ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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人生初めて一年で二回風邪をひきました。しかも一か月程度で。

自分の体の頑丈さには少し自信があったからショックです。皆さんも体には気をつけて。




必ず倒す!

「あれが祐斗の剣……」

 

 その美しさに俺は思わず目を奪われそうになった。

 

 聖なるオーラと魔のオーラ。その相反する二つの力をあの剣は有している。

 

「――禁 手(バランス・ブレイカー)、『《双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー》』聖と魔、その二つの力を持つこの剣を受けてみるが良い!」

 

 そこからはもう祐斗の独壇場だった。

 

 祐斗の新しい力は本家本元の聖剣をも上回り、圧倒する。

 

 フリードは統合したエクスカリバーの各種能力を使って祐斗を襲うが、その悉くを返す。

 

 すげえな。まだ完全な状態じゃないとはいえ、あのエクスカリバーを圧倒している。

 

「このぉ……ふざけんじゃねえよ!」

 

 激昂するフリード。

 

「ええい! フリード、あの力を使え! 今なら使える!」

 

「合点承知の助!」

 

 バルパーの焦った声にフリードが応える。

 

 あの力? まだ隠し玉を持っているのか?

 

 そして、フリードの体から突如として巨大なオーラが噴出し始める。

 

 何だありゃ! とんでもないオーラだぞ! 下手したら俺たちよりもずっと上だ。

 

「うは! 何じゃこりゃー! めっちゃ力が湧いてきますよ!」

 

 歓喜の声を上げるフリード。

 

「あれは一体……」

 

 俺の戸惑いに応えたのは朱乃だった。

 

「恐らくこの地の地脈のエネルギーを使ったのです!」

 

「地脈?」

 

 また新しい事か。そろそろ嫌になってくるぞ。

 

「地脈とは土地を栄えさせる土地の命そのものよ! それを使うって事はこの土地を死に絶えさせる気!?」

 

 信じられない物を見るかのようにフリードを見詰めるリアス。

 

「土地が死ぬって?」

 

「……人が住めないような荒れ果てた荒野に遠からずなります」

 

 小猫の答えに俺は思わずため息を付いてしまう。

 

 だって考えても見てほしい。コカビエルを倒さないとこの町を破壊する術式が発動するし、フリードをさっさと止めないとこの町が人が住めないような所になる。もう最悪だね。ムリゲーでもここまでの事は無いと思うぞ。

 

 けどまあ。

 

「やるしかないよな」

 

 立ち上がり、拳の骨をポキポキと鳴らす。

 

 リンド、再禁手化《バランス・ブレイク》までの時間は?

 

『後数分で』

 

 なるべく急がせろ。今回はマジで時間が無い。

 

『承知しました』

 

 リンドが短く答える。

 

 禁 手(バランス・ブレイカー)無しであそこに突っ込むのは流石に面倒だな。

 

「おい一誠」

 

 次の策を取る為に一誠を呼ぶ。

 

「何だよ兄貴」

 

「今から倍加の準備しろ。で、ある程度チャージが出来たら譲渡の準備だ」

 

 今の俺たちではコカビエルに届く攻撃は中々無い。

 

 だが、一誠の譲渡あれば、もしかしたら届くかもしれない。

 

「分かった」

 

 一誠もそれが分かったいるようで、直ぐに倍加を始める。

 

 さてと。

 

「先ずはフリードか」

 

 莫大なオーラを撒き散らしながら哄笑しているフリードを見て、俺は目を細める。

 

 ずげえな。地脈のエネルギーってあんなにパワーがあるんだ。ありゃ力だけなら上級悪魔クラスじゃね?

 

「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃはああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 奇声を上げながら祐斗に斬りかかるフリード。

 

「っ!」

 

 祐斗はそれを受け止めるが、その表情は冴えない。

 

 真っ向から受けるのではなく逸らすことで躱していく。

 

「どうしたよどうしたよおおおおお!! 手も足も出ないってか!?」

 

「っ、誰が!」

 

 祐斗も負けず、反撃に出る。

 

「はあ!」

 

 フリード目掛けてそのまま斜めに切断するように斬りかかる。

 

 フリードも負けておらず、体を捻って躱してそのままの勢いで祐斗に横殴りで斬りかかる。

 

 上半身を逸らすことで躱す祐斗。

 

 体を戻す勢いでフリードを突きを入れる。

 

 しかし、フリードもそれを躱す。

 

 そのまま高速で剣戟を交える二人。

 

 早え。どっちも早いな。いや、地脈の力を得てパワーアップしているフリードに付いてこれる祐斗の方が凄いのかもな。

 

