ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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思ったより筆が進んだんで、今日投稿します


誰か……助けてください

「あらよっと」

 

 ポストの一つにチラシを投函し、俺は次の目的の家に走る。

 

 時刻は深夜。普段ならさすがに寝ている時間だろう。にも関わらず俺はこうやって深夜の町を走り回っている。

 

 しかし、中々良い運動になるなコレ。新聞配達のバイトもこんな感じなのかね。やった事無いから分からないけど。

 

 今頃一誠もせっせとチラシ配りやっているんだろうねえ~。

 

 ……悪魔も随分イメージと違うモンだ。もっとファンタジーみたいなモンだと思っていたんだけどな……。

 

 やっぱ悪魔も時代と共に移り変わっているのかな。それはそれで面白いと思うけど。

 

 リアスはコレが上級悪魔ヘの第一歩と言っていたが、俺には未だに半信半疑だな。

 

******

 

 リアス嬢達、オカルト研究部が悪魔の集まりと分かった日、俺と一誠は彼女たちの部活に入れと、言われた。

 

 部活か……正直なあ……。

 

「私のところにくれば、この先華やかな人生が待っているかもしれないわよ?」

 

 リアス嬢はウインクしながら言ってくる。

 

 いや、ソレでも悪魔だよなあ……一誠も隣で頭を抱えているし。

 

 オマケに、もう一つそう簡単に頭を縦に触れないことがある。

 

 悪魔に転生した場合、その転生させてくれたヒトの下僕として生きていかないといけないというのだ。

 

 下僕だ。リアス嬢がそんなことする訳がないだろうが、あんまり良いイメージが湧いてこない。

 

「でもね、悪魔には階級があるの。爵位っていうのがね。私も持っているわ。生まれや家柄にも関係してくるけど、実力で成り上がっていった者もいるのよ?」

 

 成る程、爵位か。そういや、さっきの紹介で家が侯爵って言ってたもんな。

 

 うーん、けどな、俺たちは悪魔業界を全然知らないし、そう簡単に頷くわけには……。

 

 が、次のリアス嬢の一言により、俺の味方はいなくなった。

 

「やり方次第では、モテモテな人生も送れるかもしれないわよ?」

 

 なっ、リアス嬢、それは……!

 

「どうやって、ですか!?」

 

 やばい! 一誠が食いついてきた!!

 

「おい一誠落ち着けって。そんな簡単に上手い話が……」

 

「兄貴ちょっと黙っててくれ!!」

 

 おま、どんだけ女に飢えてんだよ!?

 

 はっ! まさかリアス嬢、一誠のこういうところを予見して……何て恐ろしい。流石は悪魔。

 

「落ち着きなさい一誠。実はね」

 

 その後のリアス嬢の話では、大昔に起きた大戦が影響で、多くの悪魔が亡くなってしまったそうだ。

 

 リアス嬢達から見てい分かるように、悪魔にも人間と同じ様に性別が有るので子供を作ることが出来る。

 

 しかしながら、悪魔は一万年という長い寿命を持っている所為なのか、出生率が極端に少ないそうだ。そのため悪魔は今、種の存続にあるのだと言う。

 

 流石に今日明日でどうこうされる訳では無いらしいが、ソレでも危機感は持っていないといけないらしい。

 

 そこで軍団を失った爵位持ちの悪魔たちは、素質を持つ人間から悪魔に転生させてそれを自分の部下、即ち下僕を増やす手段に出たらしい。

 

 だが、それだけでは下僕を増やすだけで、力ある悪魔は増えたことにならない。

 

 そこで純血の悪魔達は新しい制度を造った。

 

 それは、人間から悪魔になった者達にもチャンスを与えること。つまりは、力さえあればその者達にも爵位を与えると。

 

 そして、爵位持ちになったら下僕を持つことを許されるのだ。それが意味することは……

 

「貴方が好きな美少女を下僕にする事が出来るのよ?」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 一誠が間違い無く乗る――!!

