ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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読者の皆様にお知らせです。

このたび、私、遂にバイトが決定しました。

これからそれなりに忙しくなるかもしれないので、更新が遅れる事もあるかもしれないのでどうかその辺りをご了承ください。

では、本編をどうぞ!


何が……

「馬鹿な、聖魔剣だと……? 相反する二つの力が一つになるなどあり得ん……」

 

 フリードが敗れ、それを呆然と見るバルパー。

 

「バルパー・ガリレイ。次は貴方だ」

 

 次のターゲットを定めた祐斗がバルパーに近づく。

 

 しかし、それに気づかずバルパーはぶつぶつと何かを呟いている。

 

 祐斗が数歩前まで来たとき、はっと顔を上げる。

 

「そうか! そういう事か! 聖と魔。バランスが崩れている! つまり、あの戦争で魔王だけでなく神も……!?」

 

 その言葉が最後まで出る事は無かった。

 

 バルパーの腹に光の槍が突き刺さっていたのだ。

 

「ごは……」

 

 血を吐きながら地面に倒れ伏すバルパー。

 

 一目で致命傷だと分かる傷だ。予想通り、バルパーは直ぐに息絶えていた。

 

 この中で光の槍を使えるのはただ一人。

 

「バルパー、お前は優秀だったよ。そこに思考が至ったのも優れているが故だろうな。だが、俺は別に最初からお前など必要なかった。一人でも十分だったんだ」

 

 十枚の黒翼をはためかせながら空に浮かぶコカビエル。間違いなくヤツがバルパーを殺した。

 

 つか、そんな事よりも死ぬ直前にバルパーが言っていたことの方が俺は気になる。

 

 ”あの戦争で魔王だけでなく神も”って、まさかおい……。

 

 ある考えに至るが、その結論に思わず身震いする。

 

 まさかな……そんな事……。

 

「くくくくく、はーはっはははははははは!!」

 

 突如として哄笑を上げるコカビエル。

 

 相変わらず突然笑い出す奴だな、と場違いな感想を抱いてしまう俺。

 

 ひとしきり笑った奴は俺たちに向かってこう言い放った。

 

「――そこで高めている赤龍帝の力。誰かに譲渡して俺にぶつけてみろ」

 

 っ! 気づかれていたか。流石は聖書に記される程の大物。こちらの考えなんてお見通しか。

 

 とはいえ、明らかにこちらを下に見た言い方。当然リアスは怒る。

 

「ふざけないで……! 私たちにチャンスを与えるつもりなの!?」

 

「ああ、そうだ」

 

 あっさりと言うコカビエル。

 

「このままワンサイドゲームになっても何にも楽しみが無いだろう? だったらサーゼクスが来るまでもう少し余興を楽しんでおきたいのだよ」

 

 余興……。

 

 ったくよぉ。俺たちは必死こいて戦っているのに、奴にとってはこの戦いは余興かよ。

 

 ――腹立たしいねえ。

 

「……イッセー、倍加の準備は?」

 

「後もう少しです!」

 

 リアスの質問に一誠が直ぐに答える。

 

「夏蓮、貴方も準備を!」

 

「了解」

 

 視線をよこさずにそう言ったリアスに俺は直ぐに応じる。

 

 リンド、こっちの方は?

 

『いいタイミングです。丁度出来ますよ』

 

 オーケー。そうこなくっちゃ。

 

禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

 再び鎧を身に纏う俺。

 

 直ぐに左腕の砲口を展開する。

 

「倍加、準備オッケーです!」

 

 俺の準備が整うのと同時に、一誠の方も準備が終わったようだ。

 

「良いわ、予定通りイッセー、夏蓮に譲渡を!」

 

「分かりました! 兄貴!」

 

「さっさと来い」

 

 俺に近づく、籠手の方で鎧に触ってくる。

 

『Transfer‼』

 

 譲渡の音声と共に、俺の中に力が流れ込んでくる。

 

 うおっ! これが赤龍帝の力か! 凄まじいね!

 

『ああ、この私がドライグの力を借りる羽目になるとは……世の中分からないものです』

 

 リンドはリンドで何か変な事言っているし。

 

 前々から思っていたが、リンドは何か赤龍帝――一誠の中に宿るドラゴンに何か含むものがあるのか?

