ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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最近更新が不安定で申し訳ありません。もう少ししたら落ち着くと思うのですが。

ある方のアドバイスを聞き、今後、ヒロイン希望等は一切受け付けないことを宣言します。もともと、ヒロインは既に決まっていますのでこれ以上何か言われてもお答えしませんのであしからず。


第四話

「くそったれ……酷い目にあった」

 

 よろめきつつ、俺は学園内を歩いていた。

 

 あの後、何とか二人の喧嘩を止めたわけだが……その後俺がネチネチと責められるわけで。

 

 面倒なので途中で理由付けて逃げ出してきたのだが……。

 

「理不尽だ……納得いかん」

 

 文句を呟く。恐らく俺が原因ではあろうが、ぶっちゃけ俺は蚊帳の外で話が進められたんだし。

 

 あーでも、お師匠様なら「情けない男のくせに!」とか言いそうだな。んで、翡翠からは小猫ちゃん並の毒舌と。

 

「…………」

 

 思わず、翡翠を思い出した。

 

 あいつは今何をしているのであろうか。あの日以来会っていない。まあ、俺が会うのを避けているのもあるけど。

 

 ……やめよう。どうせ俺が会いに行ったところであいつは会う気が無いだろうし、何より俺を許すはずが無い。

 

 空を仰ぐ。こんな時は空でも見て気持ちを落ち着かせた方が良いだろう。

 

「って、おい……」

 

 が、落ち着かせることは出来なかった。学園内に強い気配を感じたのだ。

 

 俺や一誠と同じような……恐らくドラゴンの気配。

 

 しかも一誠のと同じかそれ以上。つまりは――。

 

「こんなに早く接触してくるなんて、堕天使の関係者はサプライズ好きか!」

 

 毒づきながら俺は気配のする方に走る。

 

 すると、一誠ともう一人、黒っぽい銀髪をした美少年が対峙していた。

 

「一誠!」

 

 俺の言葉にこちらを向く一誠。

 

「兄貴!」

 

「ほう……」

 

 一誠の隣に立ち銀髪の少年を見る。

 

「よお、取り敢えず初めましてで良いんだよな白龍皇?」

 

「ああ、コカビエルの時はまともなあいさつが出来なかったからな。初めまして、俺の名前はヴァーリ。今代の白龍皇だ」

 

 やはり、白龍皇か。

 

「祐斗、ゼノヴィア手を出すな」

 

『っ!』

 

 後ろの二人が寸で止まる。恐らく手には得物があるだろう。

 

「悪いね。突然敵らしきヤツが来たら警戒しちまうのは当然だろ?」

 

「それは後ろの彼らが俺よりも弱いという事さ。真に強いならそこまで敏感になる必要は無い」

 

 実に正論だ事で。

 

「で? 何をしに来た? お前、自分の立場ってもんがあるだろ?」

 

「まあね。今日は俺の未来のライバル君の顔に改めて見に来たのと……」

 

 こちらを見て不敵に笑う。

 

「キミに会いに来たんだカレン・グレモリー」

 

「俺かよ……」

 

「当然じゃないか。かのレオン・グレモリーと『世界のバグ』とも言われた朝凪日月の子どもだ。注目しても当たり前だ」

 

 バグ? 『世界のバグ』って……母様、あんた一体何をした……。

 

「あの時の戦い。久しぶりに心震えたよ。是非また戦い」

 

「あーそう」

 

 しょーじきあの時は意識が半ば吹っ飛んでいたからな……ホント、何にも覚えていない。

 

 他の奴に聞くにはコカビエルの奴を一方的にボコッて、後から来たこの白龍皇と激闘を繰り広げたらしいけど。

 

 堕天使の幹部を一方的って……俺何した訳よ。

 

「正直、あんまり実感が無いんだよね。記憶が無いし」

 

「謙遜する事は無い。君は間違いなく強い。白龍皇たる俺が保証するよ」

 

 うーん、何か白龍皇の彼からの評価やけに高くないか? 俺からすれば初対面の奴にこうも言われるとどうも、ねえ?