 

「おい一誠落ち着け!! こんな上手い話がこの世にあるわけ無いだろう。そもそも、お前が美少女ハーレムでうはうはしている所なんて俺には全然想像出来ない!!」

 

「兄貴何いってんだよ!! こんなチャンス絶対に他には無いんだぜ!? 俺は乗る!」

 

 やばい! 完全に目が駄目だ。洗脳されたヤツの目をしてやがる。

 

 どうする……! 一誠はもう駄目。完全な孤立無援だ。くそ……リアス嬢め。さすがは悪魔。誘惑はお手の物か……!!

 

「ハーレム王に、俺はなるっ!」

 

 そんな海賊王になるみたいなノリで言ったって駄目だぞ一誠。全然格好良く無いからな。

 

「それで? 貴方はどうする、夏蓮君?」

 

 リアス嬢がこちらをニッコリと笑いながら言ってくる。

 

 ふっ、けどな、俺は一誠のように甘くは無いぜ……! 女子に興味を持つ年頃だが、そんなに飢えているわけではない。さあ、どうくるリアス嬢。

 

「もし、爵位持ちになれば、貴方の好きな神話とか伝説の存在に簡単に会えるようになるわよ?」

 

「え、マジ?」

 

 あっさり乗ってしまった。

 

 今思えば、俺の趣味もリアス嬢は大半のことは知っていたのだ。ならば、一誠よりも簡単に俺の事は簡単に落とせるはずだったのだ。

 

******

 

 結局、俺と一誠はオカルト研究部に入ることになった。

 

 幸いなことに俺も一誠も部活に入っていない帰宅部だったから、入部には特に問題は無かった。

 

 まあ、仮に他の部活に入っていたとしても、リアスが何とかしていただろう。

 

 あの後、部活に入ったので、リアスのことを部長と呼ぼうとしたのだが……。

 

「俺も部長と呼べば良いのか?」

 

「リアス」

 

 はい?

 

「リアスって呼んで。折角同じ部活なんだから」

 

「いや、同じ部活なんだからこそ部長と……」

 

「ダメ……?」

 

 うお……そんな涙目で見る何て……‼

 

 普段から大人な女な雰囲気を出しているからこういうのは……!

 

 だ、だが! 同級生、しかもリアス嬢を呼べば、俺の学園生活は……!!

 

 もう終わっている感があるけど、ソレでも俺はーー!!

 

「ね?……呼びなさい」

 

「イエスマム!!」

 

 怖っ!え、何今の!? むっちゃ怖かったよ!!

 

「よろしい。じゃ、私も夏蓮って呼んでもいい?」

 

「もう、何でも好きに呼んでください……」

 

 何が何だか……疲れたな。こう、精神的に。

 

「じゃ、コレからよろしくね。夏蓮」

 

 満足そうにそういうリアス嬢、基、リアス。

 

「あらあら、じゃあ私も”朱乃”で良いですわよ?」

 

 むにゅっと、何やら背中にやたら滅多に柔らかい感触が――!?

 

「あ、朱乃嬢?」

 

 後ろを見ると、いつの間にかリアスの近くに居た朱乃嬢がこちらに回り込んで、いつものニコニコフェイスで俺の背中に寄りかかっている。

 

「折角、部長を”リアス”と呼んだのです。此処は私も……」

 

「あ~け~の?」

 

「ひいっ!?」

 

 やばい! リアスから発せられる怒気が更に増した!!

 

「あらあら、部長。何を怒っていらっしゃるのですか?」

 

「別に、怒ってなんていないわよ? 唯、そんなくっつかなくても良いわよね?」

 

 ニッコリと笑うリアス嬢だが、目は笑ってない。殆ど朱乃嬢に対する怒気とほんの少し俺に対する怒気。

 

 ……どうしよう。コレって修羅場ってヤツだよね? 何で俺の間で起きてんの? 唯の親友の筈なのに何でこうなっているわけ?