 

 つか、この力マジですげえ。十分な倍加でやったおかげか、力が有り余るほどに感じ取れる!

 

「ほお、凄まじいな。流石というべきかな。既に魔力で言うならば最上級悪魔クラス。優にそこいらのヤツを超えているな」

 

 そういいながらも奴は相変わらずどこか余裕そうだ。

 

 かっ! 面白れえ。その余裕、今に崩してやる!

 

「夏蓮! こっちも準備完了よ!」

 

「おうって、デカ!? デカくないそれ!?」

 

 思わず二度見する。

 

 リアスが作った滅びの魔力の塊は、俺たちの身長ほどの直径を持つ巨大な奴だった。

 

「今、私が作れる最大級の物よ! さあ、行くわよ!」

 

「いやいや! ちょ、待って!」

 

 無理無理! 流石に吸収出来ねえよそれ! 俺の体保たないよ!

 

「え、部長? 何してんすっか!?」

 

 何も話を聞いていない一誠が仰天している。

 

 そんな一誠を置いといて、リアスは()目掛けて滅びの魔力を撃ちこんできた。

 

 背中の強い衝撃と共に、俺の中に力が再び流れ込んでくるのが分かった。

 

「うぐ!?」

 

『Absorb!!』

 

 体の中に入ってくるリアスの魔力。

 

 いや、ちょ、これ不味くない? リンド、これ大丈夫か!?

 

『ギリギリですが、貴方の今の容量(キャパシティ)に何とか入っています。問題はありません』

 

 そうか、そいつは良かった。

 

 これが俺たちの策の一つ。

 

 俺の神 器(セイクリッド・ギア)はエネルギー系の攻撃を吸収する能力を持つ。

 

 そしてそれは何も相手からの攻撃では無くても良いんだ。つまり、味方から力を貰うっていうのも手の一つだ。

 

 それに気づいたリアスが俺に滅びの魔力を撃ちこんできたのだが……。

 

 いや、結構きついね。『滅び』という特殊な魔力の所為なのかもしれないけど、制御がかなり難しい。

 

 こりゃあ、さっさと『解放』した方が良いね。

 

『Liberate!!』

 

 刹那、俺を中心に巨大なオーラが辺りに撒き散らされる。

 

 鎧の至る所から魔力が噴出し、鎧がきしんでいく。

 

「これは……!」

 

「なんて言う魔力のデカさ!」

 

 朱乃や祐斗もこの魔力の大きさに驚きを隠せていなかった。

 

 一番驚いているのは俺自身なんだけどな。

 

 はは、力が溢れていると、何でも出来るような気がしてくるぜ。

 

 俺は頭上から見下ろしている奴さんを見上げる。

 

「覚悟しろコカビエル! 今すぐにそこから引きずり落としてやる!」

 

 俺の宣言にコカビエルは相変わらず不気味に笑うだけだった。

 

「くくくく! 面白い、やってみろ!」

 

 その減らず口、今すぐに叩けない様にしてやる!

 

 俺は左の砲口を奴に向ける。

 

 砲口にエネルギーがチャージされていく。

 

 赤黒い魔力と銀色の魔力が入り乱れ徐々に弾としての形を成していく。

 

「――喰らえ」

 

 エネルギーが充填されると同時に、放つ!

 

 一直線にコカビエル目掛けて飛んでいくエネルギー弾。

 

 っ! その形状に俺は驚く。何と、龍の頭の形をしているのだ。いくら砲口が龍の形をしているからと言って、弾まで龍の形にならなくてもいい気がするが……。

 

 一誠から譲渡された赤龍帝の力。リアスの滅びの魔力。そして俺自身の魔力が入り乱れての砲撃。

 

「くははははは!! 凄まじいな! この魔力の波動! 間違いなく魔王クラスだ! やはりか! やはりそうなのか!」

 

 っ! また訳の分からない事を!

 

 コカビエルは両手を突き出し俺の魔力を止めに掛かった。

 

 ウソだろ!? あの威力を素手で!?

 

「ぐ、のおおおおお!?」

 

 一瞬、動揺するも、力を込めるように俺は踏ん張る。

 

 効いていないわけじゃない! このまま、押し切る!