 とはいえ、結構戦況は良くは無いかな。

 

 パワーアップを果たしたフリード君にいまだに無傷のコカビエルさん。いやーもう大変ですね。あははははは。

 

 …………。

 

「はあ……」

 

 ため息を付く。思いっきり。

 

「ど、どうしたんですか夏蓮さん?」

 

 アーシアが俺の異変に気づいて聞いてくる。

 

「いや、ただ世の中の不幸を垣間見た気がしてね」

 

「はあ……」

 

 良く分からないと言う顔をしているアーシア。

 

「何訳の分からない事を言っているのよ夏蓮」

 

「リアス」

 

 俺の方に近づいてくるリアス。

 

「夏蓮、分かっているとは思うけど、現在私たちの中で純粋な戦闘能力なら貴方が一番上よ。コカビエルと戦うときは貴方が中心となるわ」

 

「……戦闘能力でなら何となく分かるけど、今の俺たちに必要なのは奴に届く攻撃力だ。そっち方面だと俺は少し自信ないぞ」

 

 一応必殺技として禁手化(バランス・ブレイカー)の左手のギミックがあるけど、あれも十分に力を吸収してから撃った方が良いんだよな。

 

 あまりに格上すぎると、相手の攻撃を吸収しきれないのがこの神 器(セイクリッド・ギア)の欠点だよなー。まあ、その辺は俺が力を付ける事で解消できそうだけど。

 

「あなたの砲撃はエネルギー系の攻撃を吸収するのでしょ?」

 

 リアスが何か確信めいた感じで聞いてくる。

 

「そうだけど」

 

「それは別に相手のものじゃなくてもいいんでしょ?」

 

 っ! そうか、そういう事か!

 

「はは、俺の神 器(セイクリッド・ギア)だってのに、俺より使い方分かってそうだなリアス」

 

 俺がそういうと、リアスが得意そうに笑う。

 

「私は貴方の主よ? 当然でしょう?」

 

 全く、敵わないね。

 

「えと……」

 

 置いていかれたようにしているアーシア。まあ、今のじゃ分かりづらいかな?

 

 さて、フリードの方はどうなっているかな。

 

「……あれ?」

 

 変な光景を見て俺は思わず首を傾げる。

 

 何か、ゼノヴィアが祐斗とフリードの斬り合いに参加している。いや、それは良いんだ。

 

 問題はあいつの持っている剣だ。

 

 エクスカリバーじゃない。何だあの剣? 聖なるオーラを発しているから聖剣なのは分かるけど、量が半端じゃない。まるで、辺り一帯に撒き散らすように発しているぞ。

 

「リアス、あの聖剣何だ?」

 

 俺の質問にリアスは直ぐに答えた。

 

「デュランダルよ」

 

「……え? マジ?」

 

 え、うそ、デュランダル? マジすか!?

 

 デュランダルっていえば、かの騎士ロランが使ったと言う伝説の聖剣。その切れ味は何物にも勝ると聞いている。

 

「あいつ、エクスカリバーの使い手じゃねえの?」

 

「もともとデュランダル使いらしいわ。エクスカリバーはあくまで兼任していたそうよ」

 

 俺の疑問にリアスが再び答える。

 

 はーデュランダル。エクスカリバーみたいに七つ別れたわけじゃないからあっちはガチ物の聖剣か。

 

 リアスが続ける。

 

「何でも彼女は人工的な聖剣使いでは無くて、本物、つまり天然の聖剣使いだそうよ。だからデュランダルに適合出来たと言う話よ」

 

「……やけに詳しいな」

 

 一体いつそんな話を聞いていたんだ?

 

 俺の言葉に呆れたように息を吐くリアス。な、何だよ。

 

「貴方が変な事している最中に彼女が喋っていたわ。聞いていなかったの?」

 

「いや、全然」

 

 なんと、そんな事が。うーん、結構重要な話だった気がするな。勿体ない。

 

「貴方ってもう……」

 

 顔に手を当てて首を振るリアス。

 

 何だよ、何か文句あるか!

 

「リアス、今は夏蓮の駄目な部分を呆れるときではありませんわ」

 

「朱乃」

 

 こちらに歩み寄ってくる朱乃。

 

 って、ちょと待ておい! 駄目な部分って何だよ! 何それ! 俺の駄目な部分知ってんのお前ら!

 

「そうね。夏蓮の駄目な部分は後で何とかしましょう」

 

「はい」

 

 俺を無視して話を進めるリアスと朱乃。

 

 おいおい、どういう事よ!

