ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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一応、今回の話で六章は終了です。オリジナル回でしたが、相も変わらず、グダグダ感が……。


第十四話

「……あれ?」

 

 ベットで寝ていた翠は思わず、といった風に声を発していた。

 

「……ここってあの世?」

 

「残念ながら違うと言うべきかな? ここは俺の持っている屋敷の一部屋だよ」

 

 俺が声を掛けると、翠はゆっくりとこちらに顔を向けた。

 

「兄様?」

 

「そう、兄様だ。三日間眠っていたな」

 

「三日間も……?」

 

「一応事情を説明してやろうと思うがどうだ?」

 

 まだ、ぼんやりとしているようだが、こくりと頷く翠。

 

「じゃあ、お前が一回死んだ後からだな」

 

 あの後、ペルセウスから騎士の駒を受け取った俺は散々迷った末に翠を甦らせることにした。

 

 理由はまあ、色々とあるけど、やはり、翠に死んでほしく無かったという完全な俺のわがままによるものだ。

 

 駒を使うことで翠を甦らせたのは良いが、何故か目を覚まさず、冥界の俺の屋敷に連れてきてこうして俺が傍にいたわけだが……。

 

「冥界……私、死んでるんですか」

 

「冥界イコール死んだと思うのは止めろ。さっきも言っただろ。お前はよみがえったの。一応生きているよ。人間辞めたけど」

 

「人間を、辞めた……?」

 

「そうだ。人間としての生は終わったけど、悪魔としての生が始まったというわけだな」

 

 自分が悪魔になったと聞いてどう思ったか。俺は翠の顔をちらりと見る。

 

 その瞳は何かを映している訳でもなく、ただボンヤリと虚空を見ていた。

 

 俺はためらいながらも、翠に話しかける。

 

「なあ、翠。紫水が亡くなって、俺はお前から逃げた。向き合うべきだったのに、大切な人を二度も失った俺はあの頃、どうかしていた」

 

「…………」

 

 翠は無言で続きを促す。

 

「何も考えられなくて、ただ生きているだけの時間になっていた。そうやって、お前とも距離を置いた」

 

 あの時、もう少し強ければ今回の件は起こらなかったのかもしれない。

 

 翠をほったらかして、俺はリアスと再会して、一誠や朱乃達と交流を深めていって、俺の心は漸く元に戻りつつあった。

 

 だけど、それだけじゃあ意味が無かった。過去を忘れて、放っておいて良いわけない。

 

「すまなかった」

 

 俺は頭を下げる。こんな事でしか翠に償えるとは思えない。だから、これから始めていかないといけない。

 

「翠、もう俺はお前から逃げない。どんな事があってもだ」

 

 真っ直ぐ翠の目を見て言う。背けてはいけない。背けてはまた同じことを繰り返してしまう。

 

 暫く無言のまま時間が過ぎていく。

 

 翠はただ黙ったまま俺の事を見ていた。

 

 俺も、自分から目を背けずにじっと翠を見つめる。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……………………」

 

「…………………………」

 

 無言が、つらくなってきた。

 

 不味い。もしかしたら言葉を間違えたか? もしそうなら笑うしか無いのだが。

 

 いや、まだだ。まだ間違えたとは限らない。

 

 そうだとも!

 

「……変な顔」

 

 俺が葛藤する中、翠はポツリと呟く。

 

「は?」

 

「変な顔をしているわ、兄様」

 

 え、マジ? そんな顔をしてんの俺?

 

 思わず、顔に手を当てる。

 

 そんな俺の様子を見た翠がクスリと笑う。

 

「何だよ」

 

「いえ、なんだか可笑しくて。兄様がそんな風になっているのは久しぶりだな、と思って」

 

 …………。

 

「お前が知っている俺はこんな風じゃなかったか?」

 

「姉さまが死ぬ前はこんな感じだったわ。でも、姉様が死んで、兄様は心を閉ざした。そんな兄様を心を開いたのが、あのヒトだったのね」

 

 あの人、リアスの事か。

 

 確かに、その通りだ。高校に入学して無気力になっていた俺を元に戻すきっかけを作ったのはリアスだ。あいつのお陰で今の俺があるといっても過言では無い。

 

「だから、少し見てみたくなった」

 

「何を?」

 

「兄様を変えたあのヒトがどんなヒトなのか。気になってきたから、もう少しだけ生きてみようかな」

 

 微笑みながらそう言う翠。

 

 ……たく、素直じゃないと言うべきなのか。

 

「一応、悪魔って一万年以上は生きられる寸法だからのんびりいこうや」

 

「え、そんな生きるの!? 殆ど不老不死じゃない。よくそんなのになったわね兄様は」

 

「いやまあ、色々とあったからな。そこらへんも少し事情を説明してやんよ」

 

 そこからは俺の今までの事を話し始めた。

 

 なるべく面白いようにしながら話、翠も笑いながら聞いてくれた。

 

 なあ紫水。翠も俺も漸く元に戻ることが出来たと思う。けど、ここまで時間がかかったのはお前がそれだけ俺たち二人にとってデカい存在だったからだ。

 

 もう大丈夫だ。お前の事、時々思い出して悲しむかもしれないけど、それでも前に進んでいく。進まなきゃいけない。そうしないといけないからだ。

 

 

******

 

「全く、冥王星の砕剣を渡して本当に良かったのか? 貴重な神星剣が奴らに渡ってしまった」

 

「作戦前にも言っただろ? 彼に元々渡す予定だったのだから問題ないさ」

 

『……奴、技、使った』

 

「ああ、そうだね剣聖。いやあ、対話をあの土壇場で出来るとは。私の想像以上だよ彼は」

 

「ふん、まあいい。で、これからどうする気だ」

 

「暫くは大人しくするさ。今、シャルバ様とクルゼレイ様から協力を打診されてね、そっちに少し顔を出そうと思う」

 

「またか。お前も大概だな。忠義も何も抱いていない昔の主の末裔にいつまでも力を貸すとは」

 

「何、私の義理を果たしているだけさ。彼らの計画に少し便乗してカレンをもう少し鍛えていこう」

 

「……私はもうやらないぞ疲れたしめんどくさい。次はあいつを呼べばいい。最近はどこをほっつき歩いているのやら」

 

「全く、君は本当に賢者の子孫かい? ホーエンハイムの名が泣くよ?」

 

「黙れ、そして死ね」

 

 




もうじき大学のテストと実習が始まりますので、八月の中旬迄また、更新を休むと思われると思いますが、戻ってくるときはもう少し初期の頃の雰囲気を戻せるようになりたいですね。
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