ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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はい、一カ月以上過ぎましたね。マジでやばい。

二人の白皇が面白すぎるのがいけないんだー。


第三話

「……眠い」

 

 正直、頭が全く動いていない。頭の中に霧が掛かっているみたいだ。

 

「もう、しっかりしなさい。収録中に変な事言ったらそのまま冥界中に流れるわよ」

 

 隣でリアスがそんな事を言うが、あえて言おう。誰の所為だと思ってやがる。

 

 結局、寝れたのはあれから二時間経ってからで、今日も普段通りの時間に叩き起こされたのだ。文句の一つも言いたくなる。

 

 現在、俺たちは冥界にあるテレビ局に来ている。

 

 理由は取材。若手ゲームで活躍した俺たちに注目が集まり始めているのだろう。

 

 リアスは元々魔王の血縁者という事とその美貌から人気が高いし、俺という存在もある。

 

 レーティングゲームで現皇帝と並び無敗を誇った親父殿とその女王である母様は今でも冥界では根強い人気を誇っている。その息子である俺が帰還したのだ、注目は集まり始めている。

 

 何せ、事前の話で俺個人としてのインタビューもあるとか言う話だ。はっきり言ってめんどくさい。さっさと終わらせて寝たいところだ。

 

 そんな事を考えていると、前から十人ほどの集団が歩いてきた。

 

「サイラオーグ」

 

 そう、サイラオーグ・バアルとその眷属だ。

 

 貴族服も大胆に肩に羽織っての登場だ。

 

「リアス、お前もインタビュー収録か」

 

「ええ、そちらはもう終わったところ?」

 

「いや、俺たちはまた別の所でだろう。試合を見たぞ。お互い、新人臭さが抜けないな」

 

 苦笑するサイラオーグとは対照的にリアスは少し顔を顰めた。まあ、結果的には圧勝に近かったが、一誠やアーシア何かがリタイアしちまったからな。あまり満足できる結果では無かったな。

 

 次にサイラオーグは俺と一誠に視線を向ける。

 

「どんなにパワーがあっても、カタにハマれば負ける。相手は一瞬の隙をついてくるわけだからな。とりわけ神器には未知の部分が多い。何が起こり何をされるか分からない。実際、シトリー戦ではそれで赤龍帝は負けてしまっただろう?」

 

 確かになー。正直、あの匙君があそこまで奮闘するとは流石に予想外も良いところだったからな。油断は駄目って事だな。

 

 サイラオーグはポンと一誠の肩をたたく。

 

「ま、そういう事を抜きにしてもお前とは純粋なパワー勝負をしてみたいよ」

 

 へーサイラオーグは一誠に期待しているわけだ。

 

「おいおい、俺とはしたくないのか?」

 

 軽くからかう様に言う。

 

 サイラオーグは肩を竦めるだけだった。

 

「お前はオズワルドの奴が大層執心しているからな。俺から手を出したら怖いからな。ああ、そういえば確かあいつも今日、インタビューで……」

 

「――俺が何だって?」

 

 後ろから新たな声。

 

 そちらを向くと、そこにいたのは黒髪の美少年。

 

「オズワルド……」

 

 そう、そこにいたのはオズワルド・ダンタリオン。後ろには奴の眷属もいる。

 

「これはこれは。サイラオーグにカレン・グレモリーまでいるとは。詰まらないインタビューだけで終わるかと思ったが、どうやら運が良いようだ」

 

 こちらはピッシリと貴族服を着こなしており、薄笑いを浮かべながらオズワルドは近づいてきた。

 

「やあ、カレン。こないだの会合ぶりだな」

 

「ああ、お前に馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶのを許可した覚えは無いんだが」

 

「良いじゃないか。俺と君の仲だ」

 

「どんな仲だ。殺すぞ」

 

「はは」

 

 軽く殺気を込めて言うも、オズワルドは薄笑いを浮かべるだけだった。

 

「で、俺に何か用か」

 

「おいおい、君に挨拶をするのに理由なんているのか?」

 

 本当に何だこいつは。会ったのはリアスの婚約パーティの時と若手の会合時だけだぞ。それも直接的な会話は無かったはずだ」

 

「……私への挨拶は無しかしらオズワルド・ダンタリオン」

 

