ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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今回もほぼ原作通りなので、あまり進展はありませんね……。オリジナルを書くのは本当に大変です。そういうのを書ける作者さん達は尊敬できます。





押し切る!

「叩きのめす? 貴方たち三人が?」

 

 俺の宣言を聞いたレイヴェルが面白そうに言う。

 

「何が可笑しい?」

 

「だって、貴方たち、本当にお分かりですの? こちらとそちらがどれだけの戦力差かを」

 

 

 クスクスと笑いながら言うレイヴェル。

 

「まあ、な。そりゃあ、最初から戦力差があるが、こちらは一人に対し、そっちはもう八人脱落だぜ? このまま行けば、余裕だ」

 

「確かに、眷属の方は倒せるかもしれませんが、お兄様は倒せませんよ。それほどまでに、フェニックスの力――不死は絶大ですわよ」

 

「おいおい、こっちの戦力を舐めてないか?」

 

「『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』、『雷の巫女』、『魔剣創造(ソード・バース)』に『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。更にはあなたの『灼 銀 の 龍 刃(グロリオ・ドラコ・エッジ)』。成程、聞くだけならば、とんでもなく物騒な名前ばかりですわ。ですが、こちらは不死。何にも関係はありませんわ」

 

「けど、フェニックスにだって弱点はあるだろ!」

 

 一誠が叫ぶ。

 

 そう、相手が再生できなくなるまで攻撃を当て続けて精神を折るか、神クラスの一撃を食らわせて、完全にぶちのめすか、だ。

 

 しかし、俺たちの希望を嘲笑うかのように、レイヴェルは鼻で笑う。

 

「再生できなくなるまで攻撃を当て続ける? 神クラスの一撃を当てる? 貴方たち、それがどれ程の絶望的な事か本当にお分かりになって……」

 

「確かにな。ぶっちゃけた話、俺たちはフェニックスと戦ったことは無いから、どれほど攻撃を当てればいいか分からん」

 

 レイヴェルの得意げな話を遮るように俺は言う。

 

「けどな、俺は案外楽なんじゃないかと思ってんだよ」

 

「……何ですって?」

 

 俺の言葉に眉をひそめるレイヴェル。

 

「あいつ、ライザーの野郎、今まで苦労したことなさそうなタイプだしさあ。案外うたれ弱いと思うんだよ。――少なくとも、一誠よりは根性はねえよ、あいつは」

 

 そう、何となくあの世の中舐めきっているような態度を取っているあいつは、恐らく負けたことが無いんだろう。

 

 ――そういう奴ほど、一度崩れると、とんでもない状態になる。

 

「……そうですか。貴方は他の眷属に比べて、物分りのよさそうなヒトだと思ってたんですが……」

 

「悪いね。こと、戦いにおいては俺は基本的に諦めないタイプなんだ」

 

 話は終わりだ。俺は、剣を構える。

 

 まず、この場で倒すべき相手。中核に位置するレイヴェル? 駄目だ。ライザーと同じフェニックスなら、そう簡単に倒せないだろう。ならば――。

 

 俺は、狙う相手を定めて、魔力で脚力強化し、一気に距離をつめる。

 

「なっ!」

 

 突然目の前に現れた俺に相手は驚くが、生憎と待ってやる暇はこちらには無い。

 

 剣を両手で構えて、上段から斬り付ける。

 

「かはっ……」

 

 斬られたもう一人の僧侶(ビショップ)、和服の女性が苦悶の声を上げながら光に包まれる。

 

『ライザー様の僧侶(ビショップ)一名、リタイア』

 

 グレイフィアさんのアナウンスと共に、一人目が消える。つうか、結局名前を知らないまま倒しちまったな。

 

「シーリス!」

 

 レイヴェルが鋭い声を上げる。

 

 その声に応えた大剣を背負った女性、シーリスが剣を振りかぶってこちらに迫ってくる。

 

「シーリス! その方の神 器(セイクリッド・ギア)は、エネルギー系の攻撃しか吸収できないタイプですわ! 物理の攻撃であなたが仕留めなさい!」

 

 レイヴェルがシーリスに指示を与える。

 

 よく分かってんじゃねえか。一度も能力は見せていないんだが、この神 器(セイクリッド・ギア)って案外有名なのかねえ?

