の他のメンバーを犠牲にしても、あいつをライザーのもとに届けないとな。
そこまで考えて、俺は少し自嘲気味に笑った。
本来なら、
俺が薄情者なのか? こうやって平然と自分を含めてリアスと一誠以外を最悪、見捨てる事を平然と考えているしなあ……。
思わず、自分の人間性、もとい、悪魔性を考えてしまう俺だが、直ぐに気を取り直す。
今はまだ中盤戦が始まって俺は戦ってすらいない。そんな状態で先の事を考えるなんて、いくらなんでも早すぎだな。状況は刻々一刻と変わっていくだから、しょうがない。目の前に集中しないと。
俺は戦闘音が響く戦場に向かって足を速めた。
******
「行くぜ! ドラゴン波ならぬ、ドラゴンショット!」
俺、兵頭一誠は倍加を完了した『
最初は米粒程度の大きさだが、俺の手元を離れた瞬間、極大な大きさとなって相手の
「イザベラ! それは受けるな! 避けろ!」
それを見た木場と戦っている
その言葉に従ったイザベラは横に避ける事でドラゴンショットを避ける。
ドラゴンショットはそのまま地面を抉りながら近くにあったテニスコートに激突する。
ゴオオオオオオンン!!!!
刹那、巨大な爆発音と共に赤い閃光が俺の視界を覆う。
思わず目を閉じ、腕を顔に当てた。
少しして、光が収まったのを確認して、俺は目を開け、仰天した。
――テニスコートが完全に無くなっている!
前回の兄貴との試合の時は山を消し飛ばし、今回はあの時ほどの倍加はしていないが、それでもテニスコートが吹き飛ぶほどの威力を出した。
ほんと、俺の
「イザベラ! その
カーラマインが再び怒声をあげる。
「承知! ここで始末せねば、後々の我らの禍根となろうぞ!」
先ほどの攻撃で俺への警戒度がマックスになったみたいで、先ほどとは段違いなほどにスピードが上がった。
だけど、今の俺をあんたじゃ倒せないぜイザベラ!
俺はイザベラの拳を腕で防いで、そのままこちらも拳を繰り出す!
イザベラは躱しきれずに俺の拳を受ける。
さあ、触れてしまえばこちらのもんだ! 喰らえ俺の必殺技!
「
俺は必殺技の名を叫ぶ。
すると、イザベラの俺が触れた場所に魔方陣が浮かび上がり、次の瞬間、イザベラの服がすべて弾け飛んだ。
「な、なんだこれは!」
流石にこの事態には驚いたのか、イザベラは顔を赤面させて体を隠そうとする。
まあ、普通はそんな反応だよな! そしてそこが俺の狙い目だ!
――ここだ!
俺は再び手のひらに小さな魔力の塊を出す。
そして、魔力の塊をイザベラに目掛けて放つ!
魔力は俺の手のひらを離れると同時に再び巨大化し、イザベラを襲う。
「しまっ」
慌てるイザベラだが、もう遅い!
そのまま巨大な魔力弾を喰らい光に包まれるイザベラ。
『ライザー様の
魔力弾が消えると同時にグレイフィアさんのアナウンスが聞こえてくる。
「よおしっ!」
思わずガッツポーズを取る俺。
二人目の
俺が勝利に喜んでいると、
「一誠、勝って嬉しいのは分かるが、もう少し周りに気を使え。でないと、直ぐにやられちまうぞ」
俺を咎めるように、しかしどこか楽しそうな声。
……たく、このヒトは。
このヒトが来るとなぜだろうか、本当にいるだけで心強い気がする。
「分かってるよ――兄貴!」
後ろを振り向くと、そこにはリアス部長と同じ紅髪を揺らし、口元に微笑を浮かべながらこちらに歩いてくる俺の義兄、兵頭夏蓮がいた。
手には兄貴の
どうやら部長の言う通り、兄貴はこちらの応援に駆けつけてくれたようだ。
「さっき、相手の
俺に近づきながら聞いてくる兄貴。
「ああ。ちょっと俺の必殺技を使ってな」
「そうか」
近づいて俺の横まで来る兄貴。
そして次の瞬間、
「ふん!」
兄貴の声と共に、強い衝撃が俺の頭を襲いって。
「い、痛ってええええええ!?」
凄まじい激痛が俺を襲う。
マジで痛い! さっきので強化はリセットされて素の状態だから、余計に痛い!
俺は涙目になりながら元凶を睨みつける。
「何すんだよ、兄貴!」
******
「何すんだよ、兄貴!」
俺、兵頭夏蓮はこちらを睨み付けるわが義弟にして愚弟、兵頭一誠を冷めた目で見つめる。
「ほお。一誠、お前はなぜ俺に殴られたのか分からんか?」
「え、え、ああ、うん」
目をそらしながら言う一誠。
「一誠、こっちを見て話せ。あと、正座しろ」
「あ、はい」
素直に正座する一誠。良いね、素直は良いよ。
「さて。一誠、実は最初の戦闘で俺、通信機から奇妙なモノを聞いたんだ」
「き、奇妙なモノ? なんだよ」
「ああ。お前の声らしきもので『
「…………」
「しかも、その効果が触れた女性の服を完全に消し飛ばしてしまうものだとか」
「…………」
「まさか、そんな卑猥で下劣な技をお前が開発した訳じゃあ、無いよな?」
「…………」
「……さっさと吐けやコラ」
「い、痛い! 兄貴! アイアンクローやめてお願いだから!」
ギリギリと、一誠の後頭部を締め上げる俺。魔力による強化はすでにしている。
「あ、あの夏蓮先輩? 今は戦闘中なんで、イッセー君を怒るのは後にした方が……」
「祐斗。こういう馬鹿には直ぐに躾をしないと後々もずっと同じことを繰り返すんだよ。もしそうなったら今後、どれだけの女性に被害が出るか……」
祐斗が止めようとするが、無視だ無視。
「良いか一誠。確かに俺たちは敵同士。相手はぶちのめさないといけない。だけどなある程度の節度、というのは必要だ。俺たちは別に戦争をしているわけじゃあない。戦いに、女性の服を弾け飛ばして裸にひん剝く理由がどこにある!」
「ありません! すんません!」
「じゃあなんでやるバカモン!」
「だって男のロマンだろ!? 女性の服を消し飛ばしたいと思うのは!」
ロマンだあ?