 

「ふむ、本当はもう少し話をしておきたかったのだが、どうやらそうもいかないらしい」

 

 白龍皇は視線を外しながらそう言った。

 

「――どういうつもりかしら白龍皇? 貴方が堕天使側の者ならば、会談を前に不用意な接触は控えてほしいのだけども?」

 

 リアスが俺の横まで歩いて来て言う。既に制服に着替えており、朱乃や、アーシア。小猫ちゃんもいる。

 

「さっきも言ったろ? ただの挨拶さ。同じ二天龍としてね。天龍にかかわった者は碌な生き方をしないと言う。貴方はどうなるかな? リアス・グレモリー」

 

「っ!……」

 

 リアスの反応を見て面白がったのか、白龍皇はフッと笑うとそのまま踵を返して去っていた。

 

 完全に彼の姿が見えなくなって、やっと他の面々は息を吐く。

 

「――強い。僕たちが束になって勝てるかどうか」

 

「まともに相手が出来るのはカレン・グレモリーぐらいだろう」

 

 祐斗とゼノヴィアがそう評する。

 

「つか、結局何しに来たんだあいつ?」

 

 顔合わせと言っていたが、そこまでやる必要があったのだろうか? 会談で否応なく会うわけだし。

 

 まあ、事前に会っておくのも悪くは無かったけど、まるで台風みたいな奴だったな。

 

「……リアス?」

 

 ふと、横見ればリアスは未だに固まっている。いや、正確に言うならば、緊張した面立ちだ。

 

 ……ふむ。

 

 何となく、彼女の頭に手を乗せる。そのまま少し撫でてやる。

 

 リアスが驚いた顔でこちらを見る。

 

「大丈夫さ。あれが来たとしても、返り討ちにしてやる。そう心配するな」

 

「……ええ」

 

 漸く、緊張の面差しを解くリアス。少し笑ったのは可愛いね。

 

******

 

「憂鬱ね……」

 

 まるでこの世の膿でも落とすかのようなため息を付くリアス。

 

「そこまでか……?」

 

 隣に座る俺は苦笑するほかない。

 

 白龍皇の来訪から次の日。俺たちは授業参観の日を迎えていた。

 

 普通、高校三年にもなってくる親がいるかとも思ったが、実際案外来るらしい。中等部の方からも結構な見学者が来るって言うし、一大イベントの一つってヤツだな。

 

 うちの養父母も来るそうだ。義父さんに至っては有給を取って来るそうだ。ビデオカメラを調整していたし、小学生の子供の運動会でも見に行く気か、と突っ込みたくもなる。

 

 まあ、観に行く目的は俺たちじゃなくてアーシアだが。野郎よりかは可愛らしい娘を観たいのは分かるけど。

 

 というわけで、養父母は二年の一誠たちの教室にいる。で、こっちはと言うと……。

 

 教室がざわめていてる。まあ当然だな。何せ後ろにいる父兄の中に凄いのがいるからだ。

 

 授業中という事もあってチラリと、目線だけ動かしてみる。

 

 三年という事で一年や、二年よりかは少し少ないが、それなりにいる父兄の中に二人の一際輝いているヒトがいた。

 

 一人はサーゼクス兄さん。朗らかな笑みを浮かべて俺たちを見ている。その笑みに、父兄の中のお母さん方は子供の授業そっちのけで頬を赤らめて夢中になっている。

 

 もう一人は俺たちと同じ紅色の髪を持つダンディなイメージを抱かせる男性。まあ、リアスの父親。つまり俺の叔父上なんだが。

 

 ぶっちゃけ授業になっていない気がする。生徒の多くは二人を見ているし、前に立つ教師も教師で緊張しているし。なんだこれ。

 

「もう最悪ね……」

 

