「何だ……?」
違和感を感じ、辺りを見渡す。
サーゼクス兄さん達トップは顔を険しくして話し合っている。アザゼルは楽しそうに笑みを浮かべているが。
他のウチのメンバーは……半々だな。
リアスや祐斗、ゼノヴィアは動いている。だが、他のメンバーは軒並み停まっている。
「――ギャスパー君の停止能力か」
そうとしか考えられない。この感じは以前のヤツそのままだ。
「間違いないようね」
リアスたちが近づいてくる。
「ああ。……所でゼノヴィア、何でデュランダルなんて出しているんだ?」
ゼノヴィアの手元にある物騒そうな聖剣――デュランダルを見る。
見るからにやばい雰囲気を持っている。暴れ馬っていう表現は正しいだろう。
「時間停止の感覚は前に覚えたのでな、デュランダルのオーラを使えば防げると思ったが……上手くいったようだ」
はは。すげえ。感覚で覚えたか。この子、ある種の天才タイプだな。
「祐斗も聖魔剣で?」
「はい、何とか」
祐斗は聖魔剣。リアスは滅びの魔力が関係しているんだろう。
俺はドラゴンの力と俺個人としての力。
てか、ドラゴンの力だったらあいつも行けるんじゃね?
そう思い、俺はあいつ――一誠の元に近づく。
相変わらずなアホ顔を晒して何をやっているのやら……。
「おい、一誠」
ペチペチと一誠の頬を叩く。無反応。
「ふむ」
赤龍帝の力なら問題ないと思うのだが、如何せん、一誠の素の力がダメと言うわけか。
どうしたものか。刺激を与えたところで何かなるわけでも無いだろうし。
こういう時の用の知識を生憎と持ち合わせていない。完璧に手詰まりだ。
「……ん?」
何気なく窓の外を見る。外で何か光っている……?
一誠から離れて窓の方を見る。
窓から見える校庭に大きな魔方陣が浮かび上がっている。
「何だあれ」
「転移の魔方陣だな。だが俺たちのもんじゃない」
俺の呟きにいつの間にか近くに来ていたアザゼルが答えた。
「分かるのか?」
「ああ。あれは魔術師どもが好んで使っている転移魔方陣だな」
アザゼルの言葉が正しいのを裏付けるように魔方陣から続々とローブを着こんだ者たちが現れた。
「どう考えても……歓迎ムードじゃないな」
どいつもこいつも敵意むき出しでこちらを睨み付けている。
そして手元に魔方陣を浮かばせて、次の瞬間、炎、氷、雷などあらゆる属性の攻撃がこちらに迫ってくる。
思わず迎撃しようと身構えるが、
「大丈夫だ」
「え?」
アザゼルの言葉に体が止まる。
攻撃が校舎に当たったと思った瞬間、何かに阻まれるように止まり、霧散する。
「これは」
「結界だよ。今、俺たちで張った」
なんでもない様に言うけど、やっぱりこいつも三大勢力のトップなんだな。あのコカビエルよりも実力は上って言うし。
「しかし、あの魔術師たちどこの奴らだ? ここが三大勢力の会議が行われている場所だって分かってやっているのか?」
「恐らくそうだろう。いつの時代も平和を嫌う奴らはいるもんだ」
「……なにか、あいつらはこの会議をぶっ壊そうと考えているのか?」
だとしたら、勇気があるな。仮にも三大勢力のトップたちがいるんだ。自分たちだってただで済むはずが無いだろうに。
「たく」
めんどくさそうにアザゼルが腕を上げる。
すると、上空に極太の光の槍が何個も浮かび上がる。
そして、アザゼルが腕を振り下ろすのと同時に槍が魔術師たちに迫る。
魔術師たちもも防御用らしき魔方陣を展開するも紙の如くあっさりと貫かれていく。
……一瞬で全滅したな。まるで相手になっていない。
「ん?」
再び転移魔方陣が輝くと――また魔術師どもがぞろぞろと現れた。
……何これ。無限ループってやつか?
「ちっ、成程な。俺たちの足止めか」
「足止め」
つまり、トップを足止めしている間に何かすることがあるって訳か。
「兄貴!」
お、一誠も動き出したか。
「どうなっているんだこれ?」
「テロみたいだぜ」
「テロぉ!?」
驚く一誠。
まあ、悪魔とはいえ、元日本人としては当然の反応か。
「あのハーフヴァンパイアの小僧の神器を強制的に禁手化したんだろう。外の軍勢をそれのお蔭で停止しちまったんだろう」
流石は自称神器研究者。神器に関しては分析力は本物らしい。
「このままだと俺たちの誰かが停まるな。その前に何とかハーフヴァンパイアの小僧を止めないといけないな」
ギャスパー君を何とかしないと敵の思う壺か。
「しかし、私たちは今下調べの為動けない。となると……」
サーゼクス兄さんの言葉にリアスが一歩前に出る。
「お兄様、私が向かいます。ギャスパーは私の眷属。ならば私が助けるのが道理です」
さっすがリアス。強いねえ。
「ふむ、しかし、どうやって行く? 外は敵だらけだ」
「旧校舎の部室に未使用の『
「成程、キャスリングか……」
キャスリング。『
「グレイフィア。私の力で何人飛ばせる?」
「この現状ですとお嬢様も入れて二人だけかと」
二人か……。
「なら、俺が……!?」
――ドクン!!