 

 と、そんな事を考えていると、シーリスがこちらに向かって大剣を振りかぶってくる。

 

 それを俺は確認しながらかわす。

 

 ……大剣から想像出来るように、もう一人の騎士(ナイト)と違ってパワー重視タイプ。外見からは予想出来ないような威力を出すな。

 

 と言っても受け止めることは出来る。問題なのは、この後のライザー戦を考えると、あまり体力の浪費は避けたい。となると、俺が取るべき選択肢は……。

 

「受け流すしか無いよな」

 

「はああああ!」

 

 再び迫ってくる大剣を尻目に、俺は呟く。

 

 横なぎに迫ってくる大剣の刃の部分に神 器(セイクリッド・ギア)の腹の部分を当てる。そのまま、削るように剣を当てたまま前に踏み込む。

 

「なっ!」

 

 それに驚くシーリス。甘いぜ。

 

 俺はそのまま押し込むようにシーリスを斬ろうとする。

 

「くっ!」

 

 しかし、流石は騎士(ナイト)か、紙一重の所で躱してくる。

 

「はっ! 中々やるじゃねえか」

 

「ほざくな!」

 

 激昂し剣を振りかぶるシーリス。

 

 だが、動きはさっきよりは単調になっている。俺は、そのまま躱しまくる。

 

 ははっ。動きが単調になったおかげでさっきより全然躱しやすくなったぜ。こりゃあ、このままいけるな。

 

 俺はそのままシーリスを挑発するように、余裕の表情を作って躱す。

 

 俺の思惑通り、シーリスは更に顔を歪めて剣を振り回す。

 

 ま、気持ちは分からんでも無いがな。俺だって、格下と思っていた相手に自分の剣が全く当たらなかったら、流石に少しイラつくな。

 

 あ、いや。イラつくより前に驚くかな? そんでもって、相手への認識を改めて、警戒を強める必要があるな。

 

 だというのに、彼女はそれが分かっていないのかねえ。ま、俺には好都合だから良いけどさ。

 

「落ち着きなさいシーリス! 挑発に乗っては相手の思う壺よ! 冷静に確実に仕留めなさい!」

 

 レイヴェルがシーリスを落ち着かせるように声を上げる。

 

 流石に、落ち着かせるような。

 

 なら、落ち着く前にさっさと倒すまでだ!

 

 横から回り込んで、シーリスの後ろにつく。

 

「っ!」

 

 それに気づいたシーリスが慌ててこちらを向こうとするが、遅い。

 

 取った! 俺は、勝利を確信し、剣を振りかぶろうとしたその時だった。

 

「ぐはっ!」

 

 俺の耳に入ってきたのは一誠の声だった。そして、その声は苦悶に満ちていた。

 

「一誠!?」

 

 思わず、見れば、残りの兵士(ポーン)の獣人娘たちに滅多打ちにされ、倒れ伏している一誠の姿が目に映った。

 

「一誠、何やってんだ! しっかり、うお!」

 

 一誠を思わず叱咤しそうになるが、それよりも先にシーリスの大剣が俺の方に迫ってきていた。

 

 流石に、意識を一誠の方に向けていたからギリギリだったが、何とか躱せた。

 

 ……最も、髪が数本犠牲になってしまったが。

 

 一度距離を取り、改めて一誠の方を見る。

 

 既に全身が傷だらけでボロボロ。体もプルプル震えている。血反吐もいくつも吐いていて、誰もが見ても、重傷だと一目で分かる。

 

 ……限界か。

 

 そう、思わずにはいられなかった。

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)は使用者の体力をかなり使うというデメリットがあると聞く。

 

 今回の修行で、大幅に体力はアップしたが、やはり一朝一夕。そう上手くはいかないか。

 

 こんな事になるなら、一誠はライザーのヤツをぶち倒すこちらの切り札だから一誠を温存して、俺が前に出るべきだったか……。まあ、今更考えても仕様がない事だが。

 

 さて、どうしたものか。ここいらの眷属ならあとは俺と祐斗と二人でなら難なく倒せるだろう。朱乃も、結構時間を食ってるが、もう少しで敵の女王(クイーン)を倒せるだろうな。

 

 問題はその後だ。どうやってライザーを倒すかだ。

 

 RPG風に言ってしまえば、俺たちは魔王の一歩前でHPもMPもほぼゼロの状態になってしまうような状態になるだろう。

 

 いや、アーシア嬢がいるから、HPは大丈夫かな?