「馬鹿か! そういうのは漫画とかアニメで見るから面白いんだろうが! 実際にやる馬鹿がどこにいる!」
ここにいるな! 自分で言っておいて自分で突っ込むなんてなんか変な感じだな。
「……ぶっ。あははははは! な、なんですのこの二人? 戦いの最中にまるで漫才みたいなものを!」
一誠に説教を食らわしていると、突然笑い声が響き渡った。
そちらの方を見てみると、金髪の縦ロールに西洋のドレスを身にまとった少女が笑っていた。
「あ、貴方たち、お笑い芸人というものを目指しているんですか? もう、可笑しい。あ、あははははは!」
「れ、レイヴェル様……」
今にも笑い焦げそうな彼女に他の眷属が声を掛けている。
というか、レイヴェル様? 様って、どういう事だ?
「おい、一誠。あの子誰だ?」
アイアンクローを解除しながら俺は一誠に聞く。
すると、一誠が答える前に、彼女自身が息を整えながら、答える。
「こ、これは申し遅れました。私、レイヴェル・フェニックスと申します。どうぞよろしくお願いいたしますわ」
そう、ドレスの両端をつまみながら言う彼女、レイヴェル・フェニックス。って、
「フェニックス? ライザーの血縁者か何かか?」
一誠が顔をさすりながら言う。
「ライザーの野郎の妹だってさ」
…………。
……妹?
「はあ!? 妹!?」
思わず彼女を見る。
彼女、レイヴェルはにこやかにこちらに手を振ってくるが、いやいや。
「何で妹が兄の眷属をやってんだよ! 訳わからん!」
俺の混乱が分かるのか、一誠が説明を始める。
「さっき、相手の
……えー。
ライザーのとんでも理論にもう何も言えない俺。
正直、自分が今どんな顔をしているのか自分でも分からなくなっているくらいだ。
「一誠、俺は今どんな顔をしている?」
「まるでこの世で信じられないものを見ているかのような顔」
「ありがとう」
なぜ、世の中に妹萌、女性を素っ裸にする、などといった漫画や小説、ゲームが多いか? それは実に単純。世の中にそんな事は基本的にあり得ないからだ。
だからこそ、ヒトはそういった空想で欲望を満たすのだ。
しかし、悪魔にはそんな常識は通用しないようだ。何とも悲しい。そういうのはやらないからこそ、面白いものだというのに。それを
「……なあ、なんか俺の事馬鹿にした、兄貴?」
「ん? お前って何故かそういう所だけは本当に鋭いよな」
「本当に馬鹿にしたのかよ!? 兄貴最近、本当に俺に対して失礼だよな!」
こちらに詰め寄ってくる一誠。
「はっはっ。一誠、お前に別に敬意を表する必要って――ある?」
「何そのむかつく顔。本当に一発殴ってやる!」
「ほお? お前が俺を殴るなんて一万年早えよ」
ぎゃーぎゃー言っている一誠を尻目に、俺は辺りを確認する。
――どうやら、残りの眷属はここにもう集結しているようだな。
先ほどのライザーの妹。獣耳の獣人が二人。祐斗が相手をしている
……いくらなんでも、全員出払うってどうよ?
ライザーのこちらの舐めっぷりに怒りを通り越して、最早感嘆を覚えているな。
さて、取り敢えず、どうするか……。
俺が次の一手を考えていると、ふと、空に何かいるのが見えた。
何だ? 敵? 朱乃はもっと遠くで戦っているから違う。他の眷属はここに全員集合しているはずだ。なら……。
空を凝視していると、特徴的な紅い髪が風に煽られて揺れていた。
まさか……。
ここにきて俺は漸く気づいた。
「おい、リアス! 何があった!」
俺は通信機に向かって怒鳴る。
「部長!?」
隣で一誠が驚いた声を上げるが、今は無視だ。
『……夏蓮? 聞こえる?』
やや経って、リアスの声が聞こえてきた。
「お前、何やってんだ! そんな空に行ったら……」
『分かっているわ! でも、新校舎に入ったと同時にライザーに見つかって……』
悔しそうに言うリアス。
はは、こちらの作戦なんてお見通しって事か。流石経験者。
『それで、ライザーがこちらに一騎打ちを申し込んできたの』
「一騎打ち? それをお前が受けたのか?」
『ええ。ライザーを打ち倒すまたとない機会ですもの』
確かに。ここで舐め腐っているライザーをぶち倒せたら、まさに万々歳だな。
『私がライザーを消し飛ばすわ。――夏蓮、貴方は残りの眷属全てを倒しなさい』
……はっ。
「仰せのままに! 完全に叩きのめしてやるよ!」
俺は切っ先を敵に向けながら、そう宣言した。
いかがでしょうか? 感想待っています。
中々バイトが決まらず悲しい。お金が無いと、生活のやりくりが……。