ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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うーん。最近、思う様に書けていない気がするんですよね……。言葉足らずというのでしょうか? もう少し、語彙力を増やした方が良いかも。


ここは……

『情けない。実に情けない。高々不死鳥風情に敗れようとは』

 

 ――誰だ? お前は

 

『しかも、いくら封印が中途半端な状態だったとはいえ、あの程度の悪魔に左半分をやられるとは……あまりの情けなさに、最早笑いすらこみ上げてくる』

 

 ――随分と失礼なことを言うな

 

『覆しようも無い事実だ。お前は負けるはずのない戦いに負けた。これを情けないと言わずに何と言えば良い?』

 

 ――いい加減に腹が立ってくるな

 

『ん? 何だ、図星にされて逆ギレしているのか? 益々情けない。自分の失敗を認められずに駄々をこねるだけ。子供だ。情けない以前に子供だなハハハハ!!』

 

 ――うるせえよ! というか、いい加減俺の質問に答えろよ。お前は誰なんだ!

 

『ああ、お前こっちの事は忘れてんだよな。良いぜ、教えてやる。それはな……』

 

 

 

******

 

 

「はっ!」

 

 気づけば、俺は仰向けになって倒れていた。

 

 視界にまず写ったのは、雲一つ無い真っ青な空。

 

 そして、その空に吸い込まれるように黄金色の光の粒が辺り一帯を舞っている。

 

「ここは……」

 

 上半身を起こし、辺りを見渡す。

 

 ここは、どこだろうか? 以前来たことがあるような気もするのだが……。

 

 俺が自分が今いる場所に困惑していると、後ろから声が聞こえてきた。

 

「――ここはお前と俺、そしてヤツが作り出した内面の世界。決して俺たち以外が立ち入ることが出来ない場所」

 

 後ろを振り向けば、黒いスーツを着崩した男が立っていた。

 

 長身で細いながらも鍛えられているのはスーツ越しでもわかる。

 

 サングラスをかけてその表情は伺えないが、顔つきからワイルドさが伝わってくる。

 

 更に、俺やリアスの同じ鮮やかな紅髪を背中辺りまで伸ばしているのが一番印象深い。

 

「お前、誰だ……?」

 

 残念ながら、俺にはこの男の記憶は無い。つまり初対面なのだ。

 

「俺か? 俺はお前だ」

 

 ……えー。

 

「……哲学を論じるつもりは無いぞ」

 

「いやいや、マジだって。俺はお前なんだよ。お前がいるから俺がいる。俺がいるから今のお前がいるんだよ」

 

 何だこいつ。()()ここに連れてきて、また俺を煙に巻くような事を言って……ん?

 

 そこで俺はふと、思う。

 

 ちょっと待て。何で俺は”また”なんて思った。こいつには会った事が無かった筈だ。ならば”また”なんて思わない筈だ。

 

 いや、違う。俺はこいつに会った事がある。そうだ、それも最近だ。

 

 思い出せ。思い出すんだ。俺はどこでこいつに会った? いつこいつを知った? どこでどこで……。

 

 そして、俺は思い出した。

 

 そうだ、こいつと俺は一度会っている。堕天使に殺されたとき、俺はここに来たんだ。

 

 あの時、最後にこいつはここでの事は忘れてしまう、そう言っていた。だから、俺は忘れていたのか。

 

 ほう、男が感心したように呟く。

 

「どうやら思い出したようだな。結構結構、よろしい」

 

「うるせえ。で、結局ここは何なんだ? 内面の世界って言っていたけど……」

 

 内面という事は、俺の心の中とでも言えるのだろうか? だとしたら、中々ファンシーな世界を持っているな俺は。

 

「そのままの意味さ。ここはお前の内面世界。俺とヤツ以外は干渉は基本的に出来ないお前だけの世界」

 

「俺だけの、世界……」

 

 まるで夢みたいな話だ。いや、実際に夢か? けど、悪魔とか超常の存在とかがあるんだし、あっても不思議じゃないかな。

 