 

 だが、現実は無常である。俺の魔力の波動は徐々に大きさが小さくなっていく。

 

 本当に、効いていないわけじゃない。ヤツ自身にも体中に傷が出来ている。――小さいやつだが。

 

「くっくっ。赤龍帝の力を譲渡され、更に紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)の魔力を渡されたとはいえ、これ程の力! やはり素晴らしいな!」

 

 ……くそっ。結構マジでやった気がするんだが。腐っても堕天使幹部か。

 

 つうか、自分が傷ついてもガチで喜んでいるなんて、こいつマジで戦うの大好きなんだな。本当に嫌になってくるぜ。

 

 あーどうすっかなー。一誠の譲渡に加えてリアスの魔力を貰ってもこんな感じだ。流石に次同じことしろと言われたら俺の体が()たん!

 

 痛む体に苦慮していると、朱乃が飛び出していく。

 

「雷よ!」

 

 天から雷がコカビエルに降っていく! しかし、コカビエルは無造作に翼をはためかせるだけで、攻撃を弾く。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの血を宿すものよ」

 

「――私をあんな者と一緒にするな!」

 

 今までに見たことが無いような表情で激昂する朱乃。

 

 バラキエル、確か堕天使の幹部だったよな。その戦闘能力は計り知れないって聞いているが……。

 

 バラキエルの血を宿すって事は……まさか。

 

「今は貴様になど構ってやる気等起きん。失せろ!」

 

 まるで虫を払うかのように光の槍を朱乃に放つコカビエル。

 

「きゃ!」

 

 朱乃も何とか槍を躱すが、槍の衝撃で態勢を崩し、地面に落下しようとしていた。

 

「っ! ああもう!」

 

 痛む体を堪えながら俺は前に出る。

 

 地面に激突しようとしていた朱乃の体と地面の間に何とか割り込んで朱乃を抱える。

 

「うぐっ!」

 

 やば、朱乃が落ちてきた衝撃で体が……!

 

「うっ……夏蓮!?」

 

「よお、朱乃怪我は無いか?」

 

「ええ……」

 

 頭を振りながら答える朱乃。

 

 良かった。怪我無いみたいだな。これであったら助けた俺が格好悪いな。

 

 朱乃を地面に降ろし、地面に立つ。

 

 気づけば、コカビエルはゆっくりと地面に降りてきていた。

 

「ちっ、お前は俺が地面に引きずり下ろしてやろうと思ったのにな……」

 

「それは残念だったな。降りてきてやったぞ」

 

 よく言うぜ。ああ、腹が立ってくる。

 

 オーラを高めながら俺はヤツを睨み付ける。

 

「クククク、まだ高まるか。良いぞ、もっとだ。もっと俺を楽しませろ!」

 

 笑うコカビエル。

 

「コカビエル!」

 

「私たちが相手だ!」

 

 俺の脇を祐斗とゼノヴィアが通り過ぎていく。

 

 それぞれ聖魔剣とデュランダルの手に、コカビエルに斬りかかる。

 

「ふん」

 

 コカビエルは両手に光の剣を出すと、祐斗たちの剣を受け止める。

 

 祐斗とゼノヴィアは交互に斬りかかっていくが、コカビエルはその攻撃全てをいなしていく。

 

 ウソだろ。あの二人が全然が歯が立っていねえ。コカビエルだって剣士って訳じゃ無いだろうに、あいつの攻撃を全部受け止めている。

 

 そしてコカビエルは同時に二人を吹き飛ばす。

 

「くそっ!」

 

「何て強さだ!」

 

 空中で態勢を整えて地面に着地する二人。

 

「全くもって詰まらん。伝説の聖剣に、イレギュラーな聖魔剣。どれ程のものかと期待してみれば的外れにもほどがある」

 

 心底詰まらなそうに言うコカビエル。

 

「まあ、仕えるべき主を無くしている割には頑張っている方か」

 

 仕えるべき主、ねえ……。

 

「……どういう事?」

 

 訝しげに聞くリアス。

 

 それを見て心底愉快そうに笑うコカビエル。

 

「クククク!! そうだな、お前たちはどうせ知らされていないんだろうな! 良いだろう教えてやる。先の大戦で魔王だけでなく、神も死んだんだよ!」

 

 ……神が、死んだ……?

