「フッフフ〜ン〜」
ジョセフは浮かれていた。
それもそのはず、今日は頼んでおいたある食材が届く日。
その食材を食す為に、店としてではなく個人で買ったのだ。
それが
『鮎』
この食材は魚の中では珍しく、臭みが全くない淡水魚。
これは甘露煮や焼き魚にして食べるととても美味しい。
だがそんなものではない。
ジョセフが食べたいのは別の料理だ。
「ジョセフさん。そろそろですかな?」
「分かっとるわい…………7対3じゃろ?」
「………ふふっ、楽しみですな」
「ご飯はどうじゃ?」
「バッチリです」
「おーいじいさん、アブドゥル。何やってんだ?」
「「!」」
「早く休憩に行こうぜー」
「あ、あぁ」
「わしらは後で行く。先に飯食っとってくれい」
この事はほかの仲間にはバレるわけにはいかない。
ただでさえ手に入りにくい天然物の鮎。
話したら最後、分ける羽目になるか店に出されるかのどちらかだ。
今回は10匹手に入れる事ができたが………3匹はアブドゥル、残りは自分。
これ以上は減らせない。
「………なーんか怪しいなぁ?」
「な、なんの事じゃ?」
「ポルナレフ。遂に頭の中もその髪型のようになったか?」
「おかしいって言いてぇのか⁉︎」
(ナイスじゃ!うまく話を変えられたわい)
アブドゥルは慣れた話し方で話題を変える。
「ジョセフさん」
「か、花京院⁉︎」
「この炊飯器の中身………炊いた方がいいですか?」
「い、いや!それはわしがやろう!」
「でも」
「でももストライキもないわい!わしがやるんじゃ!」
「わ、わかりましたよ…………そんなに怒らなくても……」
(悪い事をしたのう………じゃが今は花京院より鮎じゃ。追い払うしかない!)
花京院が二階に戻るのが見えた後、ジョセフは炊飯器を棚の裏に隠そうとする。
「じじい」
「うるさい戻れこのままバカ孫がぁ!」
「………………辛辣過ぎないか?」
(少し過敏になりすぎたか?)
「す、すまんのう。それで、何か用でもあるのか?」
「いや…………外に業者があ」
「あぁーっと⁉︎そういえば承太郎に頼みがあったんじゃ!すぐにコンビニでわしの腰痛の薬を買ってきてくれ!」
「いや、だからあ」
「早くしろぉぉぉぉッ!わしが(腰痛で)どうなっても知らんぞぉぉおッ⁉︎」
今日のジョセフは色々と焦り過ぎのようだ。
鮎を食べる為だけに実の孫を追い出そうとしてる。
「……………行ってくるぜ」
「うむ!すぐに行ってこい!なるべく時間をかけて薬を買うんじゃぞ?本当に3時間ぐらいの」
「準備はできましたか?」
「あぁ。アブドゥル、お前は?」
「もちろんですよ。では」
先ずは鮎を洗う。
そして鱗を落とし、冷水に漬ける。
その間、ジョセフは米を研ぐ。
冷水に漬けて5分後、取り出した鮎を火をかけた網の上に並べる。
この時の鮎は完全に火を通す必要は無い。
塩を振り、鮎がいい匂いを出すまで火にかける。
串に刺したままの方がいいのだが、今日はその余裕が無いのでしょうがない。
ご飯を炊く用意ができた後、鰹ダシ、みりん、酒、薄味醤油を入れて焼いた鮎を入れる。
そして最後に、蓋を閉めてスイッチを押す。
「フッフッフッ!これで後は」
「待つだけ、ですな」
「その間にお吸い物を用意しておこう」
「私は出汁巻きを作ります」
2人で着々と食事の準備を進めていく。
そして遂に、
鮎ご飯が炊き上がった!
「さて」
「それでは」
「この世のすべての鮎に」
「感謝を込めて」
「「頂きま」」
「今帰ったぜ」
「ジョセフさん、この伝票なんですけど」
「じーさーん。俺の飯どこー?」
「」
「」
「………じじい」
「それは………」
「鮎、だなぁ?」
「」
「」
美味しいものはみんなで食べましょう。
でもあれだね。普通に焼いて食うのも美味いよね。