 

 問題はMP、体力だ。

 

 傷は治せても、アーシア嬢の神 器(セイクリッド・ギア)では、体力までは元に戻せない。それを考えれば、あまり体力は無駄に使えない。

 

 俺が今の状況を打開するのに四苦八苦していると、突如、爆発音が響いた。

 

 今度は何だ!

 

 次々と変わっていく戦場の状況に、思わず声を上げたくなるが、それを飲み込んで爆発音がした方向を見る。

 

 爆発音がしたのは、屋上だ。

 

 つまり――リアスの戦っている場所。

 

 屋上を見てみるも、爆煙が屋上一帯覆っており、見えない。それだけ激し戦いという事か。

 

 少しして爆煙が晴れると、そこには軽傷を負い、片膝をついているリアスと、ニヤニヤとムカつく笑みを浮かべているライザーが傷一つ無い状態で立っていた。

 

 リアスの傍らにはアーシア嬢がおり、リアスの傷を治していた。

 

 おいおい、相手はリアスと同じ上級悪魔なんだろ? いくらリアスとの経験の差があるからと言っても、差がありすぎる。

 

 これが、フェニックスなのか? 流石に、これは……。

 

 

 俺の脳裏に敗北の二文字がちらついてきた時だ。

 

 

「俺に力を貸しやがれ! 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

 

 

『Dragon booster!!』

 

 さっきまで血反吐を吐いて、もう動けないと思われていた一誠が突如、大きな声を上げる。

 

 それと同時に、一誠の神 器(セイクリッド・ギア)が赤い光を放つ。

 

「もっとだ! もっと俺に力を! アーシアや兄貴! 部長やみんなを守れるだけの力をよこせ! 俺の思いに応えろおおおおおおおおおぉおおおお!!」

 

『Dragon booster second Liberation!!』

 

 一誠の声に応えるように、一誠の神 器(セイクリッド・ギア)が赤い光を放つ。

 

 光が止み、俺はあいつの神 器(セイクリッド・ギア)を見てみる。

 

「……形状が変わっている?」

 

 神 器(セイクリッド・ギア)に付いている緑色の宝玉が一つから二つに増え、全体的な形も鋭さを持った感じになっている。

 

 そこで以前、聞いた話を俺は思い出した。

 

 ――神 器(セイクリッド・ギア)は所有者の思いに応える。

 

 神様が作り出した不思議アイテムなんだから、そういうのもあるんだろうなあ、と思っていたが、まさか目の前で実際に起きるとは。

 

 つーか、一誠のやつ俺を守るだって? やれやれ。守るって言葉は、守る対象より強くないと意味を成さない言葉だぜ? ほんと、俺よりも強くなってから言えって話だ。

 

 ……だが、まあ。一誠のやつ、全然動けないってのは、俺の完全な見当違いだったな。正直、あいつの根性を過小評価していたぜ。

 

 まあ、さっきライザーのヤツよりは根性があるって自分で言ったしな。当然と言えば当然かな?

 

 ほんと、この土壇場で新しい力を手に入れるなんて、あいつ漫画の主人公か何かか?

