「あーくそっ。マジで痛いなおい」
呻きながら俺は立ち上がる。
そして今の体の状態を見て……見なきゃよかったなおい。
そう、思わずにはいられなかった。
左半身は鎧を纏っていたおかげで殆どノーダメージだ。だが、纏っていなかった右半身は酷いの一言で表せる。
スーツは焼き切れ、殆ど服としての役割を果たしていたない。左半分の無傷さがある分、変に際立っている。というか、自分で着てて気持ち悪い。おまけに痛いと思ったら、とんでもない深さの傷があった。
やっぱりゼロ距離での砲撃は無理があったかな。右半身がどんでもないわ。血がダラダラだわ。やべえよ、血が止まんねえ。
そういやぁ、ライザーのヤツどうした? 流石にあれでくたばらないわけはないと思うのだけど……。
辺りを見渡すと、直ぐ近くに白目をむいて仰向けで倒れているのが見えた。
ヤツの傷も服もボロボロで、体を再生させようとしている炎もひどく弱弱しい。恐らく、もうこれで終わりだろう。
――勝った。
そう実感し、最初に感じたのは、喜びよりも疲れだった。
いやはや、本当に面倒な相手だった。不死身がここまで面倒だったとは……。
まあ良いや。兎に角疲れた。さっさとリアスを迎えに行って帰るか。
フィールドを降り、リアスのもとに向かおうとしたら、俺の目の前に飛び出す者がいた。
レイヴェル・フェニックスだ。俺の事を睨み付けるように、どこか怯えるように見つめてくる。
「……何か、用か?」
俺が聞くも、レイヴェルは黙ったままだ。
埒が明かない。そう思い、こいつの隣を横切ろうとした時、
「……どうして」
「ん?」
「どうしてそこまでして戦えるんですの? そんなにもお兄様に負けたのが悔しかったのですか?」
俺が視線をレイヴェルに移すと、彼女は俺から視線を逸らしながらそう聞いてくる。
そんな事か。俺はため息を吐きながら質問に答える。
「ま、確かにそれもあるけど、一番の理由は約束かな」
「約束……?」
「そ。リアスと約束したの。あいつの夢、叶えんの手伝うって。それだけを考えたらそれまで色々な事を考えていたのがもう何か馬鹿らしくなってな……自分が何をしたいのか。それを考えたら、こうなったわけ」
俺はポン、と左手をレイヴェルの頭に置くと、言った。
「ま、女の為に馬鹿やった男とでも思っていてくれ。仇討ならいつでも歓迎だが、流石に今日は勘弁してくれ。少し疲れた」
「…………」
俺の言葉に、レイヴェルは何も答えず、ただ耳元を赤くして俯くだけだ。
どうやら、もう言うは無いみたいだな。そう俺は判断して、リアスの元に行く。
純白のウェディングドレスを身にまとったリアスは泣き笑いのような表情で俺を見つめている。
そして、リアスの隣にはリアスの父親のグレモリー卿がいた。
俺はグレモリー卿に目を合わせて言う。
「申し訳ありません。ですが、自分に嘘を付いて後悔だけはしたくないんです」
俺の言葉にグレモリー卿は一瞬目を見開くと、小さく笑った。
「……似ているな」
「え?」
何か呟いたと思ったら、グレモリー卿は足早にその場を去った。
はて、何か言われると思ったのだが、まあ良いや。さっさと帰ろう。
俺はリアスに視線を戻して、手を差し出す。
「帰るぞリアス。ここにはもう用は無い」
「夏蓮……」
俺はリアスの手を取り、グレイフィアさんから貰った魔方陣の裏側の方を発動させる。
すると、魔方陣から鳥の翼を持った四足歩行の獣が現れた。
こいつは……グリフォンか。グリフォンはルシファーと同じ傲慢を司るから、それと共通しているのか。
俺はリアスを乗っけると、俺も飛び乗る。すると、グリフォンは翼をはためかせ、空高く飛び始めた。
*******
「はー。やっと終わったー」
それなりの大きさを持つグリフォンの背中で寝そべりながら俺は冥界の空を見た。
人間界と違い紫色という何とも反応に困る色だ。
だが、不思議と嫌な感じはしない。寧ろ、どこか懐かしい。
妙なものだ。冥界に来たのは今日が初めてなのに、悪魔になって帰巣本能なんてものが出来たのかな?
