ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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一カ月を超えてしまった……一週間で投稿していたころが懐かしいな。もう少し執筆速度を上げないと。


第七章
第一話


 結婚、というのは将来を誓い合った男女が永遠に愛を誓い合う一種の儀式のようなものだ。

 

 ――まあ、あっさり離婚してしまったり、昔の浮気がバレて八十代になって離婚したりもする夫婦もいるが。

 

 結婚というのはそう簡単にするものじゃない。将来に大きく影響してくるのだから。

 

 の、筈だが……。

 

「――また来たのか」

 

 手紙を手に取りながら俺は呆れながらため息を付く。

 

「ええ、そのようね」

 

 隣にいるリアスもため息を付く。

 

「今回は手紙だからよかったが、前回なんて何だあれ? 変な置物が玄関に置かれていた時は目を疑ったぞ」

 

「あれでも、高級品よ? まあ、今回は確かに大人しいわね」

 

 手紙の中身をざっと確認するとまたいつもの通り愛を綴ったラブレターだ。

 

 最も、内容は何というか中身が無いようなありきたりだ。正直、読んでて心を動かされない。まあ、動かされても不味いだろうけど。

 

「いい加減何とかしようや。一誠の野郎が嫉妬で悶え死にそうだ」

 

「そうね。アーシアにその意思が無いのだからいい加減きっぱりと断ったほうが良いわね」

 

「普通ならそれで良いんだろうけど大丈夫か? 相手はアスタロト家の次期当主だろ? 何か問題になりそうな気もするが」

 

「そこが問題ね……」

 

 困ったように額に手を当てるリアス。

 

 さて、俺たちが何の話をしているかというと、単純な話だ。アーシアが求婚を受けているのだ。

 

 しかも相手はアスタロト家次期当主のディオドラ・アスタロト。現ベルゼブブを輩出したグレモリー家と並ぶ名門だ。

 

 そんな家の次期当主から何故アーシアがプロポーズを受けたかというと、そこにも色々とあったようだ。

 

 詳しい話は省くが、アーシアが教会を追放される原因となった悪魔なのだ彼は。

 

 あの若手悪魔の会合で偶然アーシアを見かけたディオドラは、昔助けられた恩もあって彼女にプロポーズをする。

 

 アーシアはその場で断ったが、ディオドラは諦めることなく、贈り物を送り続ける事でアプローチを続けている。

 

「もうこの際家を通しての抗議するか? 鬱陶しいって」

 

「そこまでの大事にするのはちょっと不味いわ。今は若手の試合を行っているし、アーシアもあまり面倒な事にはしたくないでしょうし」

 

「そりゃあそうだが……」

 

 きっぱり断らないとこの手の男はまず諦めない。何というか、ストーカーというか、変態的な匂いがしてくるのだ。

 

「ほんと、どうしたもんだか」

 

 自室の天井を仰ぎ見ながら俺は思わず呟く。

 

******

 

 二学期になって、一カ月程度。

 

 その間、翠の件が合ったりと色々と忙しかったが、最近は少しのんびりとしていると思う。

 

 まあ、そののんびりももう終わるが。

 

「それでは次の種目を決めていきたいと思います」

 

 委員の言葉に皆がざわつきながらも黒板の方を見る。

 

 現在、俺たちはホームルームでもう直ぐ行われる体育祭に出る個人種目を決めていた。

 

 もう殆どの種目は決まっておるが、いくつかの種目はまだ決まっていなかった。

 

 その種目とは……。

 

「じゃあ、次は男女混合の二人三脚を決めたいと思います」

 

 委員の発言にざわついていた教室がピタリと止まる。

 

 やっぱりか。そう思ってしまった。

 

 二人三脚は別に問題は無いが、男女混合が一番注意すべき点だ。

 

 男女混合。つまり、これに積極的に参加する奴は恋人同士。そう捉えるのが妥当だ。

 

 世の常として、こういうのはからかわれる。それはもう盛大に。

 

 所謂悪意を持って接することは無いから笑い半分ではあるけど、それでも当の本人たちからすれば恥ずかしい以外の何物でもない。

 

 だからこそ、これは誰もやりたがらない。誰でもからかわれたくない。

 

 さて、やはりというか、止まってしまった。誰も手を上げようとしない。

 

 つまり、ホームルームが永遠に終わらないことを意味する。

 

 全く、早く誰か手を挙げてくれ。さっさと終わらせたいんだよ。

 

「カレン」

 

「んあ?」

 

 声を掛けられて俺はそちらを向く。

 

 隣に座っているリアスがニッコリと笑いかけてくる。

 

 なんとなくだが、嫌な予感がしてきた。

 

 あれ、これってもしかして不味いパターンじゃね?

