ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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バイトが見つからん……まじどうしようか。


それはそうと、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのか?」遂にアニメ化決定やったー!

ファンとしては嬉しい限りです。




やばいな……

「じゃあ、行ってきまーす」

 

 そう言って、一誠は家を出る。

 

 アーシアと共にあいつを見送る俺の心中はため息を付きたくなるのを抑えたい程だ。

 

 祐斗が発見出来ず、ケータイに連絡しても反応が無いのでどうしたものかと思っていた矢先の事だ。一誠がコソコソと動き回り始めたのは。

 

 一誠の他にも小猫、それとソーナの所の匙君も一緒になって最近何かをやっているようだ。

 

 ……まあ、十中八九エクスカリバー絡みの事についてだよな。

 

「どうするよリアス。下手に首突っ込んでいい問題じゃ無いぜこれ」

 

 部屋に戻った俺は、リアスと話す。

 

 ベットに座っていたリアスはため息を付く。

 

「全くだわ。アーシアの時の様に一部の中級堕天使が騒ぎを起こしたなら、止めなかったかもしれないけど、今回は相手が悪すぎるわ」

 

「コカビエルか。幹部となると堕天使の組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』が黙っていないか?」

 

「トップのアザゼルがその気が無くとも、そういう風に受け取られるかもしれないわ。流石に私の一存では難しいわね」

 

 悪魔という種全体となると、リアスでも流石に難しいよな。リアスは次期当主とはいえ、まだ『次期』だ。権力も全然持っていない。

 

「サーゼクス様に相談したほうが良いんじゃね?」

 

 リアスの兄で、四大魔王の一人であるサーゼクス・ルシファー様。妹のリアスの事を可愛がっているあのヒトなら何とかしてくれるのではないだろうか。

 

 しかし、俺の言葉にリアスはそっぽを向くのだった。

 

「……お兄様の力は借りないわ」

 

 はい? 

 

「どうしたリアス? 別に今回はお前個人としての問題でもないから魔王であるサーゼクス様に要請しても何にも問題ないだろうが」

 

 結構上が絡んでいるからサーゼクス様が収めたとしても何も問題が無いはずだ。使える手は何でも使っておかないとな。

 

「いやよ」

 

 まるで子供みたいにそっぽを向くリアス。

 

 ええい、何がどうなっている。そっぽを向くリアスを見て思わず可愛いなとか思いながらも、俺は原因を考える。

 

 つってもサーゼクス様と知り合ったのはこの間のこいつの婚約パーティーだから……ああ。

 

 そこまで考えて俺は漸く気づく。

 

「リアス、お前サーゼクス様に迷惑を掛けたくないんだな」

 

「…………」

 

 無言は肯定と取るぞ。

 

 けど、まあそうか。婚約パーティーでもサーゼクス様の根回しによってリアスや俺にお咎めが無かったのだ。自分の我がままを通したリアスにとってはこれ以上サーゼクス様に迷惑を掛けたくないんだろう。

 

 俺としてもその件に一枚噛んでいるから強くは言えん……。

 

 俺はベットに腰かけているリアスの隣に座る。

 

「あーまあ何だ。お前の気持ちも分からんでも無い。けど、本当に俺たちの手に余る状況になっちまったらサーゼクス様に頼ろう。それでいいよな?」

 

 これが最低限の妥協ってヤツだ。リアスの意地でとんでもない事になったらやばいからな。

 

「……分かったわ」

 

 良かった。リアスの奴も納得してくれたか。

 

 さて、後の問題は一誠達と祐斗だな。あいつはまだかな……。

 

 コンコン。窓を叩く音がする。

 

 窓の方を見ると、カーバンクル――ルベルが窓を叩いていた。

 

「お、戻ったかルベル」

 

 窓を開けてルベルを入れてやる。

 

 部屋に入ったルベルは俺の肩に乗ると、すり寄ってきた。

 

「早速だが、祐斗は見つかったか?」

 

 ルベルに尋ねる。

 

 ゼノヴィアたちと別れて散々探し回っても祐斗の影すら見えなかった。どうも隠れながら行動しているみたいだと感じた俺は、使い魔のルベルを使って祐斗を探すことにしたのだ。

 

 幸運を司るルベルならラッキーもあり得るだろう。

 

 そう思ってルベルに頼んだのだが、結果は上々だったらしい。

 

 ぶんぶんと首を縦に振るルベル。

 

 そして、更に何かを伝えたいのか、身振り手振りしてくる。

 

「……すまん、必死に何かを伝えたいのは分かるのだが、ぶっちゃけ分からん」

 

 いや、ホント必死なのは分かるんだ。しかし、いくら俺が悪魔として様々な言語が分かる特性を持っているからと言っても、言葉が分からないと――。

 

「祐斗とイッセーたちが一緒に居るのね?」

 

「分かるの!?」

 

 うそーん。

 

「逆に聞くけど夏蓮は分からないのルベルの伝えたいこと。それでも主なの? 全くもう」

 