 隣に座るリアスが頭を抱えている。

 

「分からんでもないが、そこまでか?」

 

 黒板を見ながら小声でリアスに話しかける。

 

「そりゃあ、落ち着いていないけど、まあ、この程度なら問題は――」

 

 俺の言葉を遮るようにリアスが首を振る。

 

「別にそこは問題じゃ無いわよ。あれよ」

 

「……あれか」

 

 漸くリアスが何を言っているのか悟る。

 

 こっそり後ろを向くと、二人がいる。で、サーゼクス兄さんの手元にはビデオカメラが収まっている。

 

 カメラは俺たちに向けられてずっと撮られている。

 

 ……確かに最悪だな、うん。

 

 この年になっても授業参観をビデオで撮られるとか、笑えねえ。今頃、一誠もこんな気持ちなのかねえ。

 

「――グレモリーさん、この部分を」

 

「は、はい!」

 

 教師に指名されて、教科書を手に慌てて立ち上がるリアス。

 

 そして、指定されたところをスラスラと答えていく。

 

「はい、その通りです」

 

 見事に正解し、席に座りなおすリアス。

 

「父上、リアスは立派に答えていましたね」

 

「うむ、我が娘ながら素晴らしいものだ」

 

 ――後ろから聞こえてくる際限ない褒め言葉に顔を羞恥に包みながら。

 

「はは、大丈夫かリアス?」

 

「カレン、貴方楽しんでいない?」

 

「まさか」

 

 肩を竦めて答えておく。

 

 実際そうなのだけどね。こんなリアス滅多に見れないから割と面白い。

 

 

 

 ――この後、俺も同じような状況になり、リアスにからかわれた訳だが。

 

 

******

 

「……疲れた」

 

「全くだ」

 

 休み時間。廊下にて二年生の一誠たちと俺たちは会っていた。

 

 俺とリアスは授業の疲れに顔を歪ませていた。

 

「そんなに緊張したのか?」

 

「緊張つうか……なあ?」

 

「ええ。羞恥心との戦いだったわ」

 

「はあ……」

 

 要領が掴めないといった感じの一誠。

 

「そっちはどうだった? 確か、英語だったろ」

 

「ああ……」

 

 話を振られて少し苦い顔になる一誠。

 

「どうした」

 

「……粘土」

 

「は?」

 

「粘土使ってイメージしろって」

 

「いや、え、英語だよな?」

 

 何で英語で粘土使うんだよ! ほんと大丈夫かこの学園!?

 

 悪魔が経営しているとこんな感じなのかと頭を痛めていると、祐斗が小走りでこちらに来た。

 

「祐斗、どうかしたの?」

 

 リアスが声を掛ける。

 

「いえ、何でもあっちで魔法少女がいるとか……」

 

 ……魔法少女?

 

 

******

 

 パシャ! パシャパシャ!

 

 祐斗が言っていた魔法少女がいるという場所に行って見れば大量のフラッシュがたかれており、小さな撮影会みたいなのが行われていた。

 

 フラッシュに目を細めながら中心を見てみれば、成程。確かに魔法少女がいた。

 

 魔法少女はキラリ、と星が浮かびそうなポーズを取りながらノリノリで撮影されていた。

 

「なっ!」

 

 リアスが驚いた顔をしている。どうやらリアスの知り合いらしいけど、誰かね。

 

 リアスの知り合いって事は悪魔で、かなりの地位のヒトだと思うが……こんなヒト、グレモリー一族にいたかな?