何かが俺の中で脈打つ。
「あ、が……?」
胸を抑える。
何だ、これ……? おい、リンド。何か起こっているのか?
『さあ、私には何とも』
リンドじゃ、ない……? じゃあ一体……。
「カレン!?」
血相を変えてこちらに駆け寄ってくるリアス。一誠たちも心配そうに見てくる。
「だ、大丈夫、だ……うぐ!?」
再び襲う衝撃。
な、何なんだよ……これ!? 一体どうなっている?
窓に寄りかかる。
そして、窓の外を見る。
外は相変わらず魔術師どもがこちらに攻撃している。相も変わらない自殺願望者がうじゃうじゃとしているな。
そして、その中にあいつがいる。
「…………」
他の魔術師連中とは違う高級感が溢れる金色の装飾が施された黒いローブを身にまとい魔術師たちの中に佇んでいた。
黒ローブがこちらを……俺を見る。
俺の瞳とヤツの――金色の瞳が交わる。
「あの、瞳は……」
――覚えている。あの瞳を、俺は覚えている。
窓を開ける。
「カレン……?」
「……
素早く鎧を身に纏う。
「ちょっと、カレン!?」
リアスの言葉を無視し、俺は勢いを付けて飛び出す!
魔術師どもが俺に気づき、一斉に攻撃をしてくるが、気に留める必要は無い。躱すか、吸収していく。
そして、黒ローブに近づき剣で斬りかかる!
――ギイイイィィン!!
金属音と共に衝撃波が辺りに広がる。
魔術師どもがその衝撃に飲まれて吹き飛んでいく。
「それは……」
俺の剣を受け止めたのはやはり剣。
だが、圧倒的なまでに神々しいオーラを漂わせている。
刀身は神々しさ反するように闇色に光っており、柄には刀身と同じ闇色の宝玉が埋め込まれている。
神星剣。
「お前は、お前は――!」
「ほう、私を覚えているか、カレン・グレモリー」
何が嬉しいのかフードの中で笑みを浮かべる黒ローブ。声から察するに男だろう。
だが、そんな事はどうでも良い。こいつは、こいつは――!
「ぐ、おおおおおぉぉぉぉおおお!!」
******
「おいおいおいおい! あいつ誰か止めろ!」
普段から不敵な笑みを浮かべているアザゼルが珍しく焦っている。
私、リアス・グレモリーはアザゼルに詰め寄る。
「どういう事アザゼル! ちゃんと説明なさい!」
頭をガシガシと掻きながらアザゼルは言う。
「――神星剣だ」
「え?」
「今、カレン・グレモリーと戦っているヤツが持っているのは神星剣の一本、冥王星神剣《プルトーネ・グラディウス》だ!」
アザゼルの言葉に場が騒然とする。
「アザゼル確かか?」
お兄様が深刻そうな表情で聞いてくる。
「ええ、間違いないでしょう。私も一度見たことがあります」
ミカエル様が言う。
「そんな……」
神星剣。この前カレンから話を聞いていたけど、お兄様達がここまで警戒するなんて……。
「カレンちゃん止めたほうが良いじゃないの?」
セラフォルー様が心配そうに言う。
「今のカレンに話が届くとは思えんが……」
お兄様が苦い顔でそう言う。
皆がカレンの方を見る。
『ああああああああぁぁぁぁぁ!!』
『…………』
獣の如く咆哮を上げて縦横無尽に斬りつけるカレン。神星剣を持っている方はそれを涼やかに受け流している。
「あれじゃ聞かないな……チッ! おい、ヴァーリ!」
アザゼルが白龍皇を呼ぶ。
「カレン・グレモリーを援護してやれ! あれはお前の大好きな強いやつだ」
「やれやれ……了解した」
白龍皇が背中に光の翼を展開する。あれが彼の神器なのだろう。
「
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!!!』
音声の後、白龍皇の体を鎧が身にまとう。
カレンによって開けられた窓から外に出ると、高速で一気に向かう。
「……カレンは白龍皇の彼に任せよう。リアス、君はギャスパー君を助けに行きなさい」
「お兄様、でも……」
チラリと外を見る。カレンと黒ローブ人物。そして合流した白龍皇の三者入り乱れての戦闘が行われていた。
攻撃一つで地面が抉れるような激しい戦いだ。
「カレンが心配なの分かる。だけど、ここはギャスパー君を急いで救出しないと敵の思う壺だ。カレンの事は下調べが終わったら私が行く。お前はお前の出来る事をやりなさい」
