ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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今回からストーリーに少しオリジナル要素を加えていきたいと思います。これが合わない方はまあ、ブラウザバックを。

後、前話で話的に矛盾している場所を少し直しておきました。読んでも読まなくても今後の物語には特に影響はありませんので大丈夫です。


第六話

「視界に写した物を何でも停止させるか。チート臭いな、おい」

 

 部室に移動し、未だにブルブルと震えているギャスパー君を見て俺は言う。

 

「あら、貴方やイッセーの神 器(セイクリッド・ギア)だって大概だと思うのだけれども?」

 

 からかう様にリアスが言う。

 

「一誠は兎も角、俺のは使いどころが難しいからな。何とも言えん」

 

 俺の神 器(セイクリッド・ギア)、『灼 銀 の 龍 刃(グロリオ・ドラゴ・エッジ)』はその能力上、使い本人が強く無ければその効果を発揮できない。

 

 相手の攻撃を吸収出来るのはエネルギー系だし、それも俺の容量(キャパ)を超えたらしきれずにダメージを負う。

 

 まあ、俺が使っているから強いに見えるだけで実際はそんなに強くは無いんだよな!

 

『――言ってくれますね』

 

 リンドが何か言っているが無視しておこう。

 

 さて、今は俺や一誠は置いておいてギャスパー君だ。

 

 リアスが言うには彼は吸血鬼と人間のハーフ。吸血鬼としては名のある名家の出身だそうだ。

 

 ただ、吸血鬼は悪魔以上に純血を好み、ハーフには立場が殆ど無いらしい。

 

 加えて、時間停止の神 器(セイクリッド・ギア)も気味が悪られてしまい、家には本当に居場所が無かったそうだ。

 

 ……帰るべき場所に居場所が無い。どんなに辛い事か。彼の気持ちは心中察する。

 

 結局、彼は家を出て外で生活を始めたそうだが、今度は人間からも嫌われ、最終的には吸血鬼ハンターに討たれそうだ。

 

 死の間際、偶々通りかかったリアスがその命を助けたそうだ。

 

 何というか、波乱万丈という言葉が正しく使われるような人生だな。

 

 ただ、能力は非常に高いらしく、かなりの潜在能力があるらしい。

 

「しかし、よくそんなヤツを僧侶(ビショップ)の駒一つで転生させることが出来たな」

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)を使ったからね」

 

「? 何だそれ」

 

 変異の駒(ミューテーション・ピース)。本来ならば複数の駒が必要な転生が一つで済ませる事が出来る特別な駒だそうだ。

 

 リアスはそれを使いギャスパー君を転生させたそうだ。

 

「へーそれまた便利なもんだ」

 

「何言ってるの、貴方にも使ったのよ」

 

「はい?」

 

 俺に?

 

「あなたを転生させる際、戦車(ルーク)の駒じゃ足りなかったの。だから最後の変異の駒(ミューテーション・ピース)兵士(ポーン)を使ったのよ」

 

「成程」

 

 確かに、俺と一誠を同時に転生させるにはいくらなんでも駒が足りないか。一誠は兎も角、最悪俺は兵士(ポーン)の駒八つでも足りなかったかもしれないし。

 

 

******

 

 その後、段ボールの中に引きこもっているギャスパー君を一誠たちが何とか外に出すように特訓させることになり、リアスと朱乃は会談の打合せ。祐斗はサーゼクス兄さんに聖魔剣関連で呼ばれて行った。

 

 で、俺はと言うと、

 

「――で、何の用だよ堕天使の総督さんよ」

 

「つれないな。ま、一緒に釣りでもどうだ?」

 

「断る。釣りは嫌いだ。全然釣れん」

 

 そりゃお前の技量だろうな、と肩を竦める堕天使――アザゼル。

 

 現在、俺はアザゼルと密会中だった。この男が俺にだけ分かるようにメッセージを送ってきたのだ。

 

「しかし、罠だと思わなかったのか? 俺がお前を洗脳するとかしたかもしれないぞ?」

 

