ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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バイトで嫌なことあった……テンションダダ下がりです


第十話

 暗い。何も見えない。何も聞こえない。

 

 俺はどうしたんだ? 確か、あの神星剣使いに斬られて、それから……。

 

 そう、それから、記憶が無い。意識が飛び飛びになっている。一誠に肩を貸されていたかもしれないし、リアスの顔を見たような気もする。

 

 白龍皇も近くにいたような……ああ、駄目だ。記憶が無い。どうすりゃあ良い。

 

 気づけばこの闇の中だ。

 

 ここも、神器の中って訳じゃなさそうだな。リンドが姿を見せないし、あの男も姿を現さない。

 

 何がどうなっている? 戦況は? リアスや一誠は無事なのか?

 

 その時だった。

 

『――最終所有者との契約に基づき、《結びの儀式》を執り行います』

 

 

 闇の中から声が響く。

 

「っ!」

 

 驚き、辺りを見渡しても誰もいない。闇だけだ。

 

『貴方に問います』

 

 だが、確かに何かが俺に問いかけている。

 

「おい! 誰かいるのか!?」

 

 声を響かせるも誰も見えない。

 

『貴方はまだ生きる意志がありますか?』

 

「あ?」

 

 いきなり何を言っているんだ?

 

『貴方は力に何を求めますか?』

 

 いきなり何だよおい……質問を重ねて聞いてくるとか。

 

『貴方は力で何を成しますか?』

 

『貴方は……世界を変える力が欲しいですか?』

 

 その質問を最後に再び沈黙が訪れる。

 

 何か、これらの質問に答えないと先に進まないのか? 訳わからん。

 

 まあ、良い。兎に角答えるか。

 

「最初の質問だが生きる意志はある。つか、まだ死んでたまるか」

 

『受諾』

 

 短く答えるなあ。何も聞かないのか?

 

 良いか。次の質問に行こう。

 

「力に何を求めるか、か……」

 

 これは……あれかな?

 

「俺は力に不条理に、どうしようもない事への打ち勝つことを求める。何でも思い通りとかは思わないけど、譲れないものの為ならばそれを打ち破りたい」

 

『受諾』

 

 これまたあっさりと答える。

 

 三つめの質問に行くか。

 

 三つめは確か……。

 

「力で何を成すか、だったな……」

 

 難しい質問だ。ちょっと前の俺ならば迷うことなく答えていられただろうに。

 

 けど、今の俺にとって最もやりたいことは……。

 

「復讐だ。奴らを……俺の親を殺したあいつらを殺す。この手で、一人残らずだ」

 

『……受諾』

 

 今度は返答に間があった。だけど何も言わない。

 

 四つめ。次は、世界を変える力、か。

 

 突然、大きな話になってしまった。まるで神滅具(ロンギヌス)の事を言っているみたいだな。

 

「世界を変える力は……別に要らないかな? あーでも、俺の世界を守れるならば欲しいかな」

 

『……貴方の世界?』

 

 お、今度は別の反応があった。

 

「ああ、別に俺はこの世がどうなろうが別に興味なんて無い。ただ、俺の周りが……俺の世界が守れればそれで良い」

 

 リアスが、一誠が、朱乃が、アーシアが、小猫ちゃんが、祐斗が、ゼノヴィアが、ギャスパーが。

 

 サーゼクス兄さんに、グレイフィアさん。

 

 他の皆がいればそれで良い。だから、世界を、俺の世界を守れるなら。

 

「その力を俺に寄越せ……!」

 

『受諾。契約成立』

 

 瞬間、赤い光が辺りを包み込む。思わず目を手で覆う。

 

 しばらくして、光が収まり、目を開けると俺の目の前に一本の剣が浮かんでいた。

 

 赤い刀身は同じく赤く光っており、何処までも神々しさが漂っている。

 

「神星剣、か」

 

 一目で分かる。あの男が使っていたのとまったく同じオーラを漂わせている。

 

『神星剣が一本、火星神剣(マーズ・ソード)。その柄に取ってください』

 

 火星神剣(マーズ・ソード)……。これがあれば、ヤツを倒せる――!

 

 俺は迷うことなくその剣を手に取る!

 

 瞬間、再び世界が輝く。

 

******

 

 イッセーが白龍皇と激しい戦闘を開始した。

 

 技術は圧倒的に白龍皇が上だが、勢いは赤龍帝であるイッセーが上回っている。

 

「ほほう、今代の赤龍帝は余り素質が無いと聞いていましたが……いやはや、若者は凄いですね」

 

「おいおい、爺臭いセリフだな」

 

 アザゼルが笑みを浮かべながら言う。

 

 以前、状況は変わっていない。お兄様たちもまだ結界の解除に手間取っている。

 

 祐斗たちも他の魔術師たちの相手に手間取っている。

 

 そして私の腕の中には意識の無いカレン。アザゼルも左腕を失っている状態。

 

 完全に不味い状況。神星剣を持っているルーファス・アガリアレプトを相手取るには私じゃ絶対に無理だ。

 

 どうすれば……!

