ハイスクールD×D もう一人の紅髪   作:多騎雄大

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待ってくださっていた方お待たせしました。これから更新を再開していこうと思います。


第五話

「おい、一誠。聞こえるか―?」

 

『…………』

 

「返事無し。これ、本格的にまずいかね」

 

『覇龍を使ったのですから当然と言えば当然と言えるでしょう。しかも彼は歴代の中でも最弱といわれるほどの力しか持っていない。恐らく、寿命を極端なまでに削って使っているのでしょう』

 

 リンドの言葉に俺は頭を悩ませる。

 

 つまり、このままの状態が続いたら間違いなく死ぬって事か?

 

『ええ』

 

 リンドもあっさりと言う。

 

 ぶん殴って止めると言ったは良いが、今の一誠を止めるのは骨が折れそうだ。

 

 神星剣を使ったら一誠は本当に死んでしまうし、逆に神星剣無しで、この状態の一誠を止めるにはどうしたら良いものか。

 

「ホント余計な事しかしないよな旧魔王派は」

 

 どうしてこうなったのか、それもこれも全部あのシャルバとかいうクソ野郎の所為に決まっているんだけどな。

 

 

******

 

「お前ってさ、本当に変な事しか考えないよな」

 

「変な事しかって! そりゃ酷くないか!?」

 

「だってさあ」

 

 そう思っているのは俺だけでは無いだろう。というより、リアスたちも全員そう思っているはずだ。

 

 アーシアに取りつけられた神滅具によって作られた結界装置。

 

 俺たちの攻撃では壊すことが出来ず、俺の攻撃では逆にアーシア自身も傷つけてしまう恐れがあったため、俺も打つ手が無かった。

 

 どうしたものかと悩んでいた時だ。一誠が変な事を考えて実行したのは。

 

 ドレス・ブレイク。一誠の女性限定で服を消し飛ばす実に一誠らしい必殺技だ。

 

 それを禁手化状態で発動して何とアーシアの服諸共消し飛ばしてしまったのだ。

 

 これには流石に唖然とする。この絶望的な状況であんなふざけた技で逆転するとか、一誠位なんじゃねえか?

 

「ま、兎に角アーシアは助けられたんだ。良しとしましょうや。他の戦況も大分いい感じじゃないのかな?」

 

「貴方がここに来たってことは表の旧魔王派は大丈夫って事?」

 

「ああ、殆ど数も少なくなってきていたし、オーディンの爺さんに任せた」

 

「爺さんって……仮にも北欧の主神相手に何を言ってるのよ」

 

「良いんじゃね? あんな助平爺さん」

 

 まあ、流石に公の場とか本人の前とかでは様付けはするつもりだ。要は顔を変えていけば良いのだ。

 

「しかし、お前ら、特に苦戦はしなかったみたいだな。目立った怪我、というか怪我してないし」

 

 一誠は大分大きな怪我が目立つが、こいつはディオドラとの戦いで傷ついたもんだろうし、実質、無傷で勝ったに近い。

 

「さて、これで終わりか。何かあっけない感じもあるが、これでよしとするか」

 

「そうね。他の戦いももう直ぐ終わるでしょうし。後はアザゼルと連絡を取って今後を決めましょう」

 

 そう、俺とリアスが話した瞬間だった。

 

 背後から巨大な光が灯る。

 

 何だ!?

 

 俺たちは同時に後ろを振り返る。

 

 そこには巨大な光の柱が天を貫かんばかりに立ち上っていた。

 

 何だこれは!?

 

 突然の事に驚く俺たちだが、光は直ぐに止む。

 

 そして、

 

「………………アーシア?」

 

 そこにいたであろうアーシアは居なくなっていた。

 

「クルセイドは死んだ。まあ、この真なるベルゼブブの血統である我が残っていれば何ら問題は無い」

 

 頭上から声が聞こえてくる。

 

 軽鎧を身に纏っている悪魔だ。中々に力強い波動を身に纏っている。

 

 こちらを見る目は完全に侮蔑に塗れている。どう考えても旧魔王派だ。

 

「……誰かしら?」

 

「お初にお目にかかる忌々しい偽りの魔王の妹よ。私はシャルバ・ベルゼブブ。真なるベルゼブブである」

 

「ああ、その口調からもう完全に旧魔王派のメンバーだって分かるよ」

 