 悪戯っ子のような笑みを浮かべてそう言うアザゼル。

 

「まさか。するわけ無いだろ? あんたはそういうヤツじゃないってサーゼクス兄さんが言っていたしな」

 

「んだよ、サーゼクスの奴は信頼してんのか」

 

「当たり前だろ」

 

 あのヒトを信じないという選択肢は俺に無い。それくらいには信頼しているつもりだ。

 

「まあ、良い」

 

 そう言ってアザゼルは目の前の川に釣り糸を垂らす。

 

「で、俺にこんな周りくどいやり方で会いに来たんだ。何が目的だ?」

 

 そこまでの危険性は無いだろうけど、それでも緊張状態にある勢力の長との対面だ。慎重になる必要がある。

 

「なに、お前に会談前にどうしても聞きたいことがあってな」

 

「聞きたいこと、ねえ」

 

 碌な事とは思えんが。

 

「神星剣って知ってるか?」

 

 アザゼルの唐突な質問に俺は答えを窮する。

 

 神星剣?

 

 リンド、知ってるか?

 

『いえ、初めて聞きましたが……』

 

 リンドも知らないと。

 

「何だとそれ?」

 

「やっぱ知らんか。まあ良い。教えてやる」

 

 アザゼルは言葉を続ける。

 

「神星剣ってのは文字通り神の力と星の力を宿した伝説の剣の事を言う。その威力は並の聖剣、魔剣を凌駕する」

 

「神は分かるとして……星?」

 

「ああ、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。これら八つの星の力を宿した剣だ。一本だけでも神滅具(ロンギヌス)と同等かそれ以上の力を持つ」

 

 神星剣。今の話を聞く限りでとんでもないモノだと言うのが分かる。

 

 つまり、一誠やヴァーリの神器と同等クラスの力を秘めていると言うわけだ。

 

「元々はこれらの星の欠片を聖書の神が自らの力を注ぎ込んで作り上げた代物だったんだが……余りの力の強さに聖書の神自らが封印した」

 

 アザゼルが話を続ける。

 

「これらの剣の利点とも欠点とも言えるのは、種族関係なくほぼ使える事だ」

 

「はあ?」

 

 何だその出鱈目は。

 

「聖剣は基本的に天使や、人間にしか使えんだろ? だが、神星剣にはそれらの制約が無い。もし、悪意あるものの手に渡れば世界の均衡が大きく崩れる。――俺も一度だけしか見たことが無かったが、本当に凄まじい力を秘めていたよ」

 

 昔を思い出しているのだろうか、遠い目をするアザゼル。

 

 そうか、堕天使という事はこの男も昔は天使だったんだな。なんで堕天したかは知らんけど。

 

「で、だ。封印し、それで終わりだったら良かったんだが、この神星剣、八つとも大戦の影響で全て行方知れずになった」

 

「……最悪じゃん」

 

 神滅具と同等クラスの力を持つ剣が行方知れず。しかも、それらの剣は誰にも使えると言う。非常に危険としか言いようが無い。

 

「天使たちも躍起になって探したらしいけど、見つからなかったらしいな。――一つを除いて」

 

 アザゼルはそこまで言い、一旦口を閉じ、次にこちらを見る。

 

 その視線はどこまで鋭く、俺は思わず身構えそうになった。

 

「で、だ。お前、神星剣の行方を知らねえか」

 

「はあ?」

 

 思わず、そんな言葉が口から出た。

 

「何で俺が知ってるって思ったんだよ」

 

 そもそも、俺は神星剣自体この話を聞くまで存在そのものを知らなかったんだが。

 

「そりゃあ、簡単な話だ。唯一行方の知れていた神星剣を持っていたのがお前の母親だったからだ」

 

 っ!

