ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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どうもー。無事旅行から帰ってきましたー。

いやあ、何かすまんせん。構想は頭の中でぐるぐる巡っているのに、それを文章にできませんでした。書いても出来としては良くは無いかと。主に戦闘描写が。主に戦闘描写が。大事な事なので二回言いました。

それでも良いと言う心の広い方、どうぞ。


これで終わりだ

「……やっべー」

 

 煙が辺りに立ち込める中、俺は片膝をつきながら冷や汗をかいていた。

 

 その姿は先ほどまでのドラゴンの鎧……では無く、スーツ姿の生身の状態だった。

 

「成程。お前が俺を挑発していたのはこういうわけか」

 

 煙から出てきたライザーは所々傷を負っているが、直ぐに傷に炎が這って治していた。

 

「鎧の方はあまり長時間使う事が出来ないみたいだな。だからお前は勝負を急いでいたんだ」

 

 ご名答。反論は無しだよ。

 

 そう、俺の禁手化(バランス・ブレイク)は確かに強力なのだが、中途半端に至った所為か、十五分も保たない。フェニックス相手にこれは流石にきつい。その為、なるべく早くに終わらせたかったのだが……。

 

「残念だったな。肝を冷やしたが、まあ結局はこうなる運命だったんだよ。余興としては中々楽しめたぞ小僧」

 

「うるせえよ」

 

 悪態つくも、内心どうするか頭を回す。

 

 『あれ』はまだ無理かな。確実にするにはもう少し、てかあいつに近づいてもらわないといけない。この距離だと少し心許ない。

 

 ……ライザーは冷静さを戻しているな。これは挑発してもこちらに近づいてこないかな。となると、俺が取るべき選択肢は……。

 

「っ!」

 

 灼 銀 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)を展開し、ライザーに向かって魔力で強化した足で一気に迫る。

 

 懐まで入り、俺は剣を一閃する。

 

 攻撃はもろに当たるが、残念ながら直ぐに癒えてしまう。

 

「無駄だ!」

 

 ライザーは拳に炎を纏わせ俺に殴り掛かってくる。

 

「ちぃっ!」

 

 俺は剣の腹を盾にするように前に出す。

 

 ガアッン!

 

 ライザーの拳が剣の腹にぶつかる!

 

 あまりの衝撃に、片膝をつく俺。

 

 ええい、面倒な!

 

 っ! ライザーの拳を抑えている俺の体に衝撃が走る。

 

 膝蹴りを腹に入れられた、と認識したのは後ろに吹き飛ぶ直後だ。

 

「が、は……」

 

 地面に倒れこみながら咳き込む。

 

 痛ったぁ……くそ、強化が間に合わなかった。

 

 痛みに顔を顰めながら上を向くと、目の前には足の裏が。

 

 ……やば。

 

 ライザーの足だと認識する前に、横に転がって避ける。

 

「ちょこまか逃げんな。鬱陶しい」

 

「逃げるに決まってんだろうが!」

 

 態勢を立て直し、魔力の球をライザー目掛けて撃つ。

 

 大きさは流石に一誠のドラゴンショットとは比べられないが、それでも上級悪魔とは引けを取らないと俺は思う。

 

 直撃すれば、大ダメージは否めないだろう。

 

 ――だが、ライザーには効果ないようだ。

 

 顔面に直撃し、頭が吹き飛ぶ。ぶっちゃけ文面だけ見ればホラーミステリーの一文だな。

 

 首から上を無くし、立つライザー。しかし、顔の部分を炎が出現し、再びライザーの顔の形を作っていく。

 

「もう諦めろ。あの鎧がもう消えたお前じゃあもう俺には勝てない。ゲームの時みたいにボロボロにされたくなかったらさっさと降参しろ」

 

 こちらを小馬鹿にしながら近づいてくるライザー。

 

 俺の目の前で立ち止まり、見下ろしてくる。

 

「終わりだ、小僧」

 

 

******

 

 私、リアス・グレモリーはその光景を見て、もう駆け出す一歩手前まで来ていた。

 

 もう夏蓮に勝ち目は無い。それはこの会場に居る悪魔たち誰もが思っていることだろう。

 

 最初こそあの龍の鎧を見て、私ももしかしたら、等と思ったが、結局は駄目だった。

 

「……夏蓮、もう良いわ。降参して。今度こそ貴方は死んでしまうかもしれない」

 

 ポツリ、と思わず言葉が出る。もう限界だ。あの時のような思いはゴメンだ。

 