 

 コレはアレか? 俺はどちらかに刺されて終わるルートか? 俗に言うバッドエンドってヤツか? やだよ俺? そんなバッドエンド。出来るなら人生(今は悪魔だから悪魔生ってヤツかな? まあ、どっちでも良いけど)ハッピーエンドで終わりたいよな。老後は孫達に囲まれて幸せに死んでいきたいなあ……。

 

 ……何て今後の未来のことを考えていたが、それでこの状況が変わるわけではない。

 

「ふっふふふ……」

 

「うっふふふ……」

 

 お互い笑い合う二人。が、其処に和やかな雰囲気は一つも無い。

 

 ふと、横を見れば、此処は嫉妬を見せそう一誠は若干怯えたようにこちらを見ている。

 

 さすがの一誠にもコレは怖いか。

 

 されに横を見れば、木場は苦笑いでこちらを見て、塔城ちゃんは溜め息を付いていた。

 

 ……誰か助けてください。切に願います。

 

******

 

 結局、朱乃嬢も朱乃と呼ぶことで一応の片はついた。

 

 ……何でリアスはあんなに怒ってんだ? まるで美咲達みたいだ。もう、女ってホント訳分からん。

 

「さて」

 

 チラシを小脇に抱えて俺はポケットから携帯端末を取り出した。

 

 端末の画面には、幾つもの赤い点が点滅しており、コレに表示された家にチラシを入れるという制度だ。

 

 悪魔も科学的だねぇ。ま、こういうの有ると便利だけど。

 

 こうやってチラシを配って行き、やがて人間との契約取る様になるそうだ。

 

 コレは、朱乃嬢達も通った道らしく、俺たち兄弟もそれに続く形だ。

 

「では、行きますか」

 

 そう言って、俺は次の家に走り出した。

 

 ……と言っても三軒隣の御宅だったのだが。

 

******

 

 そんな生活を続けて数日。放課後、俺は何時ものように部室へと入る。

 

「夏蓮、イッセー来たわね」

 

 部室にはいると、先に行ったリアスと朱乃が何やら魔方陣の近くで作業をしていた。

 

「数日間のチラシ配りご苦労様。二人もそろそろ悪魔としての仕事を始めてもらうわ」

 

「おおっ!! 俺たちも遂に契約ですかっ!!」

 

 俺も声にこそ出さないが、内心少しだけワクワクしていた。

 

 イメージとは違ってくるし、楽しみだ。

 

「勿論最初だから比較的に簡単なのから行くわ。小猫の依頼が二つ入ってしまったから、一つをあなた達のどちらかに任せようと思うの」

 

「……よろしくお願いします」

 

 そう言ってぺこりと頭を下げる塔城ちゃん。

 

「ふむ、なら、塔城ちゃんの方は一誠が行けば? 俺は別ので良いよ」

 

「え、良いのか?」

 

「ああ。他のでも大差変わりないだろう。むしろ、悪魔の存在を知っているならば、そっちの方がやりやすいだろ?」

 

「お、ありがとう……」

 

 全くこういう時は結構素直だよな、一誠のヤツ。ま、コレがこいつの美点ってヤツだな。絶対に言わないけど。

 

「なら、小猫の方は一誠が行くのね? じゃあ一誠、この魔方陣の上に乗っかって」

 

「は、はいっ!」

 

 少し緊張気味にリアスが示した魔方陣の上に立つ。

 

 ……コレはこないだリアス達から聞いた話だが、この部室にある魔方陣は、リアスの家であるグレモリー家の家紋みたいなものらしい。

 

 コレを体のあちこちに刻むことで、グレモリー家の者だと証明されるらしい。

 

 更に魔力を流すことでこの魔方陣は起動するらしい。

 

 さて、魔方陣に立った朱乃が、一誠の近くによる。

 

「あの……」

 

 不安そうな一誠に、リアスが言う。

 

「黙っていて一誠。朱乃は今あなたの刻印を魔方陣に読み込ませているところなの」

 

 ほうほう、アレが……俺もやるのか?