 

「俺の、母様が?」

 

 漏らすように声を出す。

 

「そう、『世界のバグ』とまで言われたほどの実力を持つお前の母親、朝凪日月が所有していた神星剣の一本。その行方が分かるのは最後に会ったお前だけだ」

 

「……悪いけど、本当に何も知らない。恐らくだけど、母様本人だって分からなかったと思う」

 

「どういう事だ?」

 

「母様は記憶を失っていた。どこまで覚えていたか、正直、全く分からない」

 

 俺自身、記憶を失い、母様本人も記憶を失っていた。

 

 どこまで忘れていたかは分からないが、それでも、多分親父の事は殆ど忘れていたと思う。

 

「…………」

 

 ジッと俺の事を見詰めるアザゼルだが、やがてため息を一つ付く。

 

「――分かった。お前の言葉を信じよう。嘘を付いているには見えんからな。――となると、奴らか?」

 

 ぶつぶつと、独り言を始めたアザゼル。

 

「って、まあ良い。俺が聞きたかったことはそれだけだ。態々すまなかったな」

 

「……まあ、良いけど」

 

 神星剣。神が作った星の剣。俺の母様が持っていたと言うが、本当のところ、どうなんだろうか。

 

******

 

「おろ? どうかしたか?」

 

 旧校舎に戻ってみれば、一誠と祐斗がギャスパー君の部屋の中にいた。

 

 で、部屋の主であるギャスパー君は段ボールの中に入っていた。

 

「お、兄貴、丁度いいところに。今、オカルト研究部男子での話をしてんだ」

 

「んー?」

 

 話を聞いてみれば、ギャスパー君と親交を深めるために色々と話をしているのだという。

 

「良いね。俺も混ぜてくれ」

 

「そうこなくちゃ!」

 

 俺も部屋に入り、話の中に加わる。

 

「で、さ。兄貴と木場が周りを防備している間にギャスパーが女の子を止めて俺が胸を揉む! どうよこれ」

 

「どうよじゃねえよ。お前だけ良い思いしてんじゃん」

 

「お、何だよ兄貴も揉みたいのか? 相変わらずむっつりだな~」

 

「ば、誰がむっつりだ! 俺は断じてむっつりでは無い!」

 

「嘘だね。こないだ部長が兄貴の部屋で兄貴のコレクション見ていたのを俺見たし!」

 

「ごふっ!」

 

 むせた。そりゃあ、もう盛大に。

 

 ば、馬鹿な!? リアスに見つからない様に表紙を使わなくなった問題集のヤツを掛けて本棚の隅に隠したんだぞ!? 何故見つかる!

 

「ぐ、ぬぬぬぬ。次はもっとちゃんとした隠し場所……いや、一誠のところに置いておくか?」

 

「おい」

 

 俺の呟きに一誠が突っ込み、祐斗とギャスパー君は苦笑い。

 

「え! じゃあカレン先輩とリアス部長って本当に従兄弟なんですか!?」

 

「そうだけど……そんなに驚く?」

 

「いえ、確かに、同じ紅髪だし、雰囲気も何となくだけど似ているから不思議じゃありませんけど……ほえー」

 

 マジマジと俺を見詰めるギャスパー君。

 

 何かむず痒さを感じるな。

 

 その後も俺たちは男水入らずで話を続けた。

 

******

 

「ここだよな……?」

 

「ああ、ここだな」

 

 とある日、俺と一誠はある神社に来ていた。

 

「あら、二人ともよく来ましたわ」

 

 声のする方を向けば、そこにいたのは巫女服を着た朱乃だった。

 

「朱乃さん!」

 

「よう」

 

 それぞれ挨拶を返す。

 

 俺たち兄弟は朱乃に呼ばれてこの神社に来たのだが……。

 

「悪魔の俺たちがこの神社に入っても問題ないのか?」

 

 悪魔、俗にいう邪の存在である俺たちが教会や神社といった神聖な場所に入ることは原則禁じられている。相容れぬ存在だからだ。

 

「それなら問題ありません。この神社は随分昔に寂れて、誰もおらず、尚且つ裏で取引が行われて悪魔でも特別に入る事が許可された場所なのです」

 

 ふーん、そんなこともあるのか。

 

「朱乃さん、もしかしてここで生活しているんですか?」

 

 隣を歩いていた一誠がそんな質問をする。

 

「ええ、先代の神主から引き継ぐような形で」

 

 つか、朱乃って巫女服姿が良く似合うな。元々巫女に関わりがあったのか?

