ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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何とか書けた……この一話で収めるために戦闘シーン短いです。思いっきり。


後編

「ったく、どういう状況だよおい」

 

 俺はカーバンクルを手で持ちながら辺りを見渡す。

 

 現在、この場に居るのは、俺とカーバンクル。そして先ほど俺が魔力弾で吹き飛ばしたライオンの体に蠍の尾と蝙蝠の羽を付けた魔物……恐らくマンティコアだ。

 

 で、そのマンティコアだが、どうやら狩りの真っ最中だったぽいねぇ。

 

 口元が血で完全に濡れているし、こちらを見る目がやばすぎる。

 

『くふふふふ……カーバンクルだけでもラッキーだったのに、ここに来て悪魔。しかもその紅髪はグレモリー一族の者だな?』

 

「生憎、単に紅髪なだけだよ。まあ、そのグレモリー一族が主だけど」

 

『どっちでも良いさ。あんた強そうだな。その所為だろうな。上手そうだなあ』

 

 粘りつくような笑い声を上げながらマンティコアは舌なめずりする。

 

 ……気持ち悪い。こいつ心底気持ち悪い。

 

 ああ、もうカーバンクルをとっ捕まえようとしただけだが、予定変更だ。恐らくこいつが最近ここを荒らしている魔物なんだろう。

 

 だったら、ブッ飛ばしても何にも問題ないだろう。

 

 リンドヴルム、やるぞ。

 

『分かりました』

 

 いくぜ……。

 

禁手化(バランス・ブレイク)

 

 短く呟く。

 

 刹那、俺の体を龍の鎧が装着されていく。

 

 手に持っているカーバンクルが驚くのが雰囲気で分かる。ふっふっ。漸く仕返しが出来たな。

 

 そして、俺の体を禁 手(バランス・ブレイカー)灼 銀 の 龍 衣(バニング・ドラゴン・クロス)』が纏われた。

 

『ほう! 神 器(セイクリッド・ギア)か。そうかあんた、()と同じか」

 

「……俺と同じ?」

 

 どういう事だ。こいつも神 器(セイクリッド・ギア)を持っているのか? いや、確かに人間の血が混じっていたら発現するらしいけど、こいつが流石に人間が混じっているとは……って。

 

 そこまで考えて俺はもう一つの可能性に思い至る。そうだよ、そっちの方があったんじゃないか。

 

「お前……転生悪魔だな? それも『はぐれ』だろう」

 

『くふふふふ正解だぁ。よくわかったな』

 

「ふん、自分で言ったくせに。大方、その血の気の多さから主に楯突いたんだろうが」

 

『おお、よく分かったな。あのクソ野郎に噛み付いて喰ってみたんだけどよお、これが不味くてなあ。面倒だからこっちに来たって訳よ』

 

「……ホント、気持ち悪いなお前」

 

 もうこのマンティコアに嫌悪感しか湧いてこない。

 

 こんな醜悪な奴、さっさと殺した方が世の為俺の為だな。

 

「ここは俺の主の縄張りじゃないけど、手前みたいなヤツはさっさと滅ぼした方が良さそうだな……ここで始末してやる」

 

 そう宣言すると、マンティコアは可笑しそうに体を震わせる。

 

『くふふふふ……ほざけえ小僧!』

 

 咆哮と同時にマンティコアはこちらに突っ込んでくる。

 

 早いな。祐斗といい勝負じゃねえか。

 

 俺は右手に剣を出現させると、受け身の体制を取る。

 

 一瞬、強い衝撃と共にマンティコアの爪が剣に掛かる!

 

 っ! 俺は思わず右足を後ろに下げて体を支える。

 

 こいつ、騎士(ナイト)かと思ったが、戦車(ルーク)か! つうことは、防御も馬鹿に出来ないんだろうな!

 

 つうか、こいつ完全な物理的攻撃しかしてこねえのか! 『吸収』が使えない!

 

『寧ろ良かったのかもしれませんね。これから先貴方はこういった相手とも戦う事が多くなるでしょう。今のうちに対策を考えながら戦ってみると良いかもしれません』

 

 リンドヴルムがそう冷静に言うが、俺としてはこんな七面倒な相手とは嫌だよ!