 

 一誠はじっ、と自分の神 器(セイクリッド・ギア)を見ていると、何かに気づいたように叫ぶ。

 

「木場! お前の神 器(セイクリッド・ギア)を開放しろおおおおおおお!」

 

「開放……?」

 

 突然の一誠の言葉に俺と祐斗は困惑するが、ここはもう一誠を信じるしかないだろう。

 

魔剣創造(ソード・バース)!」

 

 祐斗が剣を地面に付きたて、その力を解放する。

 

 魔剣創造(ソード・バース)。祐斗が持つ神器の一つでその能力はその名の通り、魔剣を作り出すことだ。

 

 あらゆる能力、形状の魔剣を作ることを可能とし、その数に限りは無い。

 

 ぶっちゃけた話、俺のや一誠のとは使い勝手がまるで違う。どんな状況下でも対応できる万能型というやつだな。俺たちのは特化型と言うべきか? まあ、一誠の奴は能力自体はどんな相手も出来るが。

 

 ……そう考えると、眷属の中で俺の神 器(セイクリッド・ギア)が一番使い勝手が悪いのかな? まあ、多分そうだろうな。

 

 そんな事を考えていると、地面が光りだした。

 

 おそらく、祐斗の力だろう。

 

「いくぜ! 俺の新しい力!」

 

 一誠は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を光る大地に叩きるける。

 

「『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

 

 

『Transfer』

 

 宝玉から音声が流れると同時に、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から何かが地面に流れ込んでいく。

 

「一誠、何をする気で……」

 

 ――ゾクリ

 

 

 何かを感じた。それが何なのか。答えは直ぐに分かった。

 

 おい、まさか……。

 

 恐る恐る俺は地面を見る。地面は鳴動し、次の瞬間。

 

 

 俺の目の前に無数の剣が地面から突き出た。

 

 

 比喩でも何でもなく、文字通り、剣が地面から突き出たのだ。

 

 しかも一本だけでなく、続々と、地面から剣が出現し、気が付けば、辺り一帯がまるで剣の海になっていた。

 

 俺や一誠、祐斗の場所だけは避けているが、他の場所はほぼ隙が無く、剣が出現していた。つまりだ。

 

「馬鹿な……」

 

「これがドラゴンの力……」

 

 苦悶の表情を浮かべながら、フェニックス眷属が続々とリタイアの光に包まれていく。

 

『ライザー様の騎士(ナイト)二名、兵士(ポーン)二名、リタイア』

 

 グレイフィアさんのアナウンスが戦場に響く。

 

 

 だが、俺にはそのアナウンスはあまり耳に入っていなかった。

 

 それよりも、一誠の新しい能力に目がいっているからだ。

 

 ……恐らく、倍加した力をそのまま他の――今回は祐斗の神 器(セイクリッド・ギア)に移したんだろう。

 

 『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』。

 

 倍加の力単体でも厄介な能力なのに、それを別の対象に移せるなんて……。

 

 流石は神滅具(ロンギヌス)といった所か。正直、敵じゃなくて良かったぜ。

 

 というか、少し希望が見えてきたな。

 

 リアスの魔力を一誠の力で強化すれば、あるいは……。

 

 俺がこの戦いに勝つ方法に希望を見出したその時だ。

 

『リアス様の女王(クイーン)一名、リタイア』

 

 グレイフィアさんのアナウンスを聞いた瞬間、俺は思わず呆然としてしまった。

 

 ちょっと待て。リアスの女王(クイーン)? 朱乃が負けた? 俺達の中でもリアスの次に強いであろう朱乃が?

 

 確かに、相手も女王(クイーン)だが、俺の目が正しければ、朱乃の力量は間違いなく相手の女王(クイーン)を超えていたはずだ。一体何が……。

 

 俺があり得ないアナウンスに困惑した次の瞬間、近くで爆発音が鳴った。

 

「っ!」

 

 素早く爆発音がした方を向く。

 

 そこには、爆発に巻き込まれ、無残な姿を晒す祐斗が地面に倒れ伏そうとしていた。

 

「祐……」

 

 俺が声を掛ける前に、祐斗は光に包まれ、姿を消した。

 

『リアス様の騎士(ナイト)一名、リタイア』

 

 無慈悲とも思えるグレイフィアさんのアナウンスが再び辺りに響いた。




いかがでしょうか? 感想待ってます。


いよいよゲームも大詰め。後一話か、二話で終わると思います。
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