寿司屋『星屑』   作:冴え渡る

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こっちも久しぶりだからよくわかんね


黒むつ……ってなんなんだぜ?

 

「承太郎!お前もそろそろ小魚をさばいて見たらどうじゃ?」

 

平日の昼過ぎという暇すぎる時間帯。

大将であるジョセフは唐突に孫に話しかける。

 

「おいおいじーさん、小魚つっても今捌いてないのはあかむつとスズキだけだぜ?どっちも承太郎にはちと厳しいだろ……ちょっと考えてから発言しようぜ?」

 

「ポルナレフのいう通りですよ、第一、その2つはミスした際のリスクが大きい。原価を考えてから発言して下さい」

 

「最近うちの若い衆がわしに厳しい件についてどう思うアブドゥル?」

 

「今仕事中なんで邪魔をするなら映画館でムカデでも見てきたらどうです?」

 

「悪かったから!あの後は無理じゃって!舞台に仕事に戻るのは!」

 

 

ジョセフはあの後、三日間寝込んで店を開けていた。

そうなれば当然、店の責任者は副大将のアブドゥルになる。

フルメンバーでも忙しいこの店を、一人欠けた状態で、しかも三日間も。つまりアブドゥルが一番ジョセフに厳しかった。

 

「テメーがふざけた理由で休むのがわりーんだろうが……小魚か、イワシやアジとは勝手が違う、という事か?」

 

「ぐ、……ウォッホン!いいか?承太郎、魚には下身とと上身という物がある!これを同時に捌くのはイワシやサンマ、太刀魚などの細身かつ薄い身を持つ魚にしかできんのじゃ!」

 

「そして、鯛やブリ、鰹といった中型の魚は下身から、上身へと言った捌く順番があるんだ」

 

「そーそー、俺のように何本か包丁を持ってりゃいーが……おめーは未だにペティナイフでネギ打つもんなぁ……」

 

「……私の包丁をやろう」

 

「!?アブドゥル!」

 

「……いつまでも魚が捌けないというのは困りますからな!」

 

「わしが悪かった!ありがとうアブドゥル!」

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで俺が手本を見せるぜ?」

 

「ああ。頼む」

 

「先ずは魚の頭を左にに持っていく」

 

いいか?魚ってのは正面から見た状態のまま、市場から運ばれる。

つまり下身と言われる置いてある面にずっと触れている魚の下の部分は、ずっと魚の重さ自体に押しつぶされているんだ。

 

分かるか?

魚は下身の部分から卸す。

これは魚の基本だ。

 

だがその前に、だ。

これから卸す、って魚は先に全部頭を落とすんだ。

エラを含めたヒレまで全部、ザクッと落としちまうんだ。

なぜかって?魚の頭部には血合いと呼ばれる部分がある。そこからそれなりに血が出てくるのさ。

身を捌くとき。身の部分に頭の血が付かないように先に汚い部分は洗っちまうんだ、いいな?

……びびるなオイ。仮にも板前見習いだろうが。

いいか?魚の腹の部分をある内臓を全てが掻き出して中を流水で洗う。

ついでに黒い血合いの部分も取ったほうがいい。

包丁で一本、薄く切れ目を入れるんだ、慎重にな?

 

 

魚ってのはほぼ確実に、内臓や身の部分に寄生虫を持っているもんなんだ。

内臓はほぼ百パー、身の部分は天然か養殖かにもよるが……ま、いてもおかしくはねーな。

 

とにかく、内臓は要らねぇ。

それと、洗いすぎには注意だ。

魚も生物だ。水に触れすぎると白くなったりボロボロになったりして売り物にならなくなっちまう。

 

後は簡単なんだぜ?いいか?

 

腹から魚の骨に沿って身を削ぐ。

この時、骨の下に包丁が入ったり、骨を切ったりしないように注意するんだぜ?

その後は反対側、丁度魚の上の部分に切れ目を入れるんだ。

初めての時は先に切れ目を入れておくと楽だぜ!

これで背骨の部分以外全部切れたわけだ。後は身を挟まないように背骨に沿って尻尾を持って身をはがすように包丁を引くんだ。

これを反対側も同じようにして行う。いいな?

 

 

 

 

……………わかったよ、最後まで見てるから泣くなよ。

 

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