 

 と、心の中で拒絶しようが現状の何かが変わるわけでは無いのだが。

 

 こっちは若干のお荷物があるからなあ。

 

 ちらり、と左腕の中でいまだに痺れているのだろう、少し痙攣しているカーバンクルを見る。

 

 あのマンティコアを右手だけでいなすのは少し面倒だな。かと言ってこいつをどこかに置いておくのも不安だしなあ……どうしたもんか。

 

 俺が次の一手に苦慮していると、マンティコアが再び襲い掛かってくる。

 

『ぐるるるぉおああ!!』

 

「おっと」

 

 連続で来る蠍の尾の突きを紙一重で躱していく。

 

 この尾、喰らったら不味いのかリンドヴルム?

 

『そうですね。マンティコアは自身の尾から様々な種類の毒を分泌させますから、掠っただけでも危険ですのでご注意を』

 

 そうかい! 鎧を付けているが注意しておくか。

 

『それが良いですね。あのマンティコア戦車(ルーク)ですから攻撃と防御が恐らく貴方が鎧を付けたぐらいの状態でしょう。奴が集中して尾を撃てば、この鎧を貫通するかもしれません』

 

 まじか、本当に注意しないと不味いな。

 

『どうしたあ! 逃げるだけか! ええぇ!?』

 

「うるせえよ。今手前をぶっ殺す算段考えているんだから邪魔すんな」

 

 とはいえ、このまま躱すのうざくなってくるし、少し反撃するか。

 

「しっ!」

 

 俺は尾が一瞬引くのと同時に前へと踏み込み、剣を横凪に振るう。

 

 それに気づいたマンティコアは後ろに下がろうとするが、それよりも先に俺はヤツに斬りつける。

 

 マンティコアも後ろに下がろうとしてしまったから完全には斬れなかったが、左前脚と体の付け根部分を深く斬りつけた。

 

 しかし、俺は思わず鎧の中で苦い表情を作ってしまう。

 

 固いなこいつ。力を思いっきり込めたわけでも無いが、抜いたわけでも無い。

 

 ライザー並に面倒か、それ以上だな。

 

 しゃーない。魔力で剣を強化……あれ?

 

 ぐらり、と視界が傾く。否、体そのものが立っていられなくなっている。

 

 な、何だこれ……? おい、リンドヴルム何が起きた?

 

『分かりません。いや、これは……!』

 

 リンドヴルムが何かに気づいたようだが、生憎と俺はもう立つことも出来なかった。

 

 たたらを踏んで地面に座り込んでしまう。

 

 くそが……何が。

 

 漸く麻痺が直ってきたらしいカーバンクルが俺の事を心配そうに見る。っても、カーバンクルの顔を既にグルグルと回っているだがな。

 

 あーやばい、気持ち悪くなってきた。

 

「おいおい、さっきまで俺の事を馬鹿にしたように見ていたヤツが何だ急に」

 

 だが、心配させない様に笑いかけるようにカーバンクルに言う。鎧を着込んでいるからカーバンクルは俺の表情が見えないだろうが。

 

『くふふふ。効いてきたようだなあ』

 

 マンティコアが下卑な笑顔でこちらに近づいてくる。顔が何十にもなっていて余計気持ち悪いなおい。

 

 俺はヤツの言葉だけで既に答えが分かった。

 

「なる、ほどな。お前の毒か」

 

 それしか考えられない。

 

 当たりだったのだろう。マンティコアは言う。

 

『おうよ! お前がさっき斬ってきたときにわき腹にぶすっとな』

 

 今もぐわんぐわんと動き回っている視界を必死に動かしながらわき腹を見る。

 

 何とか、本当に小さいが、小さな穴が空いている。

 

 ウソだろこんな……。

 

『お前に注入したのは平衡感覚を極度に狂わせるやつだ。普通なら喋ることも出来ない筈なんだがな……』

 

 道理で。視界が定まらないし気持ち悪い。

 

 いくら体を鍛えても三半規管までは鍛える事は出来ないからな。

 

 とまあ、ここにきて俺は気づく。

 

 さっきとは別の、しかもこっちの方が質の悪いピンチじゃね?