 

「小猫ちゃん! 俺の駄目な所って何?」

 

 近くにまで来ていた小猫ちゃんに聞いてみる。

 

「……そういう所なのでは?」

 

 えー。

 

「もう良いや。……何か疲れたな」

 

「まだ疲れるには早いと思いますよ」

 

「言葉の綾だよ」

 

 小猫ちゃんと会話をしながらも俺は三人の剣戟の方を見る。

 

 ……状況は良い方かな?

 

 祐斗とゼノヴィアのコンビは確実にフリードを追い詰めている。フリードの方も統合したエクスカリバーの能力を使って応戦するが、二人には届いていない。

 

「何でだよ! 何で俺様負けてんのおおおおおぉぉぉぉ!? 最強の聖剣に最強の力手に入れたんだぜえええええええぇぇぇ!?」

 

 自分が負けているのが理解できないのか、首を激しく振るフリード。

 

 そんなフリードに祐斗は静かに答える。

 

「確かに、そのエクスカリバーが本来の状態なら僕たちに勝機は無かった。けど、そのエクスカリバーなら僕らは負けはしない!」

 

 祐斗の答えに納得していないのかフリードは更に激昂する。

 

「例えそうだとしても! 俺様には地脈のエネルギーがあるんだぜ! なのに!」

 

「まだ分からないのか?」

 

 フリードの言葉に被せるようにゼノヴィアが言う。

 

「確かにお前の今の力は上級悪魔クラスを超えているだろう。――だが、それだけだ。お前自身はその力を全く扱いきれていない」

 

「っ!」

 

「力だけ強くても、それを扱えなくてはただの木偶だ。フリード、お前にはその力は扱いきれないよ」

 

 ゼノヴィアの言葉に一瞬目を見開き、そしてぐらりと顔を上に上げるフリード。

 

「――殺す」

 

 ポツリと呟かれた言葉。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す!! 殺してやるよおおおおおおおぉぉぉぉ!!」

 

 まるで発狂したかのように殺すを連呼し続けるフリード。

 

 ここまで来ると流石にゾッとしてくる。

 

「俺様は! 最強の聖剣を! 持って――!?」

 

 言葉が唐突にとだえる。

 

「ゴハ……」

 

 訝しむ俺たちの前で突如、大きな血反吐を吐き出すフリード。

 

 おいおい、何が起きた?

 

 俺の疑問にリンドが答える。

 

『恐らく地脈の莫大なエネルギーに体が耐え切れなくなったのでしょう。いくら戦闘能力が高かろうと、所詮は人間の体。あれ程の大きな力持つはずがありません』

 

 成程な。過ぎたる力は身を滅ぼすってか。

 

『ええ。貴方も気をつけてくださいね』

 

 まるで俺が後先考えずにやるみたいに聞こえるぞ。

 

『そういうわけでは無いですが……』

 

 どう伝えれば良いか分からないと言った感じに言葉を濁すリンド。

 

 珍しい。ほんの僅かの付き合いだけど、こいつは言いたいことははっきりと言うタイプだと思っていたんだが違うかね?

 

 今は置いておくか。それよりも問題はあっちだし。

 

「フリード・ゼルセン、もう終わらせよう。僕はそのエクスカリバーを超える!」

 

「調子に、乗って、んじゃ……ゴバア!?」

 

 息も絶え絶えに再び血を吐くフリード。

 

 そんなフリードの前に静かに立つ祐斗。

 

「今こそ、僕はエクスカリバーの呪縛を解き放つ!」

 

 持ち前の足を使って一気に加速する祐斗。

 

「くそがあああああああ!!」

 

 フリードも負けじとエクスカリバーの刀身をいくつにも分断して祐斗に襲い掛からせた。

 

 しかし、祐斗のその全てを躱すか叩き落とすかでいなしていく。

 

 そして遂にフリードの目の前に辿り着く。

 

「ぐっ……」

 

「終わりだ!」

 

 言葉と共に祐斗はエクスカリバー諸共フリードに聖魔剣を叩きつける。

 

 パキン……。儚い音とともにエクスカリバーは砕け散る。

 

 フリードも切り付けられたところから血が大量に溢れ出す。

 

「うそ、だろ……」

 

 自分の負けが信じられないのか呆然としながらフリードは地面に倒れこんだ。

 

「みんな、僕たちの思いは聖剣を超えたよ」

 

 亡き同胞に向かって静かに言う祐斗だった。




いかがでしょうか? 感想、意見待っています。

この章も後二、三話で終わらせる予定です。次章からは色々とオリジナル要素も入れていく予定です。
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