 それまで黙っていたリアスが口をはさんできた。

 

「ん? ああ、リアス・グレモリーか。悪いね気が付かなかったよ」

 

 まるで興味なさげにそう言うオズワルド。

 

 ピクリと眉を動かすリアス。

 

「私なんて、眼中に無いのかしら?」

 

「お、よく分かったな。その通りだよ」

 

 言いきりやがった。しかも本気でそう思っているなこいつ。

 

 案の定、リアスは怒りで肩を震わせる。

 

「……良い度胸ね。私たちを馬鹿にするのも大概になさい」

 

「事実だ。試合を見させてもらったけど、あそこまで酷いとは思わなかった。正直、魔王ルシファーの血縁としてもう少し期待していたんだけどね」

 

 おいおい、そろそろやめてくんね? いい加減、うちの者達が怒りのオーラを出しまくってるからさ。

 

「ま、今回は諦めるしかないな。次、プロで戦うときは君の本来の眷属で戦おう。――楽しみにしている」

 

 無理やり握手をするオズワルド。

 

 その時だった。

 

「っ!」

 

 俺の全身に寒気が襲い掛かる。

 

「……お前」

 

 直ぐに原因に気付き、俺は本気でオズワルドを睨み付ける。

 

 対してオズワルドは胡散臭い笑みを浮かべたままだ。

 

「では、また会おう」

 

 それだけ言い残してオズワルドは眷属を連れて去っていく。

 

 すれ違う時、灰色の髪をした少女はこちらに軽く頭を下げていった。

 

 後に残った者たちには沈黙が漂った。

 

「……まともに会話したのは初めてだけど、なんて無礼な男なの……!」

 

 リアスが吐き捨てるように言う。

 

 皆同じ様で、表情を険しくしていた。

 

 そんな俺たちの様子を見ながらサイラオーグはため息を付く。

 

「完全に目を付けられたな。ああなったオズワルドはしつこいぞ」

 

「……俺にそっちの気は無いぞ?」

 

「安心しろ。オズワルドはどっちもいけるやつだ」

 

「ちょっと待て。何も安心できないんだけど!?」

 

 何あいつ、そういうやつだったのか。やばいな。今度会うときは後ろを気を付けないと。

 

 って、バカやっていないでこっち先にやらないと。

 

「アーシア」

 

「は、はい?」

 

「手のひら治してもらって良いか? 時間たてば治るだろうけど、今はあんまり時間ないし」

 

 俺は右手の手のひらをアーシアの方に向ける。

 

 手のひらは皮膚が腐り始めており、異臭を放ちつつあった。

 

 ていうか、むっちゃ痛い。何をしやがったんだか、あいつ。

 

 俺の手のひらを見て皆が仰天する。

 

「アーシア直ぐに治療を!」

 

「はい!」

 

 アーシアが神器を展開させて治療を始める。

 

 それを見ていたサイラオーグが渋い顔をする。

 

「オズワルドの魔力『瘴気』だな。あらゆるものを毒で犯し、溶かしつくす」

 

 『瘴気』。成程、アザゼル先生たちがあんなに警戒するわけだ。確かに、これは強い。

 

 全く持って腹立たしい。完全に舐められているな。

 

 オズワルド・ダンタリオンか……奴と戦うにはまだ力が足りないか。

 

 神星剣は流石に使えないとは、思うけど……何だこの感覚。一瞬だが、ルーファスと対峙したときと同じ感覚が体を走った。

 

 憎悪、の方では無い。

 

 兎に角奴の叩きのめしたい。ぶっ飛ばしたい。

 

 とんでもない感情なのは分かっているが、それでも何なんだろうなこの感情は……。

 

******

 

「……何してんのさー」

 

 己の女王の呆れたような声にオズワルドは後ろを振り向く。

 

「何がだい?」

 

「あんな挑発行為、怒らせる以外に目的あったのー?」

 

「何を言ってるんだ――それ以外に何がある?」

 

 清々しい笑みを浮かべるオズワルドに眷属全員はめんどくさそうな顔をする。

 

 この主のこういった性格は分かってはいたが、それでもまさか魔王ルシファーの血縁者であるグレモリー眷属に喧嘩を売ってくるとは思わなかったが。

 