 

 そこから面白おかしそうに話し始めるコカビエル。

 

 過去の三大勢力の戦争で四大魔王だけでなく神も死んだこと。それを人間に知られるのは不味いと言う事で各勢力の上層部だけの秘密という事になったこと。

 

 コカビエル曰く、人間は神という存在がいないだけでバランスを崩す脆弱な生き物と言う事らしい。

 

 神がいなくなったことで、純粋な天使が増え無くなった天使サイド。魔王と上級悪魔の大半を失った悪魔サイド。そして幹部以外を多く失った堕天使サイド。どの陣営も人間に頼らなければ勢力として保てないほどに疲弊していたそうだ。それ故痛み分けという感じで先の戦争は終わった。

 

 神がいなくなった今、神が遺した『システム』を使って大天使のミカエルが神の代行をやっていると言う。最も、神自身が行っているわけでは無いので、システムも昔通りとまではいかないそうだ。

 

 ……恐らく、アーシアが教会から追放されたのもそこが原因なんだろう。

 

 祐斗の聖魔剣が出来たのだって、神と魔王。この聖と魔を司る存在が消えたことでバランスが崩れたのだと言う。

 

「そん、な……」

 

 呆然と地面に座り込むゼノヴィア。教会の信仰心の熱い信者な彼女だからこそその衝撃も大きいだろう。

 

「アーシア!」

 

 後ろを見れば、アーシアがショックのあまり気を失っていた。彼女にはあまりにもデカすぎる話だったのだろう。

 

 他の奴も見れば、各々が少なからずショックを受けていた。

 

 そして俺はと言うと。

 

「……クハ」

 

「夏蓮……?」

 

「ハッハッハッ!! ハハハハハハハハハッ!!」

 

 笑ってしまう。堪え切れない。

 

 こんな、こんなことがあるのか!? 

 

 神が死んだ!? 数百年前に!? もうこの世に居ないってか!?

 

「ハッハハハハ……!」

 

 笑いすぎて腹が痛くなる……! 

 

「何だ? あまりの真実に頭が可笑しくなったのか?」

 

 少し気味が悪そうにこちらを見るコカビエル。

 

「いや、違うよ。あまりの馬鹿馬鹿しさに、笑いが堪え切れなくて」

 

「何?」

 

「だってよ、神がいない? それがどうした。今の世の中、何にも知らない人間がどれだけ神の存在を信じていると思うんだよ? それこそ考えるのが阿保らしい……いねえよ。そこの二人みたいな信仰深いやつならまだしも、少なくともこの日本じゃ数えるだけしかいないと思うぜ」

 

 昔と違って今じゃそういう事は全然信じられなくなっている。俺だって悪魔になる前まではあくまで空想の産物だと思っていたしな。

 

「それに……何かすっきりしたな」

 

「すっきり?」

 

「ああ、神がいなくて本当に安心した。――あの日の俺の考えは間違いじゃ無かったって訳だよ!」

 

 本当に神がいるなら、あの日、あの時の願いを叶えてくれたって良かった! 良かった筈だ! 

 

 ……神なんていない。そう確信できた。それだけでも本当に良かったよ。

 

「訳の分からん奴だ」

 

「あんたに言われたくないね。戦争を起こしたい戦闘大好きっ子めが」

 

「く、ぬかせ。お前も同じだろうが」

 

「戦いは好きだが、お前みたいに人様に迷惑をかけてまでやる気は無いよ」

 

「どうだか……」

 

 肩を竦めるコカビエル。

 

 その仕草にイラッときるのもあったが、取り敢えず今は仕掛けてみるか。

 

 俺の禁 手(バランス・ブレイカー)も後どれだけ保つかは分からないしな。

 

 背中の翼をはためかせ俺は一気に前に出る。

 

「夏蓮!?」

 

 後ろでリアスが驚きの声を上げている。

 

 一気にコカビエルに詰め寄り右手の剣で斬りかかる。

 

 コカビエルも光の剣で応戦してくる。

 

 凄まじい勢いで斬撃の応酬をする俺たち。

 

 コカビエル自身は剣士では無い。だが、先ほどの祐斗たちと斬り合えたことから実力は十二分にあるだろう。

 

 まあ、それでも負ける気はしないが。

 