 

「カレン、ちょっとお願いがあるの」

 

 俺の嫌な予感が当たった。

 

******

 

「兄貴も二人三脚、男女混合で出るんだ」

 

「も、ってことはお前も……ああ、アーシアとか」

 

「なんでわかるんだよ?」

 

「そん位しか思いつかん」

 

 放課後、オカルト研究部の部室で俺と一誠はお互いに疲れた様子で話していた。

 

 そう、俺は男女混合の二人三脚に出ることになったのだ、リアスと。リアスと一緒に。大事なことなので二回言っておく。

 

 何だってこんなことに。短距離走で適当に流して終わらせるつもりだったのに。

 

「どうしたんですかカレン先輩? 折角の体育祭なんですから頑張っていかないと!」

 

 元気よく発言するのは栗色の髪をツインテールにした少女、紫藤イリナだ。

 

 紫藤イリナ。ゼノヴィアと一緒にエクスカリバー奪還の任務を受けていた教会所属の聖剣使いだったが、何とこのたび駒王学園に転校してくることになったのだ。

 

 しかも天使になって。

 

 天界は悪魔や堕天使の技術を応用して『御使い(ブレイブ・セイント)』と呼ばれるトランプの絵札をモチーフにした転生天使の技術を作成したらしい。

 

 イリナは天使長のミカエルの『御使い』、Aの称号をもらって転生したらしい。

 

 他にもジョーカーと呼ばれる天界の切り札もいるらしいが、まあそれは今は置いておく。

 

 イリナは悪魔と堕天使がいるのに、天使側は誰もいないのはどうかということで、この街に来たわけだが、実に学校生活を満喫している。

 

 ……まあ、それでも良いんだけど、なんかこう、あんまり使者って感じがしてこないんだよな。

 

 あのミカエル様の事だから考えあっての事だろうけど。

 

「イリナは何だってそんな元気なんだか」

 

「まあ、元気が取り柄ですから! ああ、主よ!」

 

 いきなりお祈りを始めるイリナ。

 

 やめろ、別に何ともないけど悪魔的にやめろ。

 

「……でさ、小猫」

 

「…………何ですか?」

 

 お菓子ももりもりと食べていた小猫がこちらを向く。

 

 無表情ながらも小首をかしげる様は愛くるしいが今は置いておく。

 

「なんで俺の膝に乗るんだ。せめて隣にしろ」

 

 最近、何故か小猫は俺に懐いてくる。

 

 前々からその傾向はあったが、最近は特に顕著だ。特に翠と顔合わせをしてからはずっとこんな感じだ。

 

 そういやあ、翠と顔合わせしたとき無言で睨み合っていたが、それが原因か?

 

「……負けられませんから」

 

 何の勝負してんだお前たちは?

 

「みんな集まっているようね。じゃあ、今から映像を見るわよ」

 

 オカ研が全員集まったのを確認したリアスが記録媒体らしきものを取り出しながらそう言う。

 

 今日は他の若手悪魔たちの試合映像を見る日なのだ。

 

 俺としてはバアルも気になるが、一番注意しているのはダンタリオンだ。

 

 会ったのは二度だけだが、あの不気味さは警戒すべきだろう。ただ、今回一つだけ余ったあの家は試合には出ていないそうだから残念だ。

 

 映像の再生が始まり、バアル対グラシャラボラスの試合が始まった。

 

 内容は圧倒的なパワーというところか。

 

 序盤から眷属同士のぶつかり合いが始まったが、最終的にはグラシャラボラスの眷属は全てやられてしまい、焦ったあのヤンキー君はサイラオーグに一騎打ちを申し込んだ。

 

 サイラオーグはそれに応えて一騎打ちが始まったわけだが、そこからはもう一方的だった。

 

 ヤンキー君が魔術やら魔力やらで攻撃してもサイラオーグは全く動じず拳一つで全部を打ち負かしていった。

 

 流石に動揺を隠せていなかったヤンキー君をサイラオーグは容赦なく殴り飛ばした。

 

 その威力は凄まじく、ヤンキー君の体が数百メートルも吹っ飛ぶ程だ。

 

 結局、ヤンキー君が片隅で縮りこまりながら降参を宣言することで試合は終了となった。

 

「……馬鹿力にも程があるな」

 

「凶児と忌み嫌われたグラシャラボラスの次期当主がこうもあっさりと」

 

 俺が呟き、祐斗は厳しい視線を隠さずに言う。

 

「今回の七家に限定して言えば、彼もそこまで弱くは無いわ。だた、サイラオーグが圧倒的に強いだけで」

 

 みたいだな。神星剣無しで戦うとなると、全力でいってどうなるか。ああいう、単純な打撃系統は俺の神器には相性が悪いし。

 

「しかし、なんでサイラオーグは滅びの魔力を使わない? あれは確かバアル家のものだろ?」

 

 リアスとゼクス兄さんは母親である伯母上がバアル家の現当主の姉、つまり血縁者だからその特色を受け継いだのだが、サイラオーグは使わないのか?