 

 このまま戦っていけば間違いなく俺がヤツに勝てる。さっきの戦いでこっちの方が地力が上だ。

 

 が、それは戦えたらの話だ。こんな状態じゃ不味いな……。

 

『さーて、どっちから喰いちぎってやろうかな。どっちも上手そうだ』

 

 マンティコアが楽しそうに俺かカーバンクルのどちらから先に食べようか考えていた。

 

 くそ、どうする……どうすれば。

 

 今も物理的に回転を繰り返す頭で思考する。このままじゃ本当に不味い。どうにかしないと共倒れ。それは最も避けるべきだ。

 

 こっから逃げるにしても、カーバンクルが……。

 

 そこまで考えて俺はふと左手に震えを感じる。

 

「…………」

 

 俺の手の中で震えているカーバンクルを見て、今までの考えが全部吹き飛んだ。

 

「おい、リスもどき。俺が合図したら逃げろ」

 

 気づけば、自然と言葉が出た。

 

 驚く様にカーバンクルがこちらを見る。

 

 俺は話を続ける。

 

「良いか? 俺が合図をしたら全速力で逃げろ。もう麻痺も抜けているんだろ? だったら大丈夫だ。兎に角分かったな」

 

 マンティコアが俺とこいつのどちらを食べるのか考えている隙に、俺は吐き気を我慢しながらゆっくりとカーバンクルを背中の方に降ろす。

 

 ガリガリ、と爪をカーバンクルは立ててくる。

 

「何だよ、これしか無いんだからしょうがないだろう」

 

 くそ、まだ視線が安定しない。リンドヴルム、指示を頼む。

 

『分かりました。毒の解析がもう少しで終わります。その後反撃に出ましょう』

 

 オーケー。うっし、じゃあやるか。

 

 マンティコアはまだ考え事をしている。呑気なものだ。まあ、その呑気も直ぐに終わるのだが。

 

 後ろにいるであろうカーバンクルに声を掛ける。

 

「行くぞ……3、2、1ゴー!」

 

 瞬間、俺は手のひらから魔力の塊を生み出し、マンティコア目掛けて打ち込む。

 

『ん? ゴハァ!?』

 

 咄嗟の出来事に対応できなかったマンティコアはもろに喰らい、吹き飛ぶ。

 

「今だ!」

 

 後ろのカーバンクルに逃げるように言う。刹那、後ろで動く気配があった。

 

 これで大丈夫だ。そう俺が少し安堵したその瞬間だった。

 

 脇から何かが飛び出してきた。それを見て思わず仰天する。

 

 カーバンクルだった。マンティコア目掛けて走り出していた。

 

 何やってるあいつ!? 逃げろと言ったのに!

 

 真逆の行動を始めたカーバンクルに俺は驚くことしか出来なかった。

 

 そうこうしている内に、カーバンクルは、俺の魔力を喰らって悶絶しているマンティコアの顔に張り付く。

 

『ぐお!? こ、この! 離れろ!』

 

 マンティコアがカーバンクルを振り払おうとするも、カーバンクルも必死に張り付いている。

 

 そして、カーバンクルがマンティコアの目に齧りつく!

 

『ぎゃああああああ!? お、俺の目がああああ!?』

 

 絶叫を辺りにまきちらしながらマンティコアはカーバンクルを引きはがすために必死に顔を振る。

 

 その光景に俺は何もせず、只々呆然と見ているしかなかった。

 

 何で、あいつ……勝てないって分かっているだろういくらなんでも。それがどうして……。

 

『分かりませんか夏蓮?』

 

 分かるわけないだろ! あいつは敵わないというのは分かっているはずだ。なのに……。

 

『貴方を守りたいからですよ』

 

 っ! 俺を……?

