ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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最近、思ったように作品が書けない……四苦八苦しながらですが、頑張っていきたいと思います。


必ずだ

『ねえ人って死んだらどうなるのかな?』

 

 常日頃から突拍子に訳わからない事を聞いてくる奴だった。

 

『……突然何だ急に』

 

『いやあ、さあ。こないだ猫の死体を見つけちゃって。で、触ってみたらピクリともしないわけよ』

 

 ニコニコと笑っている彼女は表情と言葉が全然一致していない。

 

『お前、そんな事してたのか? 何やってんだか……』

 

 思わずため息を付いてしまう。

 

『あー何ため息ついてんの! ムカつく』

 

『訳わからん』

 

 突拍子の無い事を言うのはいつもの事だが、今回は群を抜いている。

 

『死んだらどうなるかって……? そんなもん、そこで終わりだろうが』

 

『? どうしてそう思うの?』

 

 キョトンと首を傾げてくる。

 

 それに少し可愛いなと、思いながら俺は答える。

 

『そもそも、死んだら生き返らない。だったら死後の事なんて誰にも確かめる事なんて出来ないだろうが。つまり、生きている者にとって死んだらそこで終わりって訳さ』

 

 死んだら、もう何もその人に出来る事は無い。それは俺自身、一番体に染みついていることだ。

 

 だが、こいつは俺の答えに納得しなかったようだ。

 

『えー私はそうは思わないな』

 

『何で』

 

『だって、死んだらそこでおしまいって誰が決めたの? 神様?』

 

『いや、そういうわけじゃ……』

 

『じゃあ決まりね。死後の世界は誰にも分からない。よし決定!』

 

 本当に訳が分からない。つか、何でお前が決めるんだよ。

 

『はあ……』

 

『なーにため息ついているのさ。折角の幸運が逃げてしまうぞ?』

 

『何の幸運だよ』

 

『私と付き合っていると言う幸運』

 

 ドヤ顔で言い切ったぞこいつ。何てヤツだ。

 

『アホくさ。どんな幸運だ』

 

『えー幸運でしょー」

 

 後ろから抱き付かれる。

 

『引っ付くな』

 

『ねえ、幸運でしょー? ねえねえ』

 

 だーもー! うるせえ!

 

『この……!』

 

 力を込めて腕を外そうとするも、ビクともしない。

 

 相変わらずの馬鹿力め……この!

 

『ふふふふ、君では外れないよ夏蓮君』

 

『やかましいわ!』

 

 が、言葉通りどうしても外れない。本当に女かこいつ?

 

『あはははは――大好きだよ、夏蓮君』

 

 その言葉に、俺は思わず手を緩める。

 

『あれ、何? 顔が赤くない?』

 

『赤くない』

 

『うっそだー。赤いよ』

 

『赤くないと言っている』

 

『赤いよ!』

 

『赤くない!』

 

 顔が赤いか赤くないかで言い争う一応の恋人。

 

 今思えば、この頃は割と楽しかった。毎日が充実していたと思う。

 

 そう思えるような日々だった――。

 

******

 

 夜、リアスのお仕置きで痛む体を気にしながら寝ていると、外から殺気を感じた。

 

「……やだね」

 

 心からそう思う。あれだな。寝ているときでさえ敵は待ってくれないか。奴らはいつ寝ているんだよ。もっと休めっての。

 

 とまあ、四の五の言っていても仕方ない。さっさと準備しますか。

 

「本当に無粋ね……」

 

 一緒に寝ていたリアスがため息を付きながら魔力で服を着替える。

 

 良いな。俺も後で教えてもらおう。

 

 家の外に出ると、そこには白髪の神父がいた。

 

「……フリードっ!」

 

 一誠が忌々しそうにその男の名を口にする。

 

「やっほーイッセー君! 夜分遅くにごめんね! お楽しみの真っ最中だった? そこのお兄さんもハッスルしまくりだった!?」

 

「うるせえ」

 

 久しぶりに聞いたが、この男の軽口はマジでどうにかならないかな。

 

 てか、こいつの事は祐斗たちが追いかけていたはずだ。この男が無傷でここにいるって事は……。

 

「――探し物はこいつか?」

 

「っ!」

 

 上空から声。直ぐさま顔を上に上げる。

 

 すると、視界に何かが覆った。

 

「え? っておお!?」

 