 途中、いくつもフェイント入れながら斬りつけるが、コカビエルはそれを全て見切ってくる。

 

 コカビエル自身の攻撃も途中俺の体に掠るが、全て鎧に防がれて俺の体自体には届いてこない。

 

「くははは! 良いな! 楽しいな! お前もそうだろう小僧!」

 

 歓喜の表情を浮かべるコカビエル。

 

「うる、せえ!」

 

 何とか反応する俺だが、ぶっちゃけ余裕が無い。

 

 コカビエルの野郎、徐々にスピードを上げてやがる! 今だって反応しきれているのがやっとだ。

 

 どうする。どうするよ俺。

 

「クク、そうだな」

 

 斬り合いをしながらチラリと後ろを見るコカビエル。

 

 っ! こいつまさか……!

 

「こんなのはどうだ?」

 

 ヤツの頭上に浮かぶ巨大な光の槍。

 

 その槍が次の瞬間、後ろの――リアスたちの方に迫る!

 

「こ、のぉ!」

 

 剣でヤツを後ろに飛ばし、そのままコカビエルの方を向いたまま後ろに下がる。

 

 意外にも奴はその間全く攻撃してこなかった。

 

 余裕だな本当に!

 

「くうっ!」

 

 何とか槍がリアスたちに到達する前に間に入れた。

 

 俺はそのまま両腕をクロスして槍を受け止める。

 

「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

『AbsorbAbsorbAbsorbAbsorb!』

 

 宝玉から連続して吸収の音声が流れる。

 

 やがて槍は徐々に小さくなっていく。

 

 あの中級堕天使ほどの大きさになり、槍を弾き飛ばす。

 

 つ、疲れた……。よく吸収出来たな、おい。

 

「夏蓮!」

 

「夏蓮くん!」

 

 リアスと朱乃が近づいてくる。

 

 それと同時に俺の鎧も遂に解けてしまう。

 

 やっべー。完全に時間切れになると次に使えるまで結構時間喰うからな。

 

「はははは、今の追いつくとはな。流石というべきか」

 

 コカビエルがこちらを称賛するようにパチパチと手を叩いている。

 

「しかし、貴様の力、こんなものでは無いだろう? どうした、もっと力を見せて見ろ」

 

 そう言われてもな。こちとら奥の手も返されて、禁 手(バランス・ブレイカー)も使えなくなってしまったんだがな。

 

「……なあ、さっきから気になっていたんだが、お前俺の事知ってんのか?」

 

「ん?」

 

 今は少しでも時間を稼ぐべきだ。何とかヤツの興味が持てそうな話題を持ち込まないと。

 

「一誠の様に神滅具(ロンギヌス)保有者なら分からないでもないが、俺は別に少し強いだけの神 器(セイクリッド・ギア)を持っているだけだぜ?」

 

『誰が少し強いだけですって?』

 

 何やらリンドが言っているが今は無視だ。

 

「当然だろう。()()()()なら誰だって知っているさ」

 

「あの事件……?」

 

 ――ドクン

 

「死んだと聞いていたが……いやはや、サーゼクスめこんな極東に隠していたのか。確かに盲点と言えるだろうな」

 

 ――ドクン

 

「何……」

 

「あの時の下手人は見つかっていないと聞いているし、隠すことにしていたのか」

 

 ――ドクン

 

「しかし、よく似ている。瓜二つと言えるじゃないか」

 

 ――ドクン

 

「……さっきから」

 

「ん?」

 

「さっきから! 何を言っている!? お前は俺の何を知っているって言うんだ!」

 

 心臓の鼓動がさっきから鳴り響いてしょうがない。

 

 これ以上は聞いてはいけない。心のどこかでそう囁いている俺がいる。

 

 だけど、ここで聞かなきゃ、俺は――!

 

「何だ? 別人だと言うのか?」

 

 今度こそコカビエルは訝しげな表情を作る。

 

 そして、

 

「――お前はレオン・グレモリーとあの人間の小娘との間に生まれた半悪魔(ハーフ)じゃないのか?」

 

 そう、言った。




いかがでしょうか? 感想、意見待っています。

遂に明かされた夏蓮の出生の秘密(一部)。

これから先、夏蓮の過去を徐々に明らかにしていく所存でございます。
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