 

 リンドヴルムの言葉に俺は驚くより先に信じられないというのが大きかった。

 

『信じられませんか?』

 

 だってよ、あいつ俺に対してどんだけの事したか……やばい、今思い出しても腹立たしい。

 

『……好きな子にはついついちょっかい出したくなるでしょ? それと同じですよ』

 

 いや、あいつ男子か!? 小学生の気になる相手に上手く言葉にすることが出来ない男子か!? 後リンドヴルムは何、そんな経験あるの!? ドラゴンなのに?

 

『随分失礼ですね。食べますよ』

 

 いやさらっとそんな恐ろしい事言われても。つうか肉体が無いお前には出来ないだろう。

 

『いえいえ。夢の中で延々と食べ続けてあげましょうか?』

 

 何それ怖い。

 

 てか、そんな事言ってる場合じゃ……!

 

『ぎゃん!』

 

 短い悲鳴と共に、俺の前を何かが通り過ぎた。

 

 そして、木に何かがぶつかる音。

 

「…………」

 

 俺は音がした方を見る。

 

 そこには、激突した木からズルズルと落ちていくボロボロのカーバンクルの姿があった。

 

「……馬鹿が」

 

 だから逃げろって言ったんだ。勝てない相手に挑むなんて本当に馬鹿だ。

 

『くそがあ……ただ喰うだけじゃ俺の腹の虫が収まらん! 生かしたまま苦痛を味あわせグボォ!?』

 

 煩い口を黙らせる。もう毒は完全に解毒された。ああ、すっきりと見えるよ。

 

 うるせえんだよ。手前みたいなやつはさっさと消えるのが世の為だ。

 

 無言で俺は魔力を込めた右こぶしをマンティコアの腹に叩き込む。

 

『ぐはあ……』

 

 一瞬、宙に浮かびあったマンティコアの背中に回し蹴りを放つ!

 

 そのまま地面にめり込むマンティコア。

 

『こ、のおおおぉおお悪魔風情が!』

 

 悪あがきとばかりに尻尾の蠍の尾を俺に目掛けて奴は放つ。

 

 効くかよそんなの。

 

 俺は難なく尾を掴む。そのままマンティコアの体を踏みつけると、尾を力を込めて引っ張る。

 

 ブチブチ! と肉のキレる嫌な音と共にヤツの尾が千切れる。

 

『ギヤああああああああ!? お、俺の尻尾がああああああああ!?』

 

「喚くな高々尻尾風情で」

 

 邪魔な尻尾を放り投げて俺はマンティコアの体を押さえていた足を一瞬退けると、思いっきり宙に蹴り上げる。

 

『ぐほお!?』

 

 そのままの勢いで宙に飛んでいくマンティコア。

 

 俺は左手の砲口を展開させ、奴に照準を定める。

 

「じゃあな。お前は俺が会った中でも最高に下種な野郎だっよ」

 

 一気に砲口にエネルギーがチャージされていく。

 

 そして、放たれる!

 

 紅色のエネルギー砲がマンティコアを包み込む。

 

『ぐああああああああ!? 馬鹿な! この俺が! この俺があああああああああああ!!』

 

 耳に入れること自体が不愉快な絶叫を上げながらマンティコアの体は消滅していった。

 

 

******

 

 アーシア嬢の治療で緑色の柔らかい光に包まれているカーバンクルを俺は静かに見ていた。

 

 あの後、直ぐにリアスたちが駆けつけてきた。

 

 どうやら俺の放ったエネルギー砲が見えたらしい。

 

 リアスや朱乃にこっぴどく叱られ――曰く、どうして勝手に行動するのか、最も冷静に行動しなさい等々――まあ、俺が悪いでの一応全面的に聞いていたが。

 

 その後直ぐにカーバンクルの事を思い出し、あいつの元に急いだ。

 

 大分ボロボロだったが、アーシア嬢の治療で何とかなりそうだ。

 

「それにしてもマンティコアと本当に遭遇していたなんて……貴方って運が良いのか、悪いのか」

 

 呆れたようにため息を付くリアス。

 

「まあまあ、先輩も無事でしたし良かったじゃないですか」

 

「……倒したなんて驚き」

 

 そんなリアスを祐斗はなだめて、小猫ちゃんは俺の方をじいっと見て言う。

 