 落ちてきたそれを俺は慌ててキャッチする。

 

 転びそうになったが、何とか踏ん張る。

 

 そして、腕の中のヤツを見て絶句する。

 

「イリナ――!?」

 

 俺の腕の中に居たのは傷だらけになった紫藤イリナだった。

 

 瞼は力なく閉じられており、全身も傷だらけ。血の量が半端じゃない。

 

「っ! アーシア!」

 

 直ぐ様アーシアを呼ぶ。

 

「は、はい!」

 

 アーシアが慌てて駆け寄り神 器(セイクリッド・ギア)で治療を始める。

 

 イリナはアーシアに任せて俺はイリナを落としてきたヤツを睨み付ける。

 

 空に浮かんでいたのは堕天使。ただし、俺が会ったレイナーレと格が違うのが直ぐに分かった。

 

 翼が十枚。何より、ヤツのオーラが半端じゃない――!

 

 間違いないな。こいつが――。

 

「コカビエルか……!」

 

 堕天使幹部の一人。かの三大勢力の戦争を生き残った猛者の一人。

 

「ほお、一目で俺だと分かったか。下僕にしては良い目をして……いる?」

 

 口元で笑みを浮かべながら堕天使……コカビエルはこちらを向きながらしゃべり、そして俺の顔を見た瞬間に目を大きく見開く。

 

「……?」

 

 リアスも突然のコカビエルの反応に首を傾げていた。

 

 かくいう俺もそうだ。

 

 何か、この反応、前にもあったな。そうだ、グレイフィアさんだ。あの人と初めて会ったときも俺の顔を見てコカビエルみたいに動揺していた。

 

 一体全体何だって言うんだ? 俺の顔がそんなに可笑しいのか? 訳わからん。

 

「……くは」

 

「あ?」

 

「ハハハハハ! ハッハッハハハハハハハハ!!」

 

 笑う。コカビエルが。狂ったように。

 

「そうかそうか! やはり生きていたのか! 可笑しいとは思っていた! あの男がそう簡単にやられる筈が無いと! こんなの所に隠していたのか! くははははははは!」

 

「……何を言ってるの?」

 

 コカビエルの行動に、リアスはそれしか口に出せなかったようだ。

 

 かくいう俺も言葉を失っている。

 

 この男は俺を知っているのか? でも、俺にはこんな奴の知り合いは……。

 

「魔王の妹よ! 面白いぞ、実に面白いぞ! この極東の地でまさかこのような出会いがあるとは! いやはや、運命という奴かなこれは!?」

 

「さっきから何を言っているの貴方は!」

 

 激昂するリアスを無視して話を進める。

 

「あいつの横やりもこれが原因か! クハハハハ! こんなに愉快な気持ちになったのは何時以来だ!?」

 

 笑う。狂ったように笑うこいつに、俺は気味悪さすら感じるようになった。

 

 何なんだ。俺は一体何だっていうんだ! 俺は、俺は……。

 

 ――誰なんだ?

 

 

 そんな事が脳裏をよぎる。

 

 数年の全くない俺の記憶。顔も覚えていない父親。母の最期。

 

 知っているのかこの男は? 俺の過去を、俺の知らないことを。

 

「おい、お前! 何か知っているのか!?」

 

 聞きださないといけない。やっと分かるかもしれないんだ。俺の昔が。俺の知りたかったことが!

 

「リアス・グレモリーよ! 今回の事は前座程度でしか無かったが、興が乗った! 今から駒王学園に来い! 面白いものが見れるぞ!」

 

 それだけ言い残し、コカビエルはさっさと俺たちの学校方面に飛び去っていく。

 

「んー何かよく分かんないけどじゃあねイッセー君!」

 

 フリードの奴も直ぐ様コカビエルの後を追う。

 

「…………」

 

 後に残ったのは、押し黙る俺とリアス。そして気まずそうにしている一誠とアーシアだ。

 

「……行くわよ」

 

 それだけ言うとリアスは踵を返して歩き出す。

 

 前髪に隠れてよくわからなかったがその表情はよくわかる。

 

「兄貴……」

 

 一誠が心配そうに俺に近づいてくる。

 

「大丈夫だ……あのコカビエルには聞きたいことが出来た。戦う理由が出来た。それだけだ」

 

 指を鳴らしながら俺は笑う。

 

