午後5時
この時間は、夜の為に少し仕込みをする時間である。
「ポルナレフ、そろそろカンパチを切っておいてくれ」
「でも俺ぁ、まだ鰹切ってんだ。花京院、お前できるか?」
「すみません。今日は5時から配達が入ってるのでもう準備をしなくては………アブドゥル、頼めますか?」
「悪い、俺も煮付けから手が離せん」
「困ったのぉ…………」
「おいジジイ」
「他に捌ける奴はいないしなぁ…………」
「おいポルナ」
「僕達は他に仕事がありますし………」
「おい花京」
「いっそわたしの友人を呼びましょうか?」
「おいア」
「「「それだ!」」」
「………………」
全員は当たり前のように承太郎をシカトする。
ろくな事がないと分かっているからだ。
「そうと決まれば早速連絡頼むぜ!」
「まぁ待て。承太郎が何もないところを見始めた。…………言い分だけは聞いてやろうじゃないか 」
「アブドゥル……………承太郎は無視していいぞ」
「そうです。お子様包丁で指を切る天才にカンパチは任せられない」
「……………突き指しただけだ」
「逆に聞きたいよ承太郎。どうして刃の無いプラスチック製の包丁で突き指するほど強く自分の指を押せるんだい?」
「お前、その腕で包丁なんか使ったら指がなくなるぞ?」
「そこまでアホじゃない……!」
「どうかのう…………承太郎に刃物を持たせると折りそうじゃからのう………」
「ンなわけねえぜ!」
「ほぉ?じゃあ俺の修行時代の包丁『亜沼恵比寿』を貸してやるぜ。これはわざと刃を磨いでないからな。下手に切っても深いところまではいかないはずだぜ」
「それがいい。俺も出来れば連絡はしたくないからな。承太郎が捌けるのならそれに越した事はない」
「てなわけで」
「お手並み拝見と」
「いくかのう……………」
「なめんじゃあねぇぜ!」
承太郎は包丁を構え精神を統一する。
「捌くのは!俺の包丁だッー!」
承太郎は吠える。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
「むぅ!いつの間にこんなに上手くなったんじゃ⁉︎」
「ほぅ……………中々だな」
「確かに、身も崩れてませんね………でも」
「なーんでお前はカンパチに『微塵切り』をしてんの?」
承太郎が今切ったのはキャベツでもなくタマネギでもない、正真正銘海を泳ぐ魚、『カンパチ』である。
通常、微塵切りとは野菜などを切る為にある。
魚にに対してその切り方をする職人はまずいない。
「…………………………」
「承太郎」
「………………なんだ………ジジイ」
「今日からお前の食事は三食カンパチで行く」
「…………………」
「アブドゥルー」
「あぁ、もう呼んだ」
「その方にはもう一匹の方を捌いてもらいましょう。普通に」
「……………………」
みんなは真似しちゃダメだよ?
馬鹿だよね