ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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前々から思ったのだが、どの程度まで原作と同じにしたらダメなのだろうか。削除基準がいまいち分からない。


第九話

 現在、まれに見る光景では無いだろうか?

 

 二天龍が片割れ、白龍皇と共闘するなど、歴史的に見ても早々に無いんじゃないかな?

 

 とまあ、やっているわけだが。

 

「はっ!」

 

 左手の砲口に魔力を溜め、一気に放つ。

 

 神星剣使いはそれを神星剣を軽く振るだけいなす。

 

 その隙を突き、白龍皇が高速で迫る。

 

 そして、懐に飛び込み拳を繰り出す。

 

「おっと」

 

 しかし、白龍皇の拳は奴の左手で難なく受け止められる。

 

 そのまま神星剣で白龍皇を斬りつけようとする。

 

 今だな。俺は後ろに回り込み背中から斬りつける。

 

 これなら反応出来まい! どうだ!

 

 しかし、

 

「はは、甘い甘い」

 

「な……」

 

 俺の目論見が甘い事が判明した。

 

 足の裏で……止めた!?

 

 俺はその光景に目を疑う。

 

 魔力で強化し、本気の一撃だった。それをこうも容易く――!

 

「くっ!」

 

 その場から急ぎ離れる。白龍皇をヤツの手を振りほどき距離を取る。

 

「……やれやれ、流石と言うべきか。神星剣の加護ある状態だと半減も上手く作用しないようだ。中々に厄介だな」

 

「ふふ、そう悲観する事もありませんよ。今のあなたも十分強い。素の私でも苦戦は免れないでしょうし」

 

「そう言って貰えると嬉しいよ」

 

 白龍皇と会話している間でも隙が見えん。難しいものだ。

 

「しかし、カレン・グレモリーに白龍皇。相手取るにも中々難しい。白龍皇殿、帰ってくれません?」

 

「酷いな。俺に用は無いのか?」

 

「今のところは」

 

 ……つまり俺に目的があるって訳か。

 

 くそ、こいつと会ったのは思い出した。それが何時なのかが分からん!

 

「さてさて、戦況も少し変わってきたようですね」

 

「あ?」

 

 神星剣使いの言葉に内心首を傾げたとき、上で強い力のぶつかり合いを感じた。

 

「何だ?」

 

 見れば巨大なオーラを身に纏った二人が激突していた。

 

 一人はアザゼル。十二枚の翼を広げ不敵に笑いがら光の槍で攻撃している。

 

 もう一人は女。扇情的なドレスを身にまとい、アザゼルの攻撃を防ぎながら攻撃していた。

 

 誰だ……? 悪魔の分かるが……。

 

「おや、カテレア様はもう動かれたか。しかし、一人で行かれるとは随分と豪胆な事で」

 

「カテレア?」

 

 知らない名だ。有名人か?

 

「カテレア・レヴィアタン。先代レヴィアタン様の子孫ですよ」

 

 っ、レヴィアタン。それも先代。つまり本来の魔王の血筋か。

 

 それが何でアザゼルと。

 

 俺の疑問に答えるように神星剣使いが答える。

 

「大戦後、徹底抗戦を唱えた先代様達の末裔は現政府との抗争に敗れ辺境に追いやられた。その恨みでテロリストになったのですよ」

 

「テロリスト……お前も仲間か?」

 

「組織は同じです。派閥は違いますが。禍の団(カオス・ブリゲード)。以後お見知りおきを」

 

 禍の団(カオス・ブリゲード)ねえ。聞くからに邪悪そうだ。

 

「まあ良い。貴様はここで殺す」

 

「怖い怖い……とはいえ、今の貴方では私は殺せませんよ? 天地がひっくり返っても」

 

「ぬかせ!」

 

 激情と共に俺は神星剣使いに突っ込む。

 

 激しく切り結ぶ俺たち。

 

 しかし、

 

「クソ……!」

 

 押されてきた……俺が。

 

 技は俺が上だ。だが、その他身体的能力が圧倒的にヤツが優っている。

 

 しかも、上がっている。力が。

 

「てめえ、手加減していたな……!」

 

「当然ですよ。しないと貴方を殺してしまう」

 

 ……! 男の言葉に言いようのない怒りを覚える。

 

 こ、の、野郎……!

 

『カレン! 落ち着きなさい!』

 

 リンドの声が聞こえてくるが内容が入ってこない。

 

「ああああああああ!!」

 

 咆哮を上げる。

 

 最早技など関係ない。ただ出鱈目に剣を振るう!