 

「さて、そろそろ時間も迫っている頃でしょうし、私も自分の事をやりましょう」

 

 ルーファスはこちらを見る。

 

「――カレン・グレモリーをこちらに渡して下さい。そうすれば、私は何もしません」

 

 あっさり、何も無い様に言う。

 

「なっ……」

 

 余りの要求に私は絶句する。

 

「ふざけ、無いで……!」

 

 絞るように呟く。

 

 何を言っているこの男! 冗談じゃ無いわ!

 

「随分と言ってくれるじゃねえか……」

 

 嘆息しながら言うアザゼル。

 

「アザゼル殿、貴方ならばこの状況を正しく理解できていますよね? どの選択が正しいのか」

 

「まあ、なあ。そこの坊主をお前に渡せば取り敢えずの危険は去るって訳か」

 

「アザゼル……!」

 

 キッと睨み付ける。

 

 アザゼルは肩を竦めるだけだ。

 

「……まあ、お前にこいつを渡したらもっと最悪な状況になりそうだな。それに俺がサーゼクスの野郎に殺されちまう。だからノーだ」

 

「そうですか……残念ですね」

 

 本当に残念そうに首を振るルーファス。

 

 そして、神星剣の切っ先をこちらに向ける。

 

「では力尽くで。覚悟してください」

 

「くっ……!」

 

 このままじゃ……!

 

 その時だった。

 

 カレンの体から赤い光が溢れる。

 

「これは一体……?」

 

 見れば、アザゼルも驚いている。

 

 たが、ルーファスはただ一人この現象に気づいているらしく、歓喜に身を震わせていた。

 

「まさか……! そこにあったのか……!」

 

 そして、カレンは立ち上がる。

 

「カレン……?」

 

 髪に隠れて顔は見えない。

 

 ゆらりと歩き出す。

 

 歩きながらカレンは自分の胸に手を――埋め込む!

 

「カレン!?」

 

 突然の事に驚く。だってカレン、貴方!

 

 驚き場を置いてカレンはゆっくりと手を胸から抜き始める。

 

 やがて見えたのは一本の剣の……柄。

 

「そうか、そういう事か! やってくれるぜ朝凪日月!」

 

 アザゼルも理解したらしく声を上げる。

 

 皆が見ている中で勢いよく柄を引き抜く!

 

 現れたのは赤い剣だった。

 

 刀身は赤く、さらに同じく赤い光が刀身を覆っている。

 

 まさか、あれって。

 

「――神星剣の一本、火星神剣《マーズ・ソード》。朝凪日月が所有していた剣。驚いた自分の息子の体の中に隠していたのか……! 道理で見つからないわけだ」

 

 愉快そうに笑っているルーファス。

 

 神星剣をカレンの体の中に隠していた……? 叔母様が……? 一体どういう事?

 

 混乱する私を尻目に場は動く。

 

「……覚悟しろルーファス・アガリアレプト。貴様は俺が殺す」

 

「おやおや、記憶が戻ったのですかな?――予定変更です。今ここで貴方の力を確かめておきます」

 

「ぬかせ。こっちも神星剣だ。ならば条件は同じ。覚悟しろ」

 

 ルーファスを睨み付けるカレンの瞳は、冷たく凍えていた。

 

 カレン、やっぱり貴方……。

 

 神星剣をお互いに構える二人。

 

 次の瞬間、二人の体が消える。

 

 何処に!?

 

 視線を彷徨わせれば、二人が神星剣をぶつけ合っていた!

 

 神星剣がぶつかり合うと同時に辺り一帯が吹き飛んでいく。

 

 砂や岩が飛んでくる!

 

「くっ……!」

 

 魔方陣を展開させてそれを防ぐ。

 

「はははは! マジかよ! こいつはやべえな!」

 

 アザゼルは笑いながらその光景を見ていた。

 

 カレンとルーファスは高速で移動しながら剣をぶつけ合っていた。

 

 残像が残す程の速さ……これが神星剣の力だって言うの……?

 

「はあ……!」

 

 一度距離を取りカレンは神星剣を振りかぶる。

 

 すると、斬撃のオーラがいくつも繰り出された!