 一歩踏み出す。この血統を止めさせないといけない。私の言葉では止まらないかもしれないが、お兄様の言葉なら……。

 

 そう考えた私は、隣にいるお兄様に進言しようとしたその時だ。

 

「――ク、ハハハハ」

 

 笑い声が聞こえた。

 

 一瞬、誰のモノか分からなかった。しかし、直ぐに夏蓮の笑い声だと気づいた。

 

 この状況で笑う? お兄様への進言も忘れ、私は思わずフィールドを見る。

 

 そして、ゾクリ、と背筋が震えた。

 

 確かに夏蓮は笑っていた。しかし、その笑みはいつもの私たちに向けるような優しい笑みなどでは無く――まるで獲物が捕まえるときの獣のような獰猛な笑みだ。

 

 でも、と私は思う。

 

 この状況下でまだ勝てる気でいるの夏蓮?

 

「何だ……頭が可笑しくなったか?」

 

 相対するライザーも突然の夏蓮の笑いに訝しげに――少し警戒している。

 

 そして、笑いを止めた次の瞬間、ライザーの腹部に夏蓮の左の拳がめり込んでいた。

 

「ごふ……!?」

 

 突然の衝撃に、ライザーは何が起こったのか分からない顔をしていた。

 

 かくいう私も何時、夏蓮がライザーを殴ったのか、見当も付かなかった。

 

 夏蓮は殴ったその手でライザーの服を掴むと、力強く宣言する。

 

「――禁手化(バランス・ブレイク)

 

「え!?」

 

 どういう事? だって、夏蓮はもう……。

 

 困惑する中、夏蓮が再び光に包まれる。

 

 そして次の瞬間、光が晴れると、夏蓮の体に再び鎧が装着されていた。

 

 ……ただし、左半身だけというひどくアンバランスな状態だが。

 

「時間を置かないでの再禁手化(バランス・ブレイク)はやっぱりこうなっちまうか」

 

 自分の状態を確認するように右手を握ったり閉めたりする夏蓮。その表情はまるでこの状況が分かっているかのような顔だ。

 

「どういう……事だ! お前のその鎧はもう解けたんじゃ!」

 

 ライザーが夏蓮の腕を外そうと必死にもがいているが、夏蓮の腕はびくともしない。

 

「ああ、解けたよ。但し、()()()。その言葉が先に付くけどな」

 

 夏蓮の言葉に会場の悪魔たちは驚愕する。私自身も驚きを隠せなかった。

 

 あれだけライザー相手に優位に立てていたのに一体なぜ……?

 

 私の疑問に答えるかのように夏蓮は話を続ける。

 

「ライザー、あんたの想像通り、俺の現段階での禁手化(バランス・ブレイク)は時間制限が大きくついている。あんたみたいな不死身相手にするならそいつは大きな枷だ」

 

 確かに、フェニックスを倒すには圧倒的な攻撃で倒すか、心を圧し折るかのどちらかだ。そして、今の夏蓮ではライザーを吹き飛ばすほどの攻撃力は残念ながら持っていない。

 

 となると、残りは相手の心を折る、だが……夏蓮は一体何をするつもりだろうか?

 

「けどな、この禁手化(バランス・ブレイク)、その時間制限内なら、一回鎧を外して再び再装着、何て事も可能だったわけよ。……最も、今回は左半分だけだが。まあ、この際仕方ないかな」

 

 ネタ晴らしをするように話を続ける夏蓮。

 

 でも、疑問が残っている。

 

「だ、だったら何故途中で解いた? その力なら時間制限があっても使い方では俺を倒せただろうに。何故そんな自分で自分を追い込むような真似を……」

 

 そうだ。夏蓮の禁手化(バランス・ブレイク)なら、ライザーを倒せたかもしれないのだ。それを何故……。

 

「いいや。倒せないよ」

 

 夏蓮はあっさりと言う。

 

「あ……?」

 

「いや、だってさあ。確かにこいつ強力だけど、それだけなんだよね。つうか、あんた俺を買いかぶりすぎだよ。時間制限無しだったら確かに俺はあんたを倒せる。けどこうもめんどくさい状態だと、俺も色々と考えるのよ」

 

 そして夏蓮は呟く。

 

「――展開」

 

 刹那、ライザーを掴んでいる鎧の左腕部分が光ったと思うと、二つのパーツが展開した。

 

 それはまるでドラゴンの頭。ドラゴンの牙。

 

「なっ……」

 

「……噛み付け」

 

 そう夏蓮が言うと、ドランゴンの牙はライザーの腹部に鋭く噛み付く。

 

「が……」

 

「こいつが俺の『切り札』だよ。どうだ、こいつの噛まれ心地は?」

 

 まるで天気を聞くかのような軽い調子で聞く夏蓮だが、当のライザーはそれどころでは無いようだ。

 

「さてさて。実はだな、こいつにはある機能はあるんだ。吸収した分の力をこの口から一点集中で放つことが出来る。吸収した分だけ攻撃力もアップだ」

 

 夏蓮はそれを狙っているのだろうか……? でも、だったら何故さっさと使わないのだろうか?