「さて、今回お前を呼んだのは他でもない。……お前の無様な負けっぷりを笑ってやろうと思ったんだ」

 

「最悪だなお前」

 

 思わず突っ込む。

 

 この野郎、人の傷口に塩を塗り込むような真似をしようとするとは。

 

「まあ、それは後でやるとして」

 

「結局やるのかよ!」

 

「今、お前にする事は、何故負けたかだ。本来のお前のスペックなら絶対に負けるはずの無い相手の筈だった。にも拘らず、お前は負けた。それは何故だ?」

 

 いきなり真面目な雰囲気になって話し出す男。

 

「……色々あるだろうさ。ヤツと戦う前に女王(クイーン)の攻撃で左半身をやられた事に、もう一つは俺の魔力だ」

 

「…………」

 

「俺の魔力、絶対に何かが可笑しい。出力を上げ続けて、ある一定量にいったら魔力が全く使えなくなるなんて可笑しいだろ」

 

 周りの悪魔を見ても、そんなヤツ誰もおらず、俺だけが魔力を上手く使えていない。

 

そう、言うなれば、

 

「まるで、俺の魔力に変な枷があるみたいだ」

 

 俺がそう呟くと、男はニヤリ、と笑った。

 

「正解だ。お前、ちゃんと答えに辿り着いたな」

 

「辿り着いたって、え、まさかそうなのか!?」

 

 思わぬ正解に、正解を言ったはずの俺が驚いた。

 

 いや、だってまさかこれが正解とは思わなくて……正直、当てずっぽうな部分も多かったし。

 

「なんだ、当てずっぽうか。じゃあ、教えなくて良いか」

 

「いや、教えろよ」

 

「何で」

 

「何でって、正解言ったろ!」

 

「だって当てずっぽうじゃん? そんなヤツになんで教えなくちゃいけないんだよー。ちゃんと理解していないとダメじゃん?」

 

「うわームカつくこいつ」

 

 何だこいつは。こっちを馬鹿にして来たり、変な所で意地悪をしてきたり訳わからん。

 

「教えたくはないが、このままでは全く話が進まないので誠に遺憾ながら話を進めよう。特別だぞ」

 

「…………」

 

 こいつはどうしてこうも上から目線なのだろうか。

 

「さて、お前の魔力についてだが、実はお前の魔力にはある封印が施されている。どびっきり厳重なのがな」

 

「封印?」

 

「ああ。普通なら絶対に開くことが無い封印だ。しかし、お前が悪魔として完全に転生してしまったせいで、封印が変な状態になってしまった」

 

 封印か……。何故そんなものが俺に施されているかなんて全く覚えが無い。というか、俺はリアスに会うまで悪魔や堕天使といった超常の存在には会ったことが無い。

 

「悪魔なったおかげで悪魔になる前の封印の術式が狂っちまったんだな。パソコンで言うところのエラーが出てしまうような状態だ」

 

 パソコンの例はいまいち分からないが、まあ、俺の不調の理由は分かった。

 

「成程な。で、その封印はどうすれば解けるんだ? このままじゃ俺、まともに戦えないぞ?」

 

「確かにそうだな。だが、この封印は極めて緻密でかつ精巧。ちょっとやそっとの力では解けやしない。解くんだったら、神クラスの力が無いと」

 

「神クラスぅ!?」

 

 流石に驚いた。というか俺みたいな元は普通な人間が何故に神クラスの力が無いと解けないような封印が施されているんだよ! 訳わからん!

 

「ま、そんな神クラスの封印も、お前が悪魔になったことでだいぶ緩んだ。今のお前の状態に最適な形にすることは俺でも可能だ」

 

 そう言うと、男は手に魔方陣らしきもの展開すると、俺に近づける。

 

「……おや、先ほどの戦闘で、また壊れたな。一番肝心な部分は強固だが、他はもう駄目かな? ま、取り敢えず……」

 

 男は魔方陣を回転させて、何やら色々とやっている。

 

 どうやら俺の封印を弄っているみたいだが、残念ながら俺には何をしているのかさっぱりだ。もう少し、勉強したほうが良いな。

 