 

「ふ……」

 

 ルーファスも同じく闇色の斬撃のオーラを繰り出す。

 

 同じ数の斬撃がぶつかり合い、当時に霧散する。

 

 その結果が分かっていたのか、カレンは既に行動を開始していた。

 

 一気に距離を詰め寄り、その勢いで突きを繰り出す。

 

 ルーファスは紙一重で避け、カウンターで、神星剣を振りかぶる。

 

 それを見たカレンは体を捻り躱す。

 

「ふふ……」

 

「…………」

 

 一瞬、見詰め合う二人。そして同時に神星剣を握っていない方の手を突き出し、手の平に強大な魔力の塊を生み出す。

 

 そして、紅と黒の魔力の波動を同時に打ち出す。

 

 爆発音と共に砂埃が辺りを覆う。

 

「けほっ!」

 

 思わず咳き込んでしまう。

 

 口を押えながら辺りを見渡すも、当たり一面何も見えない。近くにいたはずのアザゼルも見えないほどだ。

 

 カレンは一体……。

 

 カレンを探そうにもこの状況じゃ……どうすれば。

 

 次の一手に苦慮している時だった。

 

 誰かがこちらに近づいてきた。

 

 手元に魔力を生み出す。

 

 誰……?

 

 警戒する私だが、直ぐに警戒を解く。

 

「リアスか?」

 

 カレンだった。

 

「カレン!」

 

 私は直ぐにカレンに近づいた。

 

「無事?」

 

「ああ、何とかな」

 

 答えながらも辺りに注意しているカレン。

 

 その様子を見ながらも私はつい聞いてしまった。

 

「カレン……大丈夫?」

 

「ん? 怪我か? それならコイツのお蔭で何とかな」

 

 神星剣を見ながら言うカレン。

 

「そうじゃなくて……」

 

「?」

 

 上手く言葉に出来ない。この焦燥をどう表せば良いのだろう。かく言う私だってどうすれば良いのか分からないのだから。

 

 言葉に苦慮している時だった。

 

 カレンがいきなり私を抱き寄……せ!?

 

「ちょっ、カレン!?」

 

 突然の事に顔が赤くなるのを感じながらカレンを見る。

 

 その瞬間だった。砂煙からルーファスが姿を見せたのは。

 

 剣を振りかぶり、こちらに斬りかかろうとしていた。

 

 直ぐにカレンが応戦する。

 

 金属音と共に神星剣がぶつかり合う。

 

「……成程な。大体わかってきたぜ」

 

 ポツリと、カレンは呟く。

 

 そして、私を抱きかかえたまま私に告げる。

 

「リアス、俺に体を預けとけ。……少し速くなる」

 

「え……きゃ!」

 

 何が、とは聞けなかった。次の瞬間、凄い勢いで動き出す。

 

 私では無く、私を抱えたカレンが、だ。

 

「きゃああああああ!?」

 

 思わず悲鳴を上げる。

 

 そんな私にお構いなくカレンは高速で動き続けながらルーファスを剣を交え続ける。

 

「ちょ、カレン!」

 

 たまらず私は声を上げる。

 

「降ろしなさい! いくらあなたでも私を抱えたままじゃ戦えないわ!」

 

「……」

 

 同じ神星剣同士でも片手を使えないんじゃカレンでも無理だ。

 

 私も思いが通じたのか、ポツリと「それもそうだ」と呟く。

 

「だけど、そう言っていられない」

 

「え?」

 

「あの男、俺がお前を離した瞬間、お前を狙う」

 

「どういう事……?」

 

 彼の狙いはカレンじゃ無いの……?

 

「どうも俺を煽りたいみたいだ」

 

「煽るって……」

 

 カレンを怒らせてどうする気なのだろうか。ルーファスの真意が全然掴めない。

 

「兎に角、お前をどこか安全な……」

 

 激しい剣戟の音を繰り広げながらカレンは辺りを注視する。

 

 そして、ふと一点を見詰める。

 

「……リアス」

 

「何?」

 

「着地は頑張れ」

 

「へ?」

 

 言葉の意味が一瞬分からなかった。

 

 だけど、直ぐに理解する。体で。

 

「ふん」

 

 カレンが私の体を投げたのだ。ほぼ全力で。

 

「きゃああああああ!?」

 

 碌に態勢も取れないまま私は地面に近づく。

 

 ぶつかる! そう思い、目をつむってしまう。

 

 しかし、何時まで経っても衝撃が来ない。

 

「たく、俺がいなきゃどうする気だったんだか……いや、分かっていてやったのか」

 

 恐る恐る目を開けてみると、そこにはやれやれと首を振っているアザゼルがいた。

 

 気づけば、宙に浮かんでいる私。どうやらアザゼルに助けられたようだ。

 

 安心すると共に怒りがこみ上げてくる。

 

 そしてキッと空にいるカレンを睨み付ける。

 

「カーレーンー! 後で覚悟しておきなさい!!」

 

 




今回のあんまり出来が良くない感じですので、書き直すかもしれません。

ダンまち、一期だけみたいですね残念です。

DDの三期も始まりましたからテンション上げたいなあ。
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