「別に。少しイラついていてね。そのイラつきをあのクソ野郎にぶつけただけだよ」

 

 今考えると、ホントどうかしていたかと思う。

 

 感情の制御がホント出来なくなっている。この年になって落ち着いてきたと思ったのに、これじゃあ昔に逆戻りだ。

 

 ……疲れているのかな。このままだとこの先、面倒な事態になりかねないな。

 

 少し休みを取った方が良いな。帰ったら風呂にでも入ろう。

 

 今後の事を決めた俺は治療を続けているアーシア嬢の元に向かう。

 

「どうだ、アーシア嬢」

 

「はい、だいぶ良くなってきたと思います。もう少しで治療も終わります」

 

「そうか、そいつは良かった」

 

 このまま死なれたら目覚めが悪いからな。治って貰わないと困る。

 

「しっかし、兄貴は大丈夫だったのか? マンティコアってすげえ毒使うって聞いたけど」

 

 アーシア嬢の隣にいた一誠が聞いてくる。

 

「ああ、一発喰らったけど問題ない」

 

『喰らった!?』

 

 何とも無いように言った俺の言葉に皆が仰天した。

 

 な、なんだよ。びっくりするじゃねえか。

 

 俺が混乱していると、リアスが凄い形相で詰め寄ってくる。

 

「ちょ、ちょ、どういうこと夏蓮! マンティコアの毒を喰らったの!? 何で言わないのよ!」

 

「いや、俺は……」

 

「アーシアちゃん、カーバンクルの治療が終わったらすぐに夏蓮の治療を」

 

「はい!」

 

「先輩、カーバンクルが心配だからって言わないなんて……」

 

「……意地っ張り」

 

「いや、別に心配なんて……つか、小猫ちゃんそれは何か違うと思う」

 

「兄貴、水臭いぜ!」

 

「お前は少し黙ってろ馬鹿野郎が」

 

「心配したのに罵倒された!?」

 

 当然だろうが。一誠だしな(笑)。

 

 

 結局、もう問題ないと説明するのにその後一時間かかった。

 

 

******

 

「兵藤夏蓮の名において命ず! 汝、我が使い魔として、契約に応じよ!」

 

 俺の紅色の魔方陣の中、俺とカーバンクルは使い魔契約をしていた。

 

 あの後、治療を終えたカーバンクルがじっと俺を見てきて、それを見たザトゥージが俺に使い魔契約をしたらどうかと薦めてきた。

 

 俺は最初、めんどくさがったが、カーバンクルがじっとこちらを見つめてきたから、やってみる事にした。

 

 そして、魔方陣の光が消えると同時に、カーバンクルが俺の方に駆け寄ってきた。

 

「契約完了か」

 

 カーバンクルを抱き上げて、俺は呟く。

 

「今日は豊作ね。貴方もアーシアも珍しい使い魔を手に入れられたわ」

 

 リアスは嬉しそうに言う。

 

 確かに、アーシア嬢は蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)。俺はカーバンクルだもんな。

 

「ま、何にせよ。これから宜しくなルベル」

 

 そう言うと、不思議そうに首を傾げるカーバンクル――ルベル。

 

「お前の名前だよ、赤のラテン語。こないだ偶々見つけてな。お前の額の石に因んで付けてみた。どうだ?」

 

 きゃきゃ、と嬉しそうに俺の頬にすり寄ってくるルベル。

 

 いやあ、良かった。気にってくれて。また木の実ぶつけられたらたまったもんじゃない。

 

 俺が安堵しているその時、頬に何か押し当てられる感じがした。

 

 何だ? 認識する前にその感触は消えた。

 

 ルベルの方を見ると、嬉しそうに笑っている。

 

 

「……まさかと思うけど、魔物にまで……」

 

「案外そうかもしれませんわ。彼、ヒト惹きつける才能みたいなのが有りますし」

 

「……タラシ」

 

 

 

 何故かリアスたちに厳しい目で見られた俺であった。




さあ、次からは第三章『月光校庭のエクスカリバー』編を始めます!

いよいよ夏蓮の過去が明らかに……なるか?
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