冥界の空についてあれこれ考えていると、ふと、頭が持ち上げられて、何かに乗っかる感触を感じた。
それがリアスによる膝枕と気づくのに然程時間は掛からなかった。
俺の顔を覗き込むように顔を近づけるリアス。
「……馬鹿ね、貴方」
「いきなりだな」
「馬鹿でしょ。そんな大怪我を負って……私が何のためにゲームを
「……」
「あなたに傷ついて欲しくなかった。ただそれだけだった。なのに、貴方は……」
「しょうがねえだろ。約束したんだから」
「約束……?」
訝しむリアスに、何でもない様に言う。
「言っただろ、お前の夢かなえるの手伝うって。だったら、友人として、眷属としての前に、一人の男としてそれを叶えてやりたいと思った訳だよ」
俺の言葉に、リアスは目を丸くし、その後ゆっくりと微笑を口元に浮かべた。
そして、
「え……」
唇に柔らかい感触。それを感じた瞬間、リアスの顔がゆっくりと俺の顔から離れた。
いや、ちょ、待て。これってあれだよな。おいちょ、ま……。
混乱する俺に対して、リアスは楽しげに笑うだけだった。
******
後日談というか、その後の話。
あれから、リアスは俺の家に住むことになった。
うん、突然すぎて俺も良く分かっていない。誰か教えて。
新たな突然のホームステイにも流石に義両親たちも訝しんだが、そこはリアスの悪魔の交渉術。あれやこれやの口八丁。気づけば二人とも涙ながらに歓迎していた。何があったんだよおい。
何か義父さんに至ってはこちらにサムズアップしているし、義母さんは「我が家はこれで安泰よー」なんて言ってるし、もう訳わからん。
「これからよろしくね夏蓮」
こちらに向かってニッコリとほほ笑むリアス。
……いや、それは良いんだけど、何か一誠が血涙を流さんばかりにこちらを睨み付けているんだけど。怖えよ。何か今のあいつなら俺でも負けそうな勢いを持ってそうだよ。
後、リアスの婚約の件だが、結局破談となった。
あの時はだいぶ勢い任せでやっていたんだが、あれで破談になるんだな。いや、魔王直々にやってくれたんだから当然と言えば当然なんだろうけど、ライザーが言ってた通り、色々とあの婚約にも意味があったんだろうに。まあ、今となってはどうでも良いけど。
俺の
(問題は……他にあるか)
リンドヴルムはこちらから話しかければ反応がある。しかし、あちらの男の方は反応が全く返ってこない。
一体、ヤツは何者なのか? これは俺の勘だが、奴は俺のルーツについても何か知っている気がする。ヤツの正体を知ることが出来れば、何か分かるかもしれないな。
けどまあ、死にかけないとあそこに行けないならちょっと考え物だが……どうにかするしか無いかな。
******
「いやーあいつも漸くあそこまで行ったか。中々大変だったねえ」
「……全部、貴方の思惑通りですか?」
「まさか。流石の俺でもあいつがどう行動するかなんて分からないさ」
「世迷言を。彼を戦いに駆り立てるように誘導しているくせに」
「あ、ばれちゃった? ははははは、まあ良いじゃないか。あいつも強くなってお前もうれしいだろぉ?」
「……」
「それに、あれはあいつが望んだことだ。俺は単にその手伝いをしただけ。だろ?」
「それはそうですが……」
「まあ、何にせよ、これで最強への一歩が踏み出せた訳だ。良いねえ、実に良い」
「…………」
「おっと、分かっているとは思うが、あいつには何も喋るなよ? 分かっているだろうな」
「……ええ、誠に遺憾ながら、そういう契約ですからね」
「分かっているなら良いよ。……ああ、もうすぐだ。もう直ぐ、俺の悲願が叶う。長かったなあ」
「……悲願、ですか。私には到底理解できないものですね」
「はっはっは! ドラゴンには理解できないって? 理知的に振る舞っていても、やっぱりお前さんはドラゴンだねえ。力と破壊を司る存在。お前さんたちは基本的に暴れる事しか興味無いもんなあ」
「私をあんな連中と一緒にしないでください。噛み殺しますよ」
「おお、怖い怖い。流石はあいつらの喧嘩に巻き込まれて……」
「殺す」
「うお! ちょ、いくら実態が無いからってお前さんに爪喰らったら、そりゃあ洒落になんないよ!」
「黙れ殺す」
「うえー完全に化けの皮剥がれてやがるよ。って、まあまあ落ち着けよ。お前さんのトラウマ削ったのは悪かったよ。謝るからさ。な?」
「……誠意もへったくれもありはしない癖に」
「えーこう見えても俺は誠意の塊だよ」
「もう付き合ってられません……」
「え、あ、ちょ……いなくなったちゃった。まあ、良いか……にしてもこれからが楽しみだな。
「さあ! カレンよ! お前はどんな道を選ぶ? 覇道か? それとも邪道? 案外王道に行ったりしてなあ! 数奇な運命を持つ子よ! 汝の行く道、この俺がしかと見届けようぞ!」
大学試験が終わり、第二章を書き始めて気づけば八月も終わり。今回は色々とダメなところが多かったと思われます。
まず、殆どが原作をそのままにしてしまった事ですね。これについては二次創作者としては反省すべきところでしょう。
この後のでは色々と考えていたんですが、残念ながらこの章ではそれが全然できませんでした。この件は反省を生かしていきたいと思います。
次に戦闘描写ですね。これはもう書いていて自分でも酷いと思っています。上手く書ける人が本当に羨ましい。
さて、これらの反省点を生かして次章はもう少しまともな物を書いていきたいと思います。
同時に一時創作もそろそろこのサイトの多くの人が愛用していたであろう「なろう」のサイトで投稿しようと思います。投稿したらURLを貼るので、どうぞ見てみてください。