 

「そういや、今日俺たちを呼んだのは? リアスから何も聞いていないんだけど」

 

 ただ神社にいる朱乃に会いに行けと言われてそのままだったのだが……。

 

「今日は二人にあるお方に会っていただく為です」

 

「あるお方って……!」

 

 第三者の気配を感じ、バッと顔を上げる。

 

 そこにいたのは十二枚の黄金の翼を持つ美青年。頭の上に光り輝く輪を浮かばせている。

 

 まさか、まさかしなくても天使――! それもかなりの最高位の!

 

 唖然とする俺と一誠を見て、青年はフッと微笑を浮かべて名乗る。

 

「初めまして、私はミカエル。天使長を務めております」

 

******

 

 ミカエル。四大天使の一人。熾天使の位を持つ天使の長。

 

 聖書の神を死亡した今、教会はこのヒトが取り仕切っているようだ。

 

 で、今回俺たちを呼んだのは一誠にあるものをプレゼントする為。

 

 聖剣アスカロン。

 

 かつて、龍殺しの英雄ゲオルギウスが扱った龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の属性を持つ聖剣だ。

 

 ドラゴンを宿す一誠が持つのもなんだかおかしな気もしたが、ミカエル様が言うにはこれを機に三大勢力で手を取り合いたいと願っているらしい。

 

 で、このアスカロンはその手土産のプレゼントらしい。

 

 ……正直、剣がからっきしの一誠が持っていても宝の持ち腐れだと思うが、そこは神器にくっつけたりと色々と考えているようだ。

 

 そして、

 

「こうして二人で顔を合わせるという事は、私に内密のお話があると言う事で宜しいですかミカエル様?」

 

 神社のある一室で俺はミカエル様と対峙している。

 

 聖剣を無事に融合させることに成功した一誠は先に帰ってもらい、朱乃は別室で待機してもらっている。

 

 朱乃は心配そうにしていたが、何とか出て行ってもらった。

 

「はい。貴方、いえ、正確には貴方の母親である朝凪日月の……」

 

「神星剣についてなら、私は何も知りません」

 

 ミカエル様の言葉に被せるように俺は言う。

 

 俺の言葉に詰まるミカエル様。

 

「……ご存知でしたか」

 

「あるヒトから聞きましたので」

 

 アザゼルの事を出すと色々と面倒そうだからな。置いておこう。

 

「嘘を言ってるわけでは無いのでしょう。そうでしたか……残念です」

 

 本当に残念そうに言うミカエル様。

 

 俺はそれに少しある違和感を感じた。

 

「失礼ですが、ミカエル様、貴方は何故そこまで神星剣に拘っているのです?」

 

「…………」

 

「神星剣の話は神滅具(ロンギヌス)クラスに匹敵すると聞きましたが、正直、貴方がそこまで必死になる理由が分からない」

 

 神滅具(ロンギヌス)は確かに極めれば神をも屠る事が可能だと言う。だが、三大勢力も探してはいるものの、血眼になっているとは言えない。

 

 だけど、神星剣は別だ。不確かとはいえ、情報が出た瞬間、三大勢力のトップの二人が俺に接触してきた。

 

 何かある。種族関係なく巨大な力をふるう事が出来るとかそんなのとは関係なく、神星剣には秘密がある。それも、三大勢力のトップが慌てる程の何か。

 

「……申し訳ありません。お話しする事は出来ません。それ程までに重大かつ危険極まりないからです」

 

 明確な拒絶。だけど、これで神星剣には大きな秘密があるとはっきりとした。それが何なのかは分からないが。

 

「ですが、神星剣は何としても回収しなければならない。それだけはお伝えしておきます」

 

 こうして、俺と天使長の会談は終わった。

 

 




はい、オリジナル要素『神星剣』。

もろ中二病ってやつですね。でもずっと出したかったんだーーーー!!

今回は展開を早くし過ぎた部分があります。ちょっとそこは反省ですね。
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