幸い、バックアップが少し削れている状態で残っていたので、今日改めて投稿します。
「あれ?」
気がつけば俺は、変な所にいた。いや、変な所とはちょっと変な言い方か。
正確に言うならば幻想的、と言うべきか。
上を見上げれば雲一つ無い真っ青な空。そして、地上には辺り一面に黄金色の小さな光が漂っていた。
何だコレは? 確か俺は……あれ、何してたんだっけ俺?
おいおい、この歳になって物忘れが酷いとかやだぞ。思い出せ、思い出せ!!
「えーと」
「――お前は堕天使に腹ぶっ刺されたんだよ」
「おーって、そうだよ!!」
思い出した! 確か、ドーナシークとかいうヤツに一誠が襲われて俺はそれに巻き込まれて。で、一誠を逃がそうとしたは良いけど、結局逃がすことが出来なくて……。
一誠のヤツはどうなった!? 足を刺されただけだけど、それでもその後に襲われたら!
と言うか、俺は俺で腹を刺されたんだよな!? 覚えている限りでは致死量の血が出て足しさあ!! うわーどうしよう。やばいよ……。
「おーい?」
あれ? そう言えば、リアス嬢が居たよな? 確か。うん、間違い無く。
「おーい、ってばさ」
トドメをさされそうになった俺を助けてくれて……確か、堕天使の方もリアス嬢を知っていたよな……と言うより、「グレモリーの者」って言っていたからな……。
「はあ、ヒトの話を聞かないとは……誰に似たんだか」
うーむ、謎が多すぎる。たかだか一誠の消えた彼女を追っていたはずなのに、更に増えやがった。
「すうう――おいこらっ!!!!」
「うおおぉお!?」
後ろから突然大声を上げられて、思考の海に沈み込んでいた俺は、思わず飛び跳ねてしまった。
な、何だ!? 誰だ!?
俺は慌てて後ろを振り向くと、
「全く、普通この空間についてもう少し疑問に持つべきだろ? オマケにテンションも何か変すぎるし」
黒いスーツを若干着崩して着ており、身長もなかなかの長身だ。
サングラスを掛けた顔は目元は伺えないが、顔つきはワイルド風と言えるだろうか。
だが、一際目を引くのは背中辺り迄伸ばした紅髪だ。
俺やリアス嬢と同じ鮮やかな紅髪。
……驚いた。紅髪自体、俺は自分以外にリアス嬢しか見たこと無かったからか、何となく新鮮さを感じる。
「誰だよアンタ……」
だが、それよりもこいつとさっきまで自分の身に起きたことに頭が行っていて、置いておいたが、この空間についても聞いておかないと。
「ほう、一瞬にして雰囲気が変わったな。成る程成る程。感情のコントロールは結構上手みたいだな」
顎に手を当てて、紅髪の男が興味深そうに俺を見ている。
……あまり、不快な感じはしないな。本当に俺に興味が有るみたいだな。瞳から俺の事を楽しそうに見ているし。
「もう一回質問するけど、アンタ誰だ? それに此処は何処だ?」
「まあ、待てって。ちゃんと説明すっからさ。……最初の質問はノーコメント。まだ答えるには早すぎる」
な……。いきなり回答拒否かよ!
俺の怒りが伝わったのか、男はまあまあ、と両手を出す。
「落ち着けって。まだ時期は早いと言っただけで、答えないと言ってないだろ? その内に名乗ってやるさ」
「……それって、また此処に俺が来るって事か?」
「おっ、頭の回転も速いな。ま、コレから先、また此処に来ることは有るだろうぜ?」
何だこいつ……間違い無く俺より年上だろうが、どうも大人っぽくない。何だこの人。
「二つ目の質問だな。此処は……まあ、お前の夢みたいなモンだ」
「夢?」
おいおい、俺も夢は見るけど、こんなはっきりとしている夢は見たこと無いぞ。
俺の様子を見て、男は嘆息してから手を振った。
「ああ、無理に考えなくて良い。それよりも今は目先のことだ」
目先の事って……。て、結局俺の質問に一つも答えていないし。
「堕天使の事か」
「そう。何だけどねえ」
男が深いため息をつく。
「あんなくそ弱い堕天使負けるなんて……情けなさ過ぎて涙が出るよ」
ワザとらしく泣き真似をする男。……うぜえな。
「俺にしては随分頑張った方だと思うぞ?」
「はあ? 何いってんだお前。本気も出さずによ」
「本気って……俺は本気でやっていたぞ!」
事実、あの堕天使に当てた一撃も間違い無く決まっていた。だが、堕天使の強度が予想外に強かったからああなっちまったわけだし……。
「本気って……じゃあ、何で”アレ”を使わなかった?」
「っ!」
”アレ”ってアレか……。
「”アレ”を使うには、どれぐらいの力があるかは分からないし、それに一誠が居る中で見せられるか……」
「おいおい、生死が決まるような極限の状況だぞ? そんな事言っているからお前はやられるんだ。第一、”アレ”を使えば、間違い無くあんな雑魚の堕天使は殺せたね」
雑魚……ん?