 そんなことを考えている家に、やがて男が一息つき、魔方陣を消した。

 

「終わったぜぇ。根本部分は手を付けてないが、これでお前は今までよりも相当な魔力を引き出せるようになった」

 

 男はそう言うが、生憎と俺には実感はいまいち湧かん。現実世界に戻れば何か気づくかもしれないが……。

 

「てか、根本的な部分には手を付けてない? 封印を解いたんじゃないのか?」

 

 封印が解ければ、リアスと同じくらいの上級悪魔クラスの魔力を完全に使えると思ったんだが……。

 

 俺の疑問に男はあっさりと答えた。

 

「ああ、そりゃ無理だ。解くことは出来るが今のお前でやったら色々とあるからな」

 

「何だよ色々って」

 

 折角その封印が解けると思ったんだがな……。

 

「色々ってのは色々だよ。あーもう、面倒だから説明はまた今度な。後がつかえてんだ」

 

 面倒くさそうに手を振る男。

 

「とりあえず、俺がするのは今はここまで。ここから先はヤツの領分だ」

 

「なあ、さっきから言っているヤツって誰なんだ? ほかにもここにこれるヤツがいるのか?」

 

 俺たち以外の「ヤツ」というものをこの男はさっきから連呼しているが、辺りを見渡してもそんなヤツの影すら見当たらない。

 

「直ぐ来るさ。……ということで、俺はここいらで失礼する」

 

「は?」

 

 男はそう言うや否や、足から消え始めた。

 

 って、本当に消えるのか! 待て待て。

 

「待ってくれ! 俺はあんたにまだ聞きたいことがたくさんあるんだ!」

 

「やだ。聞いてやんない」

 

 本当に性格悪いなこいつ!

 

「ま、それは半分冗談だ。いつかまたお前がここに来たらその時に教えてやるよ。だからって簡単に死にかけるなよー」

 

 男の体はもうすでに下半身が消えて、上半身も消え始めていた。

 

 先ほどまで馬鹿にしたり、真面目な表情をしていた男だが、ここにきて急に変な表情をしてきた。

 

 真面目、というのも変だが、かといって、こちらを馬鹿にするような表情でも無い。何とも不思議な表情だ。

 

「良いか、お前はこの先もっと強くなる。それこそ魔王になれるほどにな」

 

「魔王?」

 

 いきなり飛躍しすぎでは無いだろうか? 生憎とこちらはまだ下級悪魔。上級悪魔でさえないのだから。

 

「問題ない。お前にはその素質がある。――だから勝て。何者にも負けない最強の存在になれ」

 

 ……最強か。

 

「もとよりそのつもりだ。要らぬ心配ってやつだよ」

 

 俺がそう言うと、男はふっ、笑う。

 

「ならいい。じゃあ、またな」

 

 そう言って男は完全に姿を消した。

 

 後にされたのは、この金色の舞う不思議な空間に残された俺だけだ。

 

「……え、どうすればいいのこの後」

 

 思わず、呟く。

 

 いやだって『ヤツ』とかいうのが来るとか言うけどさあ、よくよく考えてみればここから俺はどうやって出れば良いの? 前回は普通に目が覚めたけど、たぶんあれはあいつが色々としてくれたからだろうし、そのあいつもさっき消えてしまったし、どうすれば……。

 

 これからの事に頭を悩ませていたその時だ。

 

『――何に頭を抱えているのです?』

 

 突如として声が響き渡った。

 

 さっきの男の声じゃない。別の誰かだ。

 

 再び俺が辺りを見渡そうとしたその時、俺の目の前に、いきなり竜巻が出現した。

 

「うお……!」

 

 あまりの風の勢いに、思わず腕で顔を覆う。

 

 竜巻に黄金色の粒が混じり、なんとも綺麗な風景に見えなくとも無いが、生憎と風が強すぎるために優雅さは減少しているが。

 

 そして、唐突に竜巻が停止したと思った次の瞬間、竜巻が内側から破るようにして散った。

 

「な……」

 