 ねえ、等と、ルベルとやっているリアス。

 

「え、あ、いやすんません」

 

 取り敢えず謝っておく。

 

「イッセーと祐斗が一緒に居ると言う事は何かをしているのね。今の祐斗がしているとすれば……まさかあの子たち!」

 

 顔を顰めると、直ぐに魔方陣を展開するリアス。

 

「朱乃? 聞こえる。直ぐにこっちに来て頂戴。イッセーたちがどうも行動を起こしてしまったみたい。今すぐに向かうわ」

 

 え、一誠の奴ら祐斗と一緒にいるのか? 何で俺たちに報告しない。

 

 ちょっと待て。一誠たちは祐斗の為に行動をしていた。小猫や匙君何かだな。

 

 で、祐斗と一緒という事は既に何かを始めていると言うわけだ。

 

 何かって? エクスカリバー破壊だよ。それしかない。

 

 ……あ、あいつ。リアスに手出し無用って言われてのを一日で忘れたのかーーー!

 

 ええい、さっさと向かって止めねば。あの訳わからん二人に何を言われるか分かったもんじゃない!

 

「夏蓮、直ぐ行くわよ!」

 

「了解!」

 

 取り敢えず、あのバカをしばく。

 

******

 

 結局のところ、俺たちは間に合わなかった。

 

 俺たち――ソーナたちも一緒に――が駆けつけたときは既に事が終わった直後だった。

 

 その場に残っていたのは一誠、小猫ちゃん。後は匙君の三人だけだった。

 

 残っていた奴らに問い詰めたところ、やはり一誠たちはエクスカリバー破壊に動いていたそうだ。

 

 祐斗の無念をせめてエクスカリバーの一本でも破壊することで晴らしてやりたかったそうだ。

 

 それで先ずゼノヴィアたちに接触し、エクスカリバー破壊の手伝いを申し出たそうだ。

 

 どうやら俺があの二人に飯を奢っているところ見て、俺が出たのを見計らって二人に接触したそうだ。

 

 あの二人に飯を奢ったのを聞いたリアスは俺の方を睨んできたが……。おのれ一誠め。後で覚えておけ。

 

 そして、無事に許可を貰って祐斗と合流。エクスカリバー捜索に入ったそうだ。

 

 それにしても祐斗め。俺からの連絡は完全に無視して一誠からの連絡は聞くとは……後輩として何たる不遜。あいつにも後で仕置きだ。

 

「一誠は分かるけど、小猫ちゃんはなんで協力したんだ?」

 

 この子は考えていることが良く分からないけど、それでもリアスに迷惑をかけるような行為はしない筈だ。

 

 俺の質問に、小猫は俯きながら言った。

 

「……祐斗先輩がいなくなるのは嫌です」

 

「む……」

 

 それを言われると少し痛いな。

 

「小猫ちゃん、その気持ちは俺たちグレモリー眷属全員の気持ちだ。だからこそ、もっと俺たちを頼って欲しかったな」

 

 まあ、今回の件は流石に止めたと思うけど。

 

「……夏蓮先輩」

 

 俺の事じっと見つめる小猫。

 

 何か妙に気恥ずかしいな。ちょっと恥ずかしい事言っちまったし。

 

「そうよ小猫。私だって祐斗を手放す気は無いわ。あの子は私たちの家族なのだから」

 

 リアスが優しく小猫に言う。

 

 家族かどうかは俺には分からないが、俺は祐斗の事は後輩としても、同じグレモリー眷属としても助けてやりたいと思う。

 

「あれ? てか肝心の祐斗はどこ行った?」

 

「それが、フリードの奴らをゼノヴィア達と一緒に追って行って……」

 

 一誠の言葉に、俺は思わず頭を抱えそうになった。

 

 いやいやいや、祐斗お前は何考えているだ。相手は堕天使の幹部がいるんだぞ。あいつらもなんて軽率な。

 

「ん? フリード? あの腐れ神父が何でここで出てくるんだ」

 

「フリードのヤツがエクスカリバーを使っていたんだよ。『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』て言う、自分の速度を速めるやつだった」

 

 速度、厄介だな。俺の目で追いきれるかどうかが鍵だな。スピード重視とはいえ、聖剣だから生身で喰らうのは不味いだろうなあ。

 

 てか、あの神父まだこの町にいたのか。あの野郎は害虫と同格みたいなもんだから、早々に駆除した方が良いだろうしなー。ああ、面倒だ。

 

「兎に角、二人ともしっかりと反省はしてもらうわよ。そこで自分は関係ないですーみたいな顔をしている夏蓮も」

 

「ふぁっ!?」

 

 突然の事に思わず変な声を出してしまう俺。

 

「ちょ、ちょ、待ってくれ! 何で俺まで!?」

 

 納得いくか! 今回は俺は何もしていないぞ!