 

「やれやれ……少し黙らせようか」

 

 刹那、背筋が凍る。

 

 神星剣の闇色の光が強まる。

 

 そして、俺の視界を闇色の光が染まる。

 

 ******

 

「まだ改良の余地があるな。もうしばらく付き合ってもらうぜ、龍王ファーブニル」

 

 宝玉を手にアザゼルが言う。

 

 圧倒的だった。かの無限の龍神オーフィスの力を使い前魔王クラスの力を手にしていたカテレア・レヴィアタンを人口神器を使い、瞬殺してしまった。

 

 左腕を失っていたが、それも特に気にしていなかった。

 

 ギャスパーを助け、イッセーと校庭に戻った時、既に勝負は決しかけていた。

 

 堕天使総督の実力……これ程なんて。流石と言うべきかしらね。

 

 って、いけない! アザゼルなんてどうでも良い! カレンは……!

 

 刹那、轟音と共に何かが飛んできた。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

 悲鳴を上げる私たち。

 

 な、なにが起こったの……?

 

 恐る恐る飛来したモノを見る。

 

 煙が晴れて、絶句する。

 

「カレンっ!」

 

 殆ど悲鳴に近い声を上げてしまう。

 

 急いで駆け付ける。

 

「う、が……」

 

 呻きながら何とか立ち上がろうとするカレン。だけど、無理に近い。

 

 鎧を貫通して大きな斬り傷が右胸から左腹にかけて刻まれていた。

 

「酷い……」

 

 見るからに重傷だ。

 

 というか、ちょっと待って。傷口が……。

 

 傷口に何かがうごめている……? これって……?

 

「神星剣の影響だな」

 

 アザゼルが近くに降り立つ。

 

「アザゼル! どういう事?」

 

「神星剣は聖剣や魔剣とも違う。それぞれの種族に対して別々の効果を及ぼす」

 

「それって一体……」

 

 アザゼルに聞こうとした時だ。

 

「――悪魔に対しては”祝福”を与える。それはフェニックスの涙でも癒せない」

 

 神星剣をその手に、黒ローブの男が近づいてきた。

 

 男の声を聴いた瞬間、アザゼルの顔色が変わった。

 

「その声、お前まさか……!」

 

「ああ、アザゼル殿がいたのか。なら仕方ない」

 

 そう言ってローブの男がフードを取る。

 

 現れたのは金色の髪と金色の瞳を持った、初老の男性だった。

 

「やっぱりお前か……ルーファス・アガリアレプトっ!」

 

 忌々しげに男の名を言うアザゼル。

 

「アガリアレプト……? ウソでしょ……!」

 

 かくいう私も男の苗字に驚愕を隠せなかった。

 

 アガリアレプト。お兄様がルシファーの名前を受けづいている私たちグレモリー家にとっては無視できない名前の一つだ。

 

 かつてお義姉さまの家ルキフグスと同様に先代魔王ルシファーに仕えた番外の悪魔(エクストラ・デーモン)の一族の一つ。ルキフグスが右腕ならばアガリアレプトは左腕と言われる程ルシファーを支えていてたと言う。

 

「かつて”あいつ”に仕えていたお前が何故単独動いている?」

 

「やりたいことがありましてね。久しぶりに動いてい見ようと思いまして」

 

 肩を竦めるルーファス。

 

 男の正体も衝撃的だが、それよりも聞きたいことがある。

 

「”祝福”ってどういう事!?」

 

 カレンは今も苦しんでいる。早くしないと……。

 

「言葉通りですよ、グレモリーの姫君。神星剣は悪魔に祝福を与える。――まあ、悪魔にとっては滅びかもしれませんが」

 

「滅び……ねえ」

 

「カレン!?」

 

 カレンが起き上がろうとしている。砕けた鎧からは苦痛に歪ませた顔が見える。

 

「ルー、ファス・アガリア、レプト……ねえ」

 

 息も絶え絶えにルーファスの名前を呟く。

 

 それを見て、「ほう」と感心するようにカレンを見るルーファス。

 

「驚きました。まだ口が聞けるんですね。凄まじい精神力だ感服だ」

 

「ごちゃ、ごちゃ、うるせえ……!」

 

 立ち上がろうとするカレン。

 

 しかし、足は既にガクガクと震えている。

 

「兄貴……! 無茶すんな!」

 

 イッセーはカレンを抑えようとする。

 

「黙れ一誠! どけ!」

 

 そんなイッセーをどかせようとするも、態勢を崩してしまう。

 

 イッセーが慌ててカレンを支える。

 

「ふむ、限界か……少し遊びすぎましたかね」

 

 観察するかのようにカレンを見るめるルーファス。

 

「これでは話を聞こうにも聞けないですね……」

 

 「困った」と呟くルーファス。

 

 それを見たアザゼルが考え込むように顎に手を当てるアザゼル。

 

「おい、ルーファス」

 

「何ですアザゼル殿?」

 

「お前、神星剣何本集めた?」

 

 アザゼルの率直な質問にルーファスは目を細める。

 

「何故、そのような質問を?」

 

禍の団(カオス・ブリゲード)のテロに合わせて動いたって事はそれなりの準備をしてあるって事だ。さっきのカテレアみたいに復讐心で動いているわけでも無いだろうし」

 

「成程……。確かに私は旧魔王派に所属しているわけではありません。協力は一応させてもらっていますが。あくまで、建前ですし」

 

 あっさりとしている。かつては魔王の左腕と呼ばれた家の悪魔なのだろうか?