 リアスの質問にそんな風に答えるって事は間違いなく旧魔王派だ。しかもベルゼブブ。三大勢力の会談の時に襲ってきたカテレア・レヴィアタンと同じ先代魔王の血縁者って事だ。

 

「旧、等と呼ぶのは止めてもらおうか下劣な半端者め。貴様らにそんな事を言われるのは不愉快極まるよ」

 

「別にお前の気分なんてどうでも良い。それで? 何をしに来た? 生憎テメエに構っている暇なんてこっちはねえんだよ」

 

 軽く殺気を込めながら睨み付ける。

 

「シャルバ! 助けておくれ! 新旧ベルゼブブが力を合わせれば――」

 

 そんな中、ディオドラの坊主が懇願するようにシャルバに助けを求めていた。

 

 あの野郎、まだやる気があったのか。一誠にボコボコにされて心が折れたと思ったのに。

 

「――ふん」

 

 だが、そんなディオドラの懇願を鼻で笑い、シャルバは腕に付けられた腕輪らしき物から光をディオドラに飛ばした。

 

 飛ばされた光はディオドラの腹に深々と突き刺さった。

 

「がっ!?」

 

 苦悶の声を上げると同時にディオドラは体を灰にして消えていく。

 

 あっさりとした退場に誰もが呆気にとられる。

 

 ちょっと待て。何で悪魔のあいつが天使や堕天使みたいに光を扱える? 流石にそいつは不可能の筈だ。いや、まあ確かに奴らは三大勢力のお尋ね者が集まった集団だ。当然堕天使だっている。なら、奴らの技術だって流用されているのか?

 

「計画を漏らすとは何とも愚昧な男よ。やはり偽りの魔王の血族など信じるべきでは無かったな」

 

「……なーるほどな。あの坊ちゃんと繋がっていたのはお前か。あいつも哀れだな。こんな奴と手を結ぶとはな」

 

「ふん、負ける奴が悪い」

 

「で? アーシアをどこにやった? 返答次第ではまあ、惨たらしく死ぬのだけは勘弁してやるよ。ちゃんと一瞬で殺してやる」

 

 殺意を混ぜながら問う。

 

「半端者が図に乗るな。分かり切っていることを聞くということは愚かな……」

 

 ……ああ、やっぱり。そういうことか。

 

 思わず頭上を仰ぎ見る。

 

 分かってはいたことだが。やはり辛いものだ。大切なものがいなくなるという事は。

 

「さて、今回は我々の負けだ。まさか、中堅クラスの神滅具である赤龍帝の籠手に上位クラスのディメンション・ロストが敗れるとは。まあ、データは手に入った。次のテロに活かせば良い。で、突然ではあるが、死んでくれるかなグレモリーの小娘よ」

 

「……卑怯者! 直接現魔王の決闘を挑まずにその身内を狙うなんて、下劣な!」

 

「そうでなくては意味が無い。まずは絶望を与える。それから奴らを殺さないとな」

 

 ホント、どこまで身勝手な連中だ。幾ら現魔王たちに辺境に追いやられたとはいえ、ここまでやられると流石に頭に来てしょうがない。

 

 見れば、他の皆も怒りに体を震わせていた。

 

 終わったな。シャルバとかいったかこいつ。グレモリー眷属は身内に手を出されるとどれだけ怒りを買うか分かっていないようだな。

 

 ならばこそ、徹底的に、冷徹的に、その事を味わ合わせてやろう。

 

 となると、問題は一つか……。

 

 俺は静かに一誠の元に歩み寄る。

 

「どうする一誠。アーシアの仇取るか? それともこのまましゃがみ込んでいるか?」

 

「…………」

 

 沈黙が返ってくる。

 

 ……こりゃあ、不味いかもな。周りが見えないほどにダメージを受けたか。

 

 どうする。ギャスパーか小猫辺りに安全な場所まで引っ張って貰うか、それとも……。

 

 俺がそこまで考えた瞬間、一誠がふらりと立ち上がる。

 

「……一誠?」

 

 返事が再びなく、何処を見ているか分からない虚ろな視線を漂わせながら一誠はふらりと幽霊の様に歩き始める。

 

『おい、カレン・グレモリーよ』

 

 俺の神器からリンド以外の声が響く。

 

 この声って、ドライグか?