 

「あなた、あの二人に食事を奢った何て一言も言っていないじゃない」

 

「え、いや、その……」

 

 リアスの半目の睨みに、思わず背筋に冷たい汗が流れてしまう。

 

「ほ、ほら。別に何もやましい事は無いぜ?」

 

「ならさっさと報告すれば良かったじゃない」

 

 はい、ご尤もです。

 

「いやあ、あれだよあれ。まさか、飯を奢っている現場を一誠たちが見ているなんて思いもよらなかったんだ。だから――」

 

「正座」

 

「あ、はい」

 

 情景反射で思わず正座する。

 

 てか、しまったーーーーー!! くそう、こないだのが体に染み付いてしまったのか! ええい、俺はこんな事で挫けないぞ!

 

「リアス――」

 

「……何かしら」

 

「いえ、何でもありません我が主(マイマスター)

 

 やばい。やばいよ。何あの目。絶対零度ってあれの事言うよね。漫画とか小説でよくあるヤツだよ。実際にあるなんて俺初めて見たよ! 怖いよ!

 

「あ、兄貴? どうしたんだ、体が異常なまでに震えているぞ?」

 

「え、え、な、何でも、無いぞ?」

 

「いや、めっちゃ震えているぞ!? 誤魔化しきれないほどに!」

 

「……ビビり過ぎ」

 

 そ、そうだよな。なんで俺はこんなに、ビビッて、いるんだ? 別に、リアスなんて怖くなんか……。

 

「……なあ、小猫ちゃん兄貴一体何があったのかな? 部長にあそこまで怖がっているなんて。てか、部長も兄貴に怒り過ぎじゃね?」

 

「……確かに」

 

「あらあら、夏蓮があそこまで怖がっているのは分かりませんが、部長のは単純ですよ」

 

「え、そうなんですか?」

 

「ええ、単に自分に隠し事をしていたのが気に食わないだけですわ」

 

「隠し事? ああ、あの二人に食事を奢った事をですか? けど、そんだけの事で……」

 

「……嫉妬」

 

「乙女心は複雑というものですわ」

 

「そんなもんですか……」

 

 後ろで三人がコソコソと話し合っていたが、生憎リアスが怖すぎて俺は何にも聞こえない。

 

「…………」

 

 無言があまりにも怖すぎる。

 

 ……仕方ない。ここは、お師匠様直伝の()()を使うしかない!

 

「リアス!」

 

 俺は立ち上がり、リアスの手を取る。

 

「え、ちょ、夏蓮!?」

 

 突然の俺の行動に驚いたのか、リアスは顔を赤く染めていた。

 

「済まないリアス。隠し事をしていたのは謝る。本当にごめん。けど、お前に心配を掛けたくなかったんだ」

 

「え、え」

 

「教会の二人に遭遇したら何が起こるか……そういうのも危惧して、俺たちに接触するなって言っていたんだろう? お前の心配はよーく分かる」

 

 うんうんと、納得するように頷く俺。

 

「だけどさ、あの二人、本当に困っているようだったんだ。あそこであいつらを放っておいたら、俺が後味悪くなっちまうし」

 

 これは本当だ。あそこでそのまま去っていたら、自分でも後悔する気がする。

 

「俺のお師匠様が言っていたんだ『後悔すると分かっているならばしっかりとやれ』ってな」

 

「へ、へえ。素敵な言葉ね」

 

 目を泳がせながらそういうリアス。

 

 行ける。俺は確信した。

 

「だからこそ、本来ならばやっていけないことなんだが、あそこで空腹で倒れている()()()を見捨てるには――」

 

 ビキリ、と。何かが割れるような音が聞こえた。

 

「女の子……?」

 

「え、あれ」

 

 あっれー? 選択ミスったかな?

 

「そう……夏蓮は女の子なら誰彼かまわずに助けるのね……ふーん」

 

「え、いや、そういうわけじゃ……」

 

「そういうわけに聞こえたけど……」

 

「俺も」

 

「……私も」

 

「あらあら、じゃあ私も」

 

「黙らっしゃい! 朱乃はなんだそれ! 便乗するな!」

 

 おいおい、どうなっている!? 何故だ! どこで間違えた。

 

「かーれーんー」

 

 地獄の底、冥界から聞こえてきそうな冷たい声。

 

 見たくない。心からそう思う。

 

 だが、ここで見ないとどうせ見る事に……! ならば――!

 

「男は度胸――って怖っ!」

 

 いや、だって、リアス何か巨大なオーラを体から発しているよ! 手から出る滅びの魔力がバチバチって音ならしているぞ!? 何あれ怖い!

 

「覚悟は良いかしら?」

 

 気づけば、リアスの手が俺の手から離れており、リアスは数歩下がったところで俺の前に立っていた。

 

「何の覚悟、でしょうか?」

 

 精一杯――ひきつった――笑みを浮かべながら俺はリアスに聞く。

 

 対してリアスはニッコリと笑うとこう言った。

 

「――お仕置きタイムよ」

 

 俺の尻は、しばらく感覚が無くなった事だけは言っておこう。




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