 

「一誠、手の平をこちらに出してちょうだい」

 

 そう言われて一誠は手を差し出す。

 

 すると、リアスは一誠の手のひらをなぞるように何かを書く。アレが魔方陣を書いているのか?

 

 リアスの手が一誠の手から離れると、一誠の手の平から魔方陣が浮き出て同時に光りだした。

 

 ほお、アレが魔方陣か。

 

「これは転移用の魔方陣を通って依頼者のもとへ瞬間移動するためのものよ。そして、契約が終わるとこの部屋に戻してくれるわ」

 

 へえ~中々準備が良いな。

 

 瞬間移動か……。俺も速くやってみたいな。

 

「魔方陣が依頼者に反応しているわ。これからその場所へ飛ぶの、到着後のマニュアルも大丈夫よね?」

 

「はい!」

 

「良い返事ね。じゃあ行ってきなさい!」

 

 魔方陣が光り出し、一誠の体が消え始め……始め……始めない?

 

 あれ、光が収まったけど、一誠そのままだぜ? どういう事コレ?

 

 当の本人の一誠もすっかり困惑している。

 

 おいおい、故障か何かか?

 

「イッセー」

 

 リアスが一誠を呼ぶ。

 

「はい」

 

「残念だけどあなた、魔方陣を介して依頼者のもとへジャンプできないみたい」

 

 え、どういう事?

 

 俺たちが困惑している間、リアスが話を続ける。

 

「この転移魔方陣はそんなに高い魔力は有さないのだけれど。子供の悪魔でも転移出来る。初歩的なもの。つまり、イッセー……貴方の魔力は子供以下。転移出来ないわ」

 

 ……あ~そうなのね。

 

「な、なんじゃあそりゃああああああああ!?」

 

「……無様」

 

 驚く一誠に静かに罵倒をする塔城ちゃん。

 

「一誠、ドンマイ」

 

「止めて! そんな哀れんだ目で見ないで!」

 

 いや、だって、ねえ?

 

「仕方ないわ、イッセー」

 

「は、はい……」

 

「前代未聞だけどその足で直接現場に言ってちょうだい」

 

「ええ!?」

 

「しょうがないんじゃないのか? だって、転移出来ないし」

 

「夏蓮の言う通りよ。依頼者を待たせるわけにはいかないわ。イッセー、急ぎなさい」

 

「うわあああんん!! 行ってきまああああす!!」

 

 泣きながら部室から出て行く一誠。

 

 ……すまんな一誠、俺では力になれない。

 

「イッセーは残念だったけど、夏蓮、次は貴方よ」

 

「了解」

 

 先程の一誠と同じように、俺も魔方陣の上に乗る。

 

 さっき一斉にしたように、朱乃が俺の体を調べ始める。

 

「――あらまあ」

 

 そうやっている内に、朱乃が感嘆の声を上げる。何だ?

 

「どうしたの、朱乃? まさか、夏蓮にも問題が?」

 

「いえ、その逆です」

 

 逆?

 

「魔力量が凄いんです。普段は感じられませんでしたけど、この魔力、部長にも匹敵しますわ」

 

 何と、俺にそんなに魔力が……。

 

 話に聞けば、この部ではリアスが一番高く、次に朱乃のと続くらしい。

 

 俺は一番高いリアスと同等と……。

 

 しかし、俺よりも一誠の方に魔力があれば良かったのだが……。現実はつらいね。

 

「凄いわ夏蓮……無理して悪魔にして正解だったわね」

 

「ん? 何か言ったかリアス」

 

「いえ何でも無いわ。さて、夏蓮は予定通り、転移魔方陣から契約者の場所に向かってちょうだい」

 

「おう」

 

 その後、先程の一誠と同じやり取りをして、準備は完了する。

 

「さあ、イッセーは残念だったけど、夏蓮は大丈夫よ、行ってらっしゃい」

 

「では、行って参ります」

 

 魔方陣が白く輝く始め、やがて、俺の視界は白く染まった。




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次回は夏蓮、初契約
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