 竜巻の中にいたものに、俺は思わず息を飲む。

 

 大地を噛み締めるように立つ強靭な四肢。

 

 巨大な結晶のような輝きを持つ一対の翼。

 

 神秘さを感じさせる銀色の鱗。

 

 そして、裂けた巨大な顎。

 

 ――ドラゴン。

 

 俺や一誠に宿る神 器(セイクリッド・ギア)に封じられている力の塊。

 

 その一体が、俺の前に姿を現した。

 

「お前は……」

 

『我が名は『 銀  星  輝  龍(シルヴァリオ・シュテル・ドラゴン)リンドヴルム』。貴方に宿るドラゴンです』

 

 リンドヴルム。俺に宿るドラゴン。こいつが……!

 

 あまりの巨大さ。そして力に俺は圧倒されていた。

 

『こうして顔を合わせるのは初めてですね。今代の私の使い手よ』

 

「そう、なるな……」

 

 話しかけられ、俺は圧倒されながらも言葉を口にする。

 

 何か、想像してたのと全然違うな。もっとドラゴンって厳格なイメージというか、何と言えばいいだろうか、悪役みたいなのがあると思っていたからな……。

 

『しかし、不思議なものです。神 器(セイクリッド・ギア)に封印されて数百年。色んな人間達に宿っていきましたが、宿主が悪魔になったのは今回が初めてです。しかも、近くにドライグを宿すものがいるとは……』

 

「だろうな……俺だって悪魔になるなんて、夢にも思わなかったし。てか、ドライグ? 誰だ?」

 

『貴方の義弟に宿る赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)の事ですよ。以前の所有者とは何度か戦ったこともありましたっけ』

 

 ああ、一誠に宿るドラゴンの事か。ドライグって言うのか。

 

 つうか、戦った? じゃあ、あっちのドライグってドラゴンは俺たちの事を敵と認識しているとか? そいつは色々と面倒そうだな。

 

『全く、直ぐ近くにあのクズ野郎がいるのに八つ裂きに出来ないなんて……これもあの駄神の所為ね』

 

 ……何かすっごく物騒な事聞いたような……気の所為と信じたい。

 

『今は仕方ありませんね。……さて、貴方は今回フェニックスに負けました。ドラゴンを宿すものとしては実に情けないですね。涙が出てきそうです』

 

「……なに、お前も俺の事馬鹿にしにきたの?」

 

『まさか。私は……貶しにきたんです』

 

「一緒だよ!」

 

 俺の心の中に居る奴は皆俺の事を馬鹿にしたいのか!? もう本当に嫌になってくるな! 何だか最近俺ってイジラれキャラになってきてないか?

 

『まあ、貴方の反省点はあの者が言い当てたでしょう。だからそこは良いです。ですが、このまま負けたままなのは、私の宿主としては不合格ですね』

 

「……どういう事だ」

 

『言葉通りの意味ですよ。あなたは負けたままで良いんですか? と聞いているんです』

 

「……嫌に決まってんだろ」

 

 俺がそう言うと、リンドヴルムは笑みを浮かべる。

 

『なら、良いです。貴方は今回二つ新しい力を手に入れました』

 

「二つ?」

 

『ええ。一つはもうあの男から貰っているでしょう。そしてもう一つは、既に掴んでいるでしょ?』

 

「……」

 

 黙る俺に、何を思ったのかリンドヴルムは頷くだけだ。

 

『貴方は一度負けた。なら、次は勝たねばならない。それは分かりますね?』

 

「ああ。あの男にも言われたことだが……俺は負けるのが一番嫌いだ。だから、勝つよ」

 

 俺がそう言うと、リンドヴルムは満足そうに頷いた。

 

『ならば行きなさい。そして勝ってきなさい』

 

「おう」

 

 俺が返事をするのと同時に、辺りが暗くなっていき、リンドヴルムの姿が見えなくなっていきはじめた。

 

 

 

 

『そして、願わくば、貴方が真実を知らんことを』

 

 

 最後に、リンドヴルムが言った言葉は俺の心に強く残った。




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