 

『ああ。死にたくなければ他の連中を連れて今すぐにここから離れろ』

 

 それってどういう。

 

『そこの悪魔、シャルバとか言ったか?』

 

 俺の質問に答えず、ドライグは今度は『赤龍帝の籠手』から声を出して、シャルバに話しかける。

 

『お前は――選択を誤った』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そして、覇龍は目を覚ます。

 

 

******

 

「……圧倒的とかそんなん関係ないなこれ」

 

 最早、そんな次元の話では無い。これは、まさしく龍の逆鱗というやつだろうな。

 

 辺りを見渡す。先ほどまで俺たちがいた神殿は既にその原型を留めておらず、瓦礫の山と化していた。

 

 思わずため息が出てしまう。俺も大概な力を手にしたが、これは酷い。方向性が無い分、余計に性質が悪いだろう。

 

 俺は前を見つめる。

 

『……ゥオオオオオオオオオン!!』

 

 嘆き苦しむ様に覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発動させた一誠が叫ぶ。

 

 その姿は最早、見るに堪えない。

 

 一誠が抱えた怒り全てはシャルバへとぶつけられた。

 

 シャルバもオーフィスの『蛇』を手に入れて前魔王クラスの力を手にしていたが、そんなのはお構いなしで一誠はシャルバを叩きのめしていった。

 

 両腕をもがれたシャルバは足で転移魔方陣を描いて逃げ出そうとしたが、そこで待ったをかけたのが一誠であった。

 

 何と、ギャスパーの神器である停止の邪眼を一誠が使ったのだ。それによってシャルバの足を停めて逃げ出せなくしたのだ。

 

 愛が深ければ深いほど、それを失った時、悲しみはデカい。

 

 今の一誠の気持ち、俺にとっても痛いほど分かる。母様と紫水が死んだときも俺は同じような気持ちだった。

 

 正直、今の力があったら目に付くモノ全てに当たり散らしていたかもしれない。

 

 だけどな、失ったモノは帰ってこない。それを受け入れて次に進むことが出来ず、その場でずっと止まっていることなんて、やるもんじゃない。俺みたいなるぞ?

 

 さて、そろそろ止めてやんないとな。

 

『……本気ですか?』

 

 本気さ。じゃなきゃこんな所にいないさ。

 

『いくら不完全な覇龍とはいえ、神星剣無しで勝てるほど、天龍は甘く無いですよ?』

 

 分かってるよ。優しいなリンドは。

 

『……何ですか急に』

 

 いや、だって態々忠告してくれるんだもん。優しいだろ?

 

『何を馬鹿な事を。私は端に宿主に死なれては困るから言っているだけです』

 

 そうかい。まあ、そういうことにしておこう。

 

『含みのある言い方ですね……力を出させませんよ?』

 

 え、ちょ待ってそれは困る!

 

 やめてよ? 神星剣は使わないんだから、神器まで使えなくなったら俺泣くよ? 泣くからな!

 

 そんな漫才みたいなやり取りをしていた時だ。

 

『グオオオオオオオオオオ!!』

 

 一誠の叫びが変わった。嘆きから攻撃的な質を感じ取るようになってきた。

 

 そちらの方を向くと、一誠がこちらを見ていた。

 

 睨みつけるようにこちらを殺気丸出しで見ている。

 

 ふむ、どうやらターゲットをこちらに設定したようだな。いやあ、見事に暴走してるね! なんせ俺の事を完全に分かっておらずに殺そうとしているし!

 

『グガガガアアアアアアアアアア!!』

 

 再び咆哮を上げてこちらに迫る一誠。

 

 その速さに思わず瞠目する。

 

 何せさっきのシャルバとの戦いを見ていなかったら間違いなく対応できないほどの速度だ。

 

 俺は殆ど考えずに剣を盾にするように前に出す。

 

 一誠はそのまま突っ込み、剣と激突する。

 

 あ、これ駄目かな?

 

 そう思う程に力が強すぎた。

 

「ぐううううう!?」

 

 足に魔力を集中させて、何とか踏ん張る。

 

 これ、本当に凄いな! 覇龍ってのは、ここまでヤバい物か!

 

 正直舐めてたなこいつは。何せ、俺がもう押され始めている!