 

 私の疑問に答えるように夏蓮は続ける。

 

「でもさあ、まだ狙いが大味なんだよね。少しでも離れてると正直当てる自信が無い。だから、こうしてゼロ距離で撃たないといけないんだよ、分かる?」

 

 ライザーを噛んでいるドラゴンの口に光が集まり始めた。恐らく、夏蓮が言ってた砲撃のチャージを始めたのだろう。

 

 ……もしかして、夏蓮が一度鎧を解いたのはこの状況を作るため?

 

 恐らく、夏蓮が言っていた狙いが定まらないというのは本当なのだろう。そして確実に当てるためにライザーにゼロ距離で撃つ必要があった。

 

 ゼロ距離で撃つにはライザーを捕まえる必要があるけど、あのライザーを捕まえるのは中々難しい。だからライザーを油断させたんだ。自分から近づけるために。

 

 そこまで考えて、私は少し背筋が寒くなるのを感じた。

 

 多分、夏蓮はこの状況を作るために色々と策を講じていたのだろう。

 

 ライザーを倒せるだけのエネルギーを手に入れる事。そして鎧を解くタイミング。どれもかなりシビアな時だ。少しでも間違えたら失敗していたであろうに。夏蓮はそれをやり遂げたのだ。

 

「あんたから吸収した分、そして俺の魔力。最後に……聖水」

 

「なっ!?」

 

 どういう事? なんで聖水? だってこの決闘で一度も出たことは……。

 

「ああ、ここじゃないよ。ここ来る前に義弟と、その彼女に手伝ってもらったんだ。俺の神 器(セイクリッド・ギア)、純粋なエネルギーじゃなくても吸収出来るんだ。まあ、効率は悪いけど」

 

 聖水一つだけじゃあライザーには余り効果は無い。恐らく、相当数の聖水を注ぎ込んだんだろう。

 

 義弟はイッセー、その彼女はアーシアの事だろう。あの子たちに手伝ってもらいながら大量の聖水を剣に掛ける光景が脳裏に浮かんでくる。

 

「さて、長々となったが大よその疑問は解けたでしょ。だから――これで終わりだ」

 

 ドラゴンの口に濃密な魔力の塊が現れる。喰らえば、かなり不味いだろう。

 

 それを感じたライザーは今までにない狼狽を見せながら脱出を図ろうとする。

 

 しかし、牙の力が思った以上なのかビクともしない。

 

 外すのを諦めたのか、ライザーは手元に炎を作り、夏蓮の鎧を纏っていない方、つまり右半身を狙おうとした。

 

「おっと、それは困る」

 

 夏蓮はライザーの右手首を掴むと、万力の如く力を込める。

 

 更に追い打ちをかける様にライザーの足を踏む夏蓮。

 

 もう、ライザーに逃げ場は、無い。

 

「わ、分かっているのかお前!?」

 

 最後のあがきの如く、ライザーは言う。

 

「この婚約は悪魔全体の、種としての未来が関わっている。お前みたいな餓鬼がどうこうできる問題じゃあ――」

 

「――んなもん今はどうでも良い」

 

 冷徹な声でそう言う夏蓮。

 

「悪魔の未来? 上級悪魔としての責務? 下らない。全く持って下らん。そんなもんの為にあいつが泣くなら、全部いらん」

 

 夏蓮……。

 

「俺はな、あいつと約束したんだ。『お前の夢かなえてやる』って。その為にあんたをブッ飛ばす!」

 

 貴方は…………。

 

 気づけば涙が止まらない。

 

 どうしよう。私の大事なヒトが戦っているのに、命かけて、あんなになるまで戦っているのに。

 

 

 

 嬉しくて、たまらない。

 

 

 

 

「これで終わりだライザー・フェニックスっ!」

 

「く、くっそおおおおおおおぉおおおおお!?」

 

 

 そして、二人は閃光に包まれて――。




いかがでしょうか? 感想、意見待ってます。


次回、二章ラスト!
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