それ以下でも、それ以上でもない。
「大将!うなぎ!」
「わかったわい!」
「大将!こっちも!」
「おうよ!」
「ジョセフさん!僕も!」
「おうよぉ!」
「今日はうなぎが多かったのぉ」
「何と言っても土曜の丑の日ですからね」
「まぁ、妥当でしょうな」
「ジョセフさん、うなぎがもう在庫がすくねぇ」
「明日になればいいのがくる筈じゃ」
「…………ジジイ」
「なんじゃ?」
「うなぎのメニュー作ろう」
「さて、じゃあまずはうなぎの握りからじゃな」
「握り?それならばもう既にありますが………」
「うむ。アブドゥル、確かにうなぎの握りはもうある。だがあのうなぎは少し大きめに切ってある。沢山頼まれたら数が足りんわい。かと言って小さく切って同じ値段取るのものう………」
「なるほど。つまりは小さいうなぎの握りを別のものとして作ろう
、ということですね?」
「そうじゃ。花京院、うなぎに醤油はあうか?」
「………いえ、醤油ではなく甘ダレをかけて食べますね」
「………その話から察するに、私は新しいタレを作ればいいわけですな?」
「うむ、できればうな重やつまみにも適したものがいいわい」
「フッフッフッ、任せてください」
「俺は?斬り方にオーダーはあるか?」
「さっきも言った通り、大きさに注意してほしい。大きいものと小さいもので100円も差がある。クレームが出ないようにしてほしい」
「100円分か………任せな!」
「さて、承太郎」
「なんだ?」
「うな重を作るぞい」
「うな重ならお盆と年末年始に作ってるぜ?それじゃあだめなのか?」
「今度から通常のメニューとして出すからのう…………あそこまで豪華なものだと気軽に手が出せんじゃろ」
「ならどういったものにする?」
「そうじゃのう………承太郎」
「?」
「お前が作ってみろ」
「さて」
「ジョセフさん、本当に承太郎が作ったのですか?」
「わしも少し不安があるが………」
「ま、お手並み拝見といこうぜ」
「………」
承太郎はまず、七輪を取り出す。
そして七輪に火のついた木炭を入れ、網を上に乗せる。
10分くらい経って網が完全に熱された後、網を掴みで持ち油を塗る。
そして網を置いた後、握りよりも少しだけ大きめに切ったうなぎを並べていく。
その間に弁当箱の方にご飯を詰めておく。あまり詰めすぎないようにし、それでいて熱を逃がさないように工夫して詰める。
それが終わった後に山牛蒡を小さく切っておしんこと一緒に弁当箱の漬物を置く場所に置く。
うなぎが丁度よく焼けてきた後、うなぎを裏返し、そのままもう一度同じ時間焼く。
焼き終わった後、うなぎを弁当箱に入れる。
だがうなぎを入れる直前に、ご飯の上にゴマと刻み海苔を中央にばらまく。
その上にうなぎを置き、青葉を一枚端においてその上にガリを花のように飾っておく。
「…………完成だ」
「……」
「……」
「……」
「どうだ?」
「「「「だめだ」」」」
「そうか………理由は?」
「まず第一に、うなぎを焼くときは串をさすものだ。そうでなくでは簡単に崩れてしまう」
「それと焼き方です。七輪はガスよりもいい焼きを出しますが………バーナーが何かで補助しないと時間がかかりすぎてしまう。」
「それとガリの置き方だ。これは蓋をしちまう『うな重』なんだぜ?ガリを花の形にしても崩れちまう」
「最後に言うが………タレをかけ忘れたな?」
「…………あ」
「ま、改善すれば売れそうじゃな」
「承太郎にしてはいいアイディアだったぜ?」
「これからも精進してください」
「焼き方は今度教えよう」
承太郎は努力を覚えた。
承太郎はポンコツから努力するポンコツに進化した!