 

 拮抗保てたのは、ほんの僅か。次の瞬間には、俺はそのまま吹き飛ばされていた。

 

 凄まじい勢いのまま、俺は後ろにあった瓦礫を五個くらい貫通して漸く止まる。

 

「くそったれめ……」

 

 思わず毒づく。

 

 なんてパワーだ。シャルバの時も感じたが、これは半端ないな。

 

 赤龍帝の『倍加』の能力もあるから理論上は無限にパワーを上げられるんだよな、あれ。

 

 最も、一誠の体が持つ筈も無いから、一定以上は上がらないはずだけどな。

 

 とはいえ、このままでは埒が明かないのも事実。どうしたものか。

 

 叩き潰さないといけないけど、流石に覇龍と化している一誠を止めるのは本当に難しい。神々だって滅ぼせるんじゃねこれ? 何て思ってしまう。

 

「……ふう」

 

 思わずため息が出る。出させて欲しい所だ。

 

 剣を構えて前を見据える。

 

『グオオオオオ!!』

 

 一誠が口元に魔力を集める。

 

 見るからに不味い程の量を込めてるいるな、おい。

 

 剣を両手でしっかりと構える。

 

「よし……来い一誠」

 

 俺の言葉に反応したかどうかは知らないが、一誠が魔力弾を放つ。

 

 俺の全身を覆いつくす位の大きさの魔力弾が迫ってくる。

 

 慌てず俺は剣の切っ先を魔力弾に向ける。

 

『Absorb!!』

 

 魔力弾を吸収し、一気にトップスピードに乗り突っ込む。

 

 剣を振りかぶり、一誠に斬りかかる。

 

 普段からは想像がつかないほどの反応の速さで一誠は対応。腕で受け止める。

 

 そのまま左手の砲口を展開。急速に魔力を込めて撃ち放つ。

 

 ほぼゼロ距離から撃たれた砲撃は一誠に直撃する。

 

 これでどうだ? 並みの上級悪魔ならこれでノックアウトするだけの力は込めたぞ?

 

『グオオオオオオオオ‼︎』

 

 そんな俺の期待を壊すように、一誠は右手を振りかぶって俺を殴りつける。

 

 瞬間、強い衝撃と共に俺は地面に叩き落された。

 

「ごふっ」

 

 口から血を吐き出してしまう。

 

 おい、これは流石に洒落にならないぞ……! 一誠の奴正気に戻ったらいびり倒してやる!

 

『ふざけている場合ですか! 次が来ますよ!』

 

 リンドの叱責に俺はハッと我に返り、痛む体に顔を顰めながら後ろに体を回転させる。

 

 それと同時に一誠が再び右手を地面に殴りつける。

 

 それだけで地面が砕けてその余波で俺が吹っ飛ぶ。

 

 吹き飛ばされた衝撃を利用して何とか態勢を立て直す。

 

 いやもう痛いね。何さあいつ。ヒトが折角正気に戻してやろうとしているのに恩を仇で返すみたいだな!

 

『逆ギレでしかも全然意味が違う様な……』

 

 何やらリンドが呆れたように言っているが、無視しておこう。

 

 さて、どうしたものか。まさかここまでとは。自分の危険予測の低さに泣けてくる。

 

 神星剣無しであれと戦うとなると、まだまだ力不足。俺もあんな感じで力を開放出来たらいけるかもしれないけど。

 

『お薦めはしませんよ? 無いわけでは無いですけど、使えば、貴方の義弟と同じように命を削りかねませんよ。貴方の場合、膨大な魔力がその代わりをするかもしれませんが、それでも危険は大いにあります』

 

 覇龍の様にリスクが高すぎるわけか。博打に近い物をこんな大事な場面でするってのはヤバい話だな。

 

『グウオオオオォォォォォ!!』

 

 再びの咆哮。今度は何だ一体。

 

 意識を一誠の方に戻すと、信じられない光景が目に入ってきた。

 

 一誠の胸の装甲が開き、そこから砲門が出現してエネルギーを充填し始めているでは無いか。

 

 あれってシャルバを吹っ飛ばした攻撃か! 不味いなまたこの辺りが吹き飛ぶぞ!

 

「くそったれが!」

 

 迷うことなく神星剣を手元に出す。

 

 そしてそのままオーラを纏わせていく。

 

 技を使うのは不味い。あれ程の威力になると俺も手加減が難しい。

 

 ならば、このまま魔力を練り込んで斬撃を放ってやる!

 

 俺と一誠は同時に力を貯め始めた。

 

 間に合えよおい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Fateのアニメ新しいの始まって書いてみたいと思うんですよねー。もしかしたら、投稿するかもしれません。
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