 ああ、今日は良い日になりそうだ。こんな所で俺の知りたかった事が分かる。こんなにも喜ばしい事は無い。

 

「くは、はははは」

 

 さあ、行くぜ。

 

******

 

 途中で朱乃や小猫と合流した俺たちは駒王学園正門に到着していた。

 

 祐斗とは連絡がまだつかない。まあ、あいつがそんなに簡単にくたばるとは思えないが……。

 

 イリナはアーシアの治療の甲斐もあって何とか持ち直したそうだ。現在はソーナの家で治療を受けているそうだ。

 

 さて、俺たちの目当てのコカビエルは現在グラウンドのいるそうだ。

 

 例のバルパーってやつも一緒に居るらしく、グランドで何か準備を始めているそうだ。

 

 先ず、碌な物ではないだろう。その事を踏まえてもコカビエルと戦うには現在の俺たちでは戦力不足。

 

 そこで朱乃はリアスに内緒でサーゼクス様に救援の要請をしたと言う。

 

 当然、リアスは怒るが、朱乃の正論にぐうの音も出ず引き下がった。

 

 サーゼクス様の援軍は一時間で到着すると言うが、その間コカビエルが何もしない筈が無い。

 

 ソーナの眷属は学園全体に結界を張る為に動けない。よって俺たちが動くことになった。

 

「しっかし、俺たちって結構堕天使と縁があるのかね」

 

「いきなり何だよ兄貴」

 

 グランドに向かう途中、俺は思わず口に出す。

 

 隣を歩いていた一誠に俺は言う。

 

「いやさ、俺たちって堕天使に殺られて悪魔になったわけじゃん? で、そいつらブッ飛ばしたら今度は堕天使の幹部が来た。俺たちって堕天使に好かれる性質なのかね?」

 

「やめてくれよ! 考えただけでもおぞましいぜ。俺は女の子に好かれる方が良いよ!」

 

「俺だって堕天使と女の子だったら女の子の方が良いさ」

 

 一誠と二人で軽口を言い合っていると、朱乃が後ろを振り向いてきた。

 

「夏蓮君はやはり堕天使が嫌いですか?」

 

「ん?」

 

 どこか暗そうに言う朱乃。

 

 その様子に内心首を傾げつつ俺は答える。

 

「うーん、堕天使そのものが嫌いってのは違う気がするな。それこそ、人種的な差別と同じになっちまうし。まあ、俺は基本的に堕天使とは敵対関係でしか会った事が無いから上手く言えないけど」

 

「そう、ですか」

 

 どこかほっとしたような様子を見せる朱乃。

 

 はて、堕天使の知り合いでもいるのだろうか? まあ、よくわからないが。

 

「おしゃべりはそこまでよ」

 

 リアスがそう言い、前を見ると、既にグランド前までたどり着いていた。

 

「夏蓮、イッセー。二人はこの場でプロモーションを」

 

「了解」

 

「はい!」

 

 それぞれ答えて俺たちは女王(クイーン)に昇格する。

 

 そして俺は神 器(セイクリッド・ギア)を展開する。

 

 『灼 銀 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』の柄の部分に埋め込まれている宝玉が光ると同時に声が聞こえてきた。

 

『フェニックスの次は堕天使の幹部ですか。貴方はつくづく奇妙な縁に好かれているようですね』

 

 リンドヴルムがどこか可笑しそうに言ってくる。

 

 やめてくれよ。心当たりが多すぎて笑えねえ。

 

『ですが、これもまたあなたにとって新たな試練と取って良いでしょう。良い事です』

 

 試練ねえ。まあ、ある意味試練ともいえるかな。

 

『?』

 

 だってよ、漸く俺の過去が分かりそうなんだぜ? これで失敗すれば俺は多分、自分の過去への道をもうつかめない気がするんだよ。

 

 だから、このチャンスを逃すつもりは――ない!

 

『…………そうですね』

 

 ああ、だからお前の力も貸してくれよリンド。

 

『はいって、リンド?』

 

 ああ。リンドヴルムって長いじゃん? だから略してリンド。

 

『はあ、まあ、構いませんけど。……略されて呼ばれたのは初めてですね』

 

 何やらため息を付いているリンド。はて、どうしたのだろうか。

 

 さあ、入ろうか。久々に戦闘だ。腕が鳴るぜ!




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