 

 俺の疑問に答えたのはアザゼル先生だった。

 

「サイラオーグはバアル家始まって以来の才能の無い悪魔なのさ。滅びの魔力を受け継ぐどころか、魔力だって殆ど持っていない。――落ちこぼれだったのさ」

 

 ……そいつは驚きだ。

 

「つまり、この強さは才能云々では無く」

 

「ああ、凄まじいまでの努力の結果さ」

 

 努力か。こういうタイプは厄介だな。油断とかそんなのが一切無いからそこを突くような事も出来ないし。しかも、見た感じまだ余力を残している感じだし、ダンタリオンもそうだけど、こいつも油断できなさそうだな。

 

「なあ、ダンタリオンはどんな奴なんだ?」

 

 少し気になってみたので、先生に聞いてみる。

 

 先生は渋い顔をしながら話す。

 

「……オズワルド・ダンタリオンか。奴の噂は和平が実現する前から俺たちの耳に入っていた。かのサーゼクス、アジュカクラスの悪魔が再び誕生したとな」

 

 魔王クラスって事かよ。どんだけだおい。

 

「オズワルド・ダンタリオンは歴代のダンタリオン一族の中でも異端児と言われているほどの破格の才能を持っているの。サイラオーグとは真逆ね。でも、二人は随分と仲が良いみたいだけど」

 

 へえ、確かにそれは意外だ。大抵はお互いを嫌いあうと思うんだが。何か通じるところがあるのかどうか。

 

「一応、ダンタリオンを入れて若手悪魔の能力値をグラフにしたやつがある見てみろ」

 

 そう言って先生は立体映像的なものでグラフを出した。下にはリアスたち若手悪魔の王達七人の顔が映っており、その上にはパワーやテクニックなどゲームでのタイプがいくつか書かれており、そこからグラフが伸び始めた。

 

 リアスなんかはバランスよく出来ているが、問題はサイラオーグとオズワルド・ダンタリオンの方だ。

 

 サイラオーグはパワー。オズワルド・ダンタリオンはウィザードの部分はほかの奴らをぶっちぎりで抜いていき、オズワルド・ダンタリオンに至っては天井に到達してなお伸び続けるほどだ。

 

「マジか。どんだけなんだよこいつ」

 

 最早呆れるしか無い。

 

「お前たち、アスタロト家と戦った後はサイラオーグと試合だぞ」

 

 先生の言葉に全員が緊張する。

 

 そう、俺たちの次の相手はアーシアに求婚しまくっている、あのディオドラ・アスタロト。まあ、そこは別にどうでも良いんだが、問題はサイラオーグとだ。

 

 現状、あのサイラオーグをどう打倒すべきか。まだビジョンが浮かび上がってこない。恐らくだけど、純粋な殴り合いになる気がするな。生半可な魔力攻撃はあいつに殴られて終わりだろうし。

 

「オズワルド・ダンタリオンとはその後か?」

 

 俺の言葉に、先生は頭を掻く。

 

「どうかな。ダンタリオンはバアルと次試合をすることは決定しているが、お前たちとの試合はどうなるか」

 

「……どういうこと?」

 

 リアスが訝し気に質問する。

 

 リアスの質問に先生はあっさりと答える。

 

「上の連中はバアルはまだしも他の連中とダンタリオンが試合を出来るかどうか不安なんだよ」

 

「……それはつまり、私たちでは相手にならないかもしれないと?」

 

 朱乃の言葉に先生は頷く。

 

 ……それはまた、随分と舐めてくれているものだ。

 

 他のみんなも大なり小なり怒りを感じているらしき、視線が険しくなっている。

 

「バアルと対戦出来てダンタリオンとは出来ない? 上は何を考えているんだよ」

 

「俺に言われてもな。まあ、次のアスタロト戦とバアル戦に勝てればダンタリオン戦もやることになるだろうけどな」

 

 成程。勝てば良いのか。実に単純明快で良いじゃないか。

 

「まあ、今はダンタリオンとの戦いは置いておくわ。次のアスタロトとアガレスとの試合を見ましょう。何せ、大公アガレス家が負けたのだから油断できないわ」

 

 へえ、アガレスが負けたのか。あのディオドラって坊主、そこまで弱いわけじゃないけど、あのアガレスの姉ちゃん程じゃあないと思ったんだが、意外や意外。爪を隠していたか?

 

 リアスが映像を再生しようとした時だった。

 

 部室の片隅に魔方陣が浮かび上がったのだ。

 

 転移の魔方陣。あの家紋って確か……。

 

「……アスタロト家の紋章」

 

 祐斗がぼそりと呟く。

 

 てことは、

 

「こんばんは皆さん、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いに来ました」

 

 光の中から現れた優男風の少年は開口一番そんな事を抜かしてきた。

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