「そんなにあのカレン・グレモリーが気に入ったのー?」

 

「当然さあ。あれほどの逸材はまだいたとは……」

 

 凄みすら感じる笑みに眷属たちは何も言えなくなる。

 

 自分たちの主が何を望んでいるか、それを知っているからこそ、何も言えなくなる。

 

「まあ、でもあの者たちがサイラオーグ殿と戦って勝てるとは思えないけどなー。シトリー戦を見る限り、全然だったじゃない」

 

「そりゃあ、あんなに自分たちの持ち味を封じられていたらね。というより、次のアスタロト戦の事を忘れているよ?」

 

「えーでも、()()()()に負けるかなー?」

 

「そうだね。アスタロトのズルに誰が最初に気付くか。それによって今度のゲームは色々と変わってくる。精々、そこを楽しみにしていこうじゃないか」

 

******

 

 レポーターのインタビューにリアスが答えていく中、俺はオズワルドについて考えていた。

 

 初めて会ったのはリアスの婚約パーティーの時。

 

 あの時から奴は俺に興味を持っていた。だからこそ、あの場で助太刀をしたのだろう。

 

 次に会ったのは若手悪魔の会合の時。

 

 この時はいきなり出合い頭にちょっかいを掛けてきた。流石にイラッとしたが。

 

 そして三度目。

 

 だが、何故だ? 何故奴は俺に興味を抱いている?

 

 確かに俺はレオン・グレモリーの息子として奇跡とも呼べる帰還をなし、注目を集めていることは知っている。

 

 けれど、それだけか? それだけの事であの男は俺にあそこまで眼を付けてくるのか? 

 

 サイラオーグは何かを知っているような様子だった。だけど、俺には教えてはくれなかった。警告はしてきたが。

 

「ちょっと、カレン」

 

 それにダンタリオン眷属も一目見ただけで全員が強者だ。たぶん、今の俺たちでは歯が立たない。

 

「カレンったら」

 

 アスタロト戦をやったら次にはバアル戦。バアルもダンタリオンと同じように負け劣らずの強者の集まりだ。今の俺たちではまともに戦えるのは俺と禁手化した一誠位だろう。

 

「もう……」

 

 だけど、今の一誠の制限時間じゃあとてもじゃないが、まともな戦力として数えることは出来ない。

 

 となると、やはり俺たち全員の能力の底上げが重要視されてくるか。

 

 なら……。

 

「こらっ!」

 

 どうやってトレーニングしていくか考えようとした矢先、突如頭の衝撃が走る。

 

「痛っ!」

 

 何だ一体……?

 

 後頭部をさすりながら俺はあたりを見渡す。

 

 すると、ほかの皆が全員俺の方を向いている。

 

「……どうした?」

 

 思わず尋ねると、リアスが盛大にため息をついた。

 

「もう、貴方のへのインタビューなのに、何をボンヤリとしているのよ」

 

 はて、俺のインタビュー?

 

 首を傾げると、リアスは困ったように手で顔を隠す。

 

「聞いていなかったのね? 次、貴方へのインタビューよ」

 

「俺?」

 

 視線をずらせば、レポーターの人が困ったようにこちらを見ていた。

 

「ふむ、それは失礼した。何分、このような事は始めてどうやら緊張していたようだ」

 

 取り敢えずそう返しておく。そうでもしないと、笑いものにされるしなー。

 

「そうでしたか。いえいえ、こちらこそお待たせしてしまったようで」

 

 幸い、レポーターの人は話が分かる人のようで、笑顔で答えてくれた。

 

 リアスたちは呆れたようにこちらを見ていたが。

 

「それでは、カレンさん。十数年ぶりに冥界に帰還されてどういった感想を持ちましたか?」

 

「何分、冥界に居たのは随分と幼かったですから、良くは覚えていないですね。ただ、足を踏み入れた時は酷く懐かしいという気持ちにはなりました」

 

 その後も当たり障りない質問を繰り返していき、俺もその質問を返していく。

 

 そして、最後にこんな質問が出てきた。

 

「カレンさんは今後、冥界でどのような事をしていきたいでしょうか?」

 

 冥界で、どのような事を、か。

 

 そんなの決まっているじゃないか。

 

 

「もちろん、父と母の敵を取ることを最優先とします」

 

 

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