 

「今は私自身の目的の為に動いている。その為に神星剣とその担い手が必要なのですよ」

 

「神星剣ねえ……そこの坊主は持っていないと言ってるが?」

 

「……どういう事?」

 

 カレンと神星剣に関係があるというの?

 

「神星剣の一本を最後に持っていたのがそこの坊主の母親、朝凪日月だったんだよ」

 

 っ! 初耳だ。カレンはそんな事一言も……。

 

「ええ、我々が所在を確認していない神星剣の一本。その一つを持っていたのが、朝凪日月。彼の母親です」

 

「だが、結局所在不明なんだろ?」

 

 アザゼルの言葉にルーファスは首を振る。

 

「いいえ。確かに彼女は持っていた。最後に見た彼女は彼と神星剣を握っていました」

 

「最後……まさかお前!?」

 

 何かに気付いたらしく、アザゼルが声を上げる。

 

「レオン・グレモリーの館襲撃事件の首謀者はお前か!」

 

 襲撃、事件……?

 

 襲撃って、でも、たしかにあの時何かが燃えていて。まさか……。

 

「彼女の死に目に立ち会ったのはカレン・グレモリーただ一人。……故に神星剣の行方は彼だけが知っている」

 

「……なら、なおさらお前に渡す訳にはいかないな」

 

 光の槍を手元に生み出しアザゼルがそう言う。

 

 しかし、その槍を別方向から飛来してきた何かに投げ飛ばす。

 

 爆発音とともに槍と飛んできたものが霧散する。

 

「……今度はお前か、ヴァーリ」

 

 攻撃してきたのは白龍皇!空中に浮かびながら悠々と此方を見下ろしている。

 

「すまないなアザゼル。此方の方が面白そうだったんでね」

 

「まあこいつが現れた時からなんとなく想像はしていたけどな」

 

 ため息をつくアザゼル。

 

「どういう事だよ?」

 

 イッセーが聞いてくる。

 

 その疑問に白龍皇自身が答える。

 

「俺の名はヴァーリ・ルシファーと言うんだ」

 

 ……嘘、でしょ?

 

 ルーファス・アガリアレプトの登場など吹き飛んでしまうような衝撃を受ける。

 

「死んだ先代魔王ルシファーの孫である父と人間の母から生まれたハーフでね。お陰で神器を手に入れられた」

 

 彼の背中から8枚に及ぶ黒翼が現れる。

 

 そんな事が……あると言うの?

 

「やれやれ、私に攻撃してきたときはどうしようかと思いましたよ、ヴァーリ様」

 

「すまないなルーファス。神星剣がどれ程のものかと思ってね、試したくなった」

 

 親しげに話す白龍皇とルーファス。

 

 察するに前々から知り合いだったのだろう。ルシファーとアガリアレプト。両家の付き合いは計り知れないと言う。

 

「しかし、カレン・グレモリーはもう虫の息のようだな。残念だ折角戦ってみようと思ったのに」

 

 心底残念そうに言う白龍皇。

 

「白龍皇ならそこの赤龍帝と戦ったらどうだ?」

 

 アザゼルがイッセーを指さす。

 

「お、俺!?」

 

 指名されたイッセーは驚きを隠せていない。

 

 しかし、白龍皇は一笑するだけだった。

 

「そこの義兄とは比べるまでもない弱っちい赤龍帝の相手は、ねえ……?」

 

「な……!」

 

 あからさまにイッセーを馬鹿にしている白龍皇にイッセーは口元をひくつかせている。

 

「本当に残念だよ。カレン・グレモリー、俺と同じ様に悪魔と人間の血を引き、その才を余すことなく発揮している。彼が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を持っていたら最高の赤と白の対決が出来ただろうに……残念で仕方ない」

 

 ……確かに、カレンが赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を持っていたら白龍皇である彼と凄まじい戦いを行っていたかもしれない。

 

「だが、現実は残酷だ。対となる神器を持っていてもそれ以外は天と地の差だ」

 

「……随分と言ってくれるじゃねえか」

 

 流石に怒りを感じたのか、少し声が低くなるイッセー。

 

「ふむ、どうしたものか……ん、いやこういうのはどうだ?」

 

 白龍皇は何かを閃いたらしく手を叩く。

 

 何か、嫌な感じがする。

 

「キミの両親を殺そう! そうすれば君は復讐者となり、俺と戦う理由が出来る!」

 

 っ! な、なんてことを……!

 

「――殺すぞお前」

 

 今まで聞いたことのないような低い声で呟くイッセー。

 

「……待て」




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