「……分かりました」
そう言いつつも、私の意識はカレンの方を向いていた。
ギャスパーが心配なのはそうなのだが、どうしてもカレンの方に意識が向いてしまう。
さっきのカレンの暗い笑みが影響しているのだろうか。神星剣の使い手のところに行った際の尋常じゃない雰囲気も関係していると思う。
「部長」
「イッセー……」
イッセーが近づいてくる。
「俺が一緒に行きます。ギャスパーを早く助けて兄貴も助けに行きましょう! 大丈夫ですよ、兄貴は俺たちの中で一番強いですから!」
本当は自分も直ぐにでも行きたいだろうに。
ダメね。眷属に悟らせられるなんて……主失格ね。
息を一回吸う。そして吐く。
「分かったわ。行きましょう!」
「はい!」
待っててカレン。直ぐに行くから。
******
「はあああああああ!!」
自分でも驚くような声を上げながら俺は斬りかかる。
「ハハ」
この余裕ぶっているのがムカつく。俺の剣を全て受け切っているのがムカつく。
こいつの全部が気に入らない。
「貴様! 何者だ!」
気づけばそんな言葉が出ていた。
「おや、私を覚えていないのかなカレン・グレモリー?」
「つまり俺はあんたを会ったことがあるんだな! それだけ聞ければ十分だ!」
間違いない、無くした記憶の中で俺はこいつに会っている! そしてもう一つ。
――こいつは敵だ。殺すべきだ。
「この……!」
だが、こいつの実力がかなりのものなのは確かだ。
剣技自体はそこまでものじゃない。けど、素で負けている。
こいつ、身体能力がけた違いだ。鎧を身にまとっている俺が軽くいなされている。
そこまで考えた時だ。
これまで守勢に回っていた神星剣使いが攻勢に転じる。
単純な横薙ぎや袈裟切り。だけども、速さが半端じゃない!
「っ!」
一斬、二斬。と斬りかかってくる。
剣で全部受け止める。
「くそ!」
一撃一撃が重い! この!
一旦距離を取る。一回態勢を立て直さないとな。
「ふう……ん? ってはあ!?」
一息つく。そしてふと剣を見てビビる。
剣が……折れる寸前じゃねえか! え、どういう事!?
おいリンド! 何がどうなっている!? そこまで軟じゃないだろ
『仕方ないでしょう。相手が悪すぎます。私が強度を高めたとしてもそう上手くはいきません』
つまり格は全部あっちが上かよ。くそったれめ。腹立たしいぜ……。
あーやばいイライラしてきた。あいつぶっ殺さないとこれ収まらないな。
『…………』
リンド?
『……いえ。剣と鎧は壊れそうになったら即座に修復しますが、くれぐれも当たらない様に。あれはあらゆる種族に対して天敵となりうる剣です』
そうかい。要は当たらなければ良いんだな。
「――面白そうだな、俺も混ぜてくれよ」
後ろから聞こえてくる声。
「……何の用だ、白龍皇」
後ろを見る。既に俺と同じように鎧を身に纏った白龍皇ヴァーリがそこにいた。
「何、アザゼルに言われてね、君の手助けに来たんだ」
「かっ、余計なお世話だな」
「そう邪険にしないでくれ。……俺も個人的に神星剣がどれ程のものか見てみたいんだ」
完全に自分の趣味で来たなこいつ。
白龍皇の参戦に、神星剣使いは苦笑する。
「これは白龍皇ですか。困りましたね、貴方と戦う予定はありませんでしたのに」
「気にするな。俺から勝手にやったと言っておけば良い」
「そうさせて頂きます」
「……?」
何だ? まあ、良いか。
「いるのは良いが、俺の邪魔だけはするなよ」
「それはこちらのセリフと言わせてもらおう」
こうして俺と神星剣使いの戦いは白龍皇ヴァーリを加えての第二ラウンドに移行するのであった。
先日ついに自分のお気に入りの作品「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のアニメがスタートしました。
ただ、オープニングの絵で原作五巻ぐらいまで行くと思うのですが、1クールで五巻分やるもの無理がある気がしますけど……。2クールなら嬉しいなあ。
既にハーメルンで書いている人もいますけど、あれ、設定難しいんだよな。自分も書いてみたいけど。