 

 あ、いや、グレモリーは紅髪を持っているから無いかな? 誰だろ。

 

「オラオラ! 天下の往来で撮影会たーいいご身分だぜ!」

 

 そんな事を言いながら生徒会の匙君が撮影の中心場所に割り込む。

 

「ほら! 撮影終了だ! 今日は授業参観だぜ! 撮影会じゃねえんだ!」

 

 手を身振り手振りしながら集まった人たちを散らす。

 

 撮影していた人たちは不満を口にしながらも辺りに散っていく。

 

 後に残った魔法少女に匙君は注意する。

 

「あんたも、何やってんだ。保護者の方ならそんな恰好でいらっしゃるのは……」

 

「えーだってこれが私の正装なんだもん!」

 

 もん! って、もんって。匙君も額に青筋を立てている。

 

「サジ、何事ですか。揉め事が起きたら速やかに片付けるようにと言ったはずですが」

 

 と、そんな時、ソーナがそんな事を言いながらこちらに来た。近くにはサーゼクス兄さんと叔父上がいた。

 

 確か、学園を案内するとか言っていたな。その過程でこちらに来たんだろう。

 

 だけど、ソーナの奴、魔法少女を見た瞬間に固まったな。ソーナの知り合いでもあるのか?

 

「ソーナちゃん見ぃ付けた!」

 

 魔法少女が嬉しそうにソーナに抱き付く。

 

 ふむ、ソーナの知り合いらしいな。抱き付くって事は家族……妹かな?

 

「ああ、セラフォルー。君も来ていたのか」

 

 サーゼクス兄さんがそう言う。

 

 ……ん? セラフォルー? どこかで……。

 

「レヴィアタン様よ」

 

「え……?」

 

「セラフォルー・レヴィアタン様。四大魔王のお一人よ。そしてソーナのお姉さまでもあるわ」

 

「え、ええええええぇぇぇぇぇ!?」

 

 一誠が驚きの声を上げる。かくいう俺も驚きを隠せない。

 

 この魔法少女コスプレをしている少女が魔王。しかもソーナの姉!?

 

 唖然としている俺を尻目にリアスが魔法少女――セラフォルー様に挨拶する。

 

「お久しぶりですセラフォルー様」

 

「はーいリアスちゃん☆ お久しぶりです!」

 

 軽いな。何というか、全体が軽い。魔王とは全く思えない。

 

 普段を知っているであろうリアスも戸惑いながら答える。

 

「今日はソーナの授業参観に?」

 

「そうなのよ! なのにソーナちゃんったら教えてくれなかったのよ。お姉ちゃん悲しくて天界に攻め込もうとしちゃったんだから!」

 

 えーそんな理由? そんな理由で天界に攻めるの?

 

 思わずため息を付く。

 

 もしかしなくても、コカビエル戦にセラフォルー様を呼ばなかったのはこれが影響しているんだろうなー。この姉が来ていたら今頃悪魔と堕天使の大戦争勃発していただろうし。

 

「あれ? サーゼクスちゃん。この子が……」

 

 俺に気づいたセラフォルー様がまじまじと俺を見詰めてくる。

 

 てか、サーゼクスちゃん!? 同じ魔王とはいえ、ちゃん付けとか……すげえなおい。

 

「ああ、彼がカレンだ」

 

 サーゼクス兄さんも普通に受け答えしている。これが普通なんだろうな。

 

「お初、と思いますが、カレン・グレモリーです。どうぞ、よろしくお願いします」

 

 まあ、取り敢えず挨拶はしておこう。こんなんでも魔王だし。

 

「うわーうわー! 話には聞いていたけど、本当にレオンの叔父様にそっくり!」

 

 興味津々といった感じで俺の周りをグルグルと回るセラフォルー様。

 

「う……」

 

 ジロジロとみられてあまり気分が良くない。

 

「セラフォルー、それくらいに。カレンが困っている」

 

 困る俺を見かねてサーゼクス兄さんが助け舟を出してくれる。

 

「ああ、ごめんなさい。つい」

 

 そう言って俺の前に再び立つ。

 

「魔王の一人セラフォルー・レヴィアタンです! 気軽に『レヴィアたん』って呼んでね!」

 

 横ピースをしながらそう言うセラフォルー様。

 

 ……。

 

 …………い、言えるかああああああ!!

 

 




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