男の言葉を聞き、俺はあることを思った。
「おい、もしかして……」
「うん? 何だ」
「堕天使って他にも居るの?」
俺の質問に、男は一瞬ポカンとすると、直ぐに大笑いし始めた。
「あっははははは!! 何言ってんのお前? 当たり前じゃんか! アレか、あんな雑魚のだけだと思ってたの? ぶっははははっはは!!」
は、腹立つ……! この野郎。
「まあ、今は幹部クラスは絶対に出てこんし。次にあの堕天使と会ったらお前がぶっ殺せ。良いな?」
「いや、良く無い」
何いってんだこいつ。間違い無く俺が捕まるわ。
「はー。堕天使に人間の法律が通用するわけ無いだろうが」
あ、確かに。
男の発言に思わず納得してしまう俺。
「戦うは良いけど、どうやって戦うんだよ。”アレ”を使ったところで身体的差が埋まるとは思えんが」
「ん? ああ、あいつか。成る程、成る程」
一人だけ、勝手に納得したらしく、何度も頷く男。
「安心しろ。次に目覚めたときは、大丈夫だから……さ、もう行け。そろそろ起きる時間だしな」
……結局何にも分かっていないんだが……。いくら言ってもこの男は何にも答えないだろうしな……。
「あ、そうそう。此処でのことはお前殆ど忘れるから」
「はい!?」
******
ピピッ!! ピピッ!!
「うっ……」
目覚まし時計の音を聞きながら、俺こと兵藤夏蓮は目を開けた。
――此処は……俺の部屋か――
ボンヤリとしながら、自分の部屋を見渡す俺。
えと、確か堕天使に襲われて……そんでもって誰かと話して……あれ? 誰と話してたんだ? 思い出せん。
えーと。
上半身を起こそうと、ベットに手を付けようとしたとき、
ふにゅっ
「ん?」
何かに触れた。
あれ? なんだコレ。
そう思い、何度も手を動かしてみる。
ふにゅっ、ふにゅっ。
何やら生々しい触感!?
え、何コレ!? 俺のベットに何入っているの!?
俺のベット、物とか置かないようにしているから、俺以外は掛け布団ぐらいしかないはずなのだが……!
「――ひゃん」
「っ!!」
更に声が!
おい、コレってまさか……。
さながら、さび付いたブリキの人形の首のようにギリギリと、首を動かすと、
「う……ん」
ナンダコレハ
完全に思考が停止してしまった。お師匠様から普段から考えることを止めるなと言われているのに、その言葉を忘れてしまうほどに、この光景は俺に取ってまさしく宇宙の始まりビックバンともいうべき物だ。
この光景を見たら、あの性欲の権化とも言われる俺の愚弟こと兵藤一誠もすごい反応を示すだろう。それほどの物だ。
考えても見て欲しい。何せ、駒王学園に誇る二大お姉様の一人であり、俺の親友とも言うべきリアス嬢が俺のベットの中で、一緒に寝ていたのだ。
其処までなら、俺も此処まで驚かないだろう。だが、それだけでは無いのだ。
着て居ないのだ。何も。
一糸纏わず。全裸。生まれたままの姿。そんな言葉が似合う状況。
それを理解するのに、俺はたっぷり一分間固まってしまった。
そして、一分が過ぎると同時に、俺は息を思いっきり吸うと、
「――――――!!!!!」
言葉にならない悲鳴を上げた。
「きゃっ!?」
俺の叫び声で目が覚めたらしいリアス嬢が短い悲鳴を上げて、飛び起きた。
『ちょ、何の騒ぎ!?』
『兄貴!?』
いかん! 俺の悲鳴を聞きつけた義母さんと一誠が来る。どうする? ここはーー!!
「ん?」
そこで俺はふと、自分の体を見下ろした。
「……うわ」
全裸だった。俺も一糸纏わずの姿。序でに昨日堕天使から受けた傷は無くなっていた。
それはさておき、こんな状態になっていたら? 当然、
(大人の階段上ったか……?)
そう考えてしまうだろう。性欲の権化である一誠でも無くても。俺だって健全な男子なんだし。
て、そんなこと考えている場合じゃない!! 今はこの状況を……。
「もう、どうしたの夏蓮。朝からそんな大声……」
出して、と続けたかったのか、義母さんが文句を言いながらドアを開けて、中を確認した瞬間、固まった。
「あ、どうも。おはようございます」
唯一、リアス嬢だけが朗らかに義母さんに挨拶している。
だが、義理とはいえ仮にも息子(全裸)が年頃の女の子(全裸)、しかも外国人と一緒に部屋の中にいるのだ。そうなれば、
「お、おおお父さーん!!!! 夏蓮が! 夏蓮がーーーー!!」
「ちょ、義母さん!?」
俺の制止も聞かず、義母さんは義父さんのことを叫びながら、階段を下りていった。
「……ん?」
そこで、ふと視線を感じた俺は、再びドアの方を見ると、
「畜生……俺よりも先に大人になるとは思っていたがこんなに速く、しかもリアス先輩なんて……羨ましすぎる……!」
一誠が血の涙を流さんばかりにこっちを見ていた。
「貴方の家族、中々個性的ね」
「……普段はこんなんじゃ無いよ。リアス嬢」
クスクスと微笑を浮かべるリアス嬢に、俺は半眼を向けるのだった。
D×D最新刊読んだらやばいくらい物語に引き込まれました。
速く次の